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・・・あの日から数日・・・ ・・・俺はずっと本調子ではなかった・・・ Those who deceive and who are deceived a person
「ぬぉ〜、寒っ!!!」 扉を開け、寒そうに入ってくる銀髪の男 名を神城 梗耶と言う。 暖房をつけた後、ピアノに向かい 「・・・はぁ・・・寒い・・・手が動かんわ・・・・」 軽く手を擦りながら温める。何かを考えながら 「・・・はぁ・・・」 しばらく手を擦っていると 「・・・こんくらい動いたら大丈夫かな・・・」 手の調子を確かめると軽く手を置き、鍵盤を押し始める。 パッヘルベルのカノンを・・・ しばらくの間弾くと、手を止め 「・・・はぁ・・・手が冷たい・・・まるでまともに弾けへん・・・・・」 この時、人の侵入に気づいていればあの事件は起こらなかっただろう。 「はぁ・・・手がかじかむ・・・」 手を擦っていると 「…か・み・し・ろ・く・ん♪」 いきなり耳元で息を吹きかけるように、猫なで声でそっと囁かれ 「うわっ!!!!!?」 びっくりしたひょうしに椅子から落ち、頭をピアノにぶつけうめく。 「あははははは!!」 その様子を見て大爆笑する女。しゃがみ込み、可笑しそうにニヤニヤ笑いながら 「…ん?大丈夫か〜? 」 「くぁ〜〜〜〜〜痛いわい!!!ボケ八尋が!!」 頭を抑えつつ正面で爆笑してる女に叫ぶ 名前を八尋 利斗 性格悪い、口悪い。俺の天敵や 「…神城が自分で転けたんやろ?それなのに、人をボケ扱いするとはどういう事かなぁ?」 おまけに屁理屈ばかり言うごっつ〜ムカツク女や 「お前が妙な声で囁くからじゃ!びっくりさせおって・・・いらん傷増やしてもうたわ〜」 頭を抑えつつ、ふらふら〜っと立ち上がる。 「…妙な声?ちょっと猫被っただけやんか。…それに、傷は自分のせいやないし?」 微笑みながら言ってくる。 「似合わんことするな、阿呆が・・・。お前が普通に呼んだら傷は無かったやろが」 ジト目で睨みつつ 「似合わんなんて失礼やな…これは女の特権や。それに普通に呼んだら面白くないやろ?」 何て無茶言う女やと呆れつつ 「それはお前みたいな凶暴は使ったらあかんねや。しかも、名前を呼ぶのに面白さを追求するな」 「誰が凶暴や、誰が!…こんなにもか弱いのに…。ええやん、おかげで面白いもん見れたしなぁ?」 「お前やお前、ったく、そんな大嘘つくな。何処がか弱いねん・・。」 溜息をつきながら 「 失礼やね…見た目はめっちゃか弱いやろ?」 「見えん。」 どきっぱりと言い放つと 「…そうか?見た目のか弱さには自信があるんやけどなー…?」 いけしゃあしゃあと言い放つ 「ふ〜む、俺は本性を知ってしまっているから見えないのだろうか・・・」 本気で悩んでいると 「本性って何やねん!…しかもそんな事で悩むなや!!」 「おぉ、確かに。考えるだけ無駄やな」 「うわ。その言い方めっちゃ腹立つわ!!」 「そんなん知るか。お前が悩むなって言ったから止めたんやないかい!」 思いっきりハリセンで叩くと 「何殴ってねん!お返しや!!」 思いっきり首を絞めて来た 「ぐぇ・・・ま・・て・・・ぐるじい・・・」 手をばたばささせて足掻いていると 「もぅちょっと言い方っちゅーもんがあるやろ?」 こいつ、笑顔で首絞めてきやがる・・・ 「あ・・・る・・か・・・ボ・・け・・・」 ここに来ての尚の強気が災いしたのか、徐々に顔色が悪くなり 「…まだ言うか?