夕 飯



あ−…、腹減った

“こいつ”のせいだよ
俺の服を涙と鼻水でぐっちゃぐちゃにしてくれてる、この迷探偵の

まあ、服っつっても皮膚から造ったモンだし
泣かしたのは“俺”だけどさぁ…

こいつの脳ってば、食いモンだらけだったし
しかも、それがまた美味そうでさ


ホント、腹減ったなぁ…
何か喰いたい

あんたの料理が喰いたいよ、……アイ


覚えてるよ
何でも出来たあんただけど、特に料理が上手かったよね

思い出したよ
あんたの作ったもの、何でもとびっきり美味かった


ハンバ−グもグラタンもカレ−も
イナゴもハチの子もカエル料理も


でも、残念
ゴリラの腿肉の唐揚げ、喰い損ねた
あれ喰って元気になった後なら、ネウロにだって勝てたのに

あんたと俺の2人なら、絶対に、勝てたのにさぁ…


ねぇ…、アイ
俺、今夜はあんたの作った……………が、食べたい…な…



  『かしこまりました、X(サイ)。すぐに支度をいたします。
   ……それから…』



……な…に?アイ…



   『お帰りなさいませ、X(サイ)。
    貴方の正体(なかみ)が見つかったこと、嬉しく思います』



ありがと……アイ、俺の



…………“俺”の…………………















「……………………………………………X(サイ)…?」



                                   − 終 −


TextTop≫       ≪Top

***************************************
  2009. 7.12  ネタバレ注意書を削除しました。
(以下、下の方でつぶやいております。)










第196話の感想を書きながら、突発的に思いついた小話です。
掲示版にくっつけていましたが、若干手直しをして掲載しました。
以前に書いた「不死」のアンサ−話みたくなってます。
ずっと捜して、求めていた“それ”は、実は身近にあった。
「青い鳥」って、本当に不朽の名作ですねぇ…。