はなは、さいた 『うおぉ〜い、ジィちゃん!!』 天井に頭のつく高さから、手を振る声。 『ちょっと、ジジ様ッ!!』 目を吊り上げ、自分を見ろと主張する声。 『……あの…、えっと…。ジジ…さま…?』 おずおずと躊躇(ためら)い、口籠る声。 『何か…?ジジ様』 礼儀正しさで、警戒心を隠した声。 『………じィージ、…マ?』 まだ、上手く発音のできない声。 コペルは聞く。音の声を。心の声を。 (何故だ、天樹院古比流。お前は何の為に 彼は応える。 子どもたちには笑いかけ、頭を撫でて、時にはオヤツを抜きにする。 そして異形の怪人には思念を送る。強く、鋭く、時を越えて届けと。 (いつか咲く、花のためじゃよ…。) − 1 − リリリ… リリ… リリリリン リリリリン ベルが鳴り響いたのは、迷惑なことに家族旅行中の深夜だった。 和室の羽根布団の上に身を起こしたコペルは、溜息を吐いて身支度を始める。 幸い、隣で眠るエルモアに目覚める気配は無い。 このところ奇妙な夢を見続ける妻は、旅の間、睡眠薬を服用していた筈だ。 オーダーメイドのモーニングスーツ、ドレスシャツにシルクハット。 まるで舞台衣装のような古風な装いは、“占い師”時代からのトレードマークだ。 どこへ行くのであろうと、今更変えるつもりもない。 財布の中に赤いテレホンカードを確認すると、コペルは枕の上に短い書置きを残した。 『2〜3日で戻る』 エルモアは、またかと呆れることだろう。 この1年、月に2度は姿を消す夫に文句は言うが、理由を問い詰めはしない。 共に、この世界では異端者扱いのサイキッカー(超能力者)。 上手く世の中を渡っていく為、“結婚”という形で手を組んだ夫婦の不文律だ。 長年連れ添った古女房の皺くちゃな寝顔を眺めた後、コペルは隣の部屋に続く襖を細く開いた。 夫婦より広い和室に枕を並べて眠るのは、5人の子ども達だ。 暗闇の中の僅かなシルエットだけで、コペルには誰が誰だか区別がつく。 何しろ寝相一つ見ても、真っ直ぐ微動だにしない子から豪快な大の字、ぐるりと時計回り等々、それぞれ個性的なのだから。 初めての家族旅行。初めての土地。初めての畳の上に敷いた布団。 初めて尽くしに興奮し、昨夜は遅くまで枕投げに興じていたようだ。 腕白なカイルを筆頭に、普段は大人しいマリーやヴァンもはしゃいでいた。 疲れ果てた5人は今、深い眠りの中だ。 カンの良いシャオやフレデリカでさえ、何も気づいてはいない。 リリリリン リリリリン リリリリリリン ベルは、鳴り始めより確実に大きくなっていた。もはや電話の呼び出し音どころか、警報器だ。 それでも、この音は彼にしか聞こえない。選ばれた者の頭にだけ響く、呪いなのだ。 離れの個室に設えられた玄関で、エナメルの靴を履く。 真っ白な手袋をはめ、ステッキを手に立ち上がると、コペルは旅館で一番上等な内風呂付きの離れを出た。 * * * 午前2時。 ぽつりぽつりと灯る燈籠の明かりを頼りに、玉砂利の小道を踏みしめる。 母屋にも、人の気配はなかった。 フロントの奥には誰かいるだろうが、客が呼ばない限り出てくることはない。 コペルは真っ直ぐ、ロビーの奥へと向かう。 目的は、非常灯が青白く照らす下に置かれた公衆電話だ。思ったとおり、そこには人影らしきものが見える。 電話に近づくにつれ、はっきりする輪郭。それは、明らかに人間ではない。 鳥にも甲殻類にも見える頭の下には、顔の代わりに小さな光が灯る闇。 コートのような衣装の背に垂れる、三つ編みに似た長い触覚。 怪しげなシルエットが公衆電話の横で、地に足を着けず“浮いて”いる。 1年前と同じだった。 あの日、1人訪れたこの場所で、無人のロビーに鳴り響く電話を取ったのが全ての始まり。 聞こえたのは、砂嵐のような雑音に紛れた切れ切れの女の声。 〔ザザ…ようや…く、…つよい…ザ…トラン…を持つ…サイキッ…ザザ…が、 この時代…の…わた……、……ちかく……ザ…… ……やっ…と、つ・な・が…………〕 だが今、手に取った受話器から聞こえるのは、男とも女ともつかない無機質な声。 “ネメシスQ”を名乗る、怪人の声だ。 〔ザザ…無駄……だ、天樹院、古比流……ザザ… お前…は、“ゲーム”を続け…ほか、何も…ザ…出来……な… さもな……ば、制裁……り、灰にな…ザザ…だ…、け……〕 * * * 鹿児島県南西の南さつま市。 鄙びた風情と海からの眺めが評判の、老舗旅館の朝は早い。 ロビーに現れた女将は、受話器が外されぶら下がった公衆電話に眉を顰めた。 きっと悪戯だろう。季節外れの平日、毛色の違う5人の子どもを連れた老夫婦が離れの特別室に泊まっている。 