My favorites 好きなものは 麦わら帽子 好きな言葉は 約束 好きな歌は 応援歌 好きなお菓子は プチフ−ル 好きな花は 満開のサクラ * * * 親愛なるビビ …定番の書き出しだけど、なんか照れるわね。 考えてみると、ノジコ以外に手紙を書くのって、初めてだったわ。 まあ、それはさておき。あんたは元気?復興は進んでる? こっちは相変わらずよ。毎日毎日賑やかにやってるわ。 …ううん、そんなことが書きたいんじゃない。 あんたに、伝えなきゃならないことがあるの。 “ミス・オ−ルサンデ−”…ニコ・ロビンが仲間になったわ。 あんたと別れた後、海軍の追跡を振り切ってホッとしたところに、ひょっこり甲板に現われたの。 気づかない間にメリ−号に密航してたのね。 『行く当ても帰る場所もないから、この船において』 『そらしょうがねぇな、いいぞ』 …だいたい、こんなカンジ? 黙っていても、いつかはあんたの耳にも入るだろうから。 それより先に、どうしてもあたしから伝えたかった。 驚いてる?それ以上に怒ってるでしょうね。 よく、わかるわ。 あたしだって、もしも 『ア−ロンの一味を仲間にしたぞ〜っ!!』 なんて能天気に言われたら、あいつら全員ぶっ飛ばしてるもの。 だったら何故!?…って、思うでしょうね。 ねぇ、覚えてる? 最初に会った“ミス・ウエンズデ−”は、胡散臭くてケバくて高飛車で ホント、嫌な女だった。 でも、ビビ。あんたは大好き。 最初に会った“ミス・オ−ルサンデ−”も、何を企んでいるのかわからない 人を小馬鹿にした嫌な女だった。 でも、ニコ・ロビンは? あんたを泣かせて、苦しめたこと。 あの国で大勢が死んで、傷ついたこと。 本当に何とも思ってない女なのかしら? …って、ふと思ったの。 もちろん、あの女が“B・W”の副社長だったことも、8歳で賞金首になったことも知ってるわ。 アラバスタで何があったのかも。 だからこそ、あの女の“真実(ほんとう)”を確かめてみたくなったのよ。 だって、ね。 あたしも今じゃ単なるキュ−トな美人航海士だけど、これでも“東の海(イ−スト・ブル−)”では “魔女”と呼ばれた女よ? それにルフィは馬鹿だけど、人を見る目だけはあるから。 …結局のところ、あたしたちはあの女をじゃなくて、ルフィを信じてるの。 小指を立てて『オホホホ!!』なんて笑ってる女を船に乗せたあの馬鹿ゴムをね。 あんたのことだから、今度はあたしたちの心配をしてるかもしれないわね。 大丈夫。 万が一あの女が何か企んでるとしても、このあたしが化けの皮を剥がして 海に叩き込んでやるから。 (○月▽日 「ジャヤ」より私書箱0202XXXXXX宛 料金着払) * * * ……プリンセスというと裾の長いドレスや豪華な宝石、頭にはティアラといったイメ−ジが ありますが、今日のファッションはとてもシンプルで素敵ですね。 普段はこういったナチュラルなスタイルをお好みですか? 「そうですね。公式の場ではドレスも宝石もつけますが、普段は動きやすい服が好きです。 髪も今日は降ろしてますが、視察で超カルガモに乗って移動する時はポニ−テ−ルに結って ますし。ジ−ンズを履いたりもしますよ。」 ……プリンセスの活動的な素顔が拝見できて、嬉しいですね。 それでは、恒例のファッションチェック。 トップはシンプルで上質なカットソ−。胸元のクロスステッチがポイント。 ボトムはアラバスタの民族衣装でもある巻きスカ−ト。草花をモチ−フにした鮮やかな インディゴ・ブル−の染めが女性らしさを引き立てます。 アクセサリ−は左腕に幅広のブレスレット。シンプルな中に、一点だけ本物を取り入れる ことで、全体が引き締まります。 (王女全身写真) ……アラバスタといえば、香水が有名ですね。実は今もプリンセスからは、とても良い香りが しています。こちらはプリンセス専用のオ−ダ−メイドでしょうか? 「いいえ、今日つけているのはアラバスタで市販されている調合です。 若い女性に人気のあるフレグランスで、本当は私には少し大人すぎる香りなんですけど。 でも、友人がこの香りが好きで…。 そのひとを思い出すので、時々背伸びしてつけています。」 ……ご友人、といいますと…? 「残念ながら女性ですよ。(笑)」 ……それは残念です。(笑) * * * 親愛なるビビ しばらく手紙が書けなくて、ごめん。 ちょっと空島に行ってたり、海賊同士でゲーム大会をやってたりで、バタバタしてたから。 その辺は書き始めると長くなるから、航海日誌から抜粋して何枚かつけとくわね。 ウソップも張り切って何か書いてるけど、あれ長いっていうより多いから。読むの大変でしょ? サンジ君のも長そうだけど、大半無駄なラブレタ−だから最後の数行だけ読めば問題ナシ。 チョッパ−の健康管理の諸注意は真剣に読んでやって。