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アイスウィンド旅日記
(その2)


●2004年11月9日(火)・合点承知の必殺供養(第3章その1)

 ドラゴンズアイに巣食う蛇人間ユアンティ一族を始末し、ハートストーンを取り戻した一行。ようやく目的を果たしたので、クルダハルへの帰路につきます。

フレイ「ハートストーンは、先生が持っていて」

ブルーノー「ずいぶん、あっさり所有をあきらめたな」

フレイ「だって、この石、あまり見栄えがきれいじゃないから」

ブルーノー「一見、地味だが、ドワーフの宝石細工の技術があれば、簡単に美しく加工できるぞ」

先生「それは、よしてくれ。よけいなことをすると、大事な魔力が失われてしまう。やはり、天然のままでないと」

カイヴァン「それで結局、この石にはどんな魔力が秘められているんだ?」

ミレーヌ「それが、鑑定しても、よく分からないのよね」

クァイル「天才の眼力をもってしても、使い方が分からないのでは、仕方あるまい」

フレイ「儀式ができるのはアルンデルさんだけなんだから、素直に持って行くしかないわね」


先生「もちろんだ。かの大ドルイドに委ねて、問題ないだろう」

クァイル「たかが、石ころ一つ手に入れるのに、ずいぶんと苦労させられたがの」

フレイ「それでも、お宝がいっぱい手に入ったんだから、十分よ」

 そして、道中、何事もなく、クルダハルの村に到着。しかし……

村人「助けてくれ!」

ブルーノー「おお、村がオークみたいな連中に襲撃されておる。これを見捨てておかりょうか」

先生「一太刀、浴びせて一供養」

カイヴァン「二太刀、浴びせて……って、こんなマイナーな某時代劇OPナレーションネタは、誰が分かるんだ!」

村人「とにかく助かりました。ありがとうございます」

 突然の襲撃に見舞われたクルダハルの村。一行は、村人を救った後、急いで、村長のアルンデルさんのところに向かいます。

フレイ「ハートストーンは手に入れたわよ」

アルンデル「クックック。ようやく戻ってきたか。ご苦労だったな」

ミレーヌ「何だか、おかしな笑い方ね」

アルンデル「気にするな。それよりも、早くハートストーンをよこすんだ」

ブルーノー「そうとも。早く儀式を済ませて、真の邪悪を探し出してもらおう。村を襲った連中の黒幕をな」

クァイル「いいや。石を渡しては行かんぞ。うまく化けたつもりかも知れんが、天才のわしの目はごまかせん。その男こそ邪悪だ」

先生「何を言うか。大ドルイドが邪悪なはずが……(少し精神を集中させた後)ハッ、貴様、アルンデルじゃないな」

偽アルンデル「おや、気付かれたか。まあ、いい。お前たちはわしの宿敵のユアンティどもを壊滅させてくれたのだからな。それだけでも、これからの仕事がたやすくなる。では、さらば(テレポートの魔法で消える)」

ブルーノー「おのれ、逃げられたか」


カイヴァン「二階から、うめき声が聞こえるぞ」

先生「アルンデル、無事か?」

 残念ながら、本物のアルンデルさんは、致命傷を負って、2階に転がっていました。息も絶え絶えで、後のことを一行に託します。

本物のアルンデル「何でも、この世の中には、晴らせぬ恨みを代わりに晴らしてくれる方がいるとか……どうか、このお金で、ぐふっ」

カイヴァン「しっかりしておくんなせえ……って、仕事人ごっこをしている場合じゃないだろう!」

先生「少なくとも、そのセリフパターンは、私の流儀ではないな」

ブルーノー「だったら、どういう流儀なんだ? もう、アルンデルは亡くなったぞ」

先生「瞑想で、死者の声を聞く。それが私の流儀だ」

 ……ということで、おもむろに座禅を組む先生でした(笑)。故アルンデルの記憶がカットインして、それを追体験する先生。BGMに、重々しい読経の声がかぶります。
 生前のアルンデルの前に現れたのは、灰色フードの男。そのフードの下には、アルンデル自身の顔があり、それを見て動揺した大ドルイドに、男は奇襲攻撃を加えます。こうして大地母神の加護もむなしく、命を落とすことになったアルンデルですが、その想いは同じドルイドの先生に受け継がれます。
 次にアルンデルの霊が示したのは、「隠されたエルフの塔」シヴィアード・ハンド。そこに住むエルフの魔術師ラレルこそが、ハートストーンの力を使えるのです。先生の心には、今やはっきりと、次の目的地であるシヴィアード・ハンドの位置が焼き付けられました。

 ……と、アイスウィンドのストーリーを、「必殺うらごろし」風にアレンジ(笑)。
 本来なら、この後、昇る朝日を浴びながら、死者の想いを全身に受け止めた先生が、猛烈な勢いで荒野を駆け抜けて悪人を追いかけ、大日如来の梵字が描かれた旗を槍のように投げたり、高々とジャンプして着地の勢いを付けたりして、相手の体を貫くダイナミックな必殺供養をする展開なんですが、
 さすがに、ゲーム内では、灰色フードの男がどこに消えたか分かっていないので、その探索から始める必要があります。

 アルンデルから受け継いだのは、想いや情報だけではありません。
 彼の遺した杖は、先生が使える「+1の魔法の武器」です。しかも、特殊能力としてフレイム・ストライクの魔法が放てます。これは、強力な火柱で相手を攻撃するもので、太陽槍とも表現できそうな攻撃。武器の通称は、太陽杖とでもしておきましょう。
 さらに、クルダハルの武器屋で、「魔法の槍+3」が売ってました。普段の武器としては、こちらが強力なので、先生のために購入。これまで、魔法の武器には恵まれなかった先生でしたが、今回は「大ドルイドの仇討ち」という動機も得て、主役的扱いに成長。

 こうして、第3章の舞台シヴィアード・ハンドを探索するためのお膳立ては、十分なほど整いました(つづく)。

※現状確認も含めて、改めてキャラ紹介

●ブルーノー(HP120):ドワーフの8レベルファイター、男性。ローフルグッド。
 第2章をスタートしたときと比べ、HPも倍近く増え、現段階では、BG2主人公NOVA以上の戦士に成長しております(レベルはまだ1つ少ないけど)。
 武器の電撃斧は、殴った相手をビリビリと麻痺させる特殊効果が付いているようで、彼がダメージを受けにくい理由もそこにあることが判明。
 行動動機は、単純に「正義のため」「王族として、弱者を庇護する」「悪は許せない」にあり、「自分の記憶を取り戻す」はどうでもいいような感じになってます。あとは、フレイに対してツッコミを入れるキャラとして定着。

●カイヴァン(HP98):7レベルレンジャー、男性。カオティックグッド。
 ブルーノーのタフさに比べると見劣りしますが、彼も優秀な戦士であることに変わりはありません。少なくとも、BG2ミンスクよりは強いです(レベルは2つ少ないけど、HPは上)。
 元来クールなキャラであることが災いして、一番、セリフが少ない地味な存在に。一応パーティーのツッコミ役として機能している感じだけど、フレイに対しては消極的なので、彼女が発言すればするほど、しゃべりにくくなってます。
 とりあえず、第3章の舞台は「エルフの塔」ということで、「元エルフ」としてはそれなりに関心を示してくれることを期待。

●先生(HP72):ハーフエルフの6レベルファイター/8レベルドルイド、男性。トゥルーニュートラル。
 戦士としてのHPは標準レベル。強靭度(CON)修正が最高のブルーノーや、割高のカイヴァンに比べ、打たれ弱いのはやむを得ないことだが、それでも良く成長したものと思います。
 一歩引いた視点から冷静に物事を観察するキャラだったけど、アルンデル絡みで強烈な動機ができた以上、今後はパーティーを引っ張っていく存在になる? 
 