夫の方が1年程前にこの宿に滞在し、いたく気に入ったので家族を連れてやって来たという。 不景気の折、上客には違いないが、襖や障子を破いていないか客室を確かめておかなければならない。 何しろ、あの子ども達。特に金髪の女の子と褐色の肌の男の子ときたら、朝食はクロワッサンじゃないとイヤだとか、ハンバーガーが食べたいとか、我が侭放題なのだから。 顔をしかめて受話器を戻した女将は、ふと既視感を感じた。 以前にも朝早く、ぶら下がったままの受話器を見つけたことがあったような…? だが忙しい女将は、その上客のためにクロワッサンとハンバーガーの準備が出来たかを確かめに、厨房へと急いだ。 落ち着いて考えていれば、思い出せたかもしれない。 受話器が外れていたのは1年前、老夫婦の夫が1人で滞在していた時だったと。 − 2 − 「広島…か」 公衆電話から吐き出されたコペルは、小さく呟いた。 ビルの窓から小さく見えるのは、原爆ドームだ。 未来への警鐘として保存された歴史の遺産は、先刻まで跡形も無かった。 果てしなく続く廃墟と、澱んだ薄曇の空。得体の知れぬ怪物が徘徊する世界…。 「いよッしゃあ!!これで1日半ぶりに酒が飲めるぜぇーッ!!」 後ろで聞こえた声に、振り返る。彼に続いて帰還した“サイレンドリフト”だ。 砂と埃に塗れた革のライダースーツは、豪快なセリフとは裏腹に女性らしい曲線を描いている。 満面の笑みを浮かべた顔も、十分に美人と呼べる部類だ。 「今回も、あんたのおかげで命びろいしたよ。 教わった訓練で、PSI(サイ)の使い方もコツが掴めてきたしね」 飾り気の無い礼に、コペルは軽く肩を竦めた。 「助けられたのは、お互い様じゃ。お前さんのライズとバーストのおかげで、わしもゴールに辿り着けた。 思ったとおり、お前さんにはオールマイティーの才能がある。わしに教えられるのはここまでだが、あとは訓練次第。 PSIは己の発想と想像力で、どこまでも伸びる。お前さんなら、ゲームのクリアも可能な程にな」 コペルが最初に崩壊した未来…“サイレン”へ飛ばされたのは、旅先の鹿児島県南西。 それから数度のゲームを経て福岡に達した頃、新たな“ドリフト(時間旅行者)”としてゲームに加わったのが彼女、八雲祭だ。 元々ある程度のサイキッカーであった彼女は、あの世界の大気を吸ったことで飛躍的にPSIを強めている。 「ああ…。私は必ずゲームをクリアして、“サイレン”の…世界崩壊の原因を突き止める。 そして、未来を変える…!だが、そのためにはもっと仲間が必要だ。 新しいドリフトがPSI(ちから)に目覚め、使いこなせるまで守ることができれば…。」 八雲祭は両の拳を握り締めた。今回のゲームで死んだ新入りのことを考えているのだろう。 忠告も聞かず勝手に動き回った挙句、蟲に喰われるか、“禁人種(タブー)”に襲われ灰になった連中。 (私にもっと力があれば、救えたものを…!!) 彼女の怒りと悔しさが、全身から伝わってくる。それがとても純粋なものであることが、コペルにはわかった。 だからこそ、確信するのだ。彼女ならば、出来るだろうと。 好奇心、現実逃避、暇潰し、面白半分。くだらない理由でゲームに参加する、くだらない人間ばかりの中から、この地獄に耐え得る者を見い出し、守り、育てることが。 「……おおっと、ヤバッ!!今日は神戸でリハーサルだっけ。 早くしないとキクチのヒステリーが始まっちまう。 そんじゃ、行くよ。次の召集まで、達者でな」 苦悶の表情から、ケロリと笑顔に戻って右手を差し出す。相変わらずの切り替えの早さに苦笑を浮かべて、コペルもまた手袋を外す。 本業はピアニストだという彼女の手は、思いのほか白く、指が長い。 掌が直に触れ合った瞬間、コペルの頭に“声”が響いた。 (……で?あんたの本名は、まだ教えてはもらえないのかい) 接触テレパス。最も苦手としていたトランスでさえ、今やコペルの意識に直接侵入してくるほどの力を見せる。 だが、コペルもかつては稀代の“占い師”と呼ばれたサイキッカーだ。力技で、彼が心に張り巡らせた障壁を破ることはできない。 受け止め、かわし、ぐるりと回して表層意識で弾き返す。 (さて、最初に名乗ったと思ったがの?わしは“花咲か爺さん”じゃと) 口髭の下でニヤリと唇を歪めると、目の前の美人はぱちりと一つ瞬きをした。 次の瞬間には、カラカラと笑い飛ばす。 「アハハハハッ!!やっぱ、面白いじーちゃんだね、あんたは。 そんじゃ、次の召集の時はポチでも連れて来な!!」 軽く片手を上げると、彼女はそのまま去っていった。 ブーツの足音に合わせて、鼻歌が聞こえる。 