夢で逢えたら



 …… そして、?年後 ……


ベッドの中から、クスクスと笑い声が漏れた。

「…どうかしたのか?」

これからという時に気分を壊されたのか、少し不機嫌な男の声。

「ううん…何でもないの。ただ、ね」

「?」

「小学生には、刺激が強すぎたなあと思って」

「…???」

出会った頃から現在に至るまで、今は妻となったこの女性の言動が、今だに彼には読みきれない。
まあ、そんなところがいつまでたっても可愛いと思うのが、惚れた弱みというものだろうが。

「それより…ねぇ…」

とろけるように甘い声で囁き、彼女は白く細い腕を絡ませてきた。

「一週間分の埋め合わせ、してくれるんでしょ…?」

「…ああ…」

枕元では、赤いリボンで結ばれた二匹のくまのぬいぐるみだけが、その睦言に小さな耳を傾けることを
許されていた。


                                   − 終 −


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