Pumpkin day



10月31日。
高校生となった小狼とさくらが連れ立って歩く夕暮れの友枝商店街は
小さなお化けであふれていた。


小 狼「何だ、これは?」

さ く ら「あ、友枝小学校の子たちだよ。今日はハロウィンだもん」


お化けたちの手には友小の校章の入った袋。
お店の人や道行く大人からお菓子をもらっては、その袋に入れている。


小 狼「あんな行事、あったか?」

さ く ら「わたしたちが卒業してから、はじまったんだよ。
     知世ちゃん、すごく残念がってたもん」

小 狼「……だろうな」


さくらのコスチュ−ム作りに飽くなき情熱をそそぐ友人の姿を思い浮かべ
二人は見合わせた笑顔を引き攣らせる。
その時。


「「「Trick or treat!」」」


ス○リ−ムのお面をつけ、黒い布を被った三人が、さくらの前に立ちふさがった。
声と背格好からして、4年生くらいの男の子だろう。
『お菓子をくれないと、イタズラしちゃうぞ!』
と、口々に繰り返すちっちゃなお化け達に、さくらは申し訳なさそうに言う。


さ く ら「ごめんね−。おかし、もってないからあげられないよ−」


微笑ましげにさくらを見る小狼は、商店街の入口で子ども達のための
お菓子が配られているのに気がついた。
チャリティ−も兼ねているらしく、受け取った大人は思い思いの金額を募金箱に
入れている。
あれをもらってくるから……と、小狼が言おうとした瞬間


「「「Trick!!」」」


楽しそうな声と共に、さくらのスカ−トがふわりとひるがえった。
一瞬の間の、後。


さ く ら「ほえええぇ〜〜っ!!?(/////)」

小 狼「……っ!?おまえら〜〜っつ!!!(/////)」

「わ〜い、ぴんくだ〜〜」「花がらだ〜〜」「ひらひらだ〜〜」


二人の叫びを背に、小スク○−ム達は商店街の人ごみに走り去っていく。
追いかけて首根っこをつかまえてやりたい小狼だったが、スカ−トを押さえて
その場にへたり込んださくらが気にかかり、踏みとどまった。


小 狼「大丈夫か?」

さ く ら「ふええぇ〜。はずかしいよおおぉ〜〜(/////)」

小 狼「だからって、いつまでもそこに座り込んでいるわけにはいかないだろう?」

さ く ら「やだ〜〜。いっぱいいる〜〜。(泣)」


まさか、そこらじゅうの仮装した子どもたちが寄ってたかってスカ−トをめくりに
やってくるとは思えないが。
ため息を一つついて、小狼はさくらに背を向け屈み込んだ。


小 狼「ほら」

さ く ら「ほえ?」


小狼は、さくらをおぶって小さなお化けの群れの中を突っ切っていく。
その背で、さくらがぽそっと呟いた。


さ く ら「…さっきの……見た?」

小 狼「…見たというか、見えたというか…。(/////)」

さ く ら「今日は、せっかくキレイでカワイイの、着けてきたのに〜」

小 狼「…あとで、ゆっくり見せてもらうから」

さ く ら「もうっ!(/////)」

小 狼「いててっ!耳を引っ張るなってば!!」


二人の横を、かわいい魔女と魔法使いがすれ違う。

「「Trick or treat!Trick or treat!!」」

繋いだ手と手を振りながら、歌うように節をつけて。

『お菓子をくれないと、イタズラしちゃうぞ!』

甘〜いキスも、優しいイタズラも、部屋についてから……ね。



                                   − 終 −


   − おまけ −

その後、3人のスクリ−○は通りすがりの佐々木利佳のスカ−トをめくった現場を
寺田先生にとっつかまり、一ヶ月のトイレ掃除を命じられたそうな。


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この小話のテ−マは「カ−ドキャプタ−さくら」最大のタブ−“パンチラ”でした。
…我ながら…。(殴)
しかし、あのお上品な友枝小学校の生徒にスカ−トめくりするような男の子が
存在するのかどうか、大いに疑問です。