しょーじきじーさんポチつれてー うーらのはたけを ほったならー おーばんこばんが ざーくざーく ざっくざく 新進気鋭の天才ピアニストとして、次第に名が知られ始めた八雲祭だが、歌は今ひとつだ。 音程のズレた鼻歌が消えるのを待って、コペルは財布から100円玉を取り出す。 携帯電話は持たない主義だ。コトンと、公衆電話にコインが落ちる。 「……ああ、ヴァン。わしじゃ。 ちかくにバァさんはおるか?代わってくれんかの」 〔……………。〕 受話器の向こうは無言だったが、周囲から賑やかな声が洩れ聞こえる。 〔 ヴァン、ジジさまからか? えー、ジィちゃんどこにいんだよぉー ジジさま、よかったぁ… なによマリー、あんたジジさまのしんぱいしてたの?バッカじゃない 〕 聞き取ろうと耳を澄ませたとたん、キンキン声が鼓膜に突き刺さる。 幾つになっても元気なエルモアだ。 〔こりゃ、コペルッ!!どこをほっつき歩いとる!? 家族旅行を言い出したのはお前じゃろうに、この放蕩亭主!! ……ん?子ども達は元気にしとるよ。皆でマンゴー喰っとるわ。 やっぱし本場は違うのぉ〜。ああ、わしらは宮崎に移っとる。 いつまでも同じ場所では、子ども達が飽きてうるさいからのぉ。 用がすんだなら、お前もとっととこっちへ来い。宿は……〕 受話器を耳から遠ざけつつメモをとったコペルは、一旦電話を切った後、財布から千円札を取り出した。 次の電話は、長くなりそうだった。 * * * 宮崎での宿は、まだ新しいリゾートホテルだ。 その日の夕方に合流し、皆で揃って夕食を取ることができた。 エルモアも子ども達も、この2日間、コペルが何処で何をしていたか尋ねることはない。 彼がふいに姿を消すのは、いつものことだったからだ。 だが、やはり旅先は拙かったらしい。エルモアは不機嫌だし、カイルとフレデリカは膨れっ面だ。シャオとヴァンは無言で食事を続け、マリーはオドオドと皆の顔色を伺っている。 だが、デザートにコペルが広島から特注しておいたプリンアラモードが運ばれると、わっと歓声が上がった。 マンゴープリンにマンゴーアイス、マンゴームース、そして様々な形にカットされた生マンゴー。 黄金色に輝くスイーツには、最高級の完熟マンゴーが惜しげもなく使われている。 「ウマイウマイ、これめっちゃウメエェ〜よ、ジィちゃんッ!!」 「フ…フンッ!!残したらもったいないから、食べるだけなんだから!!」 「とってもキレイ…。ね、シャオくん。食べよう!(ニッコリ)」 「……そうだね、マリー…。(////)」 「………………。(まぐまぐまぐまぐ)」 「まったく都合が悪くなると、昔ッからす〜ぐ甘いモンで誤魔化そうとしよって…。 イイ歳をしたジジイが、いつまでもフラフラするもんじゃない。 しかも、自分が言いだしっぺの家族旅行の最中に…。 ワシが言いたいのはな、お前も人の親になったんじゃから、もっと責任感を持ってもらわんと困るっちゅうことじゃ。 子ども達が大きくなって、お前のマネを始めたらかなわんわ。 ………それは、それとして。本当にウマイわ、これ」 機嫌を直した様子の妻と子ども達を、コペルは目を細めて眺めていた。 その後、更に5日間。各地を巡って天樹院家の九州一周うまいもの食い尽くしツアーは無事に終わった。 コペルにとって最初で最後の“家族”旅行だった。 − 3 − 天樹院古比流(コペル)は、利己的な人間だった。 自分勝手で、独善的。自分さえ良ければ、他人など死のうが生きようがどうでもいい。 そういう人間として生きてきた。 裏を返せば“そういう人間”でなければ、生きていけなかったのだ。 他人の心を読む能力を持った彼が発狂しないためには、己を強固な鎧で覆うしか術がない。 恐らく、この世に生きるサイキッカーの誰もが大なり小なり同じだろう。違いがあるとすれば、己を守る鎧が何であるかだ。 ある者にはPSI(ちから)などないフリをする演技だろうし、ある者には己を迫害する世界への憎悪かもしれない。 コペルにとってのそれは、狡猾さと無関心だった。 “占い”を生業として心を読み、過去を言い当て望む言葉を与える。 この商売は巧くいった。支払いさえはずんでもらえれば、信じた結果が不幸だろうと破滅だろうとコペルの知ったことではない。すがる方が悪いのだ。 そうこうしている内に、彼の前に一人の女が現れた。 小さな身体に派手な衣装と、どぎつい化粧。コペルを見上げてニヤリと笑い、キンキン声を張り上げた。 『アンタ、心が読めるんだろう?アタシは未来が視えるのさ。 ここは一つ手を組んで、阿呆共相手に大儲けしないかぇ? そうすりゃ、アンタもジジイになるまでは長生きできるだろうよ』 心を読むまでもなく、コペルにはわかった。