「回復支援の戦士」ということでも、パーティーの要的存在になりつつある、と。

●ミレーヌ(HP54):9レベルバード、女性。ニュートラルグッド。
 バードは、「魔法の使える盗賊的キャラ」と思っていたけど、結局のところ、「盗賊的な技能も少しだけ使える魔法使い」と考える方が正解。鍵開けも、罠外しも、隠密行動もできないので、盗賊の代役としては結局、使えません(弓矢が使えるのは大きいけど)。でも、7レベル以降で、強力な3レベル呪文が使える以上、魔法戦力として大活躍が見込めます。
 キャラとしては、当初、ツッコミ役を想定していたけど、大人の交渉能力と仲裁能力を重視した場合、うかつにツッコむキャラではなくなったような気がする。
 冒険の目的は、伝承集めなので、普通に旅し、珍しいモンスターと遭遇して、戦っているだけで、楽しんでいるのでしょう。

フレイ・アルスター(HP49):エルフの7レベルメイジ/7レベルシーフ、女性。カオティックニュートラル。
 第3章の途中で、ファイヤーボールが使えるようになり、続いて、アイスストームが使えるまでに成長しました。また、罠外しなど、もはや冒険で欠かせない存在になっています。
 冒険して、金や宝を手に入れるのが目的。ということで、非常に分かりやすいキャラ。そろそろ、リナ・インバース的な性格に転向してきたような気もします。カイヴァンに対しては、積極的にアプローチしているけど、向こうがつれないからなあ。第3章で発展しない関係なら、気まぐれな彼女は、あっさり諦めてしまうことも考えられます。

●クァイル(HP42):ノームの7レベルクレリック/7レベルイルージョニスト・男性。カオティックニュートラル。
 セリフの中に、天才という文字を入れればOKなキャラ。
 当初は「天才なのに、ボケた推理ばかりする」キャラと考えていたんだけど、BG2での老成ぶりに影響されてか、あまりボケたことは言わせにくくなった。つまり、独自の視点で鋭い発言を示す学者タイプのキャラになったわけだけど、それって先生とキャラがかぶるんですね。
 戦力面では、後にサーカス団長になることも意識して、モンスター召喚係として使っていこうと考えてます。

 

●2004年11月12日(金)・影幻の塔(ファントム・タワー)(第3章その2)

 謎の灰色フードの男に殺害されたアルンデルの遺志に従い、「隠されたエルフの塔」シヴィアード・ハンドに向かうことになった一行です。しかし……

ブルーノー「いまいち、気乗りがしないな」

フレイ「どうしてよ」

ブルーノー「エルフの塔に行っても、わしはおそらく歓迎されん」

フレイ「だったら残れば?」

ブルーノー「そんな無責任なマネができるか? ハートストーンの魔力で、真の邪悪を突き止める。そして、その邪悪を退治する。これがわしの任務であり、途中で投げ出すわけには行くまい」


ミレーヌ「それに、
ブルーノーさんの戦士の力は、私たちにとって重要よ。塔に着くまでに、モンスターに襲われるかもしれないし……」

クァイル「塔に入ってからも、安全とは限らないぞ。天才の予感は、わしらの先に待ち受ける危難をビンビンと告げておる」

カイヴァン「だが、エルフの塔と言うからには、いろいろな知識が手に入るはずだ。次元転送のこととか、種族変転の謎とか、いろいろと分かるかもしれない」

クァイル「ああ、危険を冒す価値は十分にあろう。ドラゴンの巣に入らずんば、ドラゴンパピーを得ず、とも言う」

ミレーヌ「それって、ドラゴンじゃなくて、虎だったような……」

クァイル「いや、フェイルーン(フォーゴトンレルムの世界)のことわざでは、ドラゴンなんじゃ。天才が言うのだから、まちがいない」

ミレーヌ(この人、根拠もない適当なことを、自信満々に言うのよね)


先生「とにかく、準備はできたな。さあ、行くぞ」

ブルーノー「仕方ないな。邪悪なエルフを切り刻めるのなら、喜んで行くのだが……(ブツブツ)」

 先生の導きに従い、塔に向かう一行。

カイヴァン「ところで、シヴィアード・ハンドって、どういう意味だ?」

ミレーヌ「
シヴィアーは、動詞で切断する、分断するハンドは当然、だから、つなげると『切り取られた手』かしら?」

ブルーノー「嫌らしいネーミングだ。いかにも邪悪の匂いがするぞ」

 クァイルブルーノーの予感が当たったのか、塔に着くと、そこは廃墟と化して、荒れ果てていました。中に入ると、透明になったオークやゴブリンが襲撃してきます。

フレイ「どうして、エルフの塔で、オークなんかに歓迎されないといけないのよ!」

カイヴァン「どうやら、エルフはこいつらに滅ぼされたようだな」

ブルーノー「エルフは嫌いだが、オークどもはもっと嫌いだ。エルフたちの無念は、晴らしてみせる!」

 
急に目を輝かせながら、嬉々として電撃斧を振り回すブルーノー。戦い終わって……

カイヴァン「はあはあ、しかし、こいつら一体、何なんだ? 透明化の魔法というよりも、亡霊みたいな感じだったぞ。剣で斬っても、手応えが薄いというか……」

先生「すでに死んだ者の影……といった感じだが、普通の亡者(アンデッド)とは違う。何らかの魔力が働いた超自然現象と言ったところか」

ミレーヌ「それって、説明になっているような、なっていないような……」

クァイル「超自然現象。それを証明する多くの伝承が、古来より東西にわたって受け継がれている。一行は、これからも、この様な未知の世界への旅を続けるであろう」

フレイ
「……って、一体それは何?」

先生「二つのまなこを閉じてはならぬ。この世の物とも思われぬ、この世の出来事見るがいい。神の怒りか、仏の慈悲か、怨みが呼んだか、摩訶不思議」


ミレーヌ「……ああ、王道ファンタジー世界が、どんどんオカルト時代劇に侵食されていく……(嘆)」


 クァイルのセリフは、「うらごろし」エンディングナレーションより、先生のはオープニングナレーションより抜粋です。何だか、第3章は、オカルト時代劇と相性が良すぎ。
 登場するモンスターはシャドーオークとかシャドーゴブリンとか、「影」と名のつく連中ばかり。「影」という言葉から連想するのは、某忍者時代劇(千葉真一主演のものも、仮面の忍者もあり)とか、星のマントに身を包んだ特撮ヒーローとか、某ボクシング漫画で総帥率いる組織だったりするんですが、ここでの「影」とは過去の姿を映し出す幻影に近い存在と。つまり、一行に襲いかかったオークたちは、過去の戦いを再現しているという設定です。便宜上、影幻(ファントム)と呼んでおきます(この単語も、某ボクシング漫画の影響)。
 ともあれ、影のファントム軍団(こう書くと、超能力ヒーローにもつながるなあ^^;)を撃退しながら、塔を登って行くと、次に登場するのは、スケルトン軍団。今さらスケルトンかよ! って思ってると、ファイヤーボールが飛んできます。バーニングスケルトンという厄介な魔法使いが紛れ込んでいるので、なかなか手強い、と。それに対する布陣は……

クァイル「行け! リザードマン軍団!」

 
未来のサーカス団長の召喚魔術も、ゴブリンからリザードマンにグレードアップ。それに、ヘイスト掛けたりして、大乱戦が展開されます。厄介なバーニングスケルトンを先に撃退してから、わらわら押し寄せてくるザコスケルトンは、戦士の武器攻撃で粉砕。でも、スケルトンだったら、ターンアンデッドで倒せたかもしれないなあ、と今さらながら思いつつ、力技で押し切れたので問題なし、と。
 そんなわけで、ドラゴンズアイに比べると、シヴィアード・ハンドの探索は、1階層が短いので、サクサクと進めていけます。そして、5階まで昇って塔の事情を知っているエルフの亡霊と遭遇したところで……つづく。

PS:成長キャラは以下の5人。このゲーム、ストーリーはあまり進展しなくても、レベルだけはさくさく上がっていきます。もう、BGの最大レベルを越えました。

●カイヴァン(HP112):8レベルレンジャー。

●先生(HP81)
:ハーフエルフの7レベルファイター/9レベルドルイド(ファイター、ドルイドともにレベルがアップ)。

●ミレーヌ(HP60):10レベルバード。

フレイ・アルスター(HP56):エルフの8レベルメイジ/8レベルシーフ(メイジ、シーフともにレベルアップ)。

●クァイル(HP44)
:ノームの7レベルクレリック/8レベルイルージョニスト(イルージョニストがレベルアップ)。

 

