星 合 今日は、1年に1度の日 楽しみで楽しみで、壁にかかったカレンダ−のお星さまの印を 毎日ずうっとながめていたの きのうもおとといも、お空はくもり “梅雨”だから、日本では七夕にお星さまがみれる日はめったにないって テレビのお姉さんがいっていた わたしたちは、だいじょうぶだけど 織姫さんと彦星さんは、雨が降ると会えないの そんなの、かわいそう 雲のあいまから、青い色がのぞいたりかくれたり てるてる坊主さんといっしょに、応援しよう お日さま、今日はがんばって!! ちくたく ちくたく 香港のお部屋にあったのと同じ、古い時計 今日はいつもより、針がゆっくり回ってる 小狼くん、早く帰って来ないかなぁ じ−っと じ−っと待っていると、やっとドアの開く音 小狼くんが帰ってきた!! ……でも、帰ってきたのは1人だけ なんで? なんで? 今日は、1年に1度の日なのに トクベツな日なのに お日さまだって、がんばったのに ケンカしちゃったりとかじゃ、ないよね? カバンをかたづけていた小狼くんが、わたしに顔を近づける 鳶色の目が細くなって、そっと頭をなでてくれる 「もうじき、会えるからな」 小狼くんは、すごいなぁ わたしの気持ち、ちゃんとわかってくれるんだ だから、わたしは待っているの お日さま、おつかれさまでした お星さま、早くきらきらまたたいて そうして、お空が濃い藍色に染まるころ こつん こつん 窓のガラスをたたく音 背中には、わたしとおんなじ白い羽根 可愛いワンピ−スを着た胸に、“しゃおらんくん”を抱いている わたしを作ってくれたひと 「小狼くん!!」 (“さくら”!!) びっくりした小狼くんが、あわてて窓を開けると ふわりと、お部屋に舞いおりる 天の川を飛びこえた、白鳥みたいに 「おまえ…。いつも言ってるのに、また魔法を使ったな!!」 「はう〜、ごめんね。 だって、“しゃおらんくん”を早く“さくら”に会わせてあげたかったんだもん」 言いながら、“しゃおらんくん”を置いてくれる 小狼くんのお部屋の机の上 わたしのとなりに、ピッタリくっつけて 「どうしてそう、おまえは魔法に対して無頓着なんだ!? もっと自覚しろ」 小狼くん、コワイ顔とコワイ声 おねがいだから、ケンカしないで だって、今日は (……だいじょうぶだ) “しゃおらんくん”の灰色の手が、桜色のわたしの手をぎゅっとにぎる そしたら小狼くんも、小さくて白い手をぎゅっとにぎった 「……7月だからって、日が暮れれば冷えるだろう。 今、お茶を淹れるから…」 「うん!じゃあ、飲みながらいっしょにお星さまを見ようね。 “しゃおらんくん”と“さくら”も、2人だけにしてあげなくっちゃ。 ナイショのお話とか、あるかもしれないし」 小狼くんが、ちょっと笑ってうなずいた そうしてお部屋には、“しゃおらんくん”とわたしだけ やっぱり、すごいなぁ わたしたち、なんにも言えないのに ちゃんと、わかってくれてるんだね (おれと“さくら”を作った人たちだからな) うん、そうだね わたしは“しゃおらんくん”の肩に頭をよせる あと、どのくらいしたら ずっといっしょにいられるようになるのかなぁ (きっと、あともう少しだ) そうだね だって、わたし知ってるんだよ? カレンダ−の2重マルは、小狼くんの18歳の誕生日 その日のために、引き出しの奥にかくしてあるの 小狼くんのおかあさんや、おばあさんが持っていた 古くて大きくてキレイな指輪 白くて細い薬指に合うように、直してあるの 今日は、1年に1度の日 でも、あと少しで毎日が1年に1度の日になるの 織姫さんと彦星さんも、早くそうなれたらいいのにね ボタンの目にお星さまを映すと、“しゃおらんくん”もうなずいた (……そうだな) − 終 − ≪TextTop≫ ≪Top≫ *************************************** 「星合」は「七夕」の別称です。 ギリギリの季節ネタのつもりが、思わず小狼誕要素を捻じ込んでみたり。 七夕に互いが持っている“くまのぬいぐるみ”を逢わせる…、というのが2人の 年中行事になっているらしいです。説明不足ですみません。(汗) さくらちゃんと小狼君…ではなく、くまの“さくらちゃん”と“しゃおらんくん”がメイン。 あれだけの“力”のある子達が、あれだけの思いを込めて作ったぬいぐるみならば 魂の一つや二つ宿っていても何ら不思議ではない。 …と、いうことで人格(?)は丸写しです。 いや、ホラ−じゃなくてファンタジ−の方向で…。(汗) なお、私の脳内“しゃおらんくん”は、アニメ設定の青味がかった濃いグレ−の 毛足の短いくまさんです。 ちなみに、くまの“さくらちゃん”は原作コミックス設定のまま、桜色のふわふわした くまちゃんです。 ……アニメ設定と原作コミックス設定の混乱が着々と進行中…。 |