女の鎧が、自分と同じであることが。 信頼でも好意でもなく、理解によってコペルはエルモアの手を取った。 婚姻届は、ビジネス・パートナーとしての契約書だった。 “占い師夫婦”としての商売は、笑いが止まらぬほど成功した。 何しろ報酬の桁が違う。ついでに、政界や経済界の大物の弱みを握り放題なのも役立った。 一時、文部科学省の能力開発研究局とやらが、彼等にしつこく“協力”を求めて来たことがあったが、幾人かの有力者に脅迫…もとい相談をしたら、それきりだ。 PSI(ちから)が露呈したサイキッカーの末路…暗殺や、他国の機密組織による誘拐…も、2人は幾度も切り抜けた。マスコミに名前を出して、オカルト方面での有名人となったのも、予防策の一つとして効果があった。 そうしてエルモアの予言どおり、コペルは“老いる”ことができたのだ。 ある日、互いの顔に刻まれた皺を見て、2人は思った。潮時だと。 占い稼業からもマスコミからも綺麗サッパリ手を引いて、伊豆に引きこもった。 財団を創り、病院も建て、税金対策に社会貢献でもしながら、のんびりと余生を送るつもりでいたのだ。 ところが、だ。 『養子を取る』 ある日、突然言い出したエルモアに、コペルは顎を落としそうになった。 PSI能力をコントロールできない子ども達を保護し、教育したいという妻の老後の夢は知っていたし、反対する気もなかったが、施設や学校を作る程度だと思っていたのだ。 この歳になって、子どもを育てる?一緒に暮らす?今更何を…。 言いかけたコペルは、ふと口を噤んだ。“今更”に思い至ったのだ。 エルモアは、ずっと子どもが欲しかったのではないかと。 仮面夫婦というわけではなかったが、恋愛結婚とは程遠い経緯で夫婦となった彼等の間に、子どもはなかった。 コペルに作る気はなかったし、エルモアにも無理だとわかっていた筈だ。 随分昔、国の秘密機関が彼等に求めた“協力”の1つは、精子と卵子の提供だったのだから。 一見、平和な日本でさえ、サイキッカーの扱いはモルモットなのだ。 思えば政財界とのコネを作ることにも、伊豆に土地を買い、屋敷や病院を建てることにも熱心だったのはエルモアだ。 子どもを引き取り、育てるための環境作りだったのだと思えば頷ける。 何があろうと子ども達を守ることができる、全ての準備が整ったのが、彼女にとって“今”なのだろう。 コペルは妻を見下ろした。小さかった身体は、ますます小さく縮んでいる。 落ち窪んだ両目には、視えたのだろうか?子ども達と過ごす未来が…。 出会って最初の数年を除き、長い間、妻の心を“盗み読む”ことのなかった彼には本当のところはわからない。それでも。 『……お前の好きにするといい』 コペルが答えた一週間後には、最初の子どもがやって来た。 代々、失せもの探しを主にした“占い師”を輩出することで、同業者の間では有名な華僑一族から託された少年だ。彼は潜在能力の余りの高さに親族から“蛇”と怖れられ、闇に葬られかけたという。 だが、コペルの目に映る白い中国服の子どもは、ただ怯えていた。 無表情で己を覆いながら、まだ鎧すら作ることも出来ず、孤独と不安に耐えていた。 『ようきたな、名前は?言わんでもわかるぞ、“シャオ”じゃろう。 そう警戒せんでもいい。わしは占い師じゃからな。 そして今日からは、お前さんの“おじい様”じゃ』 『……ジ、…ジサ…マ?』 今でこそ、大人も顔負けに日本語の堪能なシャオも、最初は片言だったのだ。 特に訂正する必要もないと思い、“ジジさま・ババさま”が、子ども達の夫婦への呼び方となった。 それから子ども達は、次々とやって来た。 親に捨てられ、ジャングルでたった1人、生きていた少年・カイル。 癇癪を起こして家を半焼させ、預けられた少女・フレデリカ。 親からPSIを使った窃盗を強要されていた少女・マリー。 カルト教団に生き神として祭り上げられていた少年・ヴァン。 あっという間に5人の子持ちだ。 2人して、悪戯ばかりのカイルを追いかけ回したり 癇癪を起こしてはボヤ騒ぎを起こすフレデリカを宥めたり オドオドビクビクしては『ゴメンナサイ』が口癖のマリーを励ましたり 一番手がかからないようで最も頑ななシャオに話かけたり 特殊な環境にあったせいで情緒が未発達なヴァンに絵本を読み聞かせたり 悠々自適の楽隠居どころか、毎日クタクタだ。 元来が気ままで、子ども好きとは言い難いコペルには伊豆の騒がしさが煩わしくもあった。 だからエルモアには悪いと思いつつ、時折ふらりと旅に出た。 思い立ったら書き置き一枚を残して、数日から数週間。気のむくままに羽根を伸ばし足を延ばす1人旅だ。 