第2次スーパーロボット大戦
作品解説
1991年の終わりに、スパロボの2作めがファミコン版で出ました。
その後、この作品は2回リメイクされています。
1つは、「第4次」発売後の1995年、ゲームボーイ版の「第2次G」として。
もう1つは、「F」発売後の1999年、PS版の「コンプリートボックス(ここでは「第2次CB」と呼ぶ)」として。
順番に1つずつ見ていきましょう。
1.第2次SR大戦
●登場ロボット
スパロボで基本となるのは、マジンガー、ゲッター、ガンダムです。
このうち、前作で未消化だったF91の重要メカ2体、ビギナ・ギナとMA(モビルアーマー)ラフレシアが初登場。
そして、「第2次」で初登場したロボットは、「UFOロボ グレンダイザー」です。
さらに、もう3つ忘れてはいけないのは、バンプレスト・オリジナルロボットたちです。
まず、マサキ・アンドーの駆る「風の魔装機神サイバスター」。スパロボで初めてマップ兵器を装備した頼れる奴です。
次に、マサキのライバル、シュウ・シラカワの強力ロボ・グランゾン。ラスボスよりも強いとんでもない奴です。
最後にラスボスのヴァルシオン。この3体は、今後もスパロボ世界の重要な位置を占めていくことになります。
●大河ドラマの始まり
「第2次」では、ロボットのパイロットが初登場します。
これによって、原作同様の人間関係が描かれ、一層ストーリー密度が高まりました。「第○次シリーズ」のストーリーは、この作品から始まるのです。
「第2次」のストーリーは、世界征服を企む悪の組織DC(ディバイン・クルセイダーズ)との戦いが中心。DCの創設者は、ビアン・ゾルダーク博士。彼は宇宙人の侵略を予想し、それを撃退するための究極ロボット・ヴァルシオンを建造。しかし、それだけでは地球を守れないと感じ、武力による地球統一を実行したのだった。
DCに対して、反攻する勢力が、ガンダム(アムロ・レイ)、マジンガーZ(兜甲児)、ゲッターロボ(流竜馬・神隼人・巴武蔵)の集まるホワイトベース隊(艦長ブライト・ノア)。Zガンダムのカミーユ・ビダンやグレンダイザーのデューク・フリードら、DCに捕らわれた仲間たちを救出し、戦力を強化していくホワイトベース隊だが、その前に謎の男サイバスターのマサキ・アンドーが出現。
宿敵のシュウ・シラカワがDCの味方をしている状況を知ったマサキは、ホワイトベース隊に協力。そして、メインロボットの強化(νガンダム、グレートマジンガー、ゲッターG)を経て、宇宙に出たホワイトベースは、パプテマス・シロッコやハマーン・カーン、そしてカロッゾ・ロナ率いる強力部隊ラスト・バタリオンの襲撃を切り抜けて、宇宙要塞ソロモンを陥落させ、ついに敵の本拠地グラナダに至る。
しかし、DCは本部をすでに地球のジャブローに移していた。大気圏に突入し、DC内部でのクーデターを企むシロッコを撃破したホワイトベース隊は、ついにビアン博士の駆るヴァルシオンに、「暁の決戦」を挑むのだった……。
とにかく、敵組織がDCだけで、分かりやすいドラマです。ガンダム、マジンガー、ゲッターの敵は全てDCの一部として扱われており、様々なメカやキャラクターと戦うことになります。
ただし、中には説得できるキャラもいます。マジンガーZとミネルバX、ゲッターチームと胡蝶鬼、アムロとララァ(エルメス)、カミーユとフォウ(サイコガンダム)、ジュドー(ZZ)とプル、シーブック(F91)とセシリー(ビギナ・ギナ)といった原作に基づいた組み合わせで、説得が可能になりました。これによって、原作では悲劇に終わったキャラを救う道が生まれたのです。
●ロボット&パイロットへの感想
まず、この作品で一番使えるメカを挙げるなら、サイバスターといえますね。何しろ、敵の反撃できないマップ兵器サイフラッシュを連発できますから。このFC版では、エネルギー制限がありませんので、毎ターン・サイフラッシュを撃っているだけで、周囲の敵はいなくなります。これは、ラスボスに対しても有効。使えない相手は、「間接攻撃無効」の特殊能力を持っている奴ぐらい(シュウのグランゾンとか)……と思ってましたが、実は記憶違いだったらしく、元祖第2次では誰に対しても通用する非常に便利な万能兵器ということが改めて判明しました。 PSでのCB版で通用しなくなっていたのと、混同していたようです(情報くれた、のらねこさんに感謝m0m)。
マジンガーは、この時点では豊富な武器のありがたさがよく分からない。だって、どのメカも2種類の武器しか持たない上、エネルギーや弾数制限はありませんから。一応、知らないうちに武器のバージョンアップが行われているのですが、あまり実感できなかった。NOVAは先に「第3次」をプレイしたので、武器の使用グラフィックも物足りなさを感じたし。
それよりも問題は、グレートマジンガーがマジンガーZの2号機扱いになったこと。グレートのパイロット剣鉄也は登場せず、兜甲児がグレートに乗り、波紋を巻き起こしました。この事件は、「第3次」の鉄也登場時にちょっとしたイベントを引き起こします。
ゲッターは、この時点では、精神コマンドを一人分しか使えません。これも、3人分の精神コマンドで強力だった「第3次」を先にプレイすると、違和感を覚えましたが、ゲッターはその変形機能だけでも十分強力なユニットです。だって、「第2次」では、武器の地形制限が大きいですから、相手の武器性能を見て、「あっ、こいつ、対空武器持ってないや。だったらゲッター1ね」とか、「こいつの対空攻撃はツラいな。よし、ゲッター2だ」とか、状況に合わせてチェンジできるのが利点。
で、ゲッターには特別に変形用のグラフィックが用意されましたが、ゲッター3の変形が原作どおりじゃないって波紋を呼びました。ゲッター1とゲッター2は、3機の戦闘機が機首を上向きに合体するのですが、ゲッター3は、機首を下向きに合体しないといけないんですね。でも、ファミコンの機能の限界か、1、2と同じような合体だったんです。この欠点も「第3次」で直されました。スパロボは進化するゲームです。
あと、このゲームの注目は、「ゲッターポセイドンに乗る巴武蔵」ですね。原作では死んじゃったからゲッターGに乗れなかったけど、ゲームの世界では夢がかなったわけです。これが実現するのは、スパロボの中でも「第