●2004年11月14日(日)・エルフの塔の悲劇(第3章その3)

 「隠されたエルフの塔」シヴィアード・ハンドは、壊滅していました。
 塔に巣食う
「過去の影」と化していたオークやゴブリンの群れ、そしてスケルトン軍団を撃退した一行は、塔の悲劇を知るエルフの亡霊レシアスと遭遇します。

ブルーノー「出たな、亡者よ。下のオークどもを倒して手に入れた『エルフ殺しのフレイル』の力を思い知らせてくれる」

レシアス「この塔にドワーフだと? 何が目当てだ? 宝物の略奪に来たのなら、許すわけにはいかんぞ」

ブルーノー「エルフの宝など、興味ないわ。わしの目的は、邪悪を退治することだけ」

フレイ「(ポツリと)私は、興味あるんだけどな」

ミレーヌ「シッ、それを言ったら、交渉にはならないわ」

レシアス「邪悪退治が目的か。なら、とっとと自害するがよかろう。裏切り者の一族よ」

ブルーノー「なに? 裏切り者だと? それはどういうことだ」

レシアス「おのれの胸に聞くがいい。ドワーフ族の過去の非道を忘れたとは言わさんぞ」

ブルーノー「……いや、忘れた。何ぶん、わしは記憶喪失でのう」

カイヴァン「こいつは話にならんな。おい、
先生、あんたは死者の魂の専門家だろう。うまく、話をまとめてくれ」

先生「ああ。偉大なる先人の魂よ。我らは、ハートストーンの力を使うため、この塔にいるという
ラレルに会いに来た。彼はまだ、無事なのか?」

レシアス「ハートストーンか。ただの略奪者ではなさそうだな。ラレルは、ラベラスタワーの最上階にいるが、まともに話ができる状態じゃない。塔を崩壊させた自責の念からか、自分の発明の世界に閉じこもっておる」

 レシアスの話によると、シヴィアード・ハンドの塔は、この先、5つの小塔に分かれているそうです。5つの小塔を指に例えて、塔全体をハンドと呼称するようになったとか。5つの小塔の内訳は以下の通り。

・コレロンタワー:会議用の塔。
・シェヴェラッシュタワー:兵士訓練用の塔。
・セハニンタワー:武器に魔力を付与する塔。
・ラベラスタワー:図書館のある塔。
・ソロノータワー:聖職者の集う癒しの塔。

 ハンドは、その昔、ドワーフとの協力も得られて、栄えたものの、オークやゴブリンが襲撃してきた際、ドワーフが裏切り、壊滅の危機を迎えたそうです。
 塔の長であるラレルは、危機を乗り越えるため、ミサルと言われる魔法の儀式を敢行。しかし、儀式は失敗し、塔の生き残りは「過去の影」に、死んだ者はアンデッドと化してしまいました。「過去の影」になってしまった者の多くは、まともな理性を失い、生前の行動を繰り返すだけですが、レシアスのような一部の者は、理性を保ち、塔の現状を嘆く毎日を過ごしているとか。

ブルーノー「ドワーフが、エルフを裏切り、オークやゴブリンに味方した? 信義を重んじるわしらには有り得んことだが、エルフが理不尽なことを言い出したとすれば、交渉が決裂することも考えられよう。しかし、まかり間違っても、わしらがオークやゴブリンに味方するなど、とんでもないことだ」

レシアス「うむ。わしの目から見ても、そなたは信用できそうじゃ。エルフの中にも、そなたの一族が裏切るなど有り得ん、と主張する者もいた。が、大多数は、ドワーフが裏切ったと思い込んでおる。長のラレルからして、そうじゃったからな」

ブルーノー「やれやれ。信義ある一族を裏切り者呼ばわりした挙句、危険な魔術に手を出し、自ら身を滅ぼすか。この塔の現状は、自業自得というものよ」

フレイ「ちょっと、それは言い過ぎよ!」

ブルーノー「事実だから、仕方ない」

先生「だが、故人を侮辱するのは、無礼もはなはだしいのではないか? 死者に対する畏敬の念は、種族の壁を越えて、重んじるべきものと考えるが」

カイヴァン「それに、ドワーフが裏切った、という誤解がどこから出てきたか、追求する必要はあるぞ。それが根も葉もないことなら、その証拠をあんた自身が示すことが、王たるあんたの務めと思うぞ。少なくとも、エルフに憎まれ口をたたいて、火に油をそそぐのは賢明なやり方じゃない」

ブルーノー「おぬしらは、エルフの味方をするのか? しょせん、エルフの一族に連なる者は、信用できん」

クァイル「……わしはノームで、エルフとは関係ないが、天才じゃから分かるぞ。今のお前さんは、疑心暗鬼の塊じゃ。お前さん自身が心を開かないと、過去の過ちは正せんぞ。今の段階で、エルフが過ちを犯したのは明らかだが、ドワーフが過ちを犯さなんだ、とも言い切れないのでな。まずは事実を冷静に見極めんと」

ミレーヌ「……
クァイル、あなたの口から、『事実を冷静に見極める』という言葉が出るとは思わなかったわ」

クァイル「ん? わしはいつでも、そうしているぞ。だから
『事実の奥にある真実を見抜く』ことができるのじゃ。ゆえに、わしは天才と呼ばれておる」

ミレーヌ「天才のあなたは、間違えたりしないのかしら?」

クァイル「間違うこともある。が、手遅れになる前に、間違いに気付き、それを正すことができる。それも天才の資質と言えよう」

ブルーノー「……とにかく、今のわしは記憶喪失なので、何が真実か断言することができん。が、過ちを正すことが大事ということは分かった。まずは、エルフたちの過ちを正し、それからドワーフの真実を探しに行くとしよう」

 こうして、一行は5つの小塔を探索することになります。

@コレロンタワー(北東)
 会議室のある塔では、「ドワーフ憎し」だか「侵入者撃退」だかの動機を持ったエルフの影軍団が、一行に襲い掛かってきます。それを嬉々として撃退する
ブルーノー

フレイ「ちょっと! エルフは別に邪悪じゃないんだから、もっと手加減しなさいよ」

ブルーノー「そうは言っても、向こうが襲い掛かってくるんだから、仕方ない。ほれ見ろ、手を抜くと、
カイヴァンがピンチだぞ!」

フレイ「うう、もう! 食らえ、マジックミサイル4連発!」

クァイル「ついでに4連発!」

ミレーヌ「ダメ押しに5連発!」

カイヴァン「ふう、助かった。
先生、治療を頼む」

先生「やれやれ。どうして、お前ばかりが狙われる?」

 塔の最上階では庭園があり、「庭いじりの好きなエルフの霊」が、庭の再生に必要な「水」「種」「小動物」を求めています。後の章で、これらを手に入れて戻ってくれば、経験値がもらえるミニイベントだそうな。

Aシェヴェラッシュタワー(東)
 兵士訓練用の塔では、兵士の長である女戦士ケイレッサが待っています。

ケイレッサ「あなたたちの中で、一番強い戦士は誰?」

カイヴァン「俺……と言いたいが……」

ブルーノー「わしじゃな」

ケイレッサ「そう。私は、他のエルフと違って、ドワーフを見下したりはしない。戦士として優秀なことには、間違いないからね」

ブルーノー「……それは光栄だ。わしも、おぬしが女だからって、見下さないと言っておこう。ドワーフ族の女も、しばしば男と肩を並べて戦うからな」

ケイレッサ「やっぱり、強い戦士は言うことが違うわね。
それで、あなたに戦士の名誉が分かるなら、頼まれてくれない?」

ブルーノー「一体、何を?」

ケイレッサ「塔の上にいる、私の部下たちを倒してきて


ブルーノー「お安い御用だ……と言いたいが、それでいいのか?」

ケイレッサ「戦士たるもの、戦いで死ぬのが本望なの。でも、彼らは
ミサルの魔術によって、死ぬこともできずに苦しみ続けている。心を失ったまま、いつまでも不毛な訓練を繰り返しているだけ。私は、彼らに安らぎを与えたい。戦いの名誉の中で、不自然な生命を昇華させてあげたいのよ」

