町で1番カワイイのは・・・

「花祭り?」

俺、クリフがここ、花の芽町に来て1年と少し。

最近では俺もケインもだいぶここになじんできた……と思う。

住処にしている月山ではきこりの源さんや一太、二太が雨の日に家に泊めてくれたり

キノコや魚、山菜を使った料理を教わったりと、特に親切になっている。

だから俺も狩りやきこりの仕事を手伝ったり釣りをしたりと、わりとこの3人と一緒のことが多い。

特に一太と二太は年も近いこともあって、牧場主のピートと同じくらい仲がいい。

俺に”花祭り”の事を教えたのはそいつらだった。

「そう、花祭り。あさって広場でやんのよ。」

「奥の泉に女神様がいるって伝説は、前話したよな。」

「はあ…。」

「町の女の子達のうちの1人が女神様の衣装を着るんだ。で、皆で踊る。って祭りだったよな。」

「ああ。女神の衣装を着た子はとっても綺麗だぜ!今確か投票受け付けてるはずだ。」

「……ふうん…。別に俺はいいや。踊れないし。」

「……………たしか、グリーン牧場んとこのランも、候補だったよなー?」

「………ああ、そうだそうだ。あれも一応"町の若い子"だよなー?」

「……………………ふうん……」

俺はそれだけ言う、買出しに行くため山を降りた。


「やあ、クリフ君じゃないか。いらっしゃい。」

自称発明家のリックとも、狩りの道具を作り直してもらって以来よく話すようになった。

「リック、これ、直せるか?」

「ああ、これも狩りの道具?どれどれ…うん、あさってぐらいには出来ると思うよ。」

「そうか、あ、いくらだ?」

俺はリックに言われただけの金額を渡し店を出ようとした。

「あ、クリフ君。………もうすぐ花祭りだねぇ。」

「あ?ああ。そうらしいな。」

「ランちゃん普段はあんなだけど女神様の衣装意外と似合うんだよねー。」

「…………ふうん。い、意外だな。」

「…ぼくさあ、去年までずっと踊ってたんだ。ランちゃんと。」

「………………………へ、へえ。」

「従兄弟の縁でね。」

なんだ、従兄弟か。

「お互い踊る相手がいなかったから、なんだけど。でも僕、今年はその日参加できないし、ランちゃん、1人かなぁ?」

リックの言葉を背中に受けながら、店をあとにした。

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