1 「説文解字」大徐本:汲古閣版 の字形 (
早稲田大学学術情報検索システムより)
例:沛

2 「説文解字注」篆文の字形 筆者は浙江古籍出版社版(2010年)を参照
3 漢字古今字資料庫(
台湾・中央研究院Webページ)の字形
例:肺

4 「説文解字」の本文

(親字は

)は部首

(

)に従う字であり、

字の項に「从

盛而一横止之也」とあることから、

の篆文には「一横」がないことが分かる。
また、肺字の項には「从肉

声」、沛字の項には「从水

声」、「こけら」字の項には「从木

声」とあり、いずれも

を旁としていることが分かる。(上記2「説文解字注」掲載のものによる)
5 「字統」の記述
字統の

字の項の篆文は横画の無いものである(説文解字などとは若干形が異なるが)。また、「沛」については「声符は

(はい)」、「肺」についても「声符は

(はい)」とされている。(

と

とは異体字の関係にある。)
沛の旁は「木の葉の茂るさまをいう字で、勢いの盛んなものをいう」(沛字の項)とされ、

(

)は「標識として木を立て、これを左右より支えている形」であり、

(ハイ)と「

・朿(シ)・市と関係はない」(

字の項)とされている。
また、上記4の説文解字「从

盛而一横止之也」の引用もされている(

字の項)。
これらから、白川氏も、沛や肺の旁の篆文には横画が無いものと認識して執筆されたものと推定できる。
画像引用元
説文解字 大徐本 汲古閣版:早稲田大学学術情報検索システム(ウェブサイト)
小篆 漢字古今字資料庫(台湾・中央研究院ウェブサイト)
JIS規格外漢字(明朝体) グリフウィキ(ウェブサイト)