先生「
ブルーノー、彼女は部下の供養を求めているんだ」

ブルーノー「供養か。会議室ではそんなこと、考えもしなかったが、これも過ちを正すことになるのなら……」

 
そういうことで、ケイレッサの部下を依頼どおり、葬ってきます。すると……

ケイレッサ「ありがとう。それでは、私の最後の頼みを聞いてくれないかしら」

ブルーノー「……どんな頼みだ?」


ケイレッサ「私と戦って。強い戦士と戦うこと、それが私の望み」

ブルーノー「……よかろう」

 (戦いを終えて)


ケイレッサ「ありがとう、
ブルーノー。あなたの強さは本物よ。そして、信頼できることも刃を交えて分かった。ラレルも戦士だったら、戦士の心が理解できて、ドワーフ族と和解できたかもしれないのに……。ラレルの心は、今、彼の発明した機械の中に閉ざされている。ハンドの中にある、4つの機械の部品を見つけなさい。それを組み合わせたとき、ラレルの心は戻ってくる。部品の一つはここにあるわ。それでは……さよ…な…ら

ブルーノー「さらば、ケイレッサ。おぬしみたいなエルフなら、戦友として共に戦いたかったな」

Bセハニンタワー(たぶん北西)
 魔力付与の塔……ですが、ここはもう存在しません。襲撃してくるオークを引き寄せて、自爆したそうです。

Cラベラスタワー(たぶん西)
 図書館のある塔……ですが、西からは、階段が崩れていて昇れません。Aのシェヴェラッシュタワーから、渡り廊下を伝って入ることになります。
 図書館では、いろいろと世界設定に関する資料が手に入ります。塔の名前のコレロンとか、シェヴェラッシュとかが、エルフの神々の名前にちなんでおり、それらの教義とかもろもろ。でも、とりわけ大事なのは、
ミサルに関するもの。

ミレーヌ「ミサルってのは、異界からライフフォース(生命力)を呼び出す儀式魔術みたいね」

クァイル「ひらめいたぞ。わしと
カイヴァンも、そのミサルに巻き込まれて、このノース(北方)の地に連れて来られたんじゃ」

カイヴァン「そうなのか? 俺たちは、ソードコーストでの冒険中に、次元移動の装置を発動させたはずだが」

クァイル「もちろん、そうじゃとも。だが、ああいう装置では、必ず入り口と出口が設定されておるもの。しかし、わしらが到達した場所には、出口らしい装置はなかった。もしも、出口となる装置があれば、天才のわしが解析して、容易に元の世界に戻れるはずじゃ」

カイヴァン「すると俺たちは、本来の到着地点とは別の場所に着いた、と?」


クァイル「おそらくな。次元移動の途中で、
ミサルの儀式のエネルギー干渉に巻き込まれたに違いない。その際、お前さんの体にも異変が起きた」

ミレーヌ「
ええと、ミサルが正しく発動していれば、ハンドの塔それ自体が生命力を得て、オークやゴブリンの群れを撃退してくれたそうよ」

フレイ「つまり、物品に擬似的な生命を宿す付与魔術の大掛かりな奴だったわけね」


先生「しかし、呼び寄せたライフフォースは、亡者にまつわるネガティブ・プレーンからのものだったと」

クァイル「わしの専門外じゃが、ネクロマンシー系の転生秘術に、死者の魂を別の体に移して蘇らせるものがある、と聞く。これなら、
カイヴァンの肉体がエルフの物から、人間の物に変わったことも納得できる」

カイヴァン「だったら、どうすれば、元の世界と元の肉体に戻れるんだ?」

クァイル「それは、
ミサルを使った専門家のラレルに聞くのが一番、早いじゃろう」

 
そのラレルさんですが、塔の最上階で、骸骨状の姿になっておりました。スケルトンじゃなく、リッチ(高位魔術師の変身するアンデッド)です。正気を失っていて、機械の歯車がどうのこうのとしか言いません。機械の部品を4つ見つけてくるまで、会話はお預けです。
 ちなみに、機械の部品は、1階の武器庫と、コレロンタワーと、シェヴェラッシュタワーに一つずつ。もう一つは、これから向かうソロノータワーで見つかります。

Dソロノータワー(南)
 聖職者の塔です。エルフの女神官のデナイニさんが迎えてくれます。彼女の依頼は、塔の上の下級神官を成仏させることと、塔全体を浄化するための聖水を入手すること。
 もう、ここまで来ると、要領が分かっているので、あっさり任務達成して、機械の部品もGETして、さっさとラベラスタワーに戻ります。

再度ラベラスタワー

クァイル「機械を使った発明は、ノーム族の十八番じゃ。ほれ、修理完了」

ラレル「(正気に戻って)おお、わしの装置がまた動き始めた。……何だ、お前たちは? おお、何てことだ。裏切り者のドワーフまでいるとは!」

ブルーノー「ドワーフは、同盟者を裏切らん。それ以上、ドワーフを侮辱するなら、邪悪なアンデッドとして抹殺するぞ!」

ミレーヌ「
まあまあ、落ち着いて。で、この塔はオークやゴブリンに攻撃されたそうだけど、ドワーフも一緒だったの? 下にいた影幻のなかには、ドワーフはいなかったけど」

ラレル「ドワーフは、自分の手を汚さん。オークどもに、強力な武器を売ったのだ」

カイヴァン「武器を売っただって? 確かに、オークには似つかわしくない
エルフ殺しの精巧な武器があったが」

ラレル「その昔、エルフとドワーフは協力していた。我らの魔術と、連中の技術を融合させて、強力な武具を生産していたのだ。だが、あのロックイーター(石喰らい)どもは、秘伝の武器を周囲の人間たちにも売りたい、と言ってきた」

ブルーノー「わしらは、石なんて喰わん。おぬしらがドワーフについて書いた書物は、噴飯物じゃ」

ラレル「そんなことはどうでもいい。石は喰わなくとも、貪欲なことには変わりない。わしらは秘伝が外部に流出することを憂えた。邪悪な者が我らの秘伝を用いて、我ら自身に災いをもたらすことも考えられたからな。ロックイーターどもは、わしらの懸念を気に掛けることなく、
『技術の独占』をなじった。連中はただ目先の利益しか頭になかったのだ。わしらは袂を分かつこととなった」

ミレーヌ「エルフの秘密主義と、交易をしたいというドワーフの意見の対立ね」

ラレル「意見の対立だけなら、恨み言を口にはすまい。問題は、その後だ。この塔は、オークどもの襲撃にあった。わしらの戦士は有能だから、撃退は容易なはずだった。それなのに、わしらは負けた。秘伝の武器が、オークどもの手に握られていたからな。ドワーフが裏切らなければ、わしも
ミサルの儀式など行わずに済んだものを……」

ブルーノー「分からんのはそこじゃ。ドワーフがオークやゴブリンに武器を売るなど有り得ん。わしらは、エルフ以上に、奴らを憎んでいるんだぞ」

ラレル「わしも、頭ごなしにドワーフが悪い、と決めつけた訳ではない。できる限り、話し合いで解決を図ろうとしたのだ。わしらは、オークが秘伝の武器を使っていた理由を問うた。すると、ドワーフどもの返事はこうじゃ。
『我らには心当たりがない。いつの間にか盗まれていたようだ』 そんな言い訳が通用すると思うか? たとえ、それが事実だとしても、大切な武具の盗難に際し、そのような曖昧な態度を示し、まともな管理もできないような連中を信用できるか?」