今でもあんたの船医のつもりだし、 あんたが無理してないか、あたしも心配。 ルフィとゾロは手紙を書くタイプじゃない(っていうか、あいつらが字を書いてるところを見た ことがないんですけれど?)から、伝言だけ。 その1「アラなんとかの肉はウマかった」 その2「元気でやってんなら、特にねぇ」 以上。 こないだの新聞にアラバスタの記事が載ってたわ。 壊された運河が修復されたのね。 それから、慰霊祭のことも。 あんたの写真も、ちっちゃかったけど載ってて。 ど−んと、一面ぶち抜きぐらい大きかったら良かったのにって、みんなで騒いだわ。 あたしたちは、色々あってすっかりガタの来たメリ−号の修理と、船大工の勧誘に 向かってるところ。 運良くログの先が造船で有名な島らしいの。 久しぶりにまともなショッピングができそうだし、やっとあんたに手紙が出せるわ。 前に出した手紙は、無事にあんたの元に届いたのかしら? ちょっと物騒な島だったから、心配。 だから、もう一度書いとくわね。 あたしたちは今、ニコ・ロビンと航海しているの。 以前は敵だった女だけれど、いくつか冒険をしてきたからかしら。 今はかなり“仲間”だなって気がしてる。 ごめん。こんな話、あんたは読みたくないだろうってわかってるけど。 ちょっと話を端折るけど、こないだ海軍の大将って男に会ったの。 ロビンのこと、色々言ってた。 まぁ、その内容も端折るけど、最後の方でロビンのこと 『死んだ方がいい女』みたいに言ってたわ。 でも、ロビンがどうこう以前に、“海賊”ってのは『死んだ方が世の中の為』な連中の集まり なのよね。 少なくとも、海軍と世界政府と世の中の大部分の人間から見れば。 こんなこと考えるくらい、あたしは“世界で一番嫌い”だったハズの“海賊”に なりきってるんだなぁ〜とか、しみじみ思ったりして。 別に、今更それを後悔してるワケじゃないけどね。 ただ、ロビンが一味の仲間かどうかとは関係なく、 今のあたしは、あんたじゃなくてロビンと同じ位置に立っている。 あたしたちは『こっち側』、あんたは『むこう側』 ねぇ、それでも。 あんたは、あたしを嫌いにならないでいてくれる? (▽月□日 「ウォ−タ−セブン」より私書箱0202XXXXXX宛 小包料金着払) * * * ……ところで、プリンセスが、こういった若い女性向けの雑誌のインタビュ−に応じられるのは 本誌が初めてということで、大変名誉に思います。 本誌の愛読歴は? 「実は、まだ半年程度なんです。私の友人が、こちらを愛読してまして。 いっしょに見せてもらったのが最初です。」 ……プリンセスのご友人といいますと、若い女性の方? 「はい、私の親友です。とても綺麗で、お洒落な人で。 あまり流行や自分を磨くことに興味のなかった私に、あれこれアドバイスをしてくれたんです。 彼女のおかげで、少しだけ私も“素敵になるよう頑張る”ことの意味が、わかったような気が します。」 ……では、そのご友人はきっと喜ばれるでしょうね? 「だと、いいなと思います。」 * * * 親愛なるビビ こないだの手紙から、まだ1週間も経っていないんだけど…。 新聞が派手に書き立ててくれてるし、“エニエス・ロビ−”での一件は、あんたも知ってる でしょうね。 以前に出した手紙が、ちゃんと届いてるといいんだけど。 届いてなかったら、きっとこの手紙は読んでもらえてないわね。 ニュ−スを見て、あんたはどう思ってる? あたしたちとしちゃ、売られたケンカを買ったついでに勝っただけ!!ってノリなんだけど 見出しはもれなく“世界政府への宣戦布告!!”ってことになってるし。 そういや、アラバスタって一応、世界政府加盟国だったわよね。 これで、あたしたちとあんたは“敵味方”になってしまうの? 本当はね、ちゃんと書こうと思ったのよ。 ウォ−タ−セブンで、エニエス・ロビ−で、何があったのか。 あたしたちが、どうして“世界政府”の旗を焼いたのか。 ロビンの過去に何があったのか。 何度も何度も書き直して、便箋を何十枚も無駄にしたわ。 それで、ね。結局やめたの。 言いたいことは、たった一つだから。 あのゴムは、やっぱり正しかった。 ニコ・ロビンって女は、ただの馬鹿だったのよ。 一人で一億ベリ−稼いでココヤシ村を買おうとした、あたしと同じくらい。 一人で百万人の反乱軍の前に立ち塞がって国を救おうとした、あんたと同じくらい。 それ以上、かもしれない。 詳しい話は、“いつか また 会えた”時に。 …あ、やっぱり。言いたいこと、もう一つあった。 あたしはロビンが好きよ。 でもね、あんたのことは大好きよ。 説明不足のこの手紙で、あんたが、あたしのこと大嫌いになったとしても。 あんたは、あたしの初めての。そして一番の親友だから。 ずっと、大好き。 