その日は朝から嫌な予感があった。
かなり確信的な・・・
だが、はっきりとはわからずに・・・・

〜BirthDay〜

「ん〜む・・・」
教室に向かうために廊下を歩く一人の男子生徒
銀髪のお笑い師として有名な神城 梗耶である。
彼は朝から風邪でもないのに、寒気を感じていた。
「う〜ん・・・・・何か嫌な寒気が離れない・・・」
うなりながらも教室に入り
「う〜す」
廊下の近くに集まっていたクラスメートに軽く挨拶をし、自分の席に座る。
そして、またうめき始める
「う〜ん・・・・何やろか・・・この嫌な感じ・・・」
そんなことを延々考えようとしていた矢先、肩を軽くたたかれそちらを向くと
「よっ、おはよーさん」
「ん、あぁ八尋か、おはようさん」
そこには眼鏡をかけた女性徒 八尋 利斗が立っていた。
いやにニヤニヤしている八尋に
「何やねん、おまえがニヤニヤしてると、怖いぞ」
「うるさいわ!神城だけには言われたくないわ!」
まるで予想されていたかのように間髪入れず返された。
「へぇへぇ、悪ぅございました。」
それだけ言うと、八尋を無視して外を見つつ、考える。
「・・・・」
いまだニヤニヤしている八尋を横に感じつつも、なお無視る。
「・・・・・(ニッコリ)」
「だぁ!何か用があるならとっとと言えや!!」
神城は耐え切れず、八尋に向き直り叫ぶと、待ってましたと言わんばかりに
「あのな〜、今日ウチの誕生日やねんなん?だから何かよこせ」
身もふたもなく、きっぱりとそう言いいながら、手を出してくる。
しばし、唖然とした後
「ふぅ・・・耳が悪くなったかな?もう一回言ってくれ」
みみをほじりながら言ってみると
「ん?聞こえんかった?なら言うで。ウチな、今日誕生日やねんやな?だから何かプレゼントよこせ」
にっこりとした笑顔で言ってくる八尋
「う〜ん、何か雑音が聞こえたからもう一回・・・・」
続きを言う前に首を締められ
「えっ?何か言った?ちゃんと聞こえたやろ?」
にっこり変わらぬ笑顔で言ってくる。
これは本気だと思った神城は
「わ、わかった。ギブや、ギブ」
締めてる手をポンポンと叩くと、首は開放され
「ふぅ〜、死ぬかと思ったわ・・・」
ギロリと睨むが
「わ〜い、これでプレゼントまたゲットやで〜」
うれしそうに喜んでいる八尋
「・・・また?」
その言葉に疑問を感じ、浮かれている八尋に聞くと

「うん、肉まん娘に嘉神君に楢崎さんに天願君に・・・・・い・・・じょ・・・くん」
最後の方は照れながらえらい小さな声で呟くように言っていたが神城ははっきり聞き
「なるほどな、わかったわかった。でも、彼があげるんやったら俺がやらんでもええやん」
ニヤニヤしながら言うと、蹴りが飛んできた。
「ぐはっ!!」
そのまま壁に頭をぶつけてうめく神城
「五月蝿い!まだはっきり貰えるかわからんからお前にも言ってるんや!!」
顔を赤くしながら叫んでくる。

キーンコーンカーンコーン

「あっ、そろそろHR始まるし、ウチは教室帰るわ。ほな、楽しみにしとるで〜」
頭を抑えてうめいている神城を放っておき、何事もなかったように教室を出て行く。
「痛った〜・・・これか・・・朝の警告のような寒気は・・・・」
先生が教室に入ってきたので、神城は席につき、朝の警告を無視した自分を恨んでいた。

時間は進み、放課後

「ふぁ〜、よぅ寝た〜」
授業も終わり、体を起こす
「ったく〜、朝からずっと頭痛かったから、寝っぱなしやったやないか〜」
授業を受けれなかったのを人のせいにしつつ、帰る用意をしていると

「梗耶さ〜ん」
扉の傍から手を振りながら俺を呼ぶ声
「ん〜、おっ、田代さんやん」
声の主は3年の先輩であり、俺の彼女でもある田代さんだった。
しかし
その言葉を発するや否や、後ろから凄まじい殺気か・・・
「「「か〜み〜し〜ろ〜」」」
俺は背後に嫌な汗を書きつつも、冷静を装う。
「・・・・じゃ、じゃあな!!」
俺は鞄を持つや否や、扉まで行き
「少し走るで!!」
「えっ?」
田代さんの答えを聞かずに、手を取り、ダッシュで教室を後にする。
「おのれ〜!!!神城の奴!!!死刑じゃ!!!」
風に乗って聞こえたのはそんな言葉だった。

