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アイスウィンド旅日記
(その3)


●2005年4月12日(火)・炎の奴隷解放戦線(第5章)

 ついに、失った記憶を取り戻したブルーノー
 魂を縛る呪いから自我を守るために、王族という偽りの鎧に身を固めていたのですが、とうとう呪縛から解放されたわけです。記憶を取り戻したことで、一時、アイデンティティの崩壊に苦悩した
ドワーフ戦士でしたが、故国の再建という目的を見すえ、再び斧を振るう決意を固めます。
 そんな彼に与えられた武器が、
「セレブラント・ブレード」。蹂躙されたドワーフ王国解放の祈りをこめて、ドワーフの創造主にして鍛冶神モラディンの炉にて鍛えられた、強力な戦斧です。その性能は「バトルアックス+4」。本ゲームで入手できる武器の最高位が「+5」であることを考えると、かなりの高性能武器と言えましょう。欠点は、攻撃力以外の特殊効果を持たず、気絶効果を有した電撃斧の方が、有効な局面が多そうだ、ということ。
 それでも、この
「セレブラント・ブレード」こそが、ブルーノーに王国解放の期待と責務を担わせる原動力と言えるでしょう。

 こうして一行は、ドワーフの住処であった『アッパー・ドーンズ・ディープ(黎明の洞窟上層部)』を通過し、さらなる下層部『ローワー・ドーンズ・ディープ』を目指します。
 その途上にある氷雪地帯『ウィルムズ・トゥース(氷竜の牙)』にて。

ブルーノー「うおお、不当な拘束に縛られし者は、我が刃にかけて、解放せしめるべし!」

クァイル「出でよ、天才幻術師のモンスター部隊よ!」

ミレーヌ「アレグロ♪ アレグレット♪ アフレッタンド♪ みんな、素早く動きなさい!」

フレイ「これでもくらえ! 火球爆発!」

先生「夜明けの光よ、我に力を! 太陽槍・魔力解放、フレームストライク!」

カイヴァン「デュアルウエポン! 剣の舞!」

 ……ということで、フロストサラマンダーや、スノートロール、ウィンターウルフ、そしてフロストジャイアントなどから構成されるマスター配下のモンスター軍団と大立ち回りを繰り広げた挙句、彼らに囚われていた人間の奴隷たちを解放するのでした。
 まあ、本当は、「フロストサラマンダーの族長が、一行をマスターの間諜と勘違いして、わざわざ隙を見せた」とか、
 「フロストジャイアントのリーダーが、力を渇望した息子に暗殺されて、指揮系統が混乱していた」
とか、
 いろいろドラマがあったわけですが、結局のところ単純な力技で、何の苦労もなく、付近のモンスターを一掃したということで、特筆することはあまりなし。

 強いて言えば、昔、クルダハルを雪と氷に埋めようとして、一行に成敗された「氷神オーリルの女神官」の仲間が、マスター配下にいたりして、これまでの伏線が徐々に収束していくのを、感じた次第。
 ついでに、『ウィルムズ・トゥース(氷竜の牙)』の名の通り、飛竜のホワイトウィルムと戦ったりしました。奴隷の一部は、飛竜の生贄にされていたりして、野蛮な世界の雰囲気をかもし出していたり。

 そういう背景の物語や雰囲気は、いろいろあっても、ゲームとしてやっていることは、ドカーンドカーンの派手な大バトルってことで、非常に勢いよく、一気に楽しめた章でした。
 そして、フロストジャイアントの持っていた「マスター配下のバッジ」も入手し、バッジはこれで2つ。
 この後の章で、残り4つを手に入れたとき、マスターの元に通じる門が開かれるそうです。いよいよ、クライマックス近しってことで、第6章につづく。

※第5章終了時点での、キャラ紹介(色つきは、新装備や呪文)

●ブルーノー:ドワーフのレベル10ファイター。HP143。AC−2。

 ・メイン武器:セレブラント・ブレード+4(解放者の斧)。4回攻撃。
   攻撃力1d8+4(能力ボーナス+9)
 ・防具:プレートメール(AC3)
      デッドマン・フェイス(恐怖態勢をもった兜。AC1ボーナス)
      強化ラージシールド+2(AC3ボーナス)
 ・その他:リング・オブ・レックレス・アクション(向こう見ずの指輪。追加攻撃1回。ACペナルティー2)
      ミスランのマント(エルフのマント+3。AC3ボーナス)
      合計AC−2。
 ・コメント:新武器と、指輪の魔力で、さらに攻撃力が上昇しました。
       HPは、レベルアップによって、前よりも8上昇。
       本当は、耐久度ボーナス(+5)は、10レベル以上だと適用されないはずなのに、
       なぜか、本来のHP上昇値3に上乗せされております。
       まあ、有利だから、いいけど。   

●カイヴァン
:人間(元エルフ^^;)のレベル9レンジャー。HP136。AC−4。

 ・メイン武器:ロングソード・オブ・ザ・ハンド+3(ハンド塔の長剣)。3回攻撃。
   攻撃力1d8+3(能力ボーナス+5)
 ・防具:メイル・オブ・ライフ(生命の鎧。AC2。+10HP。毎ラウンド1HP回復)
     ブレスト・ヘルメット・オブ・ラスアンデル(祝福されし兜。AC2ボーナス)
     敏捷性ボーナス+4により、合計AC−4
 ・コメント:ブルーノーと対照的に、防御面が強化されました。
       ここまで、割とブルーノーが主役みたいでしたが、
       第6章では、彼にもスポットが当たればいいなあ、と。

●先生:ハーフエルフのレベル9ファイター/レベル11ドルイド。HP93。AC−2。

 ・メイン武器:シミター+3。2回攻撃。
   攻撃力1d8+3(能力ボーナス+3)
 ・防具:ベイルフルメール(AC3、対精神防御の追加効果)
      ヘルメット(クリティカルヒット防御)
      ラージシールド+1(AC2ボーナス)
      ブラックウルフ・タリスマン(黒狼の護符。HP+10、AC1ボーナス)
     敏捷性ボーナス+2により、合計AC−2。
 ・メイン呪文:レベル1、キュアライトウーンズ(軽傷治癒)
         レベル2、キュアモデレートウーンズ(中傷治癒)
         レベル3、ホールドアニマル(動物呪縛)、プロテクション・フロム・ファイヤー(耐火防御)
         レベル4、キュアシリアスウーンズ(重傷治癒)
         レベル5、キュアクリティカルウーンズ(致命傷治癒)
         レベル6、ヒール(完全治癒)
 ・コメント:先生の場合、特筆すべきは武器として、「シミター+3」が入手できたこと。
       槍や杖よりも攻撃力が高いし、シールドも持てる、と良いことずくめ。
       あと、レベルアップにより、完全治癒の「ヒール」が使えるようになったのも、
       大きいです。これで、突撃タンクのブルーノーがどれほど傷ついても、
       一瞬で全快できるなど、非常にありがたいです。

●ミレーヌ:レベル12バード。HP64。AC−2。

 ・メイン武器:ショートボウ+1、攻撃力1d6+1。
 ・防具:エルフ・チェーンメール・オブ・ハンド+3(AC2、冷気耐性、装備中でも魔法使用可)
     敏捷性ボーナス+4により、合計AC−2。
 ・メイン呪文:レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、スニロックス・スノーボール・スウォーム(雪つぶて)
         レベル3、ヘイスト(加速)、フレイムアロー(炎の矢)、モンスターサモニング1(怪物召喚)
         レベル4、エモーション・勇気(士気高揚)
 ・コメント:あまり変化ありませんね。一応、レベルアップによって、HP上昇、
       呪文の使用回数も、少し増えましたが、劇的な変化とは言い難いです。

フレイ・アルスター:エルフのレベル10メイジ/レベル11シーフ。HP72。AC2。

 ・メイン武器:ショートボウ+1、攻撃力1d6+1。
 ・防具:冷気耐性のローブ
     AC6のブレーサー
     ローレル・オブ・フェイバー(香りの花冠。AC1ボーナス)
     敏捷性ボーナス+3により、合計AC2。
 ・その他:リング・オブ・ウィザードリィ(魔導の指輪。レベル1&2魔法、使用回数2倍)     
 ・メイン呪文:レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、ミラーイメージ(分身)、スティンキングクラウド(悪臭煙幕)、
               メルフズ・アシッドアロー(酸の矢)
         レベル3、ファイヤーボール(火球)、ディスペルマジック(魔法解除)
         レベル4、アイスストーム(氷の嵐)
         レベル5、クラウドキル(毒雲)
 ・コメント:成長はわずかですが、指輪の効果で、マジックミサイルの発射回数が
       圧倒的に増えたので、攻撃力急上昇と言えます。
 
●クァイル:ノームのレベル9クレリック/レベル10イルージョニスト。HP56。AC1。

 ・メイン武器:スリング+2、攻撃力1d4+3。
 ・防具:ネクロマンサーのローブ(AC8。魔法、死、毒に耐性)
     ヘルム・オブ・ザ・トラスティッドディフェンダー(ノーム専用ヘルム+3)
     強化ラージシールド+1(AC2ボーナス)
     敏捷性ボーナス+2により、合計AC1。
 ・メイン呪文(魔法使い):レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、ミラーイメージ(分身)、メルフズ・アシッドアロー(酸の矢)
         レベル3、モンスターサモニング1(怪物召喚1)、ライトニングボルト(電撃)
         レベル4、モンスターサモニング2(怪物召喚2)、ディメンジョンドア(瞬間移動)
         レベル5、モンスターサモニング3(怪物召喚3)、コーン・オブ・コールド(冷気噴出)
 ・メイン呪文(僧侶):レベル1、キュアライトウーンズ(軽傷治癒)
         レベル2、サイレンス(沈黙)、ホールドパーソン(対人金縛り)
         レベル3、ディスペルマジック(魔法解除)
         レベル4、ディフェンシブハーモニー(防御の調べ)
         レベル5、キュアクリティカルウーンズ(致命傷治癒)
 ・コメント:僧侶魔法のレベル5が使えるようになった以上に、
       モンスターサモニング3の巻物を見つけたのが嬉しいです。
       もう、召喚係としての位置づけは確定ですから。 
 

 

●2005年4月13日(水)・魔術師マラヴォン(第6章その1)

 『ウィルムズ・トゥース』で、氷属性のモンスター軍団と派手に戦った後、いよいよ、『ローワー・ドーンズ・ディープ』踏み込むことになった一行。
 ここは、
マスター配下の軍団が占拠している大要塞。 BGMも厳かで(『ロード・オブ・ザ・リング』の悪側のテーマに近い感じ)、決戦ムードをかもし出す雰囲気が、ビンビンと立ち込めています。

 すぐに、突入しようと逸る気持ちを抑えて、これまでの章の後始末を一つ。

 
シヴィアード・ハンドの塔にて。
 
ラレル「裏切り者のドワーフが、のこのこと戻ってきおって、何の用だ?」

ブルーノー「前も言ったが、ドワーフは同盟者を裏切らん。ドーンズ・ディープで、これを見つけたから、あんたに届けに来た」

ラレル「?  ……これは、我が娘エヴァインの日記だと?」

ブルーノー「あんたの娘さんは、ドワーフとエルフの信義を貫くために、ドーンズ・ディープに来て、共に戦い、その結果、名誉の戦死を遂げたのだ」

ラレル「バカな娘だ……」

ブルーノー「信義を貫くことは、バカなのか? それとも、信義を貫けず、疑心暗鬼に駆られて、盟友を失い、一族を滅亡に追い込むことがバカなのか? わしには決めることはできん。ただ、言えるのは、その娘さんの日記にあるとおり、わしらはエルフを裏切っていないし、娘さんは最後の日まで、ドワーフとの絆を断ち切ったあんたの過ちを償おうと、そして、いつかあんたに理解してもらおうと、真剣に願っておったのだ。その想いだけでも、汲んでやってはくれまいか?」

ラレル「……」

ブルーノー「わしらは、また旅立つ。この戦いを陰で操り、今なお、ドーンズ・ディープの地底深くを占拠している邪悪の軍団と決着をつけるためにな。そして、わしは、いつか、滅亡した我が王国を再興させるつもりだ。過去には不幸があったが、それを教訓に未来を築きあげたい、と思う。それでは、な」

ラレル「おぬし……。娘エヴァインのことについては、礼を言う。過去の過ちを償いたい、という娘の気持ちは、確かに受け取った。ここで死んだ者の供養が済み、気持ちの整理がつけば、我が種族の未来のことについても、考えることができよう。それから、また話し合いたい。必ず戻ってきてくれないか」

