裏ホワイトデ−



3月13日夜。
李 小狼のマンションにて。
小狼はバレンタインチョコのお返しにと、さくらの為にクッキー作りに励んでいた。


小 狼「そういえば、大道寺がくれたっけ。使ってみるか…」

>小狼回想モード

知 世『李君、今年のホワイトデーも手作りのお菓子を作られるんですの?
     では、このエッセンスをどうぞ。とっても美味しく仕上がりますわよ♪』


その頃、大道寺邸では。


知 世「…うふふ。李君が作ったものなら、間違いなくさくらちゃんの口に入りますわね♪
     ホワイトデーが楽しみですわあぁ〜♪♪ああ…目に浮かぶようですわ…。
     李君のお菓子をお食べになったさくらちゃんが、真っ直ぐに私の元へ…」


バタ−ン!!!


小 狼「大道寺〜〜vv」

知 世「そう、『大道寺〜〜vv』…って、えっ!?李君、何ですの!!?」

小 狼「大道寺、おれはお前が……す、す……じゃないっつ!!
     お前っ、おれに惚れ薬を使わせて、さくらの口に入れようとしたな!?」

知 世「(ぎくっ)な、なぜそれを…?」

小 狼「今のおれの状態を考えれば、丸わかりだっつ!!
     何でおれがお前を見て、胸をときめかせたり顔を赤くしたりしなきゃならないんだっつ!?
     ……大道寺〜〜vv(/////)…ええい、うっとおしい!!!」


知世はすっかり忘れていた。お菓子を作った者が必ず行う行為。
つまり、≪味見≫のことを。


知 世「柊沢君特製の惚れ薬に抵抗できるとは……強くなりましたね……」

小 狼「やっぱり、あいつか…。って、柊沢のマネしてる場合かっ!!
     どうにかしろ〜〜!!!」

知 世「どうにか…と、言われましても。
     とりあえず、一晩で効き目は消えますから、それまでは…」

小 狼「それまでは…?」

知 世「私と一夜限りの夢を楽しむか…」

小 狼「えっ…。(///かあああぁ…///)…って、絶対にイヤだっつ!!!!」

知 世「私も殿方に興味はございませんので、薬が切れるまでじっとしていただきますわ。
     さあ、皆さん。夜中に乙女の寝室に侵入する不届き者をとっちめて下さいな」

S  P「「「「「はい、お嬢様」」」」」


ずらりと並んだ黒服・黒サングラスのお姉様方。
その時、小狼は懐から秘密兵器を取り出した。


小 狼「これでもくらえっ!!」


ポン ポン ポン

お姉様方の口に放り込まれたのは、エリオル印の強力惚れ薬入りクッキーであった。


S  P「お嬢様〜〜vv(/////)」
    「お慕い申し上げております〜〜vv(/////)」

知 世「あ〜〜れ〜〜!!」


策士、策に溺れる…。
もとい黒服の海に溺れた知世を残し、無事に大道寺邸を脱出した小狼は
さくらを想いながら何とかその一夜を乗り切った。

その顛末を、遠くイギリスから床に描いた魔方陣で眺めているエリオルとその同居人達。


エリオル「実に楽しませていただきましたよ、知世さん♪また、何時でもお送りしますからね♪♪」



                                   − 終 −


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