そんな旅先に九州を選んだのは、空港に着いて最初に出発する便が、たまたま福岡行きだったからだ。鹿児島に足を向けたのも、駅で電車の時刻が合っただけの理由だ。 だが、そこから南西の海岸に行き着いたのは偶然ではない。 “何か”を感じ、引き寄せられたのだ。 時に強く、時に弱く、繰り返される波動。それはテレパシーのようであり、全く別のPSI(ちから)のようでもあった。 最近になって昔のコネを使い、わかったことだ。 コペルが“感じ”た方角には、“夢喰島(むくろじま)”という小島が浮かぶ。 公式には無人である筈のそこには、政府の管轄するサイキッカー強制隔離収容施設があるのだと。 ……だが。 1年後に訪れた同じ場所から、コペルは何も感じることが出来なかった。 エルモアも、子ども達も同じだ。 わずか20キロ先に強力なサイキッカーが居るのは確実なのに、何の波動も感じない。 恐らく、PSI波動を遮る処置がされているのだろう。 家族が“ゲーム”に巻き込まれる可能性も考え、万が一の場合、あの場で灰になる覚悟で臨んだコペルにとっては、肩すかしに終わった結果だが、逆に疑問が募る。 ならば、1年前に彼が感じたPSI(ちから)は何だったのか?ネメシスQとの関係は? 受話器を通じて聞こえた声の女は何者か?“つながった”……とは? 考え続けたコペルは、1つの結論に至った。 九州旅行から帰って、3週間後。 再び召集のベルが鳴った。 − 4 − リリリ… リリ… リリリリン リリリリン ベルが鳴り響いたのは、目覚まし時計の音もまだ止まない早朝だった。 自室のベッドの上に身を起こしたコペルは、溜息を吐いて身支度を始める。 いつもの朝と同じだった。 顔を洗い髪と髭を整え、部屋着に着替えてガウンを羽織る。 家の中ではシルクハットもステッキも、財布も必要ない。 赤いテレホンカードだけを懐に入れ、スリッパのまま部屋を出た。 広々とした食堂には、子ども達が揃っていた。 大人しく席につき、朝食が運ばれるのを待って……、いない者もいる。 「うおぉ〜い、ジィちゃん!!」 圧縮空気のブロックに乗っているのだろう。天井に頭がつく高さから、手を振るカイル。 「ちょっと、ジジ様ッ!!」 目を吊り上げたフレデリカは、自分を見ろと椅子の上で仁王立ちになっている。 「あのサルに、食事は椅子に座ってするものだと言ってやって!! ……まァ、どーせサルにはムリな芸でしょうけれど?」 「へーんだ、フーの高慢ちき。ブースー!」 「この可憐なフレデリカ様の、どこがブスやねん、ドアホ!! そんなにサルの丸焼きになりたいんかぁー!!」 早速、喧嘩を始めた2人を、コペルは慌てて宥めに入った。 「これこれ、どっちも落ち着きなさい。感情的にPSIを使っちゃいかんと言っとるじゃろう。 バァさんにバレたら、またオヤツ抜きになるぞ? 確か今日は、神戸から取り寄せたバームクーヘンだったかな…」 本当は、フレデリカの両親が『何も知らせずに』と念を押して送ってきた、娘の好物だ。 その威力は絶大で、フレデリカはしぶしぶと椅子に戻った。 「フ、フン。紅茶が冷めて、朝食がマズくなったら1日が台無しだわ…」 カイルも膨れっ面はするものの、大人しくテーブルについた。 やれやれと胸をなでおろしたところで、控え目な声に呼ばれた。 「……あの…、えっと…。ジジ…さま…?」 おずおずと躊躇(ためら)い、口籠るのはマリーだ。 「あの…、今朝はコーヒーにしますか?それとも、ええっと、紅茶に…」 銀のコーヒーポットと陶器のティーポットが、ふわりと宙を舞う。 「ありがとう、マリー。コーヒーをもらおうか」 コクリと頷くと、ソーサーの上でうつ伏せに置かれたカップがくるりと上を向き芳しいコーヒーが注がれる。 そばかすだらけの頬を赤くして、懸命にテレキネシスを操る表情を見つめるのはコペルだけではない。視線を横斜め下に向けると、カンの良い黒い眸と目が合った。 「何か…?ジジ様」 礼儀正しさで、警戒心を隠したシャオ。 自身も高いトランス能力を持つためか、コペルに心を読まれることを怖れている……のを、知られることを怖れている。 だがそれは、9割方取り越し苦労だ。少なくとも、シャオがマリーを好きなことは心なんぞ読まなくても、見ていればわかる。 笑いたくなるのを咳払いで誤魔化して、 「バァさんは?」 と尋ねた。 「早くから瞑想ルームです。朝食は要らないと。 昨夜も、良くない夢を見た様子で…」 「そうか」 ふいに、周りがシンとした。気がつけば全員が、コペルを見つめている。 エルモアもコペルも、まだ予知夢の内容は話していない。それでも、子ども達は何かを感じているのだろう。 