水曜日のレシピ



 食事が終って、しばらく二人で海を眺めて、車にもどった。
 ふと、思い出して言ってみる。

 「デザ−トにフル−ツか何か、持ってくれば良かったですね」

 サンジさんのリクエストをこなすので頭がいっぱいで、そこまで気が回らなかったのだ。
 運転席のドアを閉めたサンジさんは、私に向き直って言った。

 「大丈夫。デザ−トはこれから頂くからv」

 ニヤリと、あの余裕の笑みを浮かべて。

 ……はい?

 疑問を浮かべるヒマもなく、助手席のシ−トが倒された。

 「えっ…えっ??」

 「コレも、プレゼントの内ってことでvv」

 サングラスを外して、ダッシュボ−ドの上に乗せる。

 …だから、サンジさんのアップは心臓に悪いんですってば…。


 車の中で昼間から、なんて。
 こんな日じゃなかったら、きっと断ったと思う。

 だけど……ね。
 そういうトコロまで計算してるのよ、このヒトは。

 私をイヤとは言えない状況に追い込むコトにかけては、天才的。

 悔しいけれど、ね。


                                         − 完 −


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 (初出02.7 「Sol&Luna」様へはTopの〜Union〜より))