ミレーヌ「あなたの言い分は分かったわ。公正に判断するなら、当事者のドワーフ側の言い分も聞きたいところね」

先生「いや。もっといい方法がある。我々の本来の目的を忘れていないか? 我々は、
ラレル殿にハートストーンの力を使ってもらうために、この塔に来たはずだ」

ラレル「ハートストーンだと? ドルイドの聖なる宝と聞くが、確か盗まれたはずでは?」

先生「そうです。我々は大ドルイドのアルンデルに依頼され、ハートストーンを取り戻したのです。しかし、アルンデルは邪悪な者に殺害され、我々にあなたを 訪ねるよう遺言された。邪悪はどこにいるのか、あなたに導いてもらいたい」

ラレル「分かった。では、儀式を行うとしよう」

 こうしてラレルは、ハートストーンを使って儀式を行います。そして、得られた解答は……。

ラレル「やはり、そうであったか。邪悪は、ドワーフの洞窟『ドーンズ・ディープ』に巣食っている!」

ブルーノー「そんなバカな!」
(第4章につづく)

PS:成長キャラは以下の3人。今回、ほとんど主役はブルーノーだったにも関わらず、レベルアップは後衛ばかりでした。
 あと、
ミレーヌが、「エルフの鎖かたびら」を入手したり(装着しても、魔法が使用できる魔法戦士垂涎のアイテム)、カイヴァンが「エルフのマント+3」を入手したりして、防御力が格段に上がりました。

●ミレーヌ(HP62):11レベルバード。

フレイ・アルスター(HP60):エルフの8レベルメイジ/9レベルシーフ(シーフレベルがアップ)。

●クァイル(HP48)
:ノームの8レベルクレリック/8レベルイルージョニスト(クレリックレベルがアップ)。

 

2005年4月10日(日)・ドワーフ洞窟の秘密(第4章その1)

エルフの塔の長ラレル「邪悪は、ドワーフの洞窟『ドーンズ・ディープ』に巣食っている!」

ドワーフ戦士ブルーノー「そんなバカな!」

 ……という衝撃的なセリフで、5ヶ月ほど放ったらかしにされていたわけですが、
 その間、NOVAは「ドラゴンクエスト」をプレイしていたり、スパロボ関連を食い散らかしていたり、職場で受験生を鍛えたりしておりました。
 で、パソコンも新しく買い替え、旧パソコンでのデータも必要に応じて順次転送と。

 問題は、『アイスウィンド』『BG2』。これらは、WIN98時代のゲームでして、果たして、XPでもプレイ可能なのか、と懸念しておりました。で、結論。少々、苦労はともなったものの、ちょっとしたデータの書き換えで無事にゲームプレイが可能になりました。自分のパソコン操作技能も少しは上達したってことですな。

ブルーノー「前置きはいいから、とっとと次の目的地ドーンズ・ディープに向かうぞ」

 ってことで、消費した矢の補充のために、一度クルダハルの町に戻ってから、改めて、ドーンズ・ディープに到達と。
 そこで待ち構えていたのは……。

ネオ・オーグ「ホーイッ!」

ブルーノー「うおっ! クルダハルを襲撃していたオークもどきだと! おのれ、トイヤー、おどま、阿蘇山たい、怒ればデッカイ噴火山た〜い!」

 と何故か、ゴレンジャーのノリで撃墜。
 ええと、このネオ・オーグという種族、「オークとオーガの混血」ってことで、品種改良されたブーステッドマンとか、エクステンデッドと申しましょうか、某種Dの「仮面の男」にも名前が似ているなあ、と思ったりもしているんですが、
 結局のところ、ザコです。まあ、ザコでも種別が特定されたことで、いろいろと手がかりにはなるわけですな。

先生「クルダハルを襲撃していた連中が、ここにいる……ということは」

カイヴァン「ラレルの言った、邪悪の巣窟という言葉に確証ができたってことだな」

ブルーノー「そんなバカな!」

 愕然とするブルーノーですが、自分の種族の無実を信じて、率先して洞窟に飛び込みます。

青キノコ「ギーッ!」

 洞窟に待ち構えていたのは、キノコ怪人ブルーマイコニドの集団。こいつが厄介で、倒して倒して倒しても、時間を置けば次々増殖してきます。さらに怪力を誇る双頭巨人エティンも出現し、集団でパーティーを取り囲んできます。
 強敵相手なら、こちらも魔法の力を駆使して戦うわけですが、こいつらは所詮ザコなんですね。中途半端に強いザコなので、容易に一掃というわけにも行かず、だからと言って本気で戦っていたずらに消耗するのもはばかれる(後から後から湧いてくるので)……ある意味、一番、厄介な連中と。
 こういう戦いで、一番いいのは……。

フレイ「無視して、逃げるが勝ちよ!」

 そんなわけで、周囲からワラワラわいてくるキノコ群団を走ってかわし、前に立ちはだかるものや、追いすがってくるものだけを適当に相手しながら、戦略的撤退を駆使して、洞窟の奥に進むわけです。

 洞窟の奥の橋を渡ると、その先は人工区画。そこに待ち構えていたのは、

ネオ・オーグ「ホーイッ!」

ミレーヌ「出たわね、黒十字軍!」

フレイ「だったら、これで。いいわね、行くわよ!」

ネオ・オーグ「
(ファイヤーボールの爆発に巻き込まれ)ホーイッ!」

クァイル「ザコ相手に、そんな大技はもったいないような気もするが」

カイヴァン「おっと、ザコじゃない連中が、おいでなすったようだぞ」

ブルーノー「ドロウ(闇)エルフだと! これで分かったぞ。ここに住んでいたドワーフは、闇のエルフの侵略を受けたのだ。ドワーフ製の武器も、影の技術に長けた連中に盗み出されていたに違いない!」

先生「真理の究明は結構だが、今は戦いの最中だぞ。ドロウは手ごわい。専念してくれ」

ブルーノー「もちろんだ! ウォー、わが一族の仇、思い知れ!」

フレイ「もう、先に飛び込んで行ったら、ファイヤーボールが撃てないじゃない!」

ミレーヌ「そういう時は、これよ! ヘイスト(加速魔法)!」

クァイル「わしは、これじゃ。モンスターサモニング(召喚魔法)!」

カイヴァン「久しぶりの戦いだから、あまり段取りが良くないな。効率的な戦いを目指すなら、『1.モンスターサモニング』→『2.その間に敵陣にファイヤーボール』→『3.ヘイスト』→『4.戦士による突撃』の手順でやるべきだ」

先生「冷静に批評するのも結構だが、あんたも突撃してくれないか。
ブルーノー一人だと、さすがに厳しいぞ。(言いつつ、回復魔法を唱え始める)

 ということで、ネオ・オーグ軍団を率いる闇のドロウエルフ部隊との大乱戦の結果、大勝利を収めた一行でした。

 戦闘後、それなりに強力な武器が手に入りますが……。

カイヴァン「ハルバードにグレートソードか。どうも使えんな」

 
習得技能の関係で、いまいち宝の持ち腐れなんですね。ちなみに、直接戦力アップになる武器は、「斧」と「ロングソード」と「槍(または杖)」。
 まあ、魔法の武器は持っていれば、後で武器屋に高額で売ることもできますから、回収はしておきます。他に、「チェーンメール+1」なんかもいっぱい落として行ったんですが、さすがに鎧をいっぱい持ち歩くのは重過ぎるので、捨てていくことに。

 その後、静かになったドワーフ製の広間で、一行は次の試練「隠し階段を探すためのパズル」に直面します。BGのデューラッグの塔でも経験したように、「ドワーフのダンジョン」と言えば、凝った大仕掛けは付き物。

フレイ「私はパス。こういう頭を使った仕掛けは苦手よ」

ブルーノー「おぬし、魔法使いで、しかも盗賊だろう! こういうときに知恵を働かすのが仕事ではないのか!」

フレイ「私の仕事は、攻撃魔法と、鍵あけ、罠外しみたいな分かりやすい小細工よ。大掛かりな建物構造は専門外。あんたこそ、ドワーフなんだから、専門じゃないの」

ブルーノー「うう、武器の使い方は体が覚えているが、その他の技術はどうも覚えておらん。わしの専門は、鍛冶か、採掘か、建築か……それすら分からん」


ミレーヌ「とにかく、模様の描かれた三重円の魔方陣があるんだから、各円で正解の模様を踏んでいけばいいんじゃないの」

先生「まちがえた模様を踏むと、ダメージを受ける……というのが、自然の理だな」

カイヴァン「自然かどうかはともかく、こういう作業はみんなが一斉にやると、混乱する。誰か一人に任せるべきだろう
(そう言って、ブルーノーを見る)

