海色空色 「似てるな」 サンジが、言う。 海色の目で、おれをジッと見て。 「ビビちゃんとお前って、似てる」 「オマエの方が似てんじゃん」 そう言うと、ヘンなカオをして笑った。 くすぐったいような、困ったような …ビビと同じカオ。 『おれ、ビビが好きだぞ!』 って言うと、ビビは笑う。 空色の髪を風にふわふわさせながら。 『私も、ルフィさん好きですよ』 くすぐったいような、困ったようなカオをして。 ビビの『好き』は、おれの『好き』と似てるけど、きっとチョット違う。 サンジが 『そんなナミさんも、好きだあぁぁあ〜〜vvvv』 ってワメいてんのと 『俺はビビちゃんの騎士だからね』 って言うのとが、違うくれぇに。 ナミが、言う。 「なんだか、見てるとイライラするわ」 …けどよ、ビビの頭ン中は国のコトでいっぱいで ワニが憎くて、殺してやりてぇってキモチでいっぱいで アラなんとかって国より先にある、ワクワクするような冒険のコトも どっかで出会えるスッゲ−奴等のコトも 考えるヨユ−がねぇんだ。 だから、おれはワニをぶっとばすし サンジはビビを守る 今はべつに、それでいいじゃん。 「もうじきアラバスタに着くわよ。そんな余裕かましてていいの?」 それ、サンジにも言っただろ。 「あたしはねぇ、べっつにアンタ達なんてど−でもイイのよ。 ただ、ビ……胴元としては、賭けが終んないと困るワケ」 それ、ビビには言えねぇな。 …ナミって、ホントにイイ奴だ。 ビビが、どうすんのかはわかんねぇ。 国に残るかもしれねぇし、おれ達といっしょに来るかもしんねぇ。 ナミは 来て欲しいって 思ってる。 ゾロは どっちにしたってビビが決めるって 思ってる。 ウソップは 無理だろうなって 思ってる。 チョッパ−は 来てくれたら楽しいのにって 思ってる。 サンジは 来れないって 思ってる。 …でも。 もしかしたら…って コッソリ思ってる。 シャンクスとは十年以上も会ってないけど、忘れてねぇ。 絶対会うんだって思ってる。 エ−スとも三年前から会ってねぇけど、この海のどっかで きっと会えるって思ってる。 マキノのことも、忘れてねぇ。 …だから。 おれがあいつを忘れなければ あいつはずっとおれの仲間。 おれが会いたいって思ってれば また会える。 何度だって 会いに行ける。 …だからさ。 どっちだって変わんねぇんだ。 ビビが、どっちを選んだって。 「よく飽きねェな。いったい何が見えるんだ?」 「海と空だ!」 「いや、ソレはわかってんだけどよ…」 「それに、冒険と未来ね」 「おう!そうだ!!しししっ」 「…なるほど」 海のアオと空のアオ おれは、その真ん中をドコまでだって進んでく。 海も 空も ぜんぶ おれのモンだから。 − 終 − ≪TextTop≫ ≪Top≫ ************************************ 「サビル」四連作の二つ目は船長です。 彼には“考える”というイメ−ジが無いせいか、まともに書くと1ペ−ジにもなりません。(笑) けれど、彼は周囲のことをよく見ていると思います。 見て、的確に理解しています。 一度下した評価は、彼の中では不変のようです。 相手がどうかなんてコト、関係ナッスイングで。 (初出02.10 「錆流」様へはTopの〜Union〜より) |