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ロボットヒーローの間に


ここは、バンプレスト発売のヒーロー混載RPGと

「スーパーロボット大戦」の関係を追求する場所です。

注目作品は二つ。

ヒーロー戦記」スーパーヒーロー作戦」です。

では、アムロやギリアム、イングラムらの
失われた記憶を探るとしましょう。


1.ヒーロー戦記

 1992年。
 
今のように、「スーパーロボット大戦」シリーズがメジャータイトルでなかった時代。
 スーパーファミコンで、1本のRPGが生まれた。
 主要キャラは、
「ウルトラセブン」「仮面ライダーBLACK」「機動戦士ガンダム」
 そう、世界観も、身の丈も全く異なる人気キャラクターが一同に集結し、悪と戦う一つの物語を築いたのである。
 この作品は、現在のバンプレストに多大な遺産を残している。その半ば、伝説となった実態を吟味しよう。

 まず、RPGとしての形態だが、パーティー参加人数は4人。4人目は固定されておらず、ストーリーの展開に合わせて入れ替わっていく。
 戦闘画面は、敵味方の戦う様子の見れるサイドビュー。
 そう、このスタイルは、かの有名RPG
「ファイナルファンタジーU」と同じ形式である。

 さて、最初の4人目が問題である。
 モロボシ・ダン、南光太郎、アムロ・レイの3人に混じるのは、オリジナル・キャラクターの
ギリアム・イェーガー。彼は、アムロ同様に、ロボットに乗る。その名は「ゲシュペンスト」。漆黒の、時には「グリフォン(inパトレイバー)」にも似たと評される、パーソナル・トルーパー(PT)である。
 彼の特殊能力は、強力である。未来予知の超能力と、パーティー全体回復の技である。彼さえいれば、いかなる悪との戦いにも引けは取らないだろうと思われていた。
 しかし、彼は物語の序盤で生死不明となってしまう。その後、パーティーの4人目には、多彩なキャラクターが参加する。覚えている限り、
本郷猛(仮面ライダー1号)、カミーユ・ビダン(Zガンダム)、東光太郎(ウルトラマンタロウ)、そして、あろうことかハマーン・カーン(キュベレイ)まで一時的に仲間入りしたと記憶する。
 奇しくも
東と南の光太郎が揃った一幕が見られたこともあった。これに、「新造人間キャシャーン」を作った親父さん・東(あずま)光太郎博士と、「ダイヤモンド・アイ」の熱血新聞記者・雷甲太郎、「人造人間キカイダー」のモデルとなった故・光明寺太郎でも集まれば、無敵のコウタロウ軍団が誕生する……なんてのは、本当にどうでもいい妄想である(^^;)。

 さて、そんなわけで、アムロはνガンダムに乗り換え、南光太郎はRXに進化し、ウルトラセブンもどうにかパワーUPした。そんな状況で仲間に加わったのは、黒白二匹のネコを連れた方向音痴男マサキ・アンドー(サイバスター)だったり、謎めいた雰囲気をもつ(モロボシ・ダンをして恐ろしい男と言わしめた)シュウ・シラカワ(グランゾン)だったりする。確か、アムロはこの二人を覚えていそうで思い出せないようなことを言っていたと思う。
 とにかく、いろいろなドラマを経て、最後に仲間に加わったのは、F91のシーブック・アノーである。もう、この時期、一番旬なガンダムだから、最後の美味しいところは頂いていくわけだ。
 そして、最後の敵は何と、生きていた
ギリアム・イェーガーその人だった。彼が敵対するに至った細かい事情は残念ながら、NOVAの深い記憶の底に沈んでしまったが、彼の「未来予知の特殊能力」に関係したはずである。とんでもない未来を予知してしまい、それを解決するために、自ら悪となって、他のヒーローに倒される道を選んだのだった、という漠然としたイメージが残っている。
 とにかく、ギリアムは、一見クールな外見でいながら、ここぞという時には、自ら犠牲になることを辞さない、義侠心熱い男であることを印象付けて、この世を去った。しかし、彼の魂はいつか新たな世界に転生することになるのだった。

 最後に、この作品では、風見志郎こと仮面ライダーV3も登場する。しかし、白いギターを抱え、亡き友・飛鳥五郎の仇をひたすら追い求めるその姿は、別のヒーローそのものだった。この常に「日本一の男」が正式な名称でゲーム世界に登場するのは、この後6年以上の年月を経てからであった。

