お互いを求め、愛し合った日々。思い出させるのは幸せの日々
だがある日、突然居なくなった。
何の前触れもなく。

信じる事をしたくなかったんだ。
認めたくなかったんだ。

だから言えなかった
最後になっても。

「さよなら」の一言も。


「お〜い、昼飯行くぞ〜」
「ん、今行く。」
授業も終わりを告げ、教科書を机の中に仕舞いつつ、入り口の友人に声をかける。
〜Fake Smile〜

蒼河学園食堂

「おばちゃん!そこのカレーパン2つ!!」
「「俺が先だ!!」」
「はいはい、100円ね」
相変わらずの食堂の混み具合に小さく溜息をつく
銀色の髪をクシャクシャにかきあげながら
「くぁ〜、しもうたな。やっぱ遅かったで」
「お前が出てくるの遅かったからだぞ?梗耶」
「仕方ねぇだろ、まだ慣れてねぇんだから」
一緒に居たバンダナを巻いた子が呆れながらパシンと頭を叩く。
「まぁ、お前はまだここに来て1週間だからな。仕方ない。ここでの秘儀を見せてやる」
バンダナを絞め直し、人の群れの中に突っ込んでいく。
「おらおら!てめぇら!どきやがれ!」
「来やがったな!今日こそ・・・げふっ!」
「あっ、悪いな!ってお前かよ、邪魔だから沈んどけ」
目の前に立ちはだかった男を踏み倒して人を掻き分けていく。
銀髪の男 神城 梗耶はその様子を呆れながら見つめつつ
「俺もいずれはアレに慣れるんやろなぁ〜」
遠い目をして、共の帰りを待っていた。

10分後

俺達は屋上に移動した。
「いや〜、今日も良いのが残ってたぜ?見ろよ、この収穫」
ニコニコしながら懐を開けると、バサリとパンが落ちてくる。
「カレーパンにヤキソバパン。おぉ!?これは幻のきなこパン!?」
バンダナ男は嬉しそうにきなこパンに頬ずりしている。
その様子を見ながら、銀髪は缶コーヒーを投げつけ
「馬鹿やってないで、早く食おうぜ?昼休みが無くなるで。」
そう良いながら、手近にあったパンの袋を開け、口に加える。
その間中もバンダナはきなこパンに愛を注いでいた。
そんな様子を細めでみやりながら
「アホや」
ボソリと言うと、ゴロンと転がりながらパンを食べる。
「今日でやっと1週間か〜」
パンをくわえながら、そんな事を思い出してみる。
「そうだな、そろそろ学校には慣れたか?」
何時の間にやらこっちの世界に帰ってきていた男が尋ねると
「まぁな。お前みたいな変人がおったら嫌でも慣れるわ」
「変人言うな!俺は普通の学生だ!」
銀髪はゲラゲラ笑いながら、バンダナはぷんぷん怒りながら
それも束の間、、バンダナもプッ!と吹き出すと
「ははは、まぁよかった。慣れるならば早い方がいいからな。」

実際、この時期の転校生というコトで色々と話題になった。
転校理由などもよく聞かれた。
しかし、この男はそんな事をまったく気にせず
「なぁ、飯食べに行くから、転校生も来い」
有無を言わさずに首根っこひッ捕まえて食堂に連れてきやがった。
そこからコイツとの付き合いが始まったんだ。


「まぁな、実際感謝してるで?雅紀には」
パクパクとパンを食べながら言うと
「ん?俺がどうかしたか?」
あっさりと人の話を聞き流しながら、憧れのきなこパンを貪り食っていた。
「いや、何でもないわ。静かに食っててくれ。」
「そうか?それならいいが」
頭に疑問符を浮かべるも、再びパンに貪りつく。
そんな様子を見ながら梗耶はただ呆れるだけであった。
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