序章 <ギザネクロポリス>
−大スフィンクス−
「地質学見地から見たスフィンクス」:皆さんも良くご存知の大スフィンクスはエジプトはカイロのギザ台地(ギザネクロポリス)に真東の方向に向かって鎮座ましましておられます。大スフィンクスはエジプト第4王朝のファラオ、カフラー王(ちなみにギザ三大ピラミッドのうちの最大のものがカフラー王の墓といわれている)によって建造されたとしている。カフラー王がエジプトに君臨したのは、紀元前2520年から前2494年まででだある。しかし近年、地質学上から、大スフィンクスは紀元前7000年から前5000年でに建造されたという調査結果が出された。このことの意味はこうである。「紀元前7000年から前5000年のこの地方は新石器時代にあたり、原始的な狩猟採集民しか住んでおらず、持っていた道具といえばとがった火打石と棒にすぎない」とエジプト学者は言う。エジプト文明以前にあのような大建造物が作れようなど考えられないのである。では一体なぜ大スフィンクスは紀元前7000年から前5000年に作られたと言う説が出たのだろう?実はスフィンクスの胴体には深い縦溝の降雨によると見られる浸食の跡があるのだ。ご存知のように今のエジプト地方は乾燥しているわけだが、かってはこの地方も豪雨にみまわれた時期があったのだ。古代気候学によると紀元前15000年から前5000年にかけてエジプトは数回にわたって大雨が降ったとされている。そして大スフィンクスが建造されたとする紀元前2500年より数千年前に降り止んだと言う事実から、地質学的証拠によれば大スフィンクスの建造時期は、もっとも近く見積もっても紀元前7000年から5000年になると言うことである。驚くべき事実である。新石器時代にあの大スフィンクスのような大建造物が作られていたのである。
さらにもうひとつ驚いてもらいましょう(笑)。大スフィンクスが建造されたのは紀元前1万年(!)以前だという輩が出てきた。
その理由の一つ目は先ほど大スフィンクスは降雨によって浸食されたと書いたが、実は洪水によるものではないかという説もあったのだ。ナイル川の氾濫は過去定期的に繰り返されてきた。しかし「洪水群」ぐらいで出来る、また特異な水による浸食(大スフィンクスの水による浸食の跡は首の部分にまで達しているがいろいろなデータから計算すると、30メートル(!)もの高さの洪水が大スフィンクスを襲ったことになる)の跡は見られなかった。最後のナイル川の大氾濫は、最後の氷河期に氷が溶けたと思われる頃であると考えられているが、その時期が紀元前1万5000年ごろだとされているのである。このあとにもナイル川には大洪水が周期的にあったが、最後の大洪水は紀元前1万年であるとされている。
2つ目は先の紀元前7000年から前5000年頃のエジプトには、大スフィンクスを建造できるほどの高度な文明があった証拠がまったくないからだ。このことは大洪水によってそれまで栄えていた大文明が消滅したのではないかと言うことを物語っている。(写真は、大股びら、前足の間に「クフ王がスフィンクスを建造した証拠」とされている碑文を持つスフィンクス)



−ギザの三大ピラミッド−
ギザネクロポリスにある三大ピラミッドは大きい順にクフ王、カフラー王、メンカウラー王の各ファラオ(王)の王墓であるとされている。しかし遺体がなに1つ発見されていないし、遺品、碑文すら残っていない。このピラミッドがどうやって建造されたのかが最もポピュラーな謎であるので、簡単に紹介しておきましょう。クフ王のピラミッドを例にしてみよう。

信じられない精度である。ファラオがどんな几帳面な性格をしていたのかは知らないが(笑)、自分の墓を作るのにここまで高い精度の建造物がはたして本当に必要だったのか?まだまだ謎は尽きることがないのですが、きりがないのでこの辺で・・・。



第1部 天空との一致
「シャフト」:北と南を結ぶ線を「子午線」といい、星が現れてから沈むまでの間にこの子午線を通りすぎる時(子午線通過)がもっとも高度が高いということである。クフ王の大ピラミッドは先に述べたように方角の精度がおっそろしく高く、その頂点は子午線と1度の60分の1しかずれていない。
実はこの大ピラミッドからは4本の「シャフト」とよばれる直線の通気孔のようなものが、ピラミッドの中央部にある王の間と女王の間とよばれる部屋からピラミッドの外へ伸びている。2本は北面から、もう2本は南面から伸びており、通気孔としては、各部屋からピラミッド外部までは最短距離ではあるが、ピラミッドの中を斜めにくりぬくのは非常に困難で、この通気孔を作る技術・時間を考えるとこの「シャフト」は単に通気孔としては考えにくく、全く斜めにしているのは無意味でさえある。
要するにこの「シャフト」、2本は北を、2本は南を「完璧」に向いている。従って子午線を捕らえていると言うわけである。そしてその「シャフト」の延長上には、子午線を通過したなんらかの星(天体)が存在し、「シャフト」はその星(天体)を捕らえていたと考えられるのである。エジプト学者が「ピラミッド時代」と呼ぶのは紀元前2500万年である。ご存知の通り、現在コンピュータ技術はすごいものがあり、この紀元前2500年のエジプトの空を再現出来るのである。するとどうでしょうか!紀元前2500年、4つの「シャフト」が同時に4つの星を捕らえているのです!女王の間から出た北シャフトは39度の角度で小熊座のベータ星を、南シャフトは39度30分で大犬座のシリウスを、王の間から出た北シャフトは32度28分で龍座のアルファ星を、南シャフトは45度14分でオリオン座の真中の3つ星の中でもっとも明るいアルニタクを捕らえている。(図は4つの星を捕らえる4つの「シャフト」)