※幕間「ガイアセイバー」

 何年のことか、はっきり覚えていないが、SFCにもう1本、ヒーロー混載RPGが確かに存在していた。「ヒーロー戦記」と似たようなシステムだが、もう少し特殊ルールがあったと思う、そのゲームの名は「ガイアセイバー」
 主人公は、
「ウルトラマンレオ」「仮面ライダーアマゾン」。とてもメジャーとは言えない通好みのヒーローである。「ガンダム」のアムロもいたが、途中で記憶を失って敵になり、そして終盤で記憶を取り戻し、オリジナルMS(モビルスーツ)を駆って、戻ってくるような話だったと思う。
 ルールだけはある程度はっきり覚えている。
 まず、ウルトラマンは3ターンしか戦えない。戦闘時間が経つにつれて、どんどんHPが減っていく。
 MSは、大きすぎて屋内では戦えない(ウルトラマンの場合は、等身大化できるから問題ない)。屋内での戦闘では、能力の低い作業用プチMSを使うことになる。
 ライダーだけは、ペナルティーがなかったように思える。

 そんな凝ったシステムの続編だったが、あまり話題になることもなく、その存在は歴史の影に消え失せているようである。ただ一つ、ヒーローたちの混成部隊のチーム名称として、その名が残っているのが唯一の遺産といえるか。

2.スーパーヒーロー作戦

 1999年。
 時を経て、「スーパーロボット大戦」が押しも押されぬメジャータイトルとして成長し、新たな展開を模索していた時代。
 ヒーロー混載RPGが、プレイステーションに戻ってきた。

 かつて、「ウルトラマン」「仮面ライダー」「機動戦士ガンダム」たちが活躍した伝説を塗り替えるために。そして、新たな英雄伝説の幕を開けんがために。

 基本となる世界観は、中断されていた「新スーパーロボット大戦」の仕切り直しと言える。そのために引っ張り込まれた、ロボットは3種。
 まずは
「Gガンダム」。ファーストガンダム、ZZと並び、ヒーロー色濃厚なガンダムである。
 次に
「ガンダムW」。けれん味たっぷりな演出により、この物語のパイロットたちも超人ぞろいである。
 そして、
「超機大戦SRX」。「新」において鮮烈にデビューしたものの、その後、格闘ゲームやらシューティングゲームやらに引っ張りまわされ、濃厚な物語展開とは縁の少ななかった、しかしバンプレスト最強の実力を持つと言われる超スーパーロボットである。
 主人公として新たに登場したキャラクターは、
イングラム(男)ORヴィレッタ(女)。彼(彼女)が駆るのは、専用PTのアールガン。後に強化されたパワード形態になると、SRXの持つ超ロングライフル「天上天下一撃必殺砲」に変形可能という隠された秘密を持つマシンである。その威力は絶大で、ウルトラマンを倒した宇宙恐竜ゼットンを撃退するシーンは、物語の一つのクライマックスと言える。

 ウルトラ兄弟は、ゾフィ〜レオまでが一通り登場する。しかし、物語上、中心となるのは、初代マンセブンである。主人公は、ヒーローたちの住む過去の世界では、科学特捜隊とウルトラ警備隊のお世話になる。
 仮面ライダーは、今回、登場を見合わせた。代わりに登場したのは、V3改め
ズバット、3人の宇宙刑事、人造人間キカイダー兄弟&メタルダー。彼らの存在は、この物語の中で結構、有機的に結びついている。
 (ここから先は、ネタばらしになるので、ご注意を)。

 

 

 

 

 まず、宇宙刑事の故郷バード星は、敵のラスボスであるユーゼス・ゴッツォの故郷でもある。
 また、
ユーゼスの最終目的は、ウルトラ兄弟の強力なエネルギー源カラータイマーを利用することで、達成される。
 そして、
ユーゼスに利用される目的で作られたクローン体である主人公は、同じ作られた存在であり、不安定な良心を持つキカイダーの励ましを受け、またメタルダーの自己犠牲的精神を見ることで、ユーゼスからの呪縛を断ち切り、最終決戦に挑むことができる。

 こう見ると、ズバットを除いて、物語において不要なヒーローは誰一人としていないのである。一方、ズバットは、スタッフの愛情が、いたるところで表現されており、「さすらいのヒーロー」として抜群の存在感を持っている。
 よく、このゲームの欠点として言われる、「特撮キャラとアニメキャラの共演による世界観の不一致」だが、
「ヒーロー戦記」からの流れを反芻すると、「Gガンダム」や「ガンダムW」は登場して当然ということになる。かつても、ガンダムはウルトラやライダーと共演していたのだから。
 そして、ドモンやヒイロたちの目的であるデビルガンダムの追跡こそが、主人公を過去のヒーロー世界に導く狂言回しなのだから、決して物語上、遊離した存在とはいえない。

 そういうわけで、NOVAの中で、「スーパーヒーロー作戦」の評価は非常に高いものとなっている。その完成された、飽きさせることのない物語展開では、続編の「ダイダルの野望」を上回る、とも感じる。
 もし、「α」の世界をもっと堪能したいなら、是非とも「スーパーヒーロー作戦」をプレイすべき、と言える。
 かつて、「ヒーロー戦記」がその後の「スパロボ」に影響したように、「ヒーロー作戦」は今後の「スパロボ」に確実に影響しつづけるだろうから。