以下の表は、クウガの形態変化を本編登場順にまとめたものである。
登場順 | 初登場話 | 名称 | 色 | 武器 (必殺技名) |
1 | 1 | グロウイングフォーム | 白 | なし(キック) |
2 | 2 | マイティーフォーム | 赤 | なし (マイティーキック) |
3 | 5 | ドラゴンフォーム | 青 | ドラゴンロッド (スプラッシュドラゴン) |
4 | 7 | ペガサスフォーム | 緑 | ペガサスボウガン (ブラストペガサス) |
5 | 10 | タイタンフォーム | 紫 | タイタンソード (カラミティタイタン) |
6 | 24 | ライジングタイタン | 紫 | タイタンソード (ライジングCタイタン) |
7 | 26 | ライジングペガサス | 緑 | ペガサスボウガン (ライジングBペガサス) |
8 | 28 | ライジングドラゴン | 青 | ドラゴンロッド (ライジングSドラゴン) |
9 | 30 | ライジングマイティー | 赤 | なし (ライジングMキック) |
10 | 46 | アメイジングマイティー | 黒 | なし (アメイジングMキック) |
11 | 48 | アルティメットフォーム | 黒 | 不明 |
表中の初登場話から分かるように、第1クール(1〜13話)で、基本のフォームが出そろっている。
ライジングフォーム登場は、物語のほぼ半ば、2クール(14〜26話)終了間際である。登場順は、基本フォームを逆上る形で行われているのが興味深い。これは、ライジングマイティーの強力さを大きく印象づけた。
そして、残る2形態は、クウガ究極の姿として、3クール(27〜39話)の間、視聴者の興味を引っ張りに引っ張ったあげく、「アメイジングマイティー」でフェイントをかけ、最後の最後で、実際の「アルティメット」登場は劇中2分ほどという前代未聞の展開を見せた。
では、以下で各形態別に、その能力と感想を記していくとしよう。
なお、念のため、各形態の名称や武器、必殺技名は、劇中一度も呼称されて
いない事も補足しておく。
五代が、クウガに初変身した姿。
名前は「成長途上」の意味。
劇中では「白のクウガ」と呼ばれ、警察からは「未確認生命体第2号」の呼称もつけられている。
クウガは4形態に変身できるとの先行情報はあったが、この形態は第1話放送時まで秘密にされており、NOVAを含む視聴者を驚かせた。
マイティーフォームの赤を白に変えた装甲と、成長中を実感させる短い角を持つ。能力は、マイティーの半分だとされる。それでも、人間はおろか、初期のG3(in「アギト」)より強い。
五代の変身が未熟な時だけでなく、負傷などの理由で全力を出し切れない時に、この形態に戻ってしまい、ピンチを演出するのに一役買った。この形態のキックでは、「未確認第1号ズ・グムン・バ」は倒せなかったが、連発することで「キノコ種怪人メ・ギノガ・デ」を撃退している(第19話)。
ピンチの時に白くなるのは、「レインボーマン」や「高速戦隊ターボレンジャー」を思い出させる。
クウガの標準形態とも言える、赤い姿。
「地水火風の火」を象徴し、格闘能力に秀でたバランス型。
名前は「強力」の意味。「オールマイティー(万能)」の意味も持っているのかも知れない。
この形態のクウガは、警察から「未確認生命体第4号」と呼ばれ、マスコミにもその呼称でしばしば登場する。
右足から放つマイティーキックは、怪人に烙印を押し付け、封印する力をもつ。
この形態で特筆する話は、初変身の第2話の他に、キックを特訓して、「サイ種怪人ズ・ザイン・ダ」を倒した、第12話が挙げられる。
青のクウガ。
「地水火風の水」を象徴し、俊敏さや跳躍力など運動能力に秀でた形態。でも、力は弱くなっている。
名前は「龍」だけど、東洋風の「青龍」ね。ブルース・リーに象徴される中国武術の「ドラゴン」のイメージも持っているが、素手の拳法ではなく、棒術で戦う。
外見的には、目の色や装甲、アークルが青くなった他、両肩のアーマーがなくなり、腕を自由に動かせるようになっている。
クウガが「バッタ種怪人ズ・バヅー・バ」の跳躍力に苦戦した際、初変身。クウガ自身は、バッタの改造人間ではないため、跳躍力はせいぜい15メートル(ビルの5階ぐらい)。だが、この形態だと2倍の30メートルまで跳ぶことができる。
もっとも、敵の素早さには対抗できるようになったが、格闘能力は弱体化し、かえってピンチになったりもする。
攻撃力の低さを補うための武器として、桜子さんのアドバイスによって、「ドラゴンロッド」という棒を使うことを会得。この形態のクウガは、あらゆる棒を「ドラゴンロッド」にモーフィング変形させることができる。
