「カレンさん?どこですかー?」
カイが私を呼ぶ声が聞こえる。
「あ、こんな所にいた!だめじゃないすか、こんなに寒いのに上着も着ないで外に出て。体冷えちゃいますよ!」
「ごめん、ごめん。ちょっと懐かしくてさ、思い出してたの。ほら、4年前の今日。」
「ああ……」
4年前――18歳だった私と、19歳だった、カイの出会い―――。
「カレン、カレン。」
母さんが私を呼ぶ声が聞こえる。冬になったばかりの寒い日。
まだ寝ていたいのに、なんで今日はこんな早く起こすわけ?
「カレン、起きているでしょう?着替えて降りてきて。」
分かったわよ……。
う〜寒いなあ。そろそろ雪でも降りそうな感じ。とりあえず、着替えて降りるか。
1階に降りると、いつもの仏頂面の父さんと、暗い顔した母さんの姿のほかに、知らない男の姿が確認できた。
……なんで?……あれ、誰?
「カレン、こいつはカイだ。今日からうちに住むからな。」
父さん、説明不足じゃない?
「あ、カカカカカレンッおじょうさんっすか?じじじ自分はっカイといいいいいいます!」
あの……カイ…さん……?もはや説明として成り立ってすらいないわよ。
「カイはね、今日からうちのぶどう園で働くことになったの。
本当は先月来てくれるはずだったんだけど、お家の都合で遅れたんですって。」
なるほど、やっと納得。……でも、なんか頼りないなぁ。
今年も、この季節が来た。
――4年前――