フレイ「ダメージを受けるのは一人で充分だしね
(そう言って、ブルーノーを見る)

ミレーヌ「一番、タフだしね
(そう言って、ブルーノーを見る)

ブルーノー「わしか? わしなのか?」

フレイ「こういう状況で、あんた以外に誰がやるのよ! 自分の種族のためでしょ!」

ブルーノー「やれやれ、仕方ない。ダメージ覚悟で、やってみよう。最初の円は……ドワーフらしく
『金床とハンマー』の模様だな(正解)。2番目は……ウォッ(適当に踏んで電撃ダメージ)」

クァイル「ええい、見ておれん。ここは天才のわしの出番じゃ。正解は、
『コーヒーカップとハンマー』『X字』『二つの円』の順番と、神がわしにささやいておる」

カイヴァン「……攻略本を見たな」

ブルーノー「むう、
『コーヒーカップとハンマー』という表現には引っ掛かるものもあるが、貴重な助言には感謝する。行くぞ

 
仕掛けはうまく発動。しかし……。

ミレーヌ「何も起こらないわね」

クァイル「
神の書物には、この後、『手前の部屋に戻って、銅像のハンマーを触ると、部屋の中央に階段が出現する』とある」

 ということで、この5ヶ月の間に入手した攻略本の助けもあって、パズルをクリア。隠し階段から、さらに下の階層に降りる一行でした(つづく)。 

※装備品・呪文も含めて、キャラ紹介

●ブルーノー:ドワーフのレベル9ファイター。HP135。

 ・メイン武器:チャージドバトルアックス+2(電撃斧)。3回攻撃。
   攻撃力1d8+2(能力ボーナス+9)
      電撃追加ダメージ+1d3(50%の確率)
      スタン(麻痺)確率15%
 ・防具:プレートメール(AC3)
      デッドマン・フェイス(恐怖態勢をもった兜)
      強化ラージシールド+2(AC3ボーナス)
     敏捷性ボーナス+1により、合計AC−1(AC=アーマークラスは低い方がいい)。

●カイヴァン:人間(元エルフ^^;)のレベル9レンジャー。HP126。

 ・メイン武器:ロングソード・オブ・ザ・ハンド+3(ハンド塔の長剣)。3回攻撃。
   攻撃力1d8+3(能力ボーナス+5)
 ・防具:プレートメール(AC3)
      ヘルメット(クリティカルヒット防御)
      ミスランのマント(エルフのマント+3。AC3ボーナス)
     敏捷性ボーナス+4により、合計AC−4

●先生:ハーフエルフのレベル8ファイター/レベル10ドルイド。HP87。

 ・メイン武器:スピア・オブ・ホワイトアッシュ+3(白トネリコの槍)。2回攻撃。
   攻撃力1d6+3(能力ボーナス+3)
      逆棘による追加ダメージ+1d6(5%の確率)
 ・防具:ベイルフルメール(AC3、対精神防御の追加効果)
      ヘルメット(クリティカルヒット防御)
      ブラックウルフ・タリスマン(黒狼の護符。HP+10、AC1ボーナス)
     敏捷性ボーナス+2により、合計AC0。
 ・メイン呪文:レベル1、キュアライトウーンズ(軽傷治癒)
         レベル2、キュアモデレートウーンズ(中傷治癒)
         レベル3、ホールドアニマル(動物呪縛)、プロテクション・フロム・ファイヤー(耐火防御)
         レベル4、キュアシリアスウーンズ(重傷治癒)
         レベル5、キュアクリティカルウーンズ(致命傷治癒)

●ミレーヌ:レベル11バード。HP62。

 ・メイン武器:ショートボウ+1、攻撃力1d6+1。
 ・防具:エルフ・チェーンメール・オブ・ハンド+3(AC2、冷気耐性、装備中でも魔法使用可)
     敏捷性ボーナス+4により、合計AC−2。
 ・メイン呪文:レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、スニロックス・スノーボール・スウォーム(雪つぶて)
         レベル3、ヘイスト(加速)、フレイムアロー(炎の矢)、モンスターサモニング1(怪物召喚)
         レベル4、エモーション・勇気(士気高揚)

フレイ・アルスター:エルフのレベル9メイジ/レベル10シーフ。HP67。

 ・メイン武器:ショートボウ+1、攻撃力1d6+1。
 ・防具:冷気耐性のローブ
     AC6のブレーサー
     敏捷性ボーナス+4により、合計AC2。
 ・メイン呪文:レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、ミラーイメージ(分身)、スティンキングクラウド(悪臭煙幕)、
               メルフズ・アシッドアロー(酸の矢)
         レベル3、ファイヤーボール(火球)、ディスペルマジック(魔法解除)
         レベル4、アイスストーム(氷の嵐)
         レベル5、クラウドキル(毒雲)
 
●クァイル:ノームのレベル8クレリック/レベル9イルージョニスト。HP50。

 ・メイン武器:スリング+2、攻撃力1d4+3。
 ・防具:ネクロマンサーのローブ(AC8。魔法、死、毒に耐性)
     ヘルム・オブ・ザ・トラスティッドディフェンダー(ノーム専用ヘルム+3)
     強化ラージシールド+1(AC2ボーナス)
     敏捷性ボーナス+2により、合計AC1。
 ・メイン呪文(魔法使い):レベル1、マジックミサイル(魔法の矢)
         レベル2、ミラーイメージ(分身)、メルフズ・アシッドアロー(酸の矢)
         レベル3、モンスターサモニング1(低位怪物召喚)、ライトニングボルト(電撃)
         レベル4、モンスターサモニング2(中位怪物召喚)、ディメンジョンドア(瞬間移動)
         レベル5、コーン・オブ・コールド(冷気噴出)
 ・メイン呪文(僧侶):レベル1、キュアライトウーンズ(軽傷治癒)
         レベル2、サイレンス(沈黙)、ホールドパーソン(対人金縛り)
         レベル3、ディスペルマジック(魔法解除)
         レベル4、ディフェンシブハーモニー(防御の調べ)
 

 

2005年4月11日(月)・謎のオーグマスター(第4章その2)

 久々に、プレイしたアイスウィンド。攻略は順調に進んでおります。
 理由その1は、パソコンの性能アップ。旧パソコンだと、急にフリーズしたり、セーブ&ロードに時間が掛かったりしていたのが、新パソコンだと、そのようなわずらわしい事態に陥ることもなく、大画面ということもあって、快適にプレイ。
 理由その2は、攻略本の存在。罠や強敵の位置が前もって分かるのは、ありがたい。それが分からないと、突然ピンチに陥って、慌ててロードしてセーブしたところに戻る……って感じでしたから。

 そんなわけで、土曜日夜からのプレイで、一気に4章から5章まで終わらせました。
 このゲーム、7章構成なので、他の記事を無視すれば、今週中に終わることも夢じゃないかも。いや、まあ、他の記事も書き始めてはいるんですけど。

ブルーノー「ともあれ、わが一族に対する疑いは晴れたわけだな。悪いのは、ネオ・オーグと、それを操るドロウエルフということで確定、と」

ミレーヌ「そんな単純なものじゃないと思うけど……少なくとも、オーグ族長に命令していた
マスターなる人物がいることは確定ね。命令の手紙をGETできたから」

クァイル「それと、マスターから部下に与えられた
バッジもな。このバッジは重要アイテムだと、神がささやいておる。ついでに言えば、バッジを与えられた部下は 全部で6人……もが」