ブルーノー「解放者の刃にかけて、信義は守る、と誓おう。エルフの神にも、我らの生還を祈っていてくれ」

 ……ということで、ドワーフ嫌いのラレルさんとも、何とか仲直りできました。
 ついでに、コレロン・タワーの「庭の再生」に必要なアイテムの一つ「きれいな水」も、「氷神の神官」を倒してGET済みなので、手渡します。後は、「植物の種」「小動物」です。ミニイベントとはいえ、それなりの経験値にはなりますので、まめにこなしていきたいです。

 用事が済んだので、『ローワー・ドーンズ・ディープ』に突入。
 当然、敵のアジトですので、迎え撃つ敵部隊との大立ち回りになるわけですが、「寄らば斬るぞ!」「おととい来やがれ」「ムフフ、あ、ば〜か〜め〜!」の派手な剣劇で撃退です。これがBGだと、必殺よろしく「ザコをおびき寄せて、数を減らした後で、奇襲攻撃でボスの命を狙う」展開で、いかにも暗殺者ってな(姑息、あるいは頭を使う)ノリでしたが、IWも今のレベルになると、パワープレイの大活劇を楽しめると(一応、剣劇人も「必殺」なんだけど、うらごろしに続く異色作だからなあ^^;)。
 もちろん、何も考えずに勝てるわけではなく、召喚やヘイスト、支援魔法を駆使した挙句の力押しです。当然、撤退の見切りをつけることも重要で、ある程度、戦った後は、「助さん、格さん、もういいでしょう」とばかりに、「控えおろう!」と叫んで戦術的後退を図ります(相手が控えるのではなく、自分たちが控える=出過ぎずに下がる、わけですな^^;)。そして、休息した後で、さらに奥へ突入……を繰り返すことに。

 それでも広い『ローワー・ドーンズ・ディープ』。さすがに、一気にクリアできそうにありません。
 戦いながら、奴隷にされているスヴァーフネブリン族を助けたりして、情報収集にも励みます。
 スヴァーフネブリンと言えば、ディープノームとも呼ばれる種族ですが、クリン(ドラゴンランスのAD&Dワールド)のどぶドワーフに近い印象があります。要するに、バカにされ、迫害されている卑小な種族。
 また、NOVAにとってスヴァーフネブリンと言えば、カイヴァンとの奇妙な縁もございます。詳細はこちら。AD&Dゲームブック『魔法の王国』3部作(1巻『魔力の杖』、2巻『魔術師の宝冠』、3巻『魔域の対決』)で、主人公の魔術師カー・デリングを助けてくれるエルフ(名前失念)がいるんですが、2巻で死んじゃう彼が、3巻でスヴァーフネブリンとして転生するわけですね。これで、「エルフ→スヴァーフネブリン」がありなら、「エルフ→人間」もありだろう(笑)と考えて、NOVAのミスに適当なつじつま合わせをした、と。
 なお、なぜ、「エルフ→スヴァーフネブリン」になったかと言うと、AD&Dのルールでは、「エルフは、レイズデッドの魔法で復活できない」となっています。そのため、より高位の呪文「リーインカネーション」で転生したわけですが、この呪文は新しい肉体がランダムで選ばれます。その結果……驚きの展開になったわけで。

 話を戻して、本作でのスヴァーフネブリンです。
 『ローワー・ドーンズ・ディープ』
についての情報をくれます。それによると、ここの宮殿を仕切っているのは、マーケスという男。マーケスの上には、イルメイターの僧侶ポキューリンという男がいるそうです。でも、不思議なのは、イルメイター神って邪神じゃないんですね。こちらでも書いたのですが、再録すると、

イルメイター神は治癒の神さまで、人々の苦しみを取り除く、あるいは、取り除けない苦しみを代わりに引き受けることを奨励している、いささかマゾヒスティックな宗派。人を傷つけることが禁忌なので、殴って何ぼの冒険者には向きませんが、町の寺院には欠かせない存在です。

 そんなわけで、イルメイター神の僧侶が邪悪に加担している? 一体、どうして? って思えるのですが、それについては後の楽しみにするってことで。

 さて、いきなりマーケスの宮殿に突入する……という選択もありなのですが、その前に周辺を探索することにします。終盤が近づいてきて、少しでも経験値稼ぎをしたいですから。
 で、迷い込んだのが、「職人地域」と呼ばれる場所。ここに出現するアンバーハルクというモンスターが少々厄介で、「混乱効果のある視線」を飛ばしてきます。仲間の混乱を鎮めるための「ディスペルマジック」の呪文が必須です。
 ここで入手できる「ペールジャスティス」という名の聖剣は、非常に強力(通常+4、対邪悪+7)なのですが、残念ながらパラディンにしか使えません。ここがアムンだったら良かったのに……って、この時代にはまだパラディンのNOVAは生まれていないか。せっかくの聖剣も、うちのパーティーには無用の長物です。これがウィザードリィだったら、「村正GET! よし、サムライに転職だ!」って言えるのですが、AD&Dではパラディンに転職したりはできませんからねえ。

 気を取り直して入った場所が、魔術師マラヴォンの研究室。
 このマラヴォン自分のかわいがっているアンバーハルクが、師匠の作ったネオ・オーグに苛められるのを憤って、師匠をアンバーハルクに変身させて、ネオ・オーグに苛めさせる、という復讐劇を遂げた、なかなか愉快な奴なんですが(苦笑)、
 いささか視線恐怖症の気もあるらしく、奴隷のスヴァーフネブリンの目をくり抜いたり、「姉貴が、自分をじろじろ見つめるから、顔面を殴った」なんて武勇談を聞かれもしないのに、一行に語るなど、実に破綻した精神の持ち主です。

マラヴォン「わしを攻撃すると、周りのスヴァーフネブリンの命がないぞ!」
 
って、いかにも悪役らしいセリフも吐くわけですが、それに対するパーティーの選択肢が、

@「スヴァーフネブリンを殺せるものなら、殺してみろ! お前には無理だ」と、

A「殺したければ、殺すがいい。それで、我々に何を望むのだ?」
の2種類があって、

 思わず、「スヴァーフネブリンを殺さないでくれ」という選択肢はないのかよ! とツッコミを入れました。要するに、そういう扱いってことです、スヴァーフネブリンって(苦笑)。

 で、何を選んでも、結局は戦闘になって、相手はスヴァーフネブリンを巻き込んで、クラウドキル(毒雲)の呪文を掛けちゃうわけで、本当にバッタバッタと死んでいく、スヴァーフネブリンが、いと哀れです。
 一方のパーティーですが、第2章のときならいざ知らず、成長した今なら、即死は免れます。とりあえず、毒雲の範囲外に後退して、護衛のゴーレムとか、アンバーハルクを撃退してから、その勢いで突撃敢行。マラヴォンを一気に切り刻みます。
 しかし、倒したマラヴォンは、実は幻影でした。その後、ディメンジョンドアによる瞬間移動を繰り返しながら、神出鬼没に呪文を繰り出します。戦場の至るところに、移動封じのクモの巣を張られ、そこに毒雲をまいて、継続ダメージを与える戦法ですが、

ブルーノー「うおお、魔術師、どこだあああ! 切り刻んでくれるぅぅぅぅう!」

 
クモの巣など、ものともせず、怒涛の勢いで、魔術師を追い掛け回し、斧を振り回すドワーフ戦士(未来の王候補)の姿には、プレイしているNOVA自身、呆気に取られました。他の仲間、先生とか、フレイとかは見事にクモの巣に引っ掛かって、毒雲でゴホゴホ苦しんでいるにも関わらず、ブルーノーただ一人が元気に研究室じゅうを駆け回り、出現した魔術師をゲシゲシ殴っているのですから(NOVAが与えた指示は、最初に「魔術師を攻撃しろ」といっただけ)。
 恐るべきは、ドワーフのセービングスロー(魔法などの特殊攻撃回避能力)。ドワーフは、特殊攻撃への耐性が非常に優れているんですね。
 ともかく、細かい作戦とか、態勢を立て直す、とか、そういうことを考える間もなく、ブルーノーがきちんと始末をつけてくれました(笑)。いや、一応、カイヴァンブルーノーの後から追い付いてきて、援護してはいたんですが……どう見ても、殊勲賞はブルーノーの方だよなあ (後で、キャラデータの戦歴を見ると、とどめを刺したのは一応、カイヴァンでしたが)。

 ただし、敵を倒しても、他の仲間が命を落としてしまっては、やり直さないといけません。そちらもドキドキしながら、見ていたんですが、一番ピンチだった先生フレイが、かろうじてクモの巣の呪縛から逃れ得たので、すかさず毒雲の効果範囲から退避。何とか、九死に一生を得た形に。
 こうして、
マラヴォンの持っていた「マスター配下のバッジ」3つめもGET。残りの幹部は3人……ということで、つづく。

 

●2005年4月15日(金)・マーケスの宮殿(第6章その2)

 マスター配下の幹部の一人、魔術師マラヴォンを強引な力技で撃退できたので、この調子なら、マーケスの宮殿に突入しても何とかなるかな? と思い、次の標的を奴に定めます。
 宮殿に住んでいるからには、マーケスって戦士かな? と思っていたところ、配下には盗賊連中がいっぱい。宮殿前で、いきなり奇襲攻撃を仕掛けてくるなど、やはり
BGとは勝手が違います。BGのときは、(主人公の職業が聖騎士パラディンであるにも関わらず)、権力を味方に付けた相手に対して、隠密的に崩していく展開でしたが、今回は正々堂々と正面から乗り込んでいき、コソコソしているのは向こうの方、と。

 物陰から、不意打ち狙って仕掛けてくるザコ盗賊を蹴散らし、(回復のために態勢を立て直した後で)宮殿に突入します。
 配下の
サラマンダーや、赤いキノコ怪人が「出会え、出会え」と押し寄せてくる中で、
 桃太郎侍よろしく、「一つ、人の世、生き血をすすり」「二つ、不埒な悪行三昧」……って、これじゃ、セリフの数が足りませんな。番組は終わっちゃったけど、やはり、ここが
時代劇よりも特撮メインのサイト(最近は、あまり記事を書いてないけど^^;)である以上は、こうでしょう。

フレイ「一つ! 非道な悪事を憎み!」(スヴァーフネブリンを奴隷として酷使)

ブルーノー「二つ! 不思議な事件を追って!」
(どうして、治癒神の信徒が悪事?)

カイヴァン「三つ! 未来の科学で捜査!」
(おお、科学はどうか知らんが、確かにカイヴァンは未来から来たよな)

先生「四つ! 良からぬ宇宙の悪を!」
(さすがに、宇宙は無理があるか……)

ミレーヌ「五つ! 一気にスピード退治!」
(攻略には、一年半かかったけどね^^;)

クァイル「無法の悪を迎え撃ち、恐怖の闇を打ち破る!」
(ボスのにしようか迷ったんだけど……ボスのセリフは、「百鬼夜行をぶった切る! 地獄の番犬デカマスター!」でして、幻術師/僧侶のクァイルに、相手をぶった切ることは不可能ですから、結局、テツのを採用 )

 ……ということで、結局、記事が書けなかったデカレンジャー追憶記念に、名乗りゼリフぐらいは残しておこうと(苦笑)。
 一応、色別にキャラ分けしてみましたが、性格別に見るなら、
「バン=ブルーノー」「ホージー=カイヴァン」「仙ちゃん=先生」「ジャスミン=ミレーヌ」「ウメコ=フレイ」かもしれない。クァイルは……ハクタクばあさん?(爆)

 閑話休題。準備万端で乗り込んでいる以上、押し寄せるザコもバッタバッタと切り倒していけます。向かうところ敵なしの状態で、たちまち宮殿の一階を制圧。
 休息の後、2階に行くと、一部の強敵護衛兵や、物陰から不意打ちを仕掛けてくる命知らずの盗賊を除けば、非戦闘員ばかりなので、難なくクリア。むしろ、倒した敵の落としたアイテムの吟味の方に、時間を費やしたぐらい。今のパーティーは、暗殺者ではなく、押し込み強盗……といった感じです。

フレイ「悪人に人権はないから、これでいいのよ」

 ……と、某有名女魔術師(CV林原めぐみ)のような発言をしている方もいますが。君の声優は、本来、桑島法子譲だったろうに。桑島嬢で「魔法使い/盗賊」だと、
「神風怪盗ジャンヌ」を連想すればいいのかな? いや、まあ、ジャンヌは天使が原動力なので、厳密には「魔女ッ娘」とは言わないんでしょうが……。