「………じィージ、…マ?」 まだ、上手く発音のできないヴァンが、皆を代弁する。 生気の乏しい、ぼーっとした表情の奥に、いっぱいの不安を抱えて。 ドウシタノ? ナニガ オコルノ? ココニ イラレナクナルノ? コペルは痩せた手を伸ばし、ふわふわした蜂蜜色の頭に置いた。 ぴくりと首をすくめたヴァンは、嫌がる様子もなくじっとしている。 「お前たちは、何も心配することはない。 ……そら、朝食だ。今週は、ホテルのシェフに通ってもらうからな。 ここの料理は、ちょっとしたモンじゃぞ」 次々に運ばれてくる皿には、黄金色のパンケーキが盛られ、半分溶けたバターとメイプルシロップがたっぷりとかかっている。 甘い香りにヴァンの目はキラキラと輝き、パンケーキに釘付けだ。 他の4人も声を上げ、フォークとナイフを手にとった。 コペルはただ笑みを浮かべ、朝食をほおばる子ども達を眺めた。 別れを告げる言葉は見つからなかったし、それを考える時間もなかった。 リリリリン リリリリン リリリリリリン 呼び出しベルは強さを増し、耳元で鳴り響く警報(サイレン)そのものになっていた。 早く電話を取れ。ゲームの世界に来い。さもなくば……。 そう、警告している。 だが、朝食を終えたコペルは居間や玄関ホールに置かれた電話の前を素通りした。 そして瞑想ルームに籠もる妻にテレパシーで呼びかけたのだ。 大事な話があると。 − 5 − コペルが持つ赤いテレホンカードの残数は、既に20を切っていた。 だが、彼にはわかっている。自分では、ゲームをクリアできないと。 トランスだけに特化したPSI(ちから)では、あの荒廃した世界は生き延びられない。 今まで生きていられたのが奇跡なのだ。 もっと若ければ、彼もライズやバーストの覚醒に耐えられたかもしれない。 だが、“サイレン”世界の大気は老いたコペルの心身を消耗させるだけだった。 限界なのだ。次のゲームでは身体がもたない。 それは彼自身だけでなく、彼を庇おうとするだろう八雲祭をも死に誘う結果をもたらす。 彼女を死なせることだけは、避けなければならないと思った。 八雲祭も、最初は他の連中と同じだった。 若く美しく、才能にも実力にもPSIにまでも恵まれ、故に“人生に刺激が足りない”人間。 好奇心で“ゲーム”に引っかかった大馬鹿者だ。 けれど、根は真っ直ぐで生きる力に溢れていた。この世界には大切な人間が大勢いるし、これからもっと増える予定だと言った。 『いつか、私より強い男に出会ったら、そいつの子を産むんだからな』 彼女ならば、ゲームをクリアできる。後に続くドリフトを守り、育てることもできるだろう。 その中から、いつか真のゴールに辿り着き、全ての謎を解く者が現れるかもしれない。 その者によって、未来は変わるかもしれない。 どんなに小さくとも、たった一粒の可能性を捨てるわけにはいかないのだ。 ドアの開く音に、コペルはテレホンカードを懐に戻した。 「なんじゃ、コペル。 瞑想中のワシのジャマをしてまで、話したい大事なこととは」 着物姿で階段を降りてきたエルモアは、不機嫌だ。 数ヶ月前から時折見ていた予知夢だが、このところは毎晩らしい。 稲妻が空を裂き、地表が抉れ、空に舞い上がり、粉々に砕け散る…。 正確な時も原因もわからない。だが、とても近い未来だとエルモアは言う。 “ゲーム”の中で薄々気づいていた筈のコペルは、それでも妻の予知に衝撃を隠せなかったのだ。 以前ならば、数年先に世界が滅ぶと知っても、何も感じなかっただろう。 自分達夫婦は十分に生きた。寿命が先か後かの違いだけだ。 何が原因であろうと、きっと人間の自業自得。知ったことではない……と。 だが、崩壊するのは彼等の子ども達の未来だった。 笑って、泣いて、喧嘩して、また仲直りして。 誰かと出会い、友情や恋を育んで、成長していくための時間。 それが、無い。突然に断ち切られ、奪われてしまう。大人にもなれず、死ぬ。 死んでしまう。……殺されるのだ、あの子達が。 リ リ リ リ リ リ リ リ リ リ゛リ゛ リ゛リ゛リ゛リ゛リ゛リ゛リ゛ 呼び出しておいて黙ったままの亭主に、エルモアが訝し気な顔をする。 巾着を窄めたような口が動いて何か言ったが、コペルには聞こえなかった。 警報は既に音ではなく、脳を直接揺さぶる衝撃となっていた。その痛みに耐えてコペルは口を開き、同時にトランス全開の準備に入る。 「こんなPSI(ちから)を持ったおかげで、すっかり世の中に嫌気がさしておった。 だが、あの子達を引き取ってから思うようになった。 ……未来は、必要だと。子ども達が死ぬしかない未来では…、なく」 ピシリと、何かに亀裂が入る音がした。