コノミジャナイ



本当のコトを言うと、君はゼンゼン俺の好みじゃない。

元々、俺のタイプは色っぽくて頭のキレる“オトナの女”で
会話でも、ベッドでも、巧みな駆け引きを楽しめる相手に夢中になったモノだった。

…それが、どういうワケだか。

純粋で生真面目なのは、人間としての美点だとは思うけれど
恋を楽しむには一番向かない性格だ。
ねェ、そのガンコさと融通の利かなさは何とかしようよ?

…せめて、二人で居る時ぐらいはさ。

十六という年齢も、チョット微妙。
手を出したからといって、犯罪だのロリコンだのと誹(そし)られはしねェだろうけれど
“女”というより、まだ“少女”。

折れそうに細いウエストや手足に比べて、不釣合いに発育のイイ胸とか
化粧ッ気の無いカワイイ顔とちぐはぐな、艶っぽい表情とか
妙なアンバランスさに却ってドキッとさせられてちゃ、ラブコックも形無しだ。

…言っとくけど、他に女のコが居ないからじゃねェよ?

身分とか、立場とか
そんなのは、俺にとっちゃ全くモンダイじゃない。
むしろ、障害は恋を燃えあがらせる絶妙のスパイス。
けれど、君がソレにがんじがらめに縛られていちゃ、せっかくの恋も苦くなる。

…そりゃ、“王女様”ってのは珍しいけれど、ダカラじゃねェよ。
  レディ−を戦利品や勲章みてェに扱う、そこらのクソ野郎共と一緒にしねェで欲しいんだけど。

君は、真っ直ぐに未来だけを見据えるから
先の見え無い恋に尻込みし、自分のキモチを押さえ込もうとするばかり。

俺は、今この時を愛で満たしたいと願うから
一時でも長く君の傍に居たいと思う。
キスをして、抱きしめて、愛のコトバを囁いていたいんだ。

…眠ったり、メシを食ったりするのと同じくらい、当たり前に。

うんと優しくして、甘やかしてあげるのに、それを拒む。
命に代えても守るのに、そんな誓いは要らないと言う。

…ねェ、何で嫌なの?
  俺が嫌いなワケじゃねェだろ?

人生は泣いても笑っても一回っきりで、どう転んだトコロで後悔だらけ。
だから可能性(チャンス)に賭けたい。この恋が、君が、最後かもしれねェと。

…なのに、どうすりゃイイ?

年上のレディ−にまるで相手にされなかった時も。
手酷くフラれちまった時も。
ナミさんには“アイツ”がいると気づいた時でさえ
こんなに苦しい気分になったコトはない。

脈のねェ相手は、さっさと諦める。
麗しのレディ−なら、それこそ星の数ほど瞬いて世界中で俺を待っている。
新しい出会いが何時だって俺を救ってくれるのに、今はそんなコト考えたくもねェ。

求めるモノが、噛み合わない。
タバコの煙に混じるのは溜息ばかり。

でも、顔じゃ笑ってても君の心がココに無いのが判るから、俺はムカつくし。
いっそ怒った顔の方がまだマシなような気がして、思いつく限りフザケてみたり。

ますます軽く見られちまって……俺って馬鹿?


『忘れられねぇ女の一人も作ってから、一人前のフリをしやがれ。チビナス!!』


タバコも酒も女もすっかり覚えた俺を、小馬鹿にしたように見下したクソジジイ。

覚えてるとも。一夜限りの逢瀬であろうと、叶わぬ恋であろうと。
愛しのレディ−達の名も、麗しいお顔も、しっかりと脳ミソに刻み込んであるぜ。
ざっと百人ばかり。


『てめェの脳ミソは、クソと同じだな』


ジジイのツラなんぞ思い出したくもねェが、あの時言われたイミは判った。
…判りたくもなかったけどよ。


確かに、忘れられねェ女ってのは一人で充分だよ。
もう二度と、こんな面倒は御免だね。


……君以外には。



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20000Hit Thanks!

今回は甘苦く…とか言いつつも、実は最高に惚気てるように読めないコトもないような。(汗)
こちらは料理人サイドです。
相変わらず伝わりません。価値観が違うようです。(酷ッ)

既に恒例となりましたが、このテキストは“お持ち帰りフリ−”です。
お気に召されましたら、連れて帰ってやってくださいませ。
料理人サイドと姫サイドの対ですが、どちらか一方でも構いません。
事後にでも、BBSまたはメールでお知らせいただけましたなら、喜んでお礼に伺います。
なお、フリ−期間は2004.1.3〜未定です。
(期限を設ける場合は、改めてBBS&テキストにてお知らせします。)

ご来訪に心より感謝を。
まだ当面は姫贔屓サンビビ寄りメインのサイト運営になろうかと思います。
…需要は少ないながら、それ以上に供給が少ないので、せめて自分で書かねば…と。(涙)
また、お運びいただけましたなら嬉しいです。


2004.1.3 管理人・上緒 愛