 とまあ、いささかアニメの方にも脱線している間に、 最上階の3階へ向かう……、とその前に。
 2階の台所で手に入れた
「じゃがいも袋」を空腹のスヴァーフネブリンに持って行ったり、
 おかげで、スヴァーフネブリンの信頼を勝ち得て、隠し避難所に招待されたり、
 そこで変わり者のドロウの闇商人から
「リス」「小鳥」を購入したり、
 その
「小動物」と、前回マラヴォンを倒した際に入手した「植物の種」を持って、シヴィアード・ハンドの塔の植物庭園を復活させたり、
 とにかく、いろいろと寄り道をして、経験値稼ぎに時間を使います。

 あと、2階で「マラヴォンに殴られた噂の姉貴」であり、今は「マーケスの愛人」をしているドロウエルフのジナファエさんに遭遇 したことも特筆。彼女は抵抗せず、ただ
マーケスは悪い人ではないので、命だけは助けて」と懇願してきます。
 
「約束はできないが、できる限りの努力はしよう」と答えるブルーノー。いかにもローフルグッドらしい答えですな。ローフルは、約束したことは守らないといけません。よって、言質をとられないような模範的な回答と。

 そうして、3階につくと、

マーケス「命だけは助けてくれ。何でもするから」

 は? てっきり、強敵との対決でもあるのかと思いきや、あっさり降参するマーケス

ブルーノー「だったら、バッジをよこせ」

マーケス「はい、どうぞ」

フレイ「ついでに、持っている武器と防具、その他、マジックアイテムも置いていきなさい」


カイヴァン「おいおい、いくら何でも、それはないだろう」

フレイ「手に入る物は、最後まで搾り取る。それが、盗賊の正義よ」

ミレーヌ「ふつう……それは正義って言わないけど」

フレイ「良い人から搾り取れば悪で、悪い人から搾り取れば正義。完璧な論理じゃない?」

マーケス「どうぞ、どうぞ、何でも持って行って下さい」

フレイ「あら、なかなか話が分かるじゃない。さすがは盗賊を仕切っているだけはあるわね」

マーケス「それはもう、盗賊の流儀は身に付いておりますんで。で、物は相談なんですが、この懐の中の
指輪だけでも、見逃してやってはくれませんかね?」

フレイ「当然、見逃さないに決まってるじゃない。残さず、置いて行きなさい」

マーケス「……あんたは鬼のような人だ!」


クァイル「今年の特撮ファンにとって、それは
誉め言葉でしかないぞ」


先生「
『鍛えてますから』と、切り返せるわけだな」


 はい
、本当に鍛えてますな。レベル10以上のシーフだと、部下を集めてギルドを結成することもできるわけで、ずいぶん育ってくれました。
 そんな女盗賊を初め、階下の護衛部隊を一掃したパーティーにビビッて、命からがら逃走したマーケスさんですが……。

ミレーヌ「その指輪は、身に付けない方がいいわ。装備すると石化するわよ」

フレイ「何ですって? あの男、こちらを罠にはめるつもりだったわね」

クァイル「罠にしては、あからさまじゃったがな。本当に大事なものだったら、普通、これ見よがしに懐から取り出して、提示したりはせんじゃろ。盗賊の流儀は身に付いておる、と言っておったが、人をだます虚偽のテクニックはまだまだじゃったな」

ブルーノー「そんな奴にだまされかけた、うちの
女盗賊もまだまだ、と言えるがの」

フレイ「キーッ! この怒りをどこにぶつけたらいいの!」
(壁にマジックミサイルを撃ち込む)

謎の声「ギャアーーーーーッ!」

フレイ「へッ?」

カイヴァン「どうやら、ネズミが一匹、隙をうかがっていたようだな」


 
ええと、隠れていた盗賊の名前は、セスさん。マーケスの腹心で、凄腕の暗殺者……とのことなんですが、NOVAのプレイでは、「マジックアイテムの鑑定に気をとられている間に、気づかぬうちに、AIの自動戦闘で撃退」されていたわけです。マーケスの装備を鑑定し終わった後、何故か、そこに転がっている死体……しかも、強力なマジックアイテム装備と。

 こうして、「策略家だけど、臆病者の
マーケス」に逃げられる、という意外なオチで、いささか肩すかし気味でしたが、「マスター配下のバッジ」4つめもGET。残りの幹部はあと2人……ということで、つづく。

※ここまでの、キャラ成長(色つきは、新装備や呪文、成長した数値)

●ブルーノー:ドワーフのレベル11ファイター。HP151AC− 4

 ・メイン武器:セレブラント・ブレード+4(解放者の斧)。4回攻撃。
   攻撃力1d8+4(能力ボーナス+9)
 ・防具:ベイズド・イン・ブラッド鮮血の鎧。AC−1)
     ブレスト・ヘルメット・オブ・ラスアンデル(祝福されし兜。AC2ボーナス)
      強化ラージシールド+2(AC3ボーナス)
 ・その他:リング・オブ・レックレス・アクション(向こう見ずの指輪。追加攻撃1回。ACペナルティー2)
 ・コメント:鮮血の鎧を入手。名前はいかにも呪われていそうなんですが、
      
純粋に強力な鎧で、外見も「通常の3倍」は動けそうなので、
      
採用です。スピードブーツも履いているので、
      
普段から、通常の2倍の速度は確保してます。

●カイヴァン
:人間(元エルフ^^;)のレベル11レンジャー。HP140AC−5

 ・メイン武器:ショートソード+4/ハンマー(気絶打撃の小剣)。3回攻撃。
   攻撃力1d6+4(能力ボーナス+9
 ・防具:アンバーハルク・プレート(AC2)
     デッドマン・フェイス(恐怖態勢をもった兜。AC1ボーナス)
     クローク・オブ・プロテクション+2(防護マント。AC2ボーナス)
     敏捷性ボーナス+4により、合計AC−5。
 ・メイン呪文:レベル1、キュアライトウーンズ(軽傷治癒)
         レベル2、キュアモデレートウーンズ(中傷治癒)
 ・コメント:ブルーノーに比べて、いまいち目立たない彼ですが、
       装備的には、結構、気を使っています。
       今回、武器を新調。小剣ですが、気絶打撃の追加効果もあり、
       また、以前の「1d8+3」に比べて、期待値は同じで、最低値はアップ。
       最大値は落ちているものの、追加効果の恩恵はそれを凌ぐ、と。
       さらに、筋力増強ベルトで、ブルーノーに匹敵する攻撃力を確保。
       最終決戦に向け、活躍が期待されるところです。
       あと、忘れてたけど、少々、呪文が使えるようになっていたんですね。

●先生:ハーフエルフのレベル9ファイター/レベル12ドルイド。HP104AC−6

 ・メイン武器:シミター+3。2回攻撃。
   攻撃力1d8+3(能力ボーナス+5
 ・防具:メイル・オブ・ライフ(生命の鎧。AC2。+10HP。毎ラウンド1HP回復)
      ヘルメット(クリティカルヒット防御)
      ミステリー・オブ・ザ・デッド(神秘的な死者の楯。AC4ボーナス)
      ブラックウルフ・タリスマン(黒狼の護符。HP+10、AC1ボーナス)
     ガントレット・オブ・エルフマイト(妖精力の小手。AC1ボーナス)
     敏捷性ボーナス+2により、合計AC−6。
 ・メイン呪文:レベル1、キュアライトウーンズ(軽傷治癒)
         レベル2、キュアモデレートウーンズ(中傷治癒)
         レベル3、ホールドアニマル(動物呪縛)、プロテクション・フロム・ファイヤー(耐火防御)
         レベル4、キュアシリアスウーンズ(重傷治癒)
         レベル5、キュアクリティカルウーンズ(致命傷治癒)
         レベル6、ヒール(完全治癒)
 ・コメント:先生は、防御面を重点的にアップさせました。
       それと、攻撃力も、ガントレットによる筋力増強効果で、多少アップ。
       前衛戦士としては心もとないHPも、鎧とタリスマンの増強効果で、
       ようやく3ケタになりました。

●ミレーヌレベル14バード。HP68。AC−2。

 ・メイン武器:ショートボウ+1、攻撃力1d6+1。
 ・防具:エルフ・チェーンメール・オブ・ハンド+3(AC2、冷気耐性、装備中でも魔法使用可)
     敏捷性ボーナス+4により、合計AC−2。
 ・メイン呪文:レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、スニロックス・スノーボール・スウォーム(雪つぶて)
         レベル3、ヘイスト(加速)、フレイムアロー(炎の矢)、モンスターサモニング1(怪物召喚)
         レベル4、エモーション・勇気(士気高揚)
         レベル5、カオス(大混乱)、ドミネーション(精神支配)
 ・コメント:一番、変わらないのが彼女。
       いろいろと魔法のスクロールが手に入り、呪文も5レベルが使用できるのですが、
       ヘイスト使って、殴れば解決する戦闘ばかりなので、
       あまり活用の機会がないのが、現状です。              

フレイ・アルスター:エルフのレベル11メイジ/レベル12シーフHP76AC−4

 ・メイン武器:ショートボウ+1、攻撃力1d6+1。
 ・防具:ローブ・オブ・ウォッチャー(監視者のローブ。AC3)
     ローレル・オブ・フェイバー(香りの花冠。AC1ボーナス)
     ミスランのマント(エルフのマント+3。AC3ボーナス)
     敏捷性ボーナス+3により、合計AC−4。
 ・メイン呪文:レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、ミラーイメージ(分身)、スティンキングクラウド(悪臭煙幕)、
               メルフズ・アシッドアロー(酸の矢)
         レベル3、ファイヤーボール(火球)、ディスペルマジック(魔法解除)
         レベル4、アイスストーム(氷の嵐)
         レベル5、クラウドキル(毒雲)
 ・コメント:ACの低いローブのおかげで、防御力が急に上がりました。
       これと、ミスランのマントのおかげで、ブルーノーに匹敵する防御力です。
       本当に魔法使いですか? と自己ツッコミ。
 
●クァイル:ノームのレベル10クレリック/レベル11イルージョニスト。HP58AC−4

 ・メイン武器:スリング+2、攻撃力1d4+3。
 ・防具:ネクロマンサーのローブ(AC8。魔法、死、毒に耐性)
     AC6のブレーサー
     ヘルム・オブ・ザ・トラスティッドディフェンダー(ノーム専用ヘルム+3)
     ライノビートルシールド(AC3ボーナス)
     リング・オブ・プロテクション+2
     敏捷性ボーナス+2により、合計AC−4。
 ・メイン呪文(魔法使い):レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、ミラーイメージ(分身)、メルフズ・アシッドアロー(酸の矢)
         レベル3、モンスターサモニング1(怪物召喚1)、ライトニングボルト(電撃)
         レベル4、モンスターサモニング2(怪物召喚2)、ディメンジョンドア(瞬間移動)
         レベル5、モンスターサモニング3(怪物召喚3)、コーン・オブ・コールド(冷気噴出)
 ・メイン呪文(僧侶):レベル1、キュアライトウーンズ(軽傷治癒)
         レベル2、サイレンス(沈黙)、ホールドパーソン(対人金縛り)
         レベル3、ディスペルマジック(魔法解除)
         レベル4、ディフェンシブハーモニー(防御の調べ)
         レベル5、キュアクリティカルウーンズ(致命傷治癒)
 ・コメント:って、こいつも魔法使いなのに、AC−4ですか。
       一応、僧侶なので、鎧以外の制限がないのが、利点です。
       ただ、こいつやフレイは、ミラーイメージで自分の身を守れるので、
       むしろ、ミレーヌのACを下げたいところなんですが、
       彼女の鎧って、他の防具との相性が悪いらしく、
       うまく行かないです。
 

 

●2005年4月21日(木)・エルフの女将軍と、炎の巨人(第6章その3)

 マスター配下の幹部、魔術師マラヴォンを撃退、そして盗賊の首領マーケスから装備品を奪取した一行は、
 次にスヴァーフネブリンの奴隷たちが強制労働させられている鉱窟に向かいます。

 そこで、奴隷を監視している
サラマンダーの一団と大立ち回りの末に殲滅。スヴァーフネブリンたちを解放することに成功します。
 その後で入った場所は、炎の精霊界と通じているらしいドワーフ製の大鍛冶場
「グレートフォージ」。ここには、4大元素の精霊(エレメンタル)がうろついていて、侵入者である一行たちに襲い掛かってきますが、あっさりと返り討ち。本当に強くなったなあ。