この「ドラゴンロッド」での突きは、「スプラッシュドラゴン」と呼ばれ、マイティーキック同様の封印エネルギーを怪人に送り込む。
また、水辺での戦いも、運動能力に秀でたこの形態で行うことが多い。さらに、ビルや飛来するゴウラムに飛び移ったりする瞬間だけ、この形態に変わることも多く、マイティーフォームについで、使用の多い形態。
緑のクウガ。
「地水火風の風」を象徴し、感覚神経や集中力に秀でた形態。
名前は「天馬」だが、自ら飛行するわけではない。対空・遠距離戦型と言える。
外見的には、目の色や装甲、アークルが緑になった他、肩のアーマーが左だけになり、右腕には腕輪がついている。
超高空から精密射撃を仕掛ける「ハチ種怪人メ・バヂス・バ」に対抗して初変身。しかし、その発達した感覚神経の捉える情報量に、五代の精神の方が耐え切れず、みずからピンチに陥ったりもする。
この超変身を使いこなしていないクウガが、徐々に自分の能力を学習していく過程が、1クールの醍醐味と言える。
ちなみに、情報量の洪水に五代の精神が耐えられる限界から、50秒間しか、このフォームには変身していられない。
この形態では、一条さんたち警察の協力者から、拳銃を借り受け、「ペガサスボウガン」として使用。空気の銃弾を放つ「ブラストペガサス」は、1発しか撃てないが、研ぎ澄まされた感覚能力による正確な射撃で封印エネルギーを怪人に送り込む。
初登場では、上空から飛んできたハチの針を巧みにキャッチ、逆に地上からの精密射撃で、バヂスを撃墜する鮮やかさを見せた。
飛行する敵の他に、隠れ潜む敵を探す際にも、ペガサスフォームは有効。「カメレオン種怪人メ・ガルメ・レ」も撃退している。
紫のクウガ。
「地水火風の地」を象徴し、防御力と腕力に秀でた形態。
名前は「大地の巨神」。そのままのイメージである。
外見的には、目の色やアークルが紫になった他、肩のアーマーの形が、撫で肩から怒り肩になっている。また、アーマーの色は紫のラインの入った銀である。
この形態は、絶対の防御力で相手の攻撃を全て受け流し、ズンズン近づいていって、大剣「タイタンソード」でグサッと突き刺す、「カラミティタイタン」を得意技とする。
「イカ種怪人メ・ギイガ・ギ」戦で初披露。タイタンアーマーは相手の発火弾をも無効化した。
「タイタンソード」の素材はしばしば、「トライ(ビート)アクセラー」を使用する。
タイタンフォームには、動きが鈍いという弱点があるが、この時点で、五代は各種のフォームチェンジをマスターしており、とりわけ弱点が目立った描写は見られない。強いて言えば、アーマーの防御力を過信しすぎた五代が、無防備に敵に近づき、鎧に覆われていない部位を攻められるぐらいか。
ちなみに、番組開始前、五代役のオダギリ氏が、「最も好きなフォーム」と語っていたのが印象深い。
「キノコ種怪人メ・ギノガ・デ」との戦いで、毒の胞子を受けて瀕死状態に陥った五代は、19話で椿医師の手で、電気ショックを施される。この電気ショックが、霊石アマダムに作用し、発現した強化形態がライジングフォームである。
ライジングは「発展・向上」の他に、電気の「雷神具」の当て字が、イメージどおりと思う。
劇中では、「金の力」とも、「ミレニアム特別バージョン」とも呼ばれる。後者の由来は、桜子さんの解読する古代文字には記されていない形態だからである。
この形態は、必殺技発動の瞬間の30秒だけ、変身していられる。
ライジングタイタンは、「カマキリ種怪人メ・ガリマ・バ」戦で初披露。
銀地に紫ラインのアーマーが、紫地に金ラインのアーマーに変化。アークルの色も金色に変わる(これはライジングフォーム共通)。また、タイタンソードの先端に金の刃が付き、さらに長大化している。
五代は、役者のオダギリ氏同様、このフォームが気に入っているようで、「ヤマアラシ種怪人ゴ・ジャラジ・ダ」の他、ダブルタイタンソードで「サメ種怪人ゴ・ジャーザ・ギ」を葬るなど、合計3体の怪人を倒している。これは、ライジングフォーム中最高数である。
しかし、続く「バッファロー種怪人ゴ・バベル・ダ」戦では、さしもの無敵のタイタンアーマーも、相手のハンマーによってボコボコにされるのであった。
「フクロウ種怪人ゴ・ブウロ・グ」戦で初披露。
ペガサスフォームとの外見上の違いは、アークルの色のほか、緑のアーマーに金ラインが入ったぐらい。ライジングフォーム中、最も変化の少ない形態である。
武器のペガサスボウガンにも、金色の先端パーツが付いた。銃身が長くなったということは、すなわち射程が長くなり、命中精度も上がったということである。
また、1発だけしか撃てなかったのが、3連射可能になっている。
しかし、この形態の使用頻度はさほど高くない。五代の精神に負担をかける形態でもあるため、他の形態の接近戦では勝てない相手に対する切り札として使用されるケースが多い。また、マシンに乗りながらの射撃もしばしば行われる。