カイヴァン「(
クァイルの口を手でふさぎ)いいか。攻略本情報は、それ以上、口にするな。せっかくの記事が台無しになる」

先生「人が未来を知れば、そこには必ず不幸が生じる。予知・予言は扱い方を慎重にせねばならぬのだろうな」

フレイ「とにかく、マスターという奴の部下をやっつけて、お宝をGETする、という行動方針は変わらないわよね。相手が誰だろうと、倒せば同じってことで」

ミレーヌ「単純な考えだけど、D&Dというゲームだと、それは真理ね」


ブルーノー「ムム。しかし、
マスターというのは、ドロウエルフではないのか? 少なくとも、さっきの戦いでは、明らかにオーグよりもドロウの方が格上だったぞ」

カイヴァン「それを決めるには、材料が足りない。それに、もっと大切なことがある」

ブルーノー「もっと、大切なこと?」

カイヴァン「
ブルーノー、あんたの記憶だよ。あんたがドワーフの王族だというなら、それを知るドワーフがいるはずだ。我々は、ここに来て、まだ一人のドワーフにも会っていない」

ブルーノー「(ポンと手を叩き)おお、そうか。わしの記憶だな。忘れておったが、確かに大切だ。よし、生き残りの民を探すとしよう」


 ……ということで、ゲームの目的もさることながら、リプレイ的にも、そろそろストーリーのつじつま合わせをしないといけないなあ、と思ってるNOVAです。

ミレーヌ「それにしても……」

カイヴァン「んっ?」

ミレーヌ「何だか急に仕切るようになったわね」

カイヴァン「放っとけ」

先生「一応、昨年の10月26日以来、作者
(NOVA)公認の主人公だからな
。そろそろ、それらしい発言も意識し始めたのだろう」

 キャンペーン(連続ストーリー)も、そろそろ終わりが見えてきたってことで、NOVA的にも、それぞれのキャラの伏線を収束させたい、と思っている頃合いです。
 こうして、ドワーフの生存者を求めて、下の階層に降りていく一行ですが……。

ノーライナー「わが一族は、皆、潰え去った。意識のあるのは、我だけとなった」

 
ドワーフの亡霊ノーライナーさんと遭遇し、ドーンズ・ディープ崩壊話を聞かされることに。
 それによると、ドワーフとエルフの仲を分断し、両種族の拠点を壊滅させるに至った陰謀があった、とのことです。その陰謀を仕組んだのが、どうやらマスターらしいですが、正体はやはり不明、と。
 しかし、ドーンズ・ディープ崩壊の要因は、マスターだけではありません。客人として滞在していたテリカンという名前の魔術師が、負のエネルギーを駆使して、ドワーフの魂を呪縛し、自らも高位アンデッドのリッチとして君臨中とのこと。このリッチを倒さないと、魂を奪われたドワーフ族は安らかな眠りに就くこともできずに、テリカンの下僕として操られ続けるらしいです。

ブルーノー「おのれ、我が民にそのような非道を働くとは、テリカンという輩、成敗してくれる」

ノーライナー「あのう、そういう貴兄はどなたかの?」

ブルーノー「何と、おぬし、余の顔を見忘れたか?」

ノーライナー「う、上様? ええい、上様がこのようなところにおられるはずがない。こやつは、上様の名を騙る曲者よ。出会え、出会えい!」

 
……と、最近では「サンバ」と「武蔵坊弁慶」役で、ブレイクしている名時代劇俳優にあやかって書いてみたんだけど、ストーリーがつながりません(爆)。結局、ノーライナーブルーノーのことを全く知りませんでした(^^;)。
 しかし、同族の魂を解放するため、テリカンを倒すことを決意するブルーノーの気持ちは揺るぎません。聞けば、テリカンは「不死身のリッチ」なので、倒して倒して倒しても、復活してくる、とのこと。完全に倒す方法は、テリカンの棺に納められている「魂の塊」を、古のアンデッド退治の英雄ジャモスの墓に運ぶこと。

 次々とアンデッドを召喚しているテリカンの位置を特定したうえで、

クァイル「モンスターサモニング(召喚魔法)!」

ミレーヌ「ヘイスト(加速魔法)!」
(召喚モンスターも含めて、倍速化)

フレイ「
(アンデッドの群れに向けて)ファイヤーボール!」

ブルーノー「ウォー、アターック!
(と叫んで突撃)

カイヴァン「おお、完璧なフォーメーションだ」

先生「あんたが突撃すればな。
作者公認の主人公が、召喚モンスターに出遅れていたのでは、様にならないぞ」

 こうして、ブルーノーを中心に、必勝の布陣でアンデッド群団に挑みます。

テリカン「ムム、いまだ、わしに逆らうドワーフがいるとは! しかし、ドワーフのことは完全に研究しておる。貴様の魂も呪縛して、わしの下僕に変えてやる」ブルーノーに術をかける)

ブルーノー「ぐっ! そんな怪しい術で、わしを支配できると思うな! わしは、ドワーフの王族。王族を支配することは、誰にもできん!」

テリカン「何と、こやつ、わしの呪縛を拒むだと!」

ブルーノー「今こそ、一族の魂を解放させてもらう!」
テリカンに大打撃を与える)

テリカン「ぐはッ! だが、わしは不死身だ。こんなことでは、消滅せんぞ。貴様の魂も……いずれ我が物に……グォオオ!」
(不死の肉体が、一時的に崩れていく)

ブルーノー「ハアハア、これで終わったか」

カイヴァン「大丈夫か? いつになく、息が荒いぞ」

先生「奴の呪いをまともに受けたようだが……」

ブルーノー「少し、頭が痛むが……これぐらい……」


ミレーヌ「……まだ終わってないみたいよ。
リッチの体が、再生を始めているわ」

テリカン「グググ……き・さ・ま・は……す・で・に……の・ろ・わ・れ・て・る……だ、が、な、ぜ……し・は・い・を……う・け・つ・け・ぬ〜〜〜!」

ブルーノー「き、貴様の呪いなど知らん! わしは王族なのだ。誰からも支配されぬ。わしの魂は、わしのものだ。貴様などに、自由にされてたまるか! とっとと、くたばれ〜〜」
テリカンの体を斧でガシガシ打ちつける)

カイヴァン「おい、
ブルーノー、落ち着け!」

クァイル「
リッチにとどめを刺すには、奴の魂を、浄化しないと」

フレイ「棺は……あそこね。トラップ感知して……解除! 見つけたわ。これが
『呪われた魂の塊』よ」

テリカン「そ、そ・れ・を……よ・こ・せ!」

クァイル「
そうはさせん。奴を止めるのだ、スパイダーズ&リザードメン!」(召喚モンスターに命令)

スパイダーズ「(ガサガサ)」
テリカンに群れでまとわりつく)

リザードメン「ゴッホゴッホ」
テリカンに集団で襲いかかる)

フレイ「今よ、
ブルーノー。これを、ジャモスの墓に」(「魂の塊」を渡す)

ブルーノー「か、かたじけない」

 少々、脚色を交えてみましたが、こうして、ブルーノー「リッチの呪われた魂」を浄化できるジャモスの霊に対面します。

ブルーノー「古の偉大な英雄ジャモスよ。我が一族の呪いを清めたまえ!」

ジャモス「呪いに打ち勝てし、偉大な戦士よ。そなたの願い、聞き届けた。光あれ。闇に包まれし、迷妄を断ち切るべし!」

テリカン「ひ……か……り……が〜〜〜〜〜〜〜〜!」
(再生途中の肉体が、完全に崩れ去っていく)

ブルーノー「こ、れ、で、よ、し……」
(つぶやいて倒れこむ)

カイヴァン「お、おい、しっかりしろ!」
ブルーノーを助け起こす)

ブルーノー「ハア……ハア……
カイヴァンか。どうやら、わしは記憶を取り戻したようだ。今まで、仲間をたばかっていたことになる。すまなかったな

カイヴァン「何、それはどういうことだ、
ブルーノー、おい、目を覚ませ」
(つづく)。 

 

2005年4月12日(火)・ブルーノーの記憶(第4章その3)

 今回は、ゲーム内ストーリーよりも、キャラクターに焦点を当てた創作部分が多くなります。念のため。

カイヴァン「おい、ブルーノー、しっかりしろ」

ジャモスの霊「その者は、長年の呪縛より解放されて、精も根も尽き果てておる。今は、そっとしておいてくれ」

先生「偉大な英雄の霊よ。そなたは、いろいろ知っているようだな。我らに打ち明けてくれぬか」

ジャモスの霊「……
テリカンの呪縛は、ドワーフの魂を支配し、その上で、肉体を亡者に作り変えるものじゃった。奴は、ドワーフの強靭な肉体に注目し、それを支配することで、この地を統べる力を得ようとしたのだ」