 そして、中心近くで何かの作業をしているファイヤージャイアントの一団と遭遇。

ファイヤージャイアント「こんなところに何のようだ?」

カイヴァン「ここの指揮官殿に用がある。どこにおられる?」

ファイヤージャイアント「
メイデン・イルマディア殿なら、そこの川のすぐそばの小屋におられる」

ブルーノー「川といっても、どこに水が流れておる?」

ミレーヌ「溶岩の川のことを、言っているみたいね」

カイヴァン「作業ご苦労。我らは、指揮官殿に報告があるゆえ、ここで失敬」

ファイヤージャイアント「うむ。くれぐれも問題を起こすなよ。我らは作業が忙しいからな。邪魔するようなら、ひねりつぶしてくれようぞ」

カイヴァン「心しておこう。では」


 こうして、
ファイヤージャイアントの誰何をあっさりかわし、指揮官のメイデン・イルマディアに接触を試みます。彼女はエルフの女戦士で、パーティーを好意的に迎えてくれます。

イルマディア「そう。あなたたちが、例の冒険者たちね。報告は受けているわ」

ブルーノー「その割には、落ち着いているな。すぐに戦闘が始まるものとばかり、思っていたぞ」

イルマディア「少なくとも、あなたたちは
ファイヤージャイアントより、話していて楽しい相手だわ。
マラヴォンマーケスからバッジを奪った。その後は、何をするつもりかしら?」

カイヴァン「残り2つのバッジを手に入れて、
マスターに会いに行く。そして、この辺りを包み込む邪悪な陰謀を止めるつもりだ」

イルマディア「
マスター・ポキューリンが邪悪ですって? あなたたちは、どういう基準で物を言っているの? ポキューリン様は、すばらしい方だわ。会ってみれば、あなたたちにもそれが分かる」

ミレーヌ「
ポキューリンは、ここで一体、何をしているの?」

イルマディア「私が授かった使命は、
ファイヤージャイアントに命じて巨大な金属船を作って、グレートフォージの防壁を突き崩すことよ。その先は、闇(ドロウ)エルフの地下都市リローヴンに通じている。彼らの都市は、多くの防衛手段を誇っているけれど、あふれ出る溶岩の勢いを受け止めることができるかしら? ポキューリン様は、闇エルフとの戦いを望んでおられる。そのために、多くの軍勢と働き手が必要なのよ」

ブルーノー「
闇エルフとの戦いか。しかし、ポキューリン闇エルフと手を組んでいるのではなかったのか?」

イルマディア「確かに、
マラヴォンや、マーケスの愛人みたいに一部の闇エルフは、ポキューリン様に従ったわ。私に言わせれば、どうしてあんな連中を重用するのか不思議だったけど、ポキューリン様のお考えは、私よりも広く、深いものだから。それに、多くの闇エルフは、ポキューリン様に敵対している。連中を倒すのが、私の種族をかけての誓いであり、ポキューリン様もそれを分かって、私に今の使命を与えて下さったのだわ」

フレイ「どうして、そんなに
闇エルフを憎むのよ?」

イルマディア「……あなた、見かけは
エルフのようだけど、どこのモグリなのよ? 私は、滅亡した
シヴィアード・ハンドの出身よ。塔の長ラレルは、無能な男ではなかったけれど、十分賢明でもなかった。闇エルフの罠にはまって、同盟者のドワーフと敵対した挙句、自ら塔を滅ぼしてしまったのだから。塔を滅ぼしたのはラレルだけど、きっかけを作ったのは闇エルフよ。残念ながら、ラレルはそれが見抜けなかった。賢明でない指導者に率いられた者は不幸だわ。だから、私はポキューリン様に従う。そうすれば、塔の仲間の無念を晴らせると信じるがゆえに」

ブルーノー「……わしは感動したぞ。
ポキューリン殿が、そのような深遠な計画の下に動いていたとは! しかし、わしはポキューリン配下のマラヴォンを倒し、マーケスを追い出している。一体、どのように申し開きをすればいいか……」

イルマディア「
マラヴォンはしょせん狂人だし、マーケスは姑息な卑怯者よ。連中がどうなったって、知ったことではないわ。あなた方が新しい幹部になって、彼らの分も働くなら、十分おつりが来るはず」

ブルーノー「おお。聞いたか、みんな。方針変更だ。我らは、これより
ポキューリン殿と対面し、闇エルフとの戦争に参加し、しかる後に、ドワーフ王国の再建に力を貸してもらう」

カイヴァン「……おいおい。どうして、そんなに単純なんだ?」

フレイ「あっさり信じ込みすぎ」


クァイル「虚偽を見抜く目を持たんと、王として一族を不幸にしてしまうぞ」

イルマディア「あなたたち、私が嘘をついているとでも言うの?」

ミレーヌ「あなたは心底、
ポキューリンを信じているんでしょうけどね。彼の配下が、クルダハルでしていることを、私たちは見ているのよ」

先生「邪悪について警告しようとしたアルンデルは、オーグを率いる
ポキューリンの手の者に殺された。確かに、ポキューリン
闇エルフと戦おうとしているのかもしれない。だが、それがすなわち、ポキューリンが邪悪ではなく、正義だという保証にもつながらないのだぞ」

イルマディア「……あなたたちのような疑い深い人は、残念ながら、
ポキューリン様に会わせるわけにはいかないわね。ここで、消えてもらう!

 ということで、
ポキューリンに完全に洗脳された(と思われる)メイデン・イルマディアと、望まぬ刃を交えることになった一行です。当然、周辺のファイヤージャイアントもわらわら集まってきて、一大バトルの開始です。

カイヴァン「……イルマディア、目を覚ませ。君は、利用されているんだ!」

イルマディア「エルフでない者に、故郷を失った苦しみは分かるまい!」

カイヴァン「俺も元はエルフだ。それに、あんたと同様、
ミサルの魔力により、故郷より引き離され、ここにいる。本来の自分自身を失ったままでな」

イルマディア「口から出まかせを!」

カイヴァン「信じてくれ!」

イルマディア「信じられるのは、
ポキューリン様だけだ!」

カイヴァン「くっ」

 
突然、主役属性に目覚め(苦笑)、イルマディアと剣を交えながら、説得を試みるカイヴァンですが、うまくいきません。
 その間、
ブルーノージャイアントたちと大立ち回り。お供につくのは、クァイルの召喚したモンスター軍団です。トカゲや、カブトムシや、グールの群れと、炎の巨人が絡み合う中を、ドワーフの雄叫びがこだまします。

ブルーノー「ウォーーーー! アターーーーック!」

 実質、
イルマディアと一騎討ちになっているカイヴァンですが、さすがに相手も強く、窮地に陥ります。慌てて、回復魔法を唱えようとする先生ですが、間に合いそうにありません。そのとき………。

フレイ「カイヴァン、危ない! マジックミサイル!」

 敵に操られたミネルバXを前に、窮地のマジンガーZを救うために、放たれたアフロダイミサイルのように(何ちゅう例えだ^^;)、フレイの放った魔法の矢が、メイデン・イルマディアを貫きます。

カイヴァン「……イルマディア、しっかりしろ! イルマディア!」

イルマディア「
もぐりのエルフにやられるなんてね。私は、過去にこだわり過ぎていたのかもしれない」

カイヴァン「だったら、生きて、もう一度、
ハンドの塔の復興に力を注げよ。今、あそこの塔は、浄化が始まっている。エルフとドワーフの和解も済んだ。復讐よりも、再建に手を尽くすときなんだ!」

イルマディア「それは、あなたたちの仕事。
竜の彫像には気をつけて。まだ、操られている人はいるから。敬虔な僧侶たちが邪悪に加担している。彼らを救ってあげて(言い残して力尽きる)」

カイヴァン「
イルマディアーーーーーッ!」

 う〜ん、NOVAとしては、攻略本で「敵に仕えるエルフの少女イルマディア」という設定を見たときから、何とか生き残らせたいと思っていたんですが、うまく行きませんでした。
 ともあれ、周辺のジャイアントどもも、ブルーノーの活躍で一掃し、
 イルマディア
の遺した「マスター配下のバッジ」5つめも 入手します。こうして、残りの幹部はあと1人……ということで、このまま脇目も振らず、エンディングまで突き進みたいです。(つづく)

 

●2005年4月25日(月)・苦痛の司祭(第6章その4)

 一行は、シヴィアード・ハンドの生き残りであったエルフの女性、メイデン・イルマディアと遭遇しますが、
 彼女は
マスター・ポキューリンの洗脳を受けており、話し合いの甲斐もなく、戦闘に突入します。
 そして、
カイヴァンの説得も届かず、フレイのマジックミサイルに貫かれ、命を落とすイルマディア。その死は、カイヴァンの心に予想以上の喪失感をもたらします。

フレイ「カイヴァン。あたし……」

カイヴァン「いや、いい。危なかったところを助けてもらったわけだから、感謝しないとな」

フレイ「感謝の気持ちは、キス一つで……って、さすがに言える雰囲気じゃないわね」

カイヴァン「ああ。今は、冗談に付き合っている余裕がない」

フレイ(あたしは、本気なんだけどなあ)

カイヴァン「
先生、あんたがアルンデルの復讐を考えているように、俺はイルマディアに進む道を誤らせたポキューリンが許せない」


先生「私は、復讐だけを考えているわけではないよ。死者の声は大切だが、それに突き動かされると、
イルマディアと同じことになる。それは、彼女とて望んでいない。イルマディアが進む道を誤った、と言うのなら、カイヴァン、君は彼女の代わりに正しい道を選ぶ必要がある。それは、今、生きていて、しかも苦しめられている者を救う道だ」


 
イルマディアの遺した手がかりに従い、一行は、最後のバッジを求めて、「操られた僧侶のいる寺院」に向かいます。そこは、「人々の苦しみを代わりに引き受けることを旨とする慈悲神イルメイター」の寺院。そこのブラザー・ バーディエムが、最後の番人として、立ち塞がります。

バーディエム「汝ら、異教徒よ。ポキューリン様の意思に従うか? それとも、拒み通し、命を失うか?」

クァイル「これは、天才のわしにも不可解なことじゃな。おぬしは、
イルメイターの司祭じゃろう? 彼の信徒は、他者を傷つけることをよしとしない。おぬしの言葉は、教義に反しないか?」

バーディエム「もちろん、教義には反しないとも。
イルメイター様は、この世の全ての苦しみを取り除くことを、望んでおられる。しかし、この世には、他者を傷つけることに喜びを感じる者他者を苦しめることで自らの目的達成を図る者意図もしないのに他者を傷つけ、そうとは気付きもしない者が大勢いる。そのような者がいる限り、この世から苦しみがなくなることはない」

ミレーヌ「戦いに生きる冒険者としては、賛同したくないけど、一定の真理を突いているわね」

バーディエム「人はなぜ、他者を傷つけるのか? それは他者の痛みを己が物として受け止めぬからだ。他者の痛みを己が知れば、そこには同情と理解が生まれる。自らは痛みを味わうことなく、他者を傷つけている者には、まずは痛みを知らしめるべし。万人が痛みを知れば、他者を傷つけようとする邪念も砕けよう」

フレイ「この人の言葉、何言っているのか分からないわ」

ブルーノー「お前はそれでも、知性を売りにする魔法使いか? それぐらい、わしにも分かるぞ。要するに、
『他者を傷つける前に、他人の痛みを思い知れ。みんながそうすれば、無用な争いもなくなる。同情心こそ大事』ってことだろうが」

フレイ「言葉の意味ぐらいは分かるわ。バカにしないでよ。私が言いたいのは、
『意味が分かっても、理解できない概念』の話よ。この世は、『弱肉強食』『強い者が生き残る』『殴られる前に殴り倒せ』『勝てば官軍』『弱い者は、今を耐えて力をつけて、実力を高めろ』『力のある者だけが、自分と仲間の弱い者を助けることができる』でしょう?」

ミレーヌ「そんな信念で生きていれば、
イルメイターの教義は一生、理解できない、と思うわ」

バーディエム「いや、
その娘の言い分にも一理はあるぞ。
『力のある者だけが、自分と仲間の弱い者を助けることができる』は、まさに真理。ポキューリン様こそ、まさに力のある者として、我々を導いてくださる方なのだ」

クァイル「例え、力があるのが事実としても、その力を、他人を傷つけることに使っては、本末転倒ではないか? そこのところが、まさに
イルメイターの教義から逸脱しているのだが」