追伸 ゴ−イング・メリ−号から、あんたとカル−に伝言。 『今まで大切にしてくれて、どうもありがとう。ぼくは本当に幸せだった』 (▽月○△日 「ウォ−タ−セブン」より私書箱0202XXXXXX宛 速達料金着払) * * * ……それでは、最後に恒例のこのコ−ナ−。 プリンセスのお好みについては、世界中の女性、そして男性が注目するところとだと 思います。 さて、いつもは12項目の質問に答えていただくのですが、今回はプリンセスのご希望で オリジナル・クエスチョン。 お立場上、“好きな男性のタイプは?”などはちょっと…と、いうことで。 それでは今月のセレブ、ネフェルタリ・ビビ王女の“My favorites” * * * 「はい、航海士さん。頼まれてた雑誌」 買出し組に当っていた考古学者が、薄い方の紙袋を手渡した。 船番組だった航海士が、顔を輝かせてそれを受け取る。 「ありがと〜、ロビン!楽しみにしてたのよね〜、コレvv」 好きなものはみかんとお金。そしてお洒落と贅沢だという航海士の愛読書は “グランド・ライン(偉大なる航路)”はもちろん4つの海を含めた世界一の発行部数を誇る 女性に大人気のファッション誌“LUXURY(ラグジュアリ−)”だ。 「まともに買い物できそうな島って久しぶりだし。ログが溜るにはまだかかるし。 買い損なったバックナンバ−もバッチリね♪ 早速、明日の参考にしなくっちゃ……って、あれ?」 サ二−号の芝を敷き詰めた甲板に組み立て式のイスとテ−ブルを置いていた航海士は、 袋の中身を引っ張り出しながら首を傾げた。 「これ、今月号が2冊入ってるわよ?ロビンにしては珍しいわね〜。 ま、いいわ。明日、あたしが買い物に出たときに返品してくるから」 小さなテ−ブルの上は淡いブル−の便箋に占領されている。 そこらじゅうに丸めた紙屑がちらばっているところを見ると、どうやら今回の手紙も 何を書くべきか書かざるべきか、相当悩んでいるのだろう。 考古学者は口元に柔らかな笑みを浮かべた。 「今月号の1冊は航海士さんの買い物。もう1冊は私からのプレゼントよ」 「…はぁ?それは嬉しいけど、どうせ貰うなら違う雑誌とか、いっそ現金と…か…、」 とりあえず便箋を脇にどけ、テ−ブルに数冊の雑誌を置いた航海士は、今月号の表紙を 見たとたん、言葉を途切らせた。 慌てたようにペ−ジを繰り始めた彼女を確認して、大きな方の紙袋を抱えた考古学者は 無言で踵を返す。 黒いヒ−ルに、丸まった空色の紙が掠めるように触れた。 水槽を眺められる食堂に入ると、まってましたとばかりに料理人がラブハリケ−ンを発生させる。 「ロビンちゅああぁ〜ん、おっ帰り〜vv 新作ドリンクを作ってみたんだけど、芝生の甲板でナミさんと一緒にいかが〜vvv」 無駄にハ−トを撒き散らすラブコックに、考古学者は穏やかに告げた。 「ありがとう、料理人(コック)さん。新作ドリンクはここで頂くわ。 それから航海士さんは暫く1人にしておいてあげて。 代りに、皆にも素敵なお土産があるのよ」 そう言って、彼女は鮮やかな笑みと共に荷物をテ−ブルに置いた。 何冊もの今月号の“LUXURY(ラグジュアリ−)”が詰まった紙袋を。 “今、話題のス−パ−セレブ!!砂の国の王女ネフェルタリ・ビビ本誌独占インタビュ−” * * * 好きなものは 麦わら帽子 好きな言葉は 約束 好きな歌は 応援歌 好きなお菓子は プチフ−ル 好きな花は 満開のサクラ 好きな生き物は 超カルガモと羊 好きになりたい日は 日曜日 そして一番大好きなのは 甘くて酸っぱいみかん − 終 − ≪TextTop≫ ≪Top≫ *************************************** 45巻186ページのビビちゃんのセリフ。 「あ、その話(ナミさんからの手紙で)知ってるけど…」 だったらいいのに〜♪と瞬間的に夢を見たので、形にしてみました。 実際、ナミさん達からはビビちゃんに手紙を出せないことはないんですよね。 海軍にバレるとヤバイので、機密文書用の私書箱宛とか、特定の薬品をかけないと読めない (いっそみかんの汁であぶりだし)とか、工夫が必要でしょうが。 でも、そうだとしても、ビビちゃんから返事を出すことは出来ない。 ロビンさんの仲間加入や世界政府への事実上の宣戦布告。 悩みながらも一方通行のラブレタ−のような手紙を書き綴っていてくれてるといいな〜vv …というナミビビ妄想。 でも甘いばかりじゃなくて酸味もあるぞ。だからビタミン豊富で健康に良いのです。 みんな、みかんを食べよう!!…じゃなくて。 何を書くべきか書かざるべきか。悩んだのは私です。説明不足な内容ですみません。(汗) |
2007.3.4 上緒 愛 姫誕企画Princess of Peace20070202 |