同時刻

「ふぁ〜、やっと終わったわ〜、今日もおつかれさん」
寝ぼけた目を擦り、眼鏡をつける。
「おはよう御座います、八尋さん」
八尋の目の前に立つ一人の青年
「あぁ、一条君か、何か用?」
「えぇ、実は今日、八尋さんの誕生パーティーでもやろうと思いまして・・・
 今日、予定は開いてますか?」
にっこりと微笑みながら言うと
「ホンマ!?暇やで!めっちゃ暇やから!何時から何処でや?」
嬉しそうに聞き返してくる八尋に一条はまた微笑み
「今晩7時頃に喫茶店でやりますので、ゆっくり来てください。それでは、俺はコレで・・・」
一礼し、去っていく一条
その様子をじっと見ていた八尋は・・・
「一条君と二人っきり・・・」
想像してうかれていた。盛大な勘違いだと知らずに・・・

そして、その晩

ささやかだが、賑やかなパーティーが喫茶店で行われようとしていた。
「はぁ〜、しっかし、一条先輩に頼まれたとはいえ、何が悲しくてリトさんの誕生日なんか・・」
「こらこら、そんな事言っちゃダメですよ?啓君。」
最初に来たのは、鹿鳴館&天願のカップルだった。
どうやら天願の方は乗り気ではないらしい。
「でも、俺ら以外の人って、誰が来るんかな?シグレ知ってる?」
「えっ?啓君も知らないの?てっきり聞いてると思ったから・・・」
お互い誰も居ない喫茶店で笑いあった。
「きっとリトさんの押しに負けてくるのが、コーヤとかじゃねぇ?」
「あ〜、言えてる〜、神城先輩とか絶対来そう!」
「大方、朝に強襲されてたりしてな」
二人で大笑いしていると
「・・・・悪かったな、その通りだよ・・・・」
ドアにもたれながら、不機嫌そうに声を発する神城
「げっ!!コーヤ!!」「あっ!神城先輩!!」
同時に驚きの声を発する。
どうやら相当驚いている。そして、微妙に怯えている。
「よぅ、二人とも、人が居ない所で勝手な事言うのはどうかと思うがの〜」
顔は笑っているが、眉間にシワがよってるのがはっきり解る。
「もぅ、梗耶さん!お二人を苛めちゃ駄目ですよ?」
神城の後ろからひょこっと出てくる田代さん
「こんばんわ、お二人さん」
軽く頭を下げ、にっこりと挨拶をする。
「でもよ〜、陰口は納得できねぇな〜」
まだ不満げな神城に
「いいのです!今日は八尋さんの誕生日パーティーなのですから、喧嘩は駄目なの〜です」
膨れながら言う田代さんに
「へぇへぇ、解りましたよ。」
大人しくさがる神城を見て、鹿鳴館と天願は顔をあわせ、ホッとし
神城を見て、笑う
「あっはっは、神城先輩、田代先輩に弱いですね〜」
ニヤニヤという鹿鳴館
「ぶっはっは、コーヤの奴、先輩の尻にしかれてやんの!」
爆笑する天願
それを見た神城は
「・・・なぁ、明日やったらええんやろ?」
俺は横に居る人に確認を取るかのように小声で言うと
「駄目です!苛めはよくないですよぅ〜」
焦りながら言う田代さん
「ちっ、んじゃバレずにやるか・・・」
小声で呟き、心に誓う神城であった。
「もぅ〜、ホントにやったら駄目だからね〜」
呆れる田代さん
「うぅ〜、啓君、怖いよ〜」
「安心しろシグレ、お前だけは俺が守ってやる」
天願の後ろに隠れながら鹿鳴館が言う。
喫茶店内、午後6時30頃の様子だった。

その頃、喫茶店から少し離れた所

「忍〜、早く行かないとパーティー始まるよ?」
「何で俺まで行かなきゃ行けね〜んだよ。涼華一人で行けよ」
「もぅ、ここまで来たんだから一緒に行こうよ!」
少し強い口調で言う女生徒 楢崎 涼華と
「俺が行ったって、どうせ雰囲気悪くなるだけじゃん?」
明らかに嫌そうな表情の男子生徒 一条 忍であった。
「一条先輩からのじきじきのお誘いなんだから、早くっ!」
腕を強引に掴み、喫茶店に向かう楢崎
それに反抗するように、足に力を入れ
「兄貴に誘われたから余計に嫌なんだよ」
「そりゃ仕方ないじゃん、一条先輩の彼女の誕生日なんだから
 皆で祝ってあげるのは当然じゃない?知らない仲じゃないんだし」
きっぱりと言いながら引っ張っていると、不意に軽くなる
「・・・・わかったよ、涼華には負けた。」
「うんっ!それじゃさっそくいこ」
二人は手をつなぎ、徐々に喫茶店に近づいていく。