バーディエム「
ポキューリン様は、従う者を傷つけたりはしない」

カイヴァン「従わない者は、命を失うのだろうが! それを傷つける、と言うのではないか?」

バーディエム「もちろん、
『命を失う』『傷つく』は同義ではない。ポキューリン様は従わぬ者の命を傷つけずに、神に捧げるのだ。そして、失った不浄の命の代わりに、祝福された命を授けてくださる。新しい命を与えられた者は、苦痛のない喜びの境地で、ポキューリン様にお仕えするのだ。このようにな」

 バーディエム
が言い終わると、ゾンビやスケルトン(の上位バージョン)、そしてマミー(ミイラ)などアンデッド軍団が出現します。

ミレーヌ「要するに、傷つける代わりに、生命力を吸い取って、アンデッドに作り変えるってことね。屁理屈もいいところだわ」

バーディエム「死者はいいぞう。苦痛を感じはしない。
ポキューリン様に同調する者は、生の苦しみを味わうがゆえに、神と同じ道を進むことができる。ポキューリン様に従わない者は、神に示された精進の道を歩むことはできないが、神のために働くことで奉仕の機会を与えられる。それも永遠にな。苦痛を感じずに、永遠に神に仕えられるのだ。これほど幸せなこともあるまい」

クァイル「
……わしも、自分の行為を正当化するために言葉を飾ることはするが、これほどあきれた話は聞いたことがないわい。イルメイターの教義を適当にはぎ取って、自らの野心に大義名分らしい装いをこらした、いかにも宗教的な詐欺師がよく使う手じゃな。しかし、本質が歪んでいるゆえに、行動は邪悪そのものと化している。神の本質をとらえ違え、空虚な言葉だけがむなしく響き渡る。もはや、教義論争の枠内で片がつく話ではなさそうじゃな」

バーディエム「さあさあ。どちらを選ぶ? 私とともに、真理への道をまい進するか? それとも、死者の仲間入りをするか? 選択権を与えてやるぞ」

先生「……
バーディエム、貴様は『死者が苦痛を感じない』と言った。だが、私には聞こえるぞ。ここの死者の霊が放つ、苦痛と怨嗟の声が。その声に耳を塞ぎ、ポキューリンの声だけを絶対とする貴様は、『他者の苦痛を知るべし』という教義に自己違背しているぞ。死者の苦痛の声が貴様に聞こえないようなら、それは貴様の信仰が歪んでいる証だ。望むなら、彼らの声を私が代わって、伝えようか?」

バーディエム「……ええい。どうしても、
ポキューリン様に従えない、と言うか。なら、道は決まった。死者の仲間入りをせい!」

 こうして、ポキューリン最後の幹部と、配下のアンデッド軍団との戦いが始まります。しかし……。

先生「カイヴァン

カイヴァン「ああ。
イルマディアの言葉は、俺の耳にも残っている。竜の彫像だな」

 
寺院の中心で、歪められた教義を高らかに喧伝していたバーディエムの背後、本来は神像が置かれていたであろう祭壇に、鎮座していたのは、邪悪な光を放つ竜の彫像です。

先生「あの像こそが、死者を呪縛し、生者をも堕落させている一因だ。洗脳を解くには、あれを破壊するしかない」

ブルーノー「うおー、我こそは
『解放者の斧』を振るう者なり〜!」

バーディエム「そうはさせん。そのドワーフを止めろ。皆の衆」

ブルーノー「ええい、貴様ら。そこをどけえ(
斧を振り回して大暴れするが、アンデッド包囲網は崩れない)」

ミレーヌ「だめね。あれじゃ、たどり着けそうにない」

先生「やはり、
カイヴァン、君の力が必要だ」

カイヴァン「分かった」

フレイ「
カイヴァン、あたしもついて行くわ」

カイヴァン「……頼む。後方援護は任せた」

 こうして、レンジャー女盗賊の二人は、隠れ身技能を使い、アンデッドの群れと混戦状態にあるブルーノーの脇を通り過ぎます。そして、竜の彫像のそばまで到達。

竜の彫像「汝は、
ポキューリンの意思に従うか? それとも、不死者の祝福を受けるか?」

カイヴァン「どちらも断る。俺の進む道は、もう決まっている! 
彼女の進めなかった道だ。その邪魔はさせない」

竜の彫像「バカめ、くらえ! (電撃を放つ)」

イルマディアの霊(
カイヴァンはやらせない!)

 カイヴァンの身につけていた鎧は「ブラックスワンアーマー」イルマディアの形見である「電撃耐性のある鎧」だったりします。鎧を受け継ぐってネタだと、「黄金聖闘士」を思い出すけれど、名称は「暗黒聖闘士」なんだよなあ(苦笑)。

カイヴァン「彼女の遺してくれた鎧にかけて、おまえを斬る!」

フレイ「ああん。そんな鎧より、あたしの方が役立つって証明してみせるわ。受けなさい、バックスタブ3倍ダメージ!」

竜の彫像「う、おのれ、背後からの攻撃とは! こしゃくな、返り討ちにしてくれるわ!(攻撃)」

フレイ「フンフ〜ン♪ どこを狙っているのかしら?
(ミラーイメージによる分身回避)

カイヴァン「
フレイ、よくやった。とどめの……
デュアルウエポン! 剣の舞!

竜の彫像「ぐ、まだまだ、我は死なぬ!」

カイヴァン「何て、しぶといんだ」

フレイ「あ、暗黒のエネルギーが、彫像に集まっていく……」

竜の彫像「ぐぉぉおおおおおお! 最大の力をお前たちにぶつけてやる! 死ねえッッ」

カイヴァン「危ない! 
フレイ、よけろ!」

フレイ「キャー!
(衝撃を受けて倒れる! 数瞬後、おそるおそる目を開けて)カイヴァン?」

カイヴァン「
(苦しそうにうめきつつ)ぶ、無事だったようだな

フレイ「
カイヴァン、あたしをかばって……」

カイヴァン「
イルマディア(鎧)のおかげで、直撃は免れた。が、グハッ(血を吐いて意識を失う)

竜の彫像「くふふふ、二人仲良く、とどめを刺してやろう」

 そのとき。

ブルーノー「とどめを刺されるのは、お前だ!」

 
ゴス。

 
こうして、
カイヴァンフレイのタッグチームは、おいしいところをあっさりドワーフ重戦車に持って行かれたのでした。

フレイ「もう……あんたは、せっかく、あたしとカイヴァンのラブラブアタックで、とどめを刺そうと思っていたのに」

ブルーノー「そんな口が聞けるなら、大丈夫なようだな。
カイヴァンは無事か?」

フレイ「あ……早く、
先生クァイル、呼んできて。このままじゃ……」

バーディエム「すまないが、私に、彼を診させてくれ」

フレイ「あ、あんた……よくも……
(攻撃態勢に入ろうとする)

先生「
フレイ、彼はもう敵ではない。像の呪縛が解けて、本来の
イルメイター司祭の自分を取り戻したのだ」

バーディエム「
イルメイター神よ。罪にまみれた者の祈りですが、目前で苦しむ、この者の傷や痛みを取り除きたまえ」

カイヴァン「
あ、ああ、フレイ(意識を取り戻して周囲の様子を確かめる)……戦いは終わったようだな」

フレイ「……
ブルーノーがきっちり決着をつけてくれたわ。やっぱり、あなたは戦士として未熟なようね。誰かがそばにいないと……」

カイヴァン「
(一瞬、反論しかけてから、フレイの本当に言いたいことに気づく)……ああ、俺一人でできることは限られている。イルマディアの想いに従いたくても、ハンドの塔の再建は、俺一人では無理だ。他にも、道を共にしてくれるエルフの女性がどうしても必要だ」

フレイ「それは、プロポーズ……と受け取っていいのかしら? そこで
イルマディアの名前を出すのが不満なんだけど。……そのをこの手で外してやるのが楽しみだわ」

ミレーヌ(やれやれ。この二人、どう展開するのか、見ていて不安だったけど、どうやら、うまくまとまりそうね。
イルマディアのおかげ……と言ったことかしら)

 
ということで、
ミレーヌのつぶやきは、作者の思いそのまま、といった感じです。
 ブルーノー
に続いて、
カイヴァンの主役エピソードはこんなところでしょう。今にして思えば、カイヴァンフレイ、この二人はスパロボの「キョウスケ&エクセレン」を髣髴とさせる組み合わせだったなあ。最初から気づいていれば、もう少し、ラブコメっぽい話も展開できたろうけど、今回、フレイ「ラブラブアタック」発言をするまで思いつきませんでした。もう一つ、「石破ラブラブ天驚拳」ネタもあったけれど、どうもそちらはカイヴァンフレイには似合いませんしね。
 とりあえず、教訓。恋愛ネタは、三角関係が発生しないと、ドラマとしてうまく進展しない。
イルマディアには感謝です。

クァイル「イルメイターは、そなたの祈りを聞き届けて下さったようじゃな」

バーディエム「ええ。しかし、私は許されない過ちを犯してしまった。多くの者の命を奪い、アンデッドに作り変えることを奨励するなんて……」

クァイル「……それは、偽りのあんたがやったことで、あんたに責任はない……などとは、天才のわしは思っておらんぞ。本来、虚実の境目をきちんと立て分けることは困難なことでな。人間精神があいまいなものであるがゆえに。虚も実も、合わせて受け入れていく覚悟が必要じゃ。あんたが自分の犯した過ちを認識しており、それを罪と自覚するなら、あんたはその痛みを一生かけて、つぐなっていかなければならない。
痛みに耐えて精進する……それが
イルメイターの教義なら、あんたはこの痛みをも乗り越えていかなければならないのじゃろう。改めて、再出発する気持ちはおありかの?」

バーディエム「はい。奪った命の分も、洗脳され、共に罪を犯した兄弟の僧の分も、全ての痛みを私は背負い込んで生きたい、と思っています」

クァイル「うむ、それでこそ、真の
イルメイターの僧侶じゃ。信仰が、あんた自身の癒しにも通じることを、わしも祈っておるぞ」

先生「
バーディエムよ。そなたの想いは、死者の霊にも通じたぞ。苦しみから解放された声が聞こえてくる。しょせん、死者の苦しみを癒すのは、生者の想いと行いによるからな。供養の任、これからもよろしく頼む」

 こうして、二人の聖職者による説教タイムも終了し、一行は、バーディエムから最後のバッジを託されます。
 これで、悪の一大勢力を率いる
マスター・ポキューリンへのキーが全てそろいました。最終決戦近し……ということでつづく。

 

●2005年4月27日(水)・決戦の地へ(第6章その5)

バーディエム「ポキューリンは、イルメイターの僧侶ではありません。彼は、異界から来た妖術使いであり、その強力な呪縛の力で、私たちをたちまち支配してしまったのです」

 
バーディエムの話から、邪悪の元凶がポキューリンだと判断した一行は、最終決戦に備え、装備の整理のため、スヴァーフネブリンの隠し避難所に戻ります。
 そこにいたドロウの闇商人ニムとの商談中。

ニム「そうか。いよいよ、ポキューリンとの決戦か。お前たちを商売相手に選んで、正解だったようだな」

カイヴァン「ああ。
ポキューリンは、闇(ドロウ)エルフの地下都市を攻撃しようとしていたみたいだったが、それについては知っていたのか?」

ニム「故郷がどうなろうと、オレの知ったことじゃない。オレの興味は、商売だけさ。
ポキューリンは、商談には向かない相手だ。あいつの支配が強まれば、それだけ商売がやりにくくなる。だから、お前たちを応援する。せいぜい、奴に吠え面かかせてやるんだな」

ブルーノー「貴様の言い様は気に食わんが、その件は任せておけ。それはそうと……我が
ドーンズ・ディープシヴィアード・ハンドの間に不和をもたらした
闇(ドロウ)エルフの陰謀に心当たりはないか?」

ニム「ハ? 陰謀だって? オレの知るかぎり、そんな陰謀なんて存在しない。あったのは、商売と、愚かな指導者の疑心暗鬼、それだけさ」

ミレーヌ「……それは、一体、どういうことかしら?」

ニム「
ドワーフの旦那には忠告しておいてやるよ。ドーンズ・ディープを再建したら、武器庫の管理をもっとしっかりしておくんだな。あれじゃ、泥棒に盗んでくれって言っているようなものだ」

