高速射程範囲内
そこにあなたは居た。いや、居なかった。
海の向こうに生きるあなた。空気も時間も違う異国の町に、たったひとりで。
(加速空間に居る様な。『共有』を許されない絶望的な隔たりという点に於いては。それでも互いの音を聞き分け感じる事は時として可能。・・・・・・ )
( 。・・・だから、)
時計のデジタル表示が00:00に切り替わる度、薄曇りの光の元に佇むあなたを想うのだ。────── 勿論たったひとりで。あなたが
私の知らない誰かと共に居るかも知れないなどという考えは、それだけで…愚かな事だと分かってはいても、それだけで ──────
カチリという音はひどく乾いている。想像する。文字盤の向こうから、私の額に照準を合わせているあなたを。
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