育ての姉達



婚約の報告に、さくらを連れて香港にやって来た小狼。
李家の応接室にて四姉妹の熱烈歓迎中。


芙 蝶「きゃ−、さくらちゃん。いらっしゃ−い♪」

雪 花「お部屋に案内するわね〜♪」

黄 蓮「小狼とは別だけどね−♪」

緋 梅「一緒の方が良かったかしら〜♪」

小狼&さくら「「えっ…。(////)」」


同時に赤くなる二人。
予想とは微妙に違う反応に、四姉妹の顔色が変わる。


芙 蝶「……まさか……」

雪 花「既に、さくらちゃんとは一線を越えた関係に!?」

小狼&さくら「「(///かあああぁ///)」」←思いっきり態度で肯定

黄 蓮「信じられない!まだ正式な婚約もしないうちに、未成年の婦女子に手を出すなんて!!」

緋 梅「私達は、あなたをそんな男に育てた覚えはなくてよ!!?」

小 狼「(ぼそっ)…からかわれたり、おもちゃにされた覚えはあるが…」

芙 蝶「亡くなったお父様に誓ったのよ!あなたを立派な男に育て上げると!!」

雪 花「お料理上手で、お裁縫も得意で」

黄 蓮「無口で無愛想で、一見ク−ルに見えるけど、実はただの照れ屋さん♪で」

緋 梅「奥手のクセに女の子の涙には滅法弱くて、骨の髄まで≪女性は護るもの≫と叩き込まれた」

芙 蝶「そういう理想の男に育てたつもりだったのに…!!」

小 狼「あ〜ね〜う〜え〜〜!!(怒)」


あんまりの言われように肩を震わせる小狼。
だが、さくらはにっこりと。


さくら 「じゃあ、小狼くんが今の小狼くんなのは、お姉さんたちのおかげなんだね。
    よかった!だってわたし、今の小狼くんが大好きなんだもん」

小 狼「……。(///かあああぁ///)」


あっさり怒りを忘れる小狼。
そんな二人はほっといて、ヒ−トアップするばかりの姉妹達。


雪 花「手塩にかけた実の弟に裏切られるなんて!」

黄 蓮「もう、男なんて信じられない!!」

緋 梅「私達の青春を返して〜〜ッ!!!」

小 狼「はああぁ〜〜」

さくら 「ほええぇ〜〜」


呆れる小狼と、オロオロするさくら。
すると、突然ニッコリ微笑む四姉妹。


芙 蝶「と、いうわけで♪」

雪 花「私達、お嫁にいかないから♪」

黄 蓮「ず〜〜っと、この家に置いてね♪」

緋 梅「さくらちゃん、よろしくね。それじゃあ、ごゆっくり〜〜♪」

小 狼「なっ……!!」


蒼ざめる小狼と、きょとんとしたさくらを残し、四姉妹退場。
小姑四人との同居…。
フツ−のカノジョなら引くだろう。しかし、


さくら 「きれ−で楽しいお姉さんが四人もいると、にぎやかでいいね」

小 狼「はあああぁ〜〜」


にこにこと嬉しげなさくらの隣で、小狼はこの日最大のため息を吐いた。
その様子を、こっそり覗く四対の目。


芙 蝶「小狼、カンペキに信じてるわね」

雪 花「幾つになっても冗談の通じないコね」

黄 蓮「魔力や霊気だけじゃなく、悪意とかにも敏感だからね」

緋 梅「逆に、そ−いうの感じないと、すぐ信じちゃうのよね−」

芙 蝶「この才色兼備な私達を、世の男共がほっとくワケないじゃないの」

雪 花「引く手あまた、よりどりみどりよ」

黄 蓮「でも本物のイイ男って、なかなか居ないのよねぇ…」

緋 梅「小狼のような男はね…」


顔を見合わせ、苦笑を浮かべると同時に、四姉妹は小さなため息を吐いた。
小狼が、さくらと平穏な結婚生活を送れる日が来るのか?
…それは、誰にも判らない。



                                   − 終 −


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李家四姉妹、桃矢兄ちゃんのシスコンに対抗するブラコンだったら楽しいな〜と。(汗)