振り向かずとも、コペルにはわかった。 ネメシスQだ。時空を超えてドリフト(奴隷)の元に現れる、怪人。 「な…、なんじゃあ!?」 リ゛リ゛リ゛…めろ、天樹…院古比流!!…リ゛リ゛リ゛リ゛リ゛ リ゛リ゛リ゛リ゛リ゛リ゛… 制裁プログラムが、発動… リ゛リ゛リ゛ わた…リ゛リ゛…にも、止められな……リ゛リ゛リ゛リ゛リ゛ 「だから、すまんがお前に頼む。お前に、全てを……」 警告(サイレン)も、エルモアの驚愕も無視して言葉を続けようとした、瞬間。 ビキッ 懐のサイレンカードが光を放って砕けた。制裁プログラムの発動…それは、脳のリミッターの強制解除だ。 無制限のPSIエネルギー放出に、物体限界を超えられない肉体は細胞レベルで崩壊する。炎のようなオーラに包まれ、指先から灰になる。 それでも、数秒あれば十分だった。彼が、全てを伝えるには。 崩壊した未来世界…“サイレン” その原因を探す、“ドリフト(時の放浪者)” 彼等が持つ、赤いテレホンカード ゲームを支配する、ネメシスQ…… ……だが。 意識が、乱れる。 最後に思い浮かんだのは、彼が伝えようとしていたことでは無かった。 プログラム・ネメシスQを創り上げた“未来の女”の存在でも 時を隔てた同一人物である“現在の女”が居る筈の場所で…も、…なく…… 初めて出会った時の、妻 初めて出会った時の、子ども達 孤独を、不安を、怒りを、恐怖を、絶望を、虚無を、抱え込んだ瞳 まるで鏡を覗き込むように、閉ざした心の奥にこだまする、声無き声 全てが、カチリと入れ替わる。 『うおぉ〜い、ジィちゃん!!』 天井に頭のつく高さから、手を振る声。 『ちょっと、ジジ様ッ!!』 目を吊り上げ、自分を見ろと主張する声。 『……あの…、えっと…。ジジ…さま…?』 おずおずと躊躇(ためら)い、口籠る声。 『何か…?ジジ様』 礼儀正しさで、警戒心を隠した声。 『………じィージ、…マ?』 まだ、上手く発音のできない声。 今朝の光景。朝日の差し込む食卓。 少しもじっとしていない、目の離せない子ども達の姿に…… 「コペルーッ!!」 エルモアの悲鳴か、異様な気配を察してか。 軽い足音が、幾つも近づいてくる。ジジさま!!ババさま!?口々に、叫びながら。 ネメシスQは小さな灰の山を確認し、子ども達が駆け込んでくる前に再び時空の亀裂をくぐった。その肩が、僅かに落ちていることに誰も気づかない。 “Nemesis(時を遡る力)”で、代行者・ネメシスQを操る主でさえ。 (……何故だ…?) かつては持っていた筈の名すら失った女は、カプセルを満たす液体の中で漂いながら思う。 (何故、微笑っていたのだ…?) 全ての感情を…心を捨てた彼女には、わからない。 ただ、ネメシスQにはプログラムを追加した。 『ドリフト以外の人間がその場にいる時、発動する制裁は“心臓発作による死”を選択する。 なお、そのドリフトが目的達成に値する人材である時、制裁は“警告”に止め、 死に至らない程度とする』 ……と。 − 6 − 地上は、今日も良く晴れていた。 ゆっくりとだが五感を取り戻しつつある彼女には、空の青や雲の白、樹々の緑が 万華鏡のように見える。 肌には太陽の光の暖かさと、風が生み出す大気の流れが感じられた。 時を待ちながら、彼女はテレパシーで語る。 本物の声を取り戻すには、まだ治療とリハビリが必要だった。 (私には、長い間わからなかったのだ。 灰になる瞬間、天樹院古比流が何故、微笑っていたのか…) 「そうか、ジィちゃんが…。」 銀色の髪と褐色の肌の青年が、呟く。その声に、養父を殺された怒りや恨みはない。 夢喰島で出会った最初から、彼等エルモア・ウッドはそうだった。 「おばあ様も、亡くなる時は笑ってたわ。 “根(ルート)”が壊されて、マリーは攫われて、大変な時だったのにね」 金色の髪と青い眸の小柄な娘が、懐かしそうに目を細める。 隣で栗色のポニーテールと豊満な胸の娘が、緑の眸を潤ませた。 「おばあ様…。わたし、最後まで心配をかけて…」 養母の死に目に会えなかった娘を、その反対隣を陣取っている黒髪の青年が懸命に慰める。 「マリー、おばあ様は信じて逝かれたんだ。今日のような未来が来ることを。 きっと今は天国で、おじい様と一緒に僕達を見守っていてくださるよ」 娘がコクリと頷いて良い雰囲気になったところに、蜂蜜色の髪と水色の眸のキュア使いの少年が茶々を入れた。 「おじい様とおばあ様は、本当に仲の良い似たもの夫婦だったんですねぇ〜。 シャオ君も、マリーさんとそうなれるよう、もっと頑張らないといけませんね!!」 「ヴァン!!お前というヤツは、いつもいつもいつも余計なことを……!!」 