ええ加減に素直に負けを認めたらええのに…」 尚も笑顔で絞めてくる八尋。 どうやら止める気は無いらしい。 「・・・・い・・・・・・・や・・・・・・・・・・じゃ・・・・・・・・」 遂には落ちる。 「可愛げの無い奴やなぁ……あ、落ちた。…生きとるよなぁ?」 すっと手は離され 俺は不覚にもバランスを失い、八尋の方に倒れこんでしまった。 「…死んだか?…この年で捕まるのは嫌やなぁ……って、うわっ!?」 八尋も支えきれずに一緒に倒れた。 意識の無い俺はぐて〜っとなったまんま八尋の上でくたばっていた。 「…ちょっ!!重いわ、ボケ!!」 押し倒された体勢で、少し赤面しながら必死に藻掻く八尋 ボケという言葉に反応し、意識回復。状況わからず辺りを見渡すと、下に八尋がいた。 「・・・・??何しとん?? 」 「…「何しとん?」やないわ!神城が押し倒してきたんやろ!!」 「・・・・俺が?んな訳ないやろ・・・」 このときの俺は数分の記憶が飛んでた。 しかし 「…それやったらこの体勢はどう説明するん? 」 「・・・体勢・・・っておわっ!!!」 やっと現状を把握し、慌てて立ち上がり離れた。 「…やっと気付いたんか…あー、重かったわ。」 パンパンと埃を払いながら起きあがる八尋。強がってはいるが、微妙に顔が赤い。 「 す、すまんかったの・・・何や、よぅわからんうちに・・・その・・・まぁあんな体勢になっとったんや・・・」 自分の顔はきっと赤いだろう。体温も上がっているだろう。 「…そうか…神城はよう解らん内に人を押し倒す癖が有るんやな?」 「ま、まて、それは誤解や。いつもはそんなこと無いんや。今回が初めてなんや」 微笑んで言う八尋に、必死になって言い訳する俺。さぞ滑稽であろう 「…初めてか?嘘はあかんよ??…まぁ、押し倒したのが自分で残念やったな。もっと押し倒したい人が居ったやろうに…」 「なっ、何を根拠にそんなこと言いおるんじゃ!!しかも嘘やあらへん!」 焦りまくって言う俺に、ニヤニヤしながら 「ふーん…この前からちょっと怪しいと思とったけど…神城にもそういう人が居るんや〜?」 「 ば、馬鹿なこと言うもんや無いで。おるわけ無いやんけ・・・」 絶対赤面しているだろう。自分で顔の辺りが熱いのがもろ分かる。 「ふふっ♪…顔が赤いで?…ほら、相手は誰かオネーサンに話してみ?」 「 う、五月蝿いわい。お前には関係ないやろが・・・」 赤面を隠すようにそっぽ向く俺 その俺の顔を覗き込んで 「えー?別にええやん。応援したげるで?」 「・・や、やかましいわいっ!そ、そういうお前はどうやねん?おらんのか?」 「…なっ!!居るわけないやろ!!」 耳まで真っ赤になった八尋を見て目が光る 「ほほぅ・・その顔・・・どうやらいるようだな。」 「せやから居らんていうとるやないか!!」 「お前も恋愛する普通の女やったんやな・・・がんばれや」 ぽんぽんと肩をたたきながら言う俺に 「 …今まで普通やと思ってへんかったんか!…しかもお前に応援されても嬉しゅう無いし …って話を変えるなや!今は神城の事を聞いとるんやないか!!」 ちっ、気づきやがったかと内心苦笑しながら 「いや、こういうのは平等にするべきだな。俺も話したんだから次はお前だ」 「平等違うやろ!…まだ神城は話してへんよな?」 にっこり言ってくる八尋に対して 「いや、平等やな。こんなけ俺が突っ込まれたから次はお前やで?」 俺もにっこり微笑んで返す。 「こんだけって…まだ殆ど突っ込んでへんよ?…さぁ、誰が相手かさっさと吐け?」 更に微笑で返してくるので 「俺の中でだいぶ突っ込まれた。だから次はお前が言え?」 