ブルーノー「そうだ、その泥棒だ。それに、心当たりがないか、聞いておる」

ニム「もちろん、あるさ。このオレ自身だからな」

ブルーノー「何だと?」

ニム「まあ、そう、いきり立つなよ。誰も、ドワーフ王国を滅ぼそうとか、エルフと仲違いさせようとか、悪意で考えていたわけじゃないんだ。オレは、ただ商売がしたかった。ドワーフ製の武器は、商品として最適だった。だが、ドワーフはオレに武器を売ろうとはしなかった。エルフとの約束が、どうこう言ってな。だから、オレにできる最適な手段をとった。客のニーズに合う商品調達も、商売の一環だからな」

ミレーヌ「……言葉も使いようね。その修辞は、嫌いじゃないけど」


カイヴァン「それで、その客とは?」

ニム「バカなゴブリン連中さ。エルフと戦争中だった奴らは、ろくに使えもしないくせに、エルフ殺しの武器を欲しがった。商売は、欲しい相手に物を提供するのが仕事だ。オレが、手に入れた武器を見せてやると、たちまち買いあさって破産しやがったぜ」

フレイ「その結果、エルフはドワーフが裏切った、と思い込んだわけね」

ニム「まあな。オレに言わせれば、ドワーフほど頑固で融通の利かない、ほめ言葉にするなら信義に厚い連中はいない。そんな裏切りとは最も程遠い連中を疑うなんて、
ハンドの連中の偏見は、相当ひどいものがあったんだろうな。こんな偏見を抱えていたんじゃ、オレの盗みとは関係なく、いつか火種が爆発していたろう」

ブルーノー「しかし……結果的に、貴様の行為が、多くの者の死を招いたんだろう! それには、責任を感じんのか?」

ニム「オレが責任を感じる? オレは商売をしただけだぜ。不良品を売ったことで責められるならともかく、バカな指導者の不始末にまで、責任が取れるか!」

ブルーノー「貴様! 許せん!
(斧を構える)

ニム「やれやれ。道理の分からん客は困る。オレは商人だが、オレの命は売り物ではないんでな。そんな斧のサビになるのは、まっぴらゴメンだ。じゃあな
(瞬間移動の呪文で消え去る)

ブルーノー「逃げるな! 正々堂々と勝負しろ!」

カイヴァン「落ち着け、
ブルーノー。今さら、過去を蒸し返しても、どうしようもないだろう。それより、これからのことを考えるんだ」

ブルーノー「しかし……」

クァイル「怒りや偏見に満ちた心では、虚偽を見抜けず、過ちを犯してしまう。真に澄んだ心でこそ、事の本質を見抜くことができる。我々は、この旅でそのことを学んできたのではないか?」

ブルーノー「……
(しぶしぶ斧を下ろす)

 
ということで、本作でのドロウエルフはあくまで背景に過ぎず、本格的な衝突には至らずに終わってしまいました。ドロウの地下都市での冒険は、「BG2」で展開されるようなので、そちらを楽しみにしたいと思います。
 ……で、結局、
ニムが去っていったので、決戦に備えての装備調達はできず(ロードしてやり直せば可能なんでしょうが、やはりここはロールプレイによる結果を重視したいわけで)、バーディエムのいた寺院にそのまま引き返します。
 
寺院の奥には、手に入れた6つのバッジを差し込む装置が置かれてあり、

@オーク族長クリラグのバッジ(開いた手の平の上に浮かんだ玉の紋章)
Aフロストジャイアントのジョリルのバッジ(両刃のアックスの紋章)
B魔術師マラヴォンのバッジ(眠らない目の紋章)
C盗賊王マーケスのバッジ
(盗賊のピックの紋章)
Dメイデン・イルマディアのバッジ(ユニコーンの頭の紋章)
Eイルメイター司祭バーディエムのバッジ(ハトの紋章)

 以上、6つのバッジをセットしていきます。すると、上に通じる階段が現れ……。

ポキューリン「おやおや、よくぞここまで。あなた方には、本当に驚かされます」

カイヴァン「お前が、
ポキューリンイルマディアの仇、今こそ討たせてもらう」

ポキューリン「……これは異なことを。彼女を殺したのは、あなた方でしょうに」

フレイ「……」

ミレーヌ「いきなり、論破されてちゃ、仕方ないわね」


先生「ならば、尋ねる。アルンデルを殺したのは貴様か?」

ポキューリン「おお、アルンデルですね。彼は実に邪魔な存在でした。我らのことを、うっとうしく調べまわっていましたからね」

ブルーノー「貴様の目的は何だ? どんな悪事を企んでいる?」

 
この後、ポキューリンは、いかにも3流悪役のように、自分のしてきた行動の経緯を語っていきます。
 それによると、彼は別次元から追放された存在で、この世界(フェイルーン)で力ある石
クレンシニボンを入手し、ノース地方の覇権をもくろんでいるそうです。このクレンシニボン(あるいはクリスタル・シャード)は、小説『アイスウィンド・サーガ』に登場した魔石で、本ゲームとのリンクは、地名を別にすれば、これくらいですね(一応、本記事では、小説の主人公の一人と同じブルーノーという名前を採用しましたが)。ただ、クレンシニボンについては、突然、名前だけ出された感じで、ドロウエルフ同様、背景に過ぎません。なかなか魅力的な素材をたくさん用意している本作ですが、どうも伏線の張り方というか、ドラマ性の構築に欠けているので、いささか唐突感がぬぐえません。
 ともあれ、
ポキューリンは自分の軍勢を集め、力を蓄えていたのですが、彼を追って宿敵である蛇の王女ズノメイ現れた際、潜伏を余儀なくされます。さらに、イーストへイヴンの村長フロスガルや、クルダハルのアルンデルが自分のことを追究するに及んで、抹殺を決意します。
 最初の計画は、村の裏切り者を使って遠征隊を結成させ、ジャイアントの力を使って雪崩を起こし、フロスガル殺害(ただし、巻き込まれたパーティーは主人公特権で生き延びます)。
 次に、パーティーが
ズノメイを倒したことを喜びつつ、その隙にアルンデル殺害。
 しかし、パーティーが
アルンデルの霊(本記事オリジナル設定)に導かれ、ハンドの塔に向かったことは予定外で、その後、パーティーがドーンズディープに入ってきたときも、あまり重要視はしていなかったと言いつつ、その大暴れっぷりに、せっかく集めた軍勢を打ち負かされ、悔しい思いをしている、とプライドと本音が複雑に入り混じった話を聞かせてくれます。

 結局のところ、「お前たちみたいな小物は、ちっとも怖くないし、相手にする気もなかったが、ここまで築き上げたものを壊されるとは思わなかった。さすがに、このまま黙ってみてはいられないので、死ね!」って
ノリ。
 う〜ん、他の洗脳された方々の話を聞いていると、パーティーのメンバーにも何らかの誘いの声がかかるものか、と思っていたんですがねえ。
 
「お前たちの力は評価している。その力を使って、私のために働いてみる気はないか?」ぐらい言ってくれれば、ポキューリン株も上がっていたろうに。そもそも、ラスボスにしては、名前に威厳がなさ過ぎます。何ですか、そのヤマアラシ(ポーキュパイン)みたいな名前は? 略称はポッキーですか? と、こちらも散々相手を侮辱しておいてから。

 いざ勝負!  そして……
 
ポキューリン「覚えていなさい! 破壊されたイーストへイヴンの惨状を見ない方が、あなたたちにとって幸いでしょうが。あなた方ごときに、私の深遠な計画は崩せやしない。ハハハハハ(逃走)」

 ……どうして、こんなに威厳のないラスボスなんだ(^^;)。
 ここまで来て、ドラマが盛り上がらないこと、この上ありません。連載記事として、この始末をどう付けようか、現在、悩んでいる最中。

ミレーヌ「おのれ、ポキューリン! あなたが不甲斐ないラスボスのせいで、せっかく盛り上がっていた英雄物語のクライマックスが、一気にしらけちゃったじゃない! 吟遊詩人として、決して許せない!」

 何だか、怒りの方向性がかなりズレているような気もしますが、
 それぞれの覚悟と想いを胸に抱きつつ、スタート地点であり、
ポキューリンとの最終決戦の地ともなったイーストへイヴンへ向かう冒険者一行でした(次回、最終回につづく)。

PS:長らく、日本語版は出ないのでは? と懸念されていた『アイスウィンド・デイル2』ですが、先ほどネットで調べてみると、今年の3月に発売されていることが判明。これは、タイミング的に嬉しい驚きです。ゴールデンウィークの間に購入して、どういう物語か、チェックするつもり。
 システムは、D&D第3版準拠なので、本作のパーティーをそのまま移行はできないのでしょうが、何らかの形で、つなげて行けたら……なんて思ってます。まあ、『BG2』や新記事『ミス・ドラ』のことも気にしつつ。

 

●2005年5月3日(火)・クリスタルタワーの死闘(最終話その1……ミレーヌの手記より)

 私たちが、イーストへイヴンの地に戻ったとき、そこには、初めて訪れた時のような、のどかさは欠片も見当たらなかった。家々は焼け、街中を一つ目巨人サイクロプスが徘徊し、見つけた村人たちを虐殺、あるいは街の南の捕虜収容所に連行していた。
 解放者ブルーノーは、持ち前の義侠心からたちまち怒りを露にし、サイクロプスに飛び込んで行った。いつものことながら、彼の行動は早く、力強い。たちまち、一体目を倒し、続く二体目にも斧を振りかざしていく。
 後から、続くのが野伏のカイヴァンと、ドルイドの先生の二人だ。二人とも、ブルーノーをサポートし、機敏な動きで両サイドの敵をけん制し、あるいは切り崩していく。
 私たちは、後衛から魔法の矢(マジックミサイル)を発射させる。私たちとは、3人の魔法使いのこと。
 
1人は、私の親友でもある美少女盗賊のフレイ(この手記を書く際に、彼女はどうしても「美」の一文字を付け加えろと、言い張った。私も嘘はつきたくないが、彼女の主張はまあまあ妥当だと思えるので、それに従った)。
 もう1人は、自称天才神官のクァイル(当初は、彼の主張も「?」だったが、最近は、本当に彼が天才かも、と思い始めている)。
 そして、3人めが吟遊詩人の私、ミレーヌ・スターシンガーだ(「星の歌い手」の二つ名は、この手記を記すに当たって、考案した)。
 以上、前衛3人と後衛3人の合計6人が、ドーンズディープに集まる悪の軍勢を壊滅させた冒険者の顔ぶれだ。
 この6人が力を合わせれば、イーストへイヴンを席巻するサイクロプスの集団など、物の数ではなかった。たちどころに、私たちは収容所に囚われていた村人を解放することに成功した。

 イーストへイヴンには、かつてののどかさを打ち消すように、悪の象徴がそびえ立っていた。
 魔石クレンシニボンの力によって、無から形成されたクリスタルの塔。フレイの説明によれば、「無から形成」というのは間違いで、「大地や大気の中の元素を集めて、再構成した」ということになるが、元素自体、目に見えず、なかなか存在を感じることもできない微小な粒子なので、ここでは「無」と呼びならわしてもかまわない、と考える。
 この魔力によって建造された、邪悪の根城に侵入するにあたり、テンポス寺院のエヴァラードが情報をくれた。彼はポキューリンが一定の身振りとともに塔に入るのを目撃していたのだ。また、エヴァラードは、ポキューリンの目的が、「イーストへイヴンのテンポス寺院に封じられた邪悪の門(ゲート)を解放すること」だと教えてくれた。ポキューリンは、この世界で巧みに暗躍し、自分の軍勢を組織化するとともに、自分自身の力をさらに高めるための「次元門解放計画」を進めていたのだ。

 私たちは、ポキューリンの計画を阻止するために、エヴァラードとともに「クリスタルの塔」に侵入した。
 ポキューリンに会う前に待ち構えていたのは、イーストヘイブンの村を奴に売り渡した裏切り者、道具屋の主人のポマブだった。彼自身は、大した力を持たない一般人だったが、ポキューリンに与えられた魔道具で武装していた。分身魔法で身を守り、電撃の棒錫(ワンド)で攻撃を繰り返し、さらにはクリスタル製の戦士の護衛を得た彼に、私たちは苦戦し、一番、体力の劣るクァイルが犠牲となった。
 幸い、高位の僧エヴァラードが同行していたので、クァイルは無事、復活を遂げたわけだが、私たちは気持ちを引き締め、ポキューリンとの最終決戦に臨む覚悟をした。しかし、それでも犠牲を止めることはできなかった……。

