三菱 ライトバスの系譜 (三菱/ふそう編_2)

中型トラック ジュピター(T10)の派生車であるローザに対し、
三菱ふそう(川崎)では、2tトラック キャンター(T720)を基に
ライトバスを開発した。

ボデー架装は呉羽自動車工業が担当。他社の小型バスが
トラックシャシーを流用した中、ふそうMB720は
フレームレスの意欲的な設計だった。

悲運にも競合車種の集約により、1966年には製造が中止される。

1961 T720BA
三菱ふそう 小型バス

自動車ガイドブックVol.8(1961-62)に

掲載された15人乗の小型バス。

何となく歪んだパースが嘘臭く、

自動車ショーでの実車展示もなかった

ようなので、


カタログだけで終わった可能性がある。

エンジン4DQ1ディーゼル

全長4,675mm、全幅1,690mm
全高1,990mm、軸距2,285mm

出典:自動車ガイドブックVol.8 1961-1962
1961 T720
三菱ふそう ライトバス試作車

「自動車ショーでの実車展示もなかった」

というのは誤りで、第8回ショーでの写真を

発見。まだ試作品の段階とのこと。


顔とドアは、初代キャンターそのままで

当初はエルフTLマイクロバス

をベンチマークにトラックの変種として

企画したようだ。

出典:モーターファン1961-12別冊付録 第8回自動車ショー
1962 T720
三菱ふそう キャンター

ベースとなった初代キャンター。

第7回の自動車ショーにて、
試作1.75t積トラックT710として
発表されたが、市販されたものは
2t積となった。

ライトバスは、キャンターのイメージ
でデザインされているため、
比較すると興味深い。

全長4,650mm、全幅1,690mm
全高1,990mm、軸距2,285mm

出典:自動車ガイドブックVol.8 1961-1962
1962 MB720
三菱ふそう ライトバス試作車

登場前年の自動車ショー展示車。

市販車は翌年4月登場。

キャンターと共通のディーゼル
エンジン4DQ1(68PS)の経済性、
大型化した車体、時代を先取りした
運転席扉がセールスポイント。

グリルに頼らない意欲的な
IDデザインだが、デラックスブームの
1960年代に受け入れられたか
やや疑問である。

出典:モーターファン1962-12別冊付録 第9回自動車ショー
1963 MB720
三菱ふそう ライトバス


試作車とほぼ同一に見えるが、
フォグランプがやや大型化した様子。

写真はラジオ、フォグランプ、
布張りシート、自動扉、ラジオ付きの
デラックス仕様。

全長5,500mm、全幅1,890mm
全高2,300mm、軸距2,750mm


21人乗ということで、結果として
三菱名自のローザと社内競合…
三菱でよくあるパターンです。

出典:モーターファン1963-12別冊付録 10th自動車ショー
1964 MB720
三菱ふそう ライトバス


キャンターの4灯化と同時に

デュアルヘッドライトとなる。

乗降扉右下のプレートは、

「ふそう」と「Kureha」?



出典:モーターファン1964-12別冊付録 11thモーターショー
1965 MB720
三菱ふそう ライトバス


長尺・短尺の違いや定員の変更、

エンジンのバリエーションもなく、

淡々と勢造が続く。


1966年には、三菱重工への合併に

よる車種統合とキャンターの

水島工場への製造移管もあり、

わずか3年で生産が中止される。

総生産台数411台。
出典:「三菱の自動車」1965年版

【参考資料】
『海に陸にそして宇宙へ 続 三菱重工業株式会社社史』(1990)
『三菱自動車工業株式会社社史』(1993)
日本自動車工業振興会 『自動車ガイドブック』 各号
『モーターファン』 各号
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