何気ない日常
その日も何もなく終わるはずだった。
それが崩れたのは一本の電話だった。


「はぁ・・・・はぁ・・・・」
俺は無我夢中に走っていた。 「冗談じゃね〜ぞ・・・・」 夜の病院はシンと静まり返っていた。
この静けさが逆に俺をイラつかせる。
そして、とある部屋の前にたどり着いた
集中治療室と書かれた部屋の前に・・・・
〜Lost〜 ・・・別れ・・・

「おばさん・・・」
その声に反応し、椅子に座っていた女性がこちらを向き立つ。
「・・・梗耶君。来てくれたんだ。」
その目に涙を溜めながら言ってくる。
「彩音は・・・てか、どう言うことですか・・・何があったんですか・・・」
俺は呼吸を整えながら聞く
「・・・事故よ。学校からの帰りにね・・・全身を強く打って・・・」
声が震えている。
「・・・一杯血が流れてて・・・」
俺はおばさんを落ち着かせようと、一度椅子に座らせた。
「・・・もぅ、いいですから・・・落ち着いてください・・」
「落ち着いてなんかいられないわよ!!娘が!!彩音が!!死んじゃうかもしれないのに!!」
「・・・ここで騒いだら迷惑になりますから・・・少し落ち着いてください。」
本当は俺も言い返したかった。
だが・・・
「・・・御免なさい。・・・貴方に当たっても仕方ないわよね・・」
がっくりと項垂れながら座りなおすおばさん。
「・・・いいえ。・・・少し、電話かけてきます。・・・」
俺は適当に理由をつけてその場を去った。


「・・・もしもし、母さん?・・・あぁ、今病院だ・・・
 えっ?・・・あぁ、大丈夫だから・・・うん。わかった。それじゃ・・・」
とりあえず、家に電話をかけ、その場にうずくまる。
「・・・彩音・・・この前会った時には元気だったじゃね〜か・・・何々だよ」
地面を殴りつけても、何も変わらないのは解っていても、何度も殴る。
やがて、自分の拳から血が滴れ落ちる。
「・・・こんなの・・・彩音の傷に比べたら・・・」
下唇をかみ締めながら、おばさんの所に戻る。
そして・・・・最悪の結果が伝えられる事になる。


俺が戻った時にはおばさんは居なく
治療室の光も消えていた。
「・・・ん?・・・おばさん?」
辺りを見渡しても誰も居ない。
「・・・梗耶君・・・」
不意に後ろから声をかけられ
「・・・おじさん・・・彩音は・・・」
何も言わないおじさん。黙って違う部屋に入って行く。どうやら来いということらしい。
「・・・ここって・・・」
嫌な予感は当たっていた。
そこには泣き崩れているおばさんと・・・
ベットに横たわって白い布をかけられている・・・・彩音
「・・・冗談・・・だろ・・・」
ふらふらと近寄り、顔にかかっている布を外すと・・・紛れも無い彩音の顔・・・
「・・・おい・・・何寝てるんだよ・・・彩音・・・おい・・・」
顔に触れてみるが、冷たい・・・
まったく体温が・・・無い。
「・・・梗耶君。これを・・・」
今まで黙っていたおじさんが俺に小さな箱を渡す。
「・・・今では彩音の遺品になってしまったが、君への贈り物だ。」
箱を開けると、小さなチョコとリングが入っていた。
無言のままおじさんを見ると
「・・・この前彩音と会ったそうだね。それ以来ずっと梗耶君の話ばっかりでね・・
 今度のバレンタインにはこれを渡そうと思っていたらしい。貰ってやってくれるか?」
「・・・ありがとう・・・御座います・・・」
俺はそれだけ言うと、その場から立ち去った。


行く当てもなくふらふらと歩いていると、小さな公園にたどり着き
「・・・何や、小さな公園やの。昔の公園になんか似てるな・・・」
なんとなくそう思い、ブランコに座り・・こぎ始める
「・・・昔もこうやって遊んでたな・・・彩音と・・・
 いっつも俺のほうが下手やって・・・あいつにいろいろ言われて・・・」
こぐのをやめ、座る。
「・・・それも・・・もぅ聞けへんのか・・・」
俺は夜が明けるまで、寝ずに座ったままだった。
□後書き□
今までお蔵にされていた作品をリメイク
あぁ〜、でもそんなに変えれていないのは秘密(爆
とりあえず、暗い話を書きたくなり、突然リメイクに入ったから変です。
コンセプトとしては、幼馴染の死・・・まぁ、そないにシリアスには書けまへんわ。
えっ?何でって?嫌だな〜俺だからに決まってるじゃないですか〜(爆笑)
ってことで、後編をご期待!(しないって)
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