 塔の最上階に昇り着いたとき、ポキューリンは、次元門を開放する儀式の真っ最中だった。
 開きかけた門からは、強大な魔力がほとばしり、ポキューリンの体に注ぎ込まれていた。人間の姿を装っていたポキューリンの姿は、たちまち、その本来の姿である魔物ベルフィットへと変貌していった。
 さらに、次元門からは、ポキューリン、いやベルフィット本来の部下であろう異次元の魔物の軍勢が襲来しようとしていた。その数は……いかに私たちが百戦錬磨の冒険者であったとしても、到底倒せそうにないほどの規模だった。そこで、すぐに行動に出られなかったのは、私たちの覚悟が足りなかったせいと言わざるを得ない。そんな私たちの代わりに動いてくれたのが、エヴァラードだった。
 エヴァラードは、かつて、ここノースの地で自己犠牲の末に悪の軍勢を封じ込めた英雄ジェロッドの伝説に、憧れとともに、恐れを抱いていた。同じテンポスの僧でありながら、ジェロッドの持ち得た勇気を自分が持ち合わせていないという思いに駆られ、悲嘆と嫉妬と諦念の入り混じった気持ちを常々、口々にしていた。そのため、私たちがイーストへイヴンに初めて来たときのエヴァラードの言辞は、とてもテンポスの僧のものとは思えなかった。
 テンポスは戦の神である。戦の中で本来、示すべき勇気。その美徳を、エヴァラードは批判し、ジェロッドの自己犠牲の姿を愚か者と非難さえしていた。
 だが、試練に立たされたとき、人は真の姿をさらけ出す。エヴァラードは、「クリスタルの塔」の内部で、ジェロッドと同じ勇気を示した。自分の命を犠牲にして、次元の門を閉ざすことに成功したのだ。私たちは、それを見ていることしかできなかった。本当の英雄は、私たちではなく、エヴァラードだったことを、私はこの手記で示しておく。
 英雄は去り、生き残った者が、その勳(いさお)しを後世に語り伝えていく。とりわけ、私は言葉を司る詩人という立場ゆえに、目前で見たエヴァラードの真の勇気を語り残しておきたい(今は文章の形で。気持ちの整理ができれば、いずれ詩にして歌い上げることもあるかもしれない)。

 エヴァラードは生前、「自己犠牲」を美徳と認めなかった。
 これは「自己犠牲」の風潮がまかり通れば、「命を無駄に落として、何かを成し遂げようとする」愚かな熱血漢が後を絶たなくなるからだ。また、「自己犠牲」を主張する者は、いずれ他者にも「犠牲」を強いるようになる。そうなると、その先には「集団自決」とも言うべき破滅の姿が待っている。
 どんなときも、自分を犠牲にしてはいけない、ましてや他人を犠牲にすることを正当化してはいけない。そのためには、安易に命を捨てることを良しとせず、犠牲を出さずに事態を解決する方法を精一杯の努力と知恵で選び取って行くことだ。
 エヴァラードの想いを簡単にまとめるなら、以上のようになると思う。
 そんなエヴァラードが、自らを犠牲にして、私たちやノースを救ったのは、精一杯の努力と知恵でも解決できないまでに追い詰められた状況下で、真の勇気を示したからだろう。その意味で、彼はテンポスの僧にふさわしい人物と断言できる。
 少なくとも、エヴァラードの祈りにテンポス神は応え、クァイルは生き返ることができたのだから。

 エヴァラードは散り、門は閉ざされ、後には私たちとベルフィットが残された。私たちの戦いは、ここから始まったのだ。

 最初に斬りかかって行ったのは、もちろんブルーノーだ。ブルーノーの斧に対して、ベルフィットは2本の大剣を両手に持って、反撃してきた。私たちは、戦士としてのブルーノーの力を日頃から目にし、その突撃しての暴れっぷりを大いなる信頼とともに賞賛している。この強力な戦士なら、確かに王族としてもふさわしい、と見なすようになっている。
 しかし、ベルフィットの力は、そのブルーノーをも凌駕するものだった。さすがのドワーフも、たちまち防戦一方に追い込まれていく。
 ブルーノーを援護すべく、カイヴァン先生ベルフィットの両側に回り込む。
 当然、後衛の私たちは、攻撃呪文で支援の態勢に入る。ただ、この戦いは、支援がなかなか困難なものになった。部屋の至るところに、魔法消去の仕掛けが施されており、せっかくの加速魔法も召喚魔法も打ち消されていく。また、一度、接近戦に入ってしまった以上、フレイの強力な攻撃呪文も使用を制限されてしまう。はっきり言えば、この戦いで、私たちは十分な援護ができなかった。それがいたずらに、犠牲者を増やす結果になったことが悔やまれてならない。

 最初に散ったのが、先生だった。ブルーノーに回復魔法を施すドルイドの姿は、ベルフィットの癇に障ったのだろう。たちまち、攻撃の的が先生に切り替わる。こうなると、私たちのフォーメーションは脆かった。慌てて先生に回復魔法を施そうとするクァイルの行動も間に合わず、先生は自らの流した血の海に倒れた。師とも言うべきアルンデルの仇を討つこともできないまま。

 次に散ったのが、ブルーノーだ。この屈強なドワーフ戦士は、倒れる瞬間まで勇敢に斧を振りかざしながら、狂戦士のごとき奮闘を続けていたが、やがて力を使い果たし、床に崩れ落ちていった。
 攻撃の要であるドワーフ戦士の末路に、私は自分の死を予感した。一瞬、絶望的な想いが、残った者全員の心を支配したのだと思う。

 残った戦士は、カイヴァンだけである。私は日頃、カイヴァンの戦士としての実力をブルーノーの下に見ていた。正面から堂々と突撃するブルーノーに比べ、彼はあくまで側面からの援護に徹し、その活躍もあまり目立つことはなかった。吟遊詩人である以上、私の目は地味な技の応酬よりも、派手で豪快な殺陣を好む傾向にある。私の目は、これまでカイヴァンの真の強さを捉えていなかったのだろう。
 カイヴァンは、巧みにベルフィットと切り結んでいた。ブルーノーは、防御を捨てた力任せの攻撃を加えるが、それは彼がドワーフらしく体力に満ちているからで、「相手に倒される前に倒す」戦法は、たいていの場合、うまく機能する。しかし、仮に相手の体力が自分より勝っている場合、ブルーノーの戦法は崩れることになる。このベルフィットは、それほどまでに強敵だったということだ。
 カイヴァンの戦い方は、堅実だった。決して防御を捨てず、相手の隙を突いて、的確な反撃を繰り出していた。この戦い方は、改めて見ると、非常に神経を消耗する。小物がたくさん群がっている状況では、敵の勢いに押されて、防御もままならず切り崩されてしまったこともあったろう。そういうときは、相手の勢いを押し返すほどの強烈なパワーを誇るブルーノーの方が強く見えた。しかし、この時、新たに思ったのは、カイヴァンの強さは、ブルーノーの強さとは別の基準で測るべきだった、ということだ。
 カイヴァン
は強い。ベルフィットの攻撃を巧みに受け流し、かわし、フェイントをかけながら、素早く一撃を浴びせていく。戦いの主導権をとっているのは、明らかにカイヴァンの方だった。

 私は、この戦いをじっくり見守っていた。もちろん、自ら戦わなかったわけではない。カイヴァンを援護するため、弓に矢をつがえて、隙を見ては、ベルフィットに射っていた。矢を射つためには、目標をじっくり見定める必要がある。また、カイヴァンに当てないよう、そちらの動きにも目をこらさなければならない。
 必然的に、射手の目として、ベルフィットカイヴァンの動きを見守ることになる。ただ、私の心は、この戦いを詩人の視点からもながめていた。戦いの当事者としての射手の目と、まるで遠くから他人事のように見ている詩人の目。この二つの視点で、私は戦いを観察していた。

 私にとって、思いがけなかったのは、フレイの行動だった。
 彼女は、カイヴァンの戦いを後方から、じっくり眺めて援護射撃をするような性格ではなかった。果敢に、小剣を振りかざして、接近戦の渦中に飛び込んでいったのだ。盗賊として、背後からの一撃で大ダメージを与える。彼女の行動は、その意味では理にかなったものと言えよう。しかし、あまりにも無謀だった。
 フレイは、カイヴァンへの想いに突き動かされ、自らの役目を果たしてベルフィットに奇襲攻撃を仕掛けた。そして、それに失敗し、反撃を受けて散って行った。

「フレイーーーーーーーーーーーッ!」
 ここまで激しいカイヴァンの叫びを、私は聞いたことがなかった。日頃は、感情をあまり見せない穏やかな気性の彼が、ここまで熱く燃える様子を、私は英雄詩を見る思いで、観察していた。
 カイヴァンの周囲で、強烈な魔力が渦巻いているように見えた。それは、ポキューリンベルフィットに変貌させた別次元の魔力と同質のように、私には思えた。
 カイヴァンの鎧、イルマディアの遺したブラックスワンアーマーが、淡く、それでいて強烈な光を放っていた。
 カイヴァンの背後に、何人もの人影が立っているように見えた。それは、シヴィアード・ハンドの塔で遭遇した影幻(ファントム)の群れを思わせた。

「これは、天才のわしが見たところ、ミサルの影響力のようじゃな」
 クァイルの声がした。今、戦場で立っているのは、敵のベルフィットと、剣を交えているカイヴァン。そして、のほかに、このノームの幻術師だけだった。
 本来なら、クァイルは、カイヴァンの援護を続けなければいけないはずだった。しかし、もはやこの両者の一騎討ちは、私たちの手が出せない領域に突入していた。矢を射っても、ベルフィットの周囲の魔力に弾き返され、意味を成さない。かえって、カイヴァンの集中力を乱し、事態を最悪の局面に落とし込むことになりかねない。私たちにできるのは、ただ、カイヴァンの勝利を信じて、見守ることだけだった。

「ミサルって確か……」 私は、援護をあきらめ、クァイルにたずねた。異界からライフフォース(生命力)を呼び出す儀式魔術だったわね」
「うむ」
 クァイルは厳かにうなずいた。「お前さんも知ってのとおり、わしとカイヴァンは、次元移動の装置を発動させたせいで、この地にやって来た。その際、ミサル魔力にも巻き込まれて、カイヴァンはエルフの肉体から、人間の肉体に転生してしまったのじゃ。奴の体には、ミサル影響力が強く残っている」
「それがどうして今……」 私は、目の前の光景に魅せられながら、つぶやいた。ベルフィット闇の魔力に包まれた魔物だとするなら、カイヴァン光の霊光を身にまとった天界からの戦士を思わせた。この戦いはいつの間にか、私がこれまで見てきたものと全く異なる神話的な様相を呈していた。神の戦士と、悪魔の戦い。そんな非現実的な光景に、私の心は半ば麻痺していた。
「ここは、次元の境界が不安定な場所のようじゃからの。カイヴァンの中に蓄積されていたミサル魔力が暴走しても、不思議ではない」 クァイルの声が淡々と響いていた。
「不思議ではない……って言われても、ね」 私は、このノームの話が真実なのか、疑ってみようとした。もしかして、彼は口から出まかせを言っているのかもしれない。しかし、ノームの話は、相応の説得力を伴っていたし、私には反論するだけの知識も、気力もなかった。それに、目前の光景は、ノームの話以上に非現実めいていて、かえってノームの話のほうが信用できそうだった。は、聞いた話はまず疑ってみるが、自分の目で見たものに対しては信じることにしている。幻術師のノームに言わせれば、目で見える物も当てにならないそうだが、私は「たとえ、それが幻だったとしても、他の人間には違う見え方をしたとしても、自分がそう見て、感じ、体験した想いや記憶は全て自分にとって真実」という考え方をしている。ただ、人から聞いた話は、誇張もあるだろうし、情報操作も容易だし……まあ、話半分に聞いてみて、自分の目で真実を確かめることを重視している(話だけで満足できるなら、自ら冒険に出る必要はなく、各地の詩や物語を集めて回るだけでいい)。
 目前の光景を信じるなら、それに何らかの意味づけが欲しいし、自分で考えられない以上、ノームの言葉を信じるしかなかった。「それで……」 私は、ノームの話の真実性を確かめるために、聞いてみた。「この後、どうなるの?」
「分からん」 クァイルの言葉は、の予期していたものとは違っていた。このノームは「全てを知り得る天才」であることを自認していたので、めったなことで、こういう発言をしないはずだった。「ただ言えるのは……ミサル魔力がカイヴァンに力を与えておる。今のカイヴァンなら、あの闇の魔物にも勝つことができるはずだ」
 クァイル
の言葉が本当なのか、それともただの願望なのか、私には分からなかったが、私にできることは、ただ一つ。クァイル同様、カイヴァンの勝利を信じて、戦況を見守ることだけだった。

