モドル | ススム | 009

  高速射程範囲内   



そこにあなたは居た。いや、居なかった。







海の向こうに生きるあなた。空気も時間も違う異国の町に、たったひとりで。




(加速空間に居る様な。『共有』を許されない絶望的な隔たりという点に於いては。それでも互いの音を聞き分け感じる事は時として可能。・・・・・・ )


( 。・・・だから、)



時計のデジタル表示が00:00に切り替わる度、薄曇りの光の元に佇むあなたを想うのだ。────── 勿論たったひとりで。あなたが

私の知らない誰かと共に居るかも知れないなどという考えは、それだけで…愚かな事だと分かってはいても、それだけで ──────





カチリという音はひどく乾いている。想像する。文字盤の向こうから、私の額に照準を合わせているあなたを。









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