ピラミッドから伸びた4つのシャフトは明らかに、紀元前2500年のギザ・ネクロポリスを覆っていた天空を指し示していたのです。

「オリオン・ベルト」:実は「シャフト」だけが天空を指し示していたのではなかったのです。ギザ・ネクロポリスにある三大ピラミッドは、一番大きいクフ王の大ピラミッドの東面と45度の方向に、2番目に大きいカフラー王のピラミッドが南西方向に並んでいます。しかし3つめのメンカウラー王のピラミッドはこの2つのピラミッドのラインから微妙に東へずれているのです。これだけではたいしたこともないでしょうが、天空のオリオン座の真中の3つ星(オリオン・ベルト)に注目してみると、先ほど述べたもっとも明るいアルニタク星と隣のアルニラム星はクフ王とカフラー王のピラミッドと同じように同一線上であるが、3つ目のミンタカ星はこのラインから東にずれているのです!天空のオリオン・ベルトはまぎれもなく地上のピラミッドを表しているのです!すなわち天空を地上に映し出しているということが言えるのです。
しかし何か釈然としないものがあります。これだけはっきり天空を地上に映し出しているならば、天空の天の川も地上に映し出していると考えるのが普通でしょう。そこでナイル川にスポットが当てられます。しかしご覧のように天の川とナイル川は一致していません。この釈然としない疑問は「歳差運動」と呼ばれるキーワードが解決してくれます。(右図は紀元前2500年のギザネクロポリスとその天空。中央に三大ピラミッド、その横にナイル川)

「歳差運動」:地球の地軸は黄道面に対して23.4度傾いているのはご承知のとおりです。地軸が傾いていることによって四季というものがあるのです。わかりやすいように地軸を想像してみてください。北極からまっすぐ地軸が伸びている様子を思い浮かべてください。コマかおでんのくし団子(1個だけ)を想像して見ては?地球は太陽の周りを公転しています。1年たったらもとの場所に一回転して戻ってきます。しかし本当は微妙に地軸がずれています。これは地軸だけがずれているのではなく、地球自体が微妙にずれているのです。何年もかけてこの「ズレ」はもとに戻ります。先ほどのくし団子で言えば、くしの先(北極からまっすぐ伸びた地軸の先)が地球の公転のように円を描く様を創造して見てください。そのくしの先がもとの場所に戻るまで(円を一回転描く)の周期は約2万5000年かかります。ではこの「歳差運動」はわれわれにはどういう影響を及ぼすのでしょうか?

ここでは2のことに注目して見ましょう。先ほどの釈然としない疑問がこの「歳差運動」によって解決できないか?

「一致」:子午線を通る星の高度が変わってくるということは、紀元前2500年の以外にも天空を地上に映し出している時があるのではないか?ということである。「歳差運動」の変化は正確で一律である。それゆえ現代では普通のPCででもソフトさえ組み込めばどの時の天空も再現することが出来ます。紀元前2500年以外で天空を地上にぴったりと映し出している時代を探して見ましょう。
ありました。紀元前1万500年のギザネクロポリスの天空とその大地です。オリオン・ベルトの3つ星と三大ピラミッドの配置は完全に一致し、天の川とナイイ川まで一致しているのです!(図は下をクリック)

紀元前1万500年頃のギザネクロポリスとその天空の図


ギザネクロポリスの大地は紀元前1万500年の天空を表していたのです!この3つのピラミッドが指し示している紀元前1万500年という時代とははたしてなんなんだろうか?謎は深まるばかりです。



「ヘリカル・ライジング(太陽が昇るとき)」:
手っ取り早く左の絵を見てもらいましょう。スフィンクスから見た紀元前1万500年前の春分の日の夜明け前です。スフィンクスはギザネクロポリスに真東を向いて座っています。春分の日は太陽は真東から黄道(獅子座の前足のつけ根あたりから斜めに出ている点線)に沿って昇ります。しかし、太陽が昇る直前に獅子座が昇ってくるのです。獅子座ですよ獅子座。ご存知の通りスフィンクスは顔は人間ですが、体はライオンだと言われています。すなわちスフィンクスは天空の己の姿を見つめているのです。先ほどの紀元前1万500年頃のオリオン・ベルトを思い出してください。オリオン・ベルトと地上の3大ピラミッドが一致したように、同時に獅子座も地上のスフィンクスと見事に一致するのです。それが太陽が昇った瞬間に証明されるのです(次の絵)まさしく天空を地上の映し出したのがギザ・ネクロポリスなのです。この一致は偶然なのでしょうか?いや、そうではないと確信します。

←紀元前1万500年の春分の日の夜明け前。
真東に向かってスインクスが座って地平線を見つめています。まだ太陽は地平線の下に隠れています。正面には獅子座、左上には大熊座。獅子座の前足のつけ根付近から太陽の進む道、黄道が斜めに伸びており、途中を蟹座が横切っています。






ここまで書いて私の素朴な疑問。では、ナイル川まで人工に造られた川なのか?



参考文献:グラハム・ハンコック、ロバート・ボーヴァル共著 「創世の守護神」より