ミレーヌ「でも、その計画は果たせなかった。どうして?」

ジャモスの霊「
オーグマスターの侵攻の方が早かったからじゃ。テリカン
は、マスターとの直接対決を避け、ここに潜み、時が成就するのを待ち続けることにした。亡者にとって、時間は意味を為さぬもの。マスターの勢力が弱るのを待ち、自らは呪文の研究を重ねて、さらなる力を得るつもりだったのじゃ」

フレイ「それと……
ブルーノーにどういう関係が?」

ジャモスの霊「それは……わしの口より、本人の口から語った方がいいだろう」

 
ブルーノー、意識を取り戻す)

ブルーノー「あ、ああ、英雄ジャモスよ。お気遣い、かたじけない」

クァイル「大丈夫なのか? 気持ちの整理が済むまで、真実は心に留めておいても、いいのだぞ」

ブルーノー「いや、ここで話した方が、気持ちの整理も早く済む」


 こうして、ブルーノーは語り始めます。

「そもそも、わしは王族ではない。このドーンズ・ディープに住む、一人の訓練中のドワーフ戦士でしかなかった。戦の神クランゲディンを奉りつつも、いまだ真の勇気と力を持ち得ない未熟な若者に過ぎなかったのだ」
テリカンのことも、関心はなかった。わしの関心は、武器であり、魔術ではなかったからだ。わしはただ、この地を襲撃しているオークとの戦いに備え、腕を鍛えることに専念していた。本当は、外に出て、すぐに戦いたかったが、未熟な若造ゆえ、待機任務しか与えられずにいた」
テリカンの呪縛が、わしらを襲ったのは、そんなときだった。多くのドワーフは、心を支配しようとする闇の魔術に抗ったが、ドワーフの強靭な精神をも研究し尽くしたテリカンの術の前に、屈せざるを得なかった。精神を支配されたドワーフは、テリカンの前にひれ伏し、亡者に変えられて行った。戦士の斧と鎚がテリカンを倒そうとしたが、不死の肉体を滅ぼすことはできず、返り討ちにされるだけだった」
「わしは臆病者だった。
テリカンに勝てぬことを悟ると、ドーンズ・ディープから逃げ出したのだ。何人ものオークどもが行く手をさえぎったが、テリカンに比べると、奴らが何の脅威になりえようか? わしはついに、連中の包囲網から抜け出すことに成功した」
「ホッと安心したところで、わしは
テリカンの呪縛がいまだ、心を蝕んでいることに気が付いた。自分の魂をも支配しようとする呪術に、わしは必死で抗った。わしが邪悪な呪術に支配されるはずがない! なぜなら、わしは……ここで、わしは偽りの自分を作り出して、己の心と魂を守ったようだ。わしは、誰の支配も受け付けぬ王族ゆえ、支配の呪術に屈するはずがない……とな」
「こうして、わしは
偽りの王族として生きることになった。わしが王族であるという意識を捨ててしまったら、テリカンの呪縛を拒む根拠(よすが)を失い、生ける亡者と化してしまったろう。テリカンの恐怖を封じ込め、自分の魂を守るために、わしは偽りの王族という自分にすがり付くしかなかったのだ」

カイヴァン「だからこそ、テリカンを倒した今、記憶が甦ったわけだな」

ブルーノー「ああ、これで長年の呪縛から解放された。だが、今のわしは、長年の自分自身を作っていた想いも失っ
た抜け殻みたいなものだ。これ以上の戦いには、耐えられそうもない……」

ノーライナーの霊「そんな弱気では困る。我が一族を代表する、偉大な戦士にして、王族の末裔よ」

ブルーノー「おお、賢者ノーライナーよ。どうしてここに?」

ノーライナーの霊「
テリカンの邪気が去ったのでな。そなたらが、やり遂げたと確信して、礼を告げに来たのじゃよ」

ブルーノー「そうですか。しかし……王族の末裔とは?」

ノーライナーの霊「そなたは、ドワーフ王族の条件を何と心得る?」

ブルーノー「もちろん、正当な血筋のもたらすもの……と考えますが」

ノーライナーの霊「人間なら、そう主張する者もあろうな。だが、わしらドワーフは元々、数が少ない。血筋を問わば、どこかで必ず王族の先祖とも血縁を結んでいよう。それゆえ、わしらは互いを、
『一族』とも『兄弟』とも呼ぶのじゃ」

ブルーノー「つまり……血筋はあまり重要ではないと?」

ノーライナーの霊「当然じゃ。わしらドワーフが重視するのは、形式的な血筋よりも、その者が社会において為すべき役割じゃ。戦える者は戦士、鍛える者は鍛冶師、築ける者は建造家、掘り磨ける者は採掘工や宝石職人として、自らの本分を全うしておる。王族とて、統べる者としての手腕を皆が認めた結果ゆえじゃ。おぬしには何ができる?」

ブルーノー「……自分は未熟者で、一族の危機から背を向けて逃げ出した臆病者です。
偽りの自分にすがりついて、これまで戦ってきましたが……」

ノーライナーの霊「おぬしは、
偽りの自分と口にするが、テリカンを倒した武芸も偽りのものか? 一族を蝕み続けるテリカンに挑んだ勇気も偽りだった、と申すか?」

ブルーノー「それは……王族として恥じない自分でいよう、と振る舞ったまでで……」

ノーライナーの霊「つまり、そなたは
王族としての役割を果たしたわけじゃ。それには、偽りはあるまい」

ブルーノー「しかし……真実が分かった今、自分は王族を続ける自信がありません」

ノーライナーの霊「……いいか、
ブルーノー。仮に、おぬしが本当に王族として生を受け、育ったとしよう。だが、今のこの地の状況では、王族を名乗っても、それは無意味というもの。もはや、ドーンズ・ディープは、ドワーフの王国とは言い難い惨状だからな」

ブルーノー「……」

ノーライナーの霊「王国に必要なものは、王族ではない。まずは民じゃ。それから、民の住まう土地。王族は、民の代表として、民の安全と住むべき場所を維持するために、君臨するのじゃ。逆に言えば、民を集め、領土を守る力を実際に持つ者を、民は王族として尊敬し、その支配を正統のものと認めよう」

ブルーノー「……」

ノーライナーの霊「……どうやら、わしも限界が近いようだ。この姿は、
テリカンのもたらした負のエネルギーによるものだからな……。わしの言いたいことは一つ。今のこの状況で、民を集め、新たに、この地にドワーフ王国を再建し、それを守り通す力を持つ者。それこそ、真の王族と言えるのではないか。テリカンを倒したおぬしに、その役割を引き受ける覚悟はないのか?」

ブルーノー「ドワーフ王国の再建……に力を尽くすのは、偽りない自分の悲願です。そのためにできることなら、何でもする覚悟です!」

ノーライナーの霊「よく言った。そのためには、離散した民を探し出す必要があるが、先に
オーグマスターの侵略計画を防ぐ必要がある。連中は、ここの、さらに地下にある『ローワー・ドーンズ・ディープ』本拠地としている。そこに至るには、氷雪地帯『ウィルムズ・トゥース』を通過しなければならないが、そこに通じる門は固く封鎖しておる。だが、今こそ、その門の鍵をそなたらに託そう」

 
こうして、消え行くノーライナーから「ドーンズ・ディープのドワーフ王国」再建を託されたブルーノーは決意も新たに、王族としての道を歩く覚悟を決めます。

ブルーノー「わしは、過去に生きる王族ではなく、未来を切り開く王族として、振る舞うぞ!」

 ドワーフたちの眠る墓から、役立つ武器や装備を回収し(王国再建のために託された、と解釈)、氷雪地帯『ウィルムズ・トゥース』への門を開く一行でした(第5章につづく)

【3ページ目へつづく】