そうして二人が喫茶店についたのは5分後の事だった。

「ふぁ〜、それにしても、当人はどないしたんや?」
今は午後7時を過ぎた所だ。
神城は暇のあまり愚痴りだした。
「そうですねぇ〜、どうなさったのでしょうか?八尋さんは」
神城の問い答える田代さん
「まったくだ。リトさんもだし、企画者の一条先輩までまだだなんて・・・」
「ふぅ〜、八尋先輩ならまだしも、一条先輩が遅れるなって・・・・」
天願と鹿鳴館が続けて言う。
「う〜ん、忍は何か聞いてないの?」
楢崎が横に居る一条に尋ねると
「さぁな、兄貴の行動なんていちいち把握しちゃいねぇしな・・・
 だが、兄貴が遅れるのは珍しいな」
さすがの一条も悩みこんでいる。
とそこへ
「ダルー、何で俺が八尋如きの誕生日を祝う必要があるん、雪乃荏よ〜」
「しょうがないじゃない!りっちゃんに言われたんだから!嘉神君つれてこいって!」
前を歩く金髪嘉神 善澄と雪乃荏 弥白が現れる。
言葉からすると、嘉神は雪乃荏に拉致られて嫌々来たみたいだ。
「あ〜、何かやたら人居るし〜、ダルー」
相変わらずやる気が無さそうな嘉神は椅子にさっさと座り
「飯〜、飯はまだか〜」
来た早々飯を要求する。
「あっ、皆さんこんばんわ〜、ここがりっちゃんの誕生日パーティーの会場ですか?」
「「「「「「本人は居(ねえ)ないですけどね(けどな)」」」」」」
六人がそれぞれに言う。
「あんだ〜?本人欠席のパーティーか?」
嘉神が何処からか持ち出した肉を食いながら
「んなもん知るかい、俺等も困ってんねん」
神城が代表して言うと
「んじゃ勝手に騒がしてもらおうぜ?遅れた奴が悪り〜んだしな」
そういってキッチンから様々なものを持ってくる嘉神
ちゃっかり天願と鹿鳴館も手伝っていた。
「ちょ、嘉神先輩!八尋さんの誕生日なんですよー!」
「あん?楢崎もど〜だ?あいつが来たら全部食われるぜ?」
そういいながらも次々に食べる嘉神、天願、鹿鳴館、そして、一条までも・・・
「って、忍まで!!何で食べてんのよ!」
肉をかじりながら
「そんなに怒るなよ、ちゃんと残してやってるんだから・・・」
あきれる楢崎 食べる一条他三名・・・そして
「あぅ〜、いいものでしょうか・・先に食べてしまって・・・」
悩みまくってる田代さんと
「俺はもぅ知らん。遅れたあいつが悪い」
そう言って皿に色々取る神城が居た。

7時15分過ぎ・・・・

当人の居ないパーティーが始まった。

その頃

「あかん!遅れてしもた!」
あまりにはしゃぎすぎ、寝ていた本人八尋が寮を出て、喫茶店に向かっていた。
そして、公園に差し掛かったころ
不意にその足をとめる八尋
「・・・・護君?」
ブランコに乗っている人影に気づき、声をかけると
その人影は、ブランコを降り、八尋に近づく
「こんばんわ、八尋さん。遅刻ですね?」
微笑みながら言ってくる一条
「いや〜、嬉しくてついつい居眠りを・・・って何でここに護君がおるん?」
不思議そうに聞く八尋に当然のように
「もちろん、貴方を待っていたんですよ」
にこりと平然と言う一条に思わず照れる八尋
「も、もぅ、何言ってんねんな、早くいかんと食べるモン無くなってまうで?」
一条の手を引き、走ろうとするが
「ちょっと待ってくださいよ、先に渡したいものがあるんです。」
急に真顔になり、ポケットを漁る一条を不思議そうに見つめ
「はい、誕生日プレゼントです。」
そう言って渡したのは、小さな箱だった。
「ん?何なんこれ?開けてええ?」
「えぇ、大したものではないのですが・・・」
頬をポリポリと掻く一条を見、箱を開けると
「わぁ・・・・・」
箱の中身を見た途端、感嘆の声をあげる八尋
「これ、ホンマに貰ってええの?」
マジマジとその中のモノを見つめ・・・
「えぇ、貴方のために選んだんですから・・・是非つけてみてください」
そういって一条は八尋から箱を奪い、銀色のリングを取りだし右の薬指につける
「・・・ありがと」
照れながらも精一杯の笑顔で返す八尋
「いえいえ、八尋さんの笑顔さえ見れれば俺は十分ですよ
 さて、ではそろそろ会場の方に行きましょうか。皆さんお待ちですし・・・」
「護くん・・・」
いきなり八尋が一条を抱きしめ
「ありがとうな・・・」
軽く頬にキスをする。
「あ・・・ありがと・・・とうございます」
硬直しながらも言う一条
「それじゃ、ホンマにいこか?食べ物なくなってまうで?」
「そうですね、それでは行きましょか」

二人はどちらからでもなく手を繋ぐ
その指には銀色のリングが輝いていた。

そして、小さな呟き

「 Happy  BirthDay  Dear  利斗 」

□後書き□
「まぁ、気にすんな」(何)とりあえず、誰かさんの誕生日という事でプレゼント用に書いたブツ
正直、何なのか解りかねますね、私には(マテ
まぁ、かきあげてみた感想
「俺!!よく頑張ったな」
いや、ホントに自分を誉めたかった。だって、こんなにキャラ使ってんだぜ?自画自賛してもいいだろ!!(違

ってことで、誰かさんに捧げます。
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