「そんな話は早いっつーんじゃッ!!シャオ、少なくともあたしを倒してからよッ!!」 「あの、えっと、よくわかんないけど、みんなケンカしないで…?」 いつもどおりのやり取りを始めた仲間達に、銀色の髪の青年…カイルは肩を揺らす。 そんな様子に、彼女は心での言葉を続けた。 (今ならば、わかる気がする…。灰になって、彼が残そうとしたものが何か) 「……そっか」 カイルは、短く答えた。 (それは何か、とは尋ねないのだな…。) 金髪の娘やポニーテールの娘、黒髪の青年、キュア使いの少年も同じだろうと彼女は思った。 家族の絆とは、他人には理解できない程に強いものなのだ。 たった一人の弟とすら、わかりあえずに終わった自分など、“気がする”ことすらおこがましいと。 けれど青年は、白い歯を見せて言った。 「えー?だってさ、あんたも今、微笑ってるじゃん!!」 光が、両手を暖める。風が、頬をくすぐる。 うなづけば足元の草の中に、見上げれば頭上の樹々の枝先に、無数の小さな色彩。 (そうか……。) 「さぁ、みんな!!アゲハを起こそうぜ!!」 おおーッ!!と、声を上がる。 太陽が降り注ぐ、青い空の下で。 緑に溢れる大地の上で。 今を生きる人々が、笑う。 そして彼女は目を閉じる。時を超えて繋げるのだ。 もう一つの未来から、もう一つの過去へ伝えるために。 ここに、花は咲いていると − 終 − ≪TextTop≫ ≪Top≫ *************************************** (以下、反転にて補足的につぶやいております。) エルモアさんの亡きご亭主、古比流(コペル)氏。 4巻時点の1年前に灰になった…ということは、祭先生とゲーム参加が 重なっていた可能性も考えられます。 祭先生が雨宮さんを、雨宮さんがアゲハと飛龍を、アゲハ達がカブトや朧を、 それぞれゲーム参加当初に守り導いたのなら、祭先生を守り導いたのは コペルさんだった…というのもあり得ない話ではないかもしれません。 また、07号さんが現代のサイキッカー(の素質のある者)に意識を繋いで ゲームを進めていることから、最初の“接続”は余程テレパシー能力のある サイキッカーが、現在兼10年後の彼女の近くにいなければ成功しなかった のではないか? つまり、最初のドリフトはコペルさんだったのでは? ……とか、連載中からずっと考えていたのですね。 ただ、コミックスを読み返してみると、 CALL.10:八雲祭談「私がサイレンに初めて行ったのは、2年以上前のことだ」 CALL.11:八雲祭談「私の初めてのゲームは、その当時住んでいた九州…!!」 (背景の地図を見ると、位置的に福岡県) CALL.30:エルモア談「そんな古比流が1年前、ワシの目の前で灰になった…(中略) …あれは九州へ旅行に行ったほんの何週間か後じゃなあ…」 あれ?コペルさんは祭先生より後参加? それより祭先生、1年かかって本州に到達してなかったの? (だって新しいゲーム参加者って、前回のゴール地点近郊に居る人間みたいだったし) ……と、いう数々の疑問を解決できるよう、ムリヤリ考えました。 「過去(2008年以前)設定」といいつつ、5thゲーム未来設定が混在している上、 サラッと小説版設定やウソ設定を盛り込んでいます。 好みと勝手イメージなので、広い心で読み流していただけるとありがたいです。 私にとって、何故か“花咲か爺さん”のイメージがあったコペルさん。 自身が灰になることで、花が咲く未来を繋げた…みたいな。 犠牲になったのは彼だけではないけれど、彼がいなければ“あの未来”が 生まれなかったのも確かでしょう。 そんな“誰か”が知らないところで大勢いて、いろんな力が働いて、無数の 可能性の中の“たった1つ”の世界が成り立っている。 そんな“PSYREN”の世界観が大好きでした。 参考:小学唱歌より(石原和三郎作詞・田村虎蔵作曲) はなさかじいさん うらのはたけで、ぽちがなく しょうじきじいさん、ほったれば おおばん、こばんが、ザクザクザクザク いじわるじいさん、ぽちかりて うらのはたけを、ほったれば かわらや、かいがら、ガラガラガラガラ しょうじきじいさん、うすほって それで、もちを、ついたれば またぞろこばんが、ザクザクザクザク いじわるじいさん、うすかりて それで、もちを、ついたれば またぞろ、かいがら、ガラガラガラガラ しょうじきじいさん、はいまけば はなはさいた、かれえだに ほうびはたくさん、おくらに一ぱい いじわるじいさん、はいまけば とのさまのめに、それがいり とうとうろうやに、つながれました |