更なるにこやかや微笑で返す。 はたから見てたら気味悪いだろう。 「絶対に嫌や。…神城が言うたら言ったるで?」 尚も微笑み合戦が続き 「お前は信用ならんからな、お前が言ったら言ってやるわ。さぁ言え?」 このまま永遠に続くのかと思いきや 「仕方ない…言うたげようか?聞いても後悔せんよな?」 溜息をつきながら言う。俺は勝ったと思った。 「おっ?マジか?是非聞きたいぞ〜。無論後悔はせんぞ。」 八尋が少し視線を逸らして 「実は自分……神城の事が…」 「・・・・はっ?」 自分でもびっくりするような素っ頓狂な声を上げる。 更に追い討ちをかけてくるように、少し上目遣いに見上げてくる。 「……聞こえんかった?」 「・・え、いや・・・そういうわけや無いが・・・何か・・・」 苦笑しか出来なかった。まさか、そう思われてるとは思わなかったから 「せやね…いきなり言うて悪かったな……」 また少し俯き 「ほら、今度は神城の好きな人のこと話して?」 無理して笑う八尋を見て、俺は頬をポリポリかきながら 「い、いや・・・別に謝らんでええよ。無理に聞いたん俺やし・・・でも、俺は八尋の気持ちに応えることは出来ん。 確かにお前はええ女やが・・・俺の好きなんは・・・俺の好きなんは・・・3年の先輩なんや・・・」 「…そっか。はっきり言うてくれて有り難うね。…その人の…名前聞いてもええ?」 伏し目がちに言ってくる。 「・・・田代さんって言うねん。・・・いまん所片思いやけどな・・・」 俺は謝罪の念をこめて、素直に言った。すると・・・ 「ぶっ…くっくっく……ふーん…田代先輩か…ええ事聞いたわ…」 爆笑してる八尋をみて唖然。しばし考え・・がっくりその場に膝を落す。 「・・・・しまった・・・演技か・・・演技やったんか・・・」 そうだ、こいつはこんな性格だ。 気づいたときには時既に遅かった。 「…勿論演技に決まっとるやろ?いやぁ、ほんま見事に騙されてくれて…めっちゃ面白かったわ〜」 満足げに笑う八尋。当然俺は立ち直れずに居た。 「…ええ事聞かせて貰うたわ。有り難うな」 ニッコリ笑って、俺の肩に手を置く八尋 「・・・イイエ、ドウイタシマシテ」 にっこり笑って返す。目は笑ってないが・・ 「…神城君、目が怖いで?」 「・・・そうか?至って普通だが?」 無論内心ではいつか殺すとか考えていた。 「普通やないで?…ま、ええわ。ほな、自分はそろそろ帰るな?」 逃げる気満々みたいだな。 「普通や・・・そか、なら俺も帰るさ・・・・・・永遠の眠りにつくために」 「…永遠?…自殺はあかんで?」 「・・ふっ、秘密を知られたからには俺は生きていけんのや」 ふっと遠い目をしていると 「そっか。ほな、香典はいくらがええかなー?」 「香典な〜、お前の命でええわ」 「うわ、人殺しや」 「あはは、本気にすなや・・・」 心の中ではかなり本気にもなっていたが・・・ 「殺される前に早う帰ろー」 「あはは、あんまふざけたことばっか言ってッとやられるぜ?」 失礼な事を言って去っていた八尋の後を追う様に音楽室を後にしたのだった。 これから絶対このネタで遊ばれると嫌な予感をしながら そう思うと溜息しか出なかった。 □後書き□ はい、微妙な作品の完成です。(汗 作るのに結構時間かかりましたな〜。 一応、ログを元に作っていますが、かなり省いてる部分もあります。 だから、話が通じない部分も多々あると思われますがそこはまぁ突っ込み無しの方向で(笑 かなり八尋Pさまの感想が恐いですが まぁ、いいです。(爆死) 感想を掲示板などに書いていただけると感無量で御座います。 |