この形態で倒した敵は、ブウロの他に、「サソリ種怪人ゴ・ザザル・バ」のみ。体内に強酸を持つ彼女を接近戦で倒した場合、その爆発は非常に危険だったろうから、飛び道具で倒すのも当然の選択だったと言える。
他には、強敵「ゴ・バダー・バ」や「ゴ・ガドル・バ」戦でも使用しているが、いずれも避けられて無駄弾に終わっている。
「海ヘビ種怪人ゴ・ベミウ・ギ」戦で初披露。
ドラゴンフォームとの外見上の違いは、アークルの色や、青のアーマーに金ラインが入った他、両肩のアーマーが復活した点。
武器のドラゴンロッドにも、両端に金色の先端パーツが付いて、棒からヤリに変わっている。
この形態の使用頻度も高くない。ベミウ戦の他、「サメ種怪人ゴ・ジャーザ・ギ」戦で当初、この形態で戦ったぐらい。やはり、水に関係する戦いである。
とどめの、「ライジングスプラッシュドラゴン」を使ったのは、まさにベミウ戦だけである。その際、ロッドで突き刺した後、海の彼方に投げ飛ばすといった演出が行われ、意外な腕力の強さを見せつけた。
「カメ種怪人ゴ・ガメゴ・レ」戦で初披露。
マイティーフォームとの外見上の違いは、アークルの色や、赤のアーマーに金ラインが入った他、右足首にマイティーアンクレットというキック力強化用の足環が付いている点。
これにより、「赤の金の力」のキックは、五代が使用をためらうほどの威力を持ち、ライジングマイティーキック初使用時は、核爆発を思わせる演出を見せ、タイタンよりマイティーのほうが攻撃力が高いという印象を感じさせた。
また、これ以降、警察が爆発可能地点を設定し、そこまで怪人を誘導する連携の必然性を見せた。
この形態で倒した怪人は、ガメゴの他に、「バッタ種怪人ゴ・バダー・バ」がいる。やはり、偽ライダーを倒すのは本家ライダーキックに限るといったところか。
黒いマイティーであり、名前の意味は「驚きのマイティー」。「白のクウガ」同様、前情報なく、突然、登場したので、本当に驚かせてもらった。
ゴの最強怪人「カブト虫種ゴ・ガドル・バ」戦で、ライジングパワーを得て強化したガドルに対抗するため、五代はさらなる力を求めて、再度の電気ショックを試みる。最後の手段「アルティメット・フォーム」はそれほど使いたくなかったのだ。
そして、手に入れた姿は、「アルティメット」に通じる「黒と金の姿」だった。両足にマイティーアンクレットを装着し、「きりもみアメイジングマイティーキック」という名の両足キックで、ガドルを撃退した。
しかし、この姿をもってしても、最後の敵ダグバには手も足も出ずに、敗退している。
なお、クウガの主要玩具「装着変身」シリーズでは、このフォームだけ商品化されていない(2001年3月現在)。その意味でも、レアなフォームと言える。
「聖なる泉涸れ果てし時、
凄まじき戦士雷のごとく出で、
太陽は闇に葬られん」
アルティメットフォーム(究極体)の登場を意味する古代の碑文が初めて劇中で紹介されたのは、23話。ライジングフォーム登場の直前である。
非常に長遠な伏線だ。
その姿が、五代の脳裏に浮かんだ映像として登場したのは、35話。
「ヤマアラシ種怪人ゴ・ジャラジ・ダ」戦で、五代が激しい怒りに我を忘れかけた時のことである。それまで基本的に明るいドラマであった「クウガ」に影を投げかけた存在、それがこのアルティメットフォームである。
形状は「4本角」と、鋭利なパーツの多い装飾過多なデザイン。すなわち、アクションに不向きな姿である。しかし、アクションどころか、ほとんど画面上に出番を見せないまま終わるとは、誰が予想したろう(笑)。
ある意味、「強さと闇の象徴」というべき存在である。
その能力は未知数だが、劇中で確認できるかぎり、ダグバ同様のプラズマ思念発火能力と、それを打ち消す力、そしてダグバの変身機能を一撃で破壊する強化されたパンチ力(数値データ的には、アメイジングマイティーキック以上の威力)を持つ。
もし、その強さを演出するなら、「タイタンフォーム」以上に不動のアクションを見せるか、あるいは超能力アクションを見せるのが適当だろう、と思われる。
劇中では、「全身黒の戦士だが、目だけは赤かった」との一条証言もあり、五代の善良な意思が、その目に残っていたことを演出している。
しかし、「黒いボディー、真っ赤な目」は、「仮面ライダーBLACK RX」の主題歌にあるフレーズだが、クウガはBLACK以上に黒いライダーなんだよね。
なお、玩具の「装着変身」シリーズなどの裏設定では、ドラゴンロッドや、ペガサスボウガン、タイタンソードと、他フォームの全ての武器を使いこなせるそうである。各種の武器を使って戦う「アルティメット・クウガ」の究極ヒーロー然とした雄姿も映像で見てみたいものだ。