 戦いは長かったのか、短かったのか、分からなかった。
 の果てしなき戦闘……と記したいが、麻痺した心に時間の感覚は意味を為さない。
 気が付けば、を次元門の方に押し込んでいた。エヴァラードの閉ざしたはずの次元門がかすかに開いている。は、そこから力を得ようともがいていたが、がそうはさせなかった。
 光
を凌駕し、門の向こうに放り込んだ。は消え、門も閉じ、そしてもまた、力を使い果たしたかのように急速に薄れていった。
 後に残ったのは、一人の戦士だけだった。ミサルの影響力を全て失い、元通りの姿に戻ったカイヴァンが勝ち残ったのだ。
 私
クァイルは、凱旋した英雄を迎えた。(つづく)

 

●2005年5月3日(火)フレイのおしゃべり(最終話その2……ミレーヌによる口述筆記)

 あたし、フレイ
 フレイ・アルスター
ってのがフルネームなんだけど、アルスター家ってのがどういう家なのか、よく分からない。
 だって、生まれたときから一人だったし、気が付いてみれば、盗賊ギルドで盗みの訓練をさせられていたから、一家そろって楽しく……なんてのとは、縁遠い生活を送ってきたわけよ。ま、自分の親がどんなエルフだったか、とか、どうでもいいことね。大事なのは、自分が今、どんな人間かってこと。
 あたしは、優秀な盗賊で、魔法も使える。魔法の勉強を始めたのは、好奇心から。たまたま盗みに入った家が魔法使いの家で、そこに呪文書があったのね。普通、魔法使いって、自分の呪文書は厳重に管理しているものなんだけど、そこの家主はずいぶんそそっかしい奴で、呪文書には何の防護も施されていなかったの。それで、興味を持って盗んで、あとはパラパラとめくったりしながら、じっくり読みふけっちゃった。そして、いろいろ試してみるうちに、簡単な呪文が上手く成功したんで、他にもいろいろ試しているうちに、何となく魔法が使えるようになっちゃったってわけ。これも、あたしの優秀さの証明ってやつね。
 あ、ミレーヌ、あきれないでよ。あたしに言わせれば、魔法なんて独学で十分よ。本当に才能があればね。でも、世の中には才能がない人が多いから、師匠に頼らないといけないんだわ。

 これで、自己紹介終わり。
 今さら話す練習ってのも、何だか変な感じね。
 ま、生き返って、ようやく動けるようになったんだから、文句を言っちゃいけないか。
 でも、言いたい。
 あれから、みんな、無事に生還して、それぞれの道を目指すようになったじゃない。何だか、あたしだけ取り残されちゃったような気がして、それはすっごくムカつく〜んだけど、
 カイヴァン
がいっしょに付いていてくれるんで、幸せ〜〜ってところかな。今の気分は。

 あのポキューリンだか、ベルフィットだかって奴、あいつをカイヴァンがやっつけるところが見られなかったのは、残念ね。でも、カイヴァンが「あたしの仇を討つ」ために突然、強くなって、1対1で奴を次元の彼方に放逐できたってのは、さすがに「愛の力」って思ったわ。え、ミサルの魔力のおかげ? そんなこと、どうでもいいわよ。やっぱ、これは「愛の力」ってやつよ。他の理由なんて、聞きたくない。
 で、ミサルの悪影響を失ったカイヴァンは、晴れて人間から元通り、エルフの体に戻れたんだけど、それでハッピーエンドにならなかったのが、悲しいところなのよね。だって、あたし、死んじゃったんだもん(シクシク)。

 ブルーノーはいいわねえ。バカだけど、タフだから。
 結局、あっさり生き返ってるもん。まだ、「ウォーーー、ドワーフ王国を再建するための仲間集めじゃあ!」って張り切っているみたいだけど、ああいう筋肉バカは百回死んでも直らないって感じだから、放っておくしかないでしょう。そのうち、暇ができたら、ドーンズディープにでも遊びに行って、からかってやるのも面白そうだけどね、今はパス。また、そのうちね。

 先生は、クルダハルに残っているのね。
 無事に生き返って、アルンデルの遺志を受け継ぐって決めたのよね。でも、もう少し修行が必要だと思うわ。結局、最後の戦いで、あたしが死んだのは、先生があっさり倒されたりするからよ。もっと、慎重に行動してもらわないとね。
 え? あたしが死んだのは、無謀に突撃したからだって? 何、言ってるのよ、ミレーヌ。全ては「愛のため」なのよ。愛のためにした行動は、全て許される……って、こんなの常識よ。詩人なんだから、そこのところ、もう少し勉強しないと成功しないわよ。……何よ、そのため息。

 ま、いいわ。
 次に、クァイルおじさんね。結局、カイヴァンは故郷に帰るのをあきらめたみたいなんだけど、おじさんの方は未練がまだあるみたいね。でも、「将来はサーカスの団長になるんだ」とか言って、よく分からないわ、いまいち。ああいうのが天才を名乗るなんて、やっぱり許せないわ。本当の天才は、やっぱ独学で魔法を覚えた、この・あ・た・し・よ。
 ……ま、こういうセリフは人前で言うのって、恥ずかしいから、あんたの前だけだからね。大体、人前で自分のことを「天才」って言ってはばからない、常識ないのが僧侶やってるなんて、今でも信じられないわ。あいつ、詐欺師だから、神さまも騙されてるんじゃない? 

 で、ミレーヌ。今日は、また、お見舞いに来てくれて、ありがと。
 正直、今の姿を鏡で見たときは、ショックだったわ。親友のあんたにも見られたくなかった。だって、今までエルフとして生きてきた美少女が、突然、人間になりました! ですもんね。耳と鼻が丸くなって、目はパッチリで悪くないんだけど、髪の色とか、肌の色とか微妙にくすんで見えて……グスン。
 ごめん、ミレーヌ、ハンカチありがと。
 うん、もう、いいの。考えてみれば、スヴァーフネブリンとか、ドワーフとか、とんでもないのに転生する可能性だってあったもんね。それに比べたら、人間も悪くないわ。今でも、やっぱり控えめに言っても、美少女だしね。大体、あたし、人間の姿のカイヴァンを好きになったんだし〜〜、これでカイヴァンに近づけた! と思ったら、カイヴァンの方は、ちゃっかりエルフに戻ってしまうし、何だかズルい。

 でも、いい。
 これで、カイヴァンの気持ちが前よりも分かるようになったし、何よりもカイヴァン、あたしに付き添ってくれているんだもんね。このハンドの塔で、クァイルおじさんといろいろ研究しながら、あたしをエルフに戻す方法を探してくれている。そんなこと、別にしてくれなくてもいいって言ってるのにね。
 ま、カイヴァンがどうしてもって言ってくれるのは、うれしいな。あたしのために、一生懸命だもんね。うん、愛があるから、必ず、うまく行く。あたしも、この体に慣れて、うまく動かせるようになったら、カイヴァンの手伝いをするつもり。その方が絶対。調べ物も早く終わるはずだしね。
 ただ、ま、このままでも別にいいかな、なんて思ってるの。
 もし、あたしがエルフに戻ったとしても、そのときはカイヴァンが離れていっちゃうんじゃないかな、なんて思ったりもするから。え? そんなことないって? カイヴァン、あたしのこと放っていかないって? あんたの言葉だから、信じてもいいかな。でも、カイヴァンから直接聞いてみないとね。

 とにかく、今日は、本当にありがと。
 まだ、自分でも気持ちが不安定だと思うけど、心の中をすっかり話せて、スッキリしたわ。今までは、口も、まともに動かせなかったもんね。
 ふぁ〜〜、何だか、久々にいっぱいしゃべっちゃったから、眠くなってきたわ。今の、あたしの一番の望みは、早く体が動かせるようになって、もう一度、みんなで冒険に出ることよ。多少、腕がなまった気がするけど、すぐに回復して、元通りの勘を取り戻してみせるわ。
 また、みんなで、いっしょに冒険できたらいいね。
 じゃ、おやすみ。

これにてアイスウィンド旅日記・完結。

 

●2005年5月3日(火)・作者後書き

 ということで、最終決戦と、その後日談は、それぞれ女性キャラ2人の視点を基に、1人称小説風に書いてみました。
 元々、「アイスウィンド旅日記」って、立ち上げ段階で、フレイを主人公にしたリプレイ記事のはずだったんですが、結果的にブルーノーに重心が移ってしまいました。どうも、わがままな女性キャラで一本、筋を通した物語に仕立てるってのは、NOVAにはまだ荷が重かったようです。
 あと、ミレーヌも常識人なのが災いしてか、パーティーの中で一番地味になってしまいました。
 そんなわけで、最後の締めぐらい、この二人に焦点を当ててみたかったってことです。自分としては、これ以上ないぐらいの上手い終わらせ方だと思っています(^0^)。
 途中で、主人公認定されたカイヴァンも、最終決戦近くでようやくブルーノーを凌駕する見せ場を得られましたしね。

 ポキューリン(ベルフィット)との最終決戦ですが、はい、じっさいのゲームでも、先生ブルーノーフレイが死んでしまう、という散々な状況でクリアしました。
 普通、こういうときって、セーブしたところからやり直すわけですが、今回は、そのまま素材として、物語に採用することにしました。
 カイヴァン
が生き残り、ベルフィットにとどめを刺したのは事実ですが、その際、「ミサルの影響を受けた体に宿る神秘的なパワーが発動した」という設定は、アレンジしたものです。でも、まあ、これまでのストーリーの流れに、見事にマッチしたので、書いていて楽しかったです。
 しかし、このラストバトルは、ほとんど「Zガンダム」とか「スーパーサイヤ人」とか「星矢」のノリですな。仲間が次々と倒され、残った主人公の怒りが発動して、逆転勝利を収めるってのは。

 次に、後日談ですが、
 死んだキャラがそのまま死んだきりで終わるってのは後味が悪いので、全員、生き返らせて、未来をつかんでもらいました。ただし、当然、ルールの範囲内で。
 一番、困ったのは、フレイです。はい、AD&D本来のルールでは、「エルフはレイズデッドの魔法で生き返らない」です。もう少し、高位の魔法で、「リザレクション」ってのがあるんですが、それよりも「カイヴァン同様、エルフから人間に転生して、一方、カイヴァンはエルフに戻った」って方が、うまくオチになるなあ、と思いました。

フレイ「オチをつけるためだけに、勝手に人の種族を変更しないでよ!」

 いや、まあ、フレイって名前だったら、最終話で死んじゃって、その後、エクステンデッドとして転生って路線がどうしても頭にあったんで、やはり、こういうラストこそふさわしいと思うんだけどね。まあ、生き返って、カイヴァンと結ばれたんだから、OKと思ってほしいわけで。

フレイ「カイヴァンと結ばれたの?」

 一応、作者としては、そう考えている。
 最近買った続編の『アイスウィンド・デイル2』は、1世代後の話らしいんで、フレイカイヴァンの子供を主人公に設定しようと思っているところだ。問題は、種族をエルフにしようか、ハーフエルフにしようかってことぐらい。

フレイ「子供ができるんだ♪ それなら納得」

 
そんなわけでして、フレイたちの話は、これで終了と。さすがに子供の世代の話だったら、親の出る余地はあまりないかな、と思ってます(レベルも1からだしね)。
 ただ、
『アイスウィンド・デイル』には、一応、拡張シナリオとして、『ハート・オブ・ウィンター』『トライアル・オブ・ザ・ルアマスター』という2本の作品があって、英語版を入手する機会があれば、もしかして……って思わなくもないわけですが、まあ、たぶん、そんな機会はないでしょう(日本語版が出れば話は別だけど、今さらねえ^^;)。

 で、その
『アイスウィンド・デイル2』ですが、『ミス・ドラ』も始めちゃったし、『BG2』も残っているからねえ。よほど、強烈な衝動でもない限り、プレイは先の先になるかな、と。
 ともあれ、1年半の連載、ご愛読(してくれた人はいるのかな?)ありがとうございました。

PS:
フレイカイヴァンの子供は、やっぱりステラかなあ? と悩みつつ。トダカ一佐に合掌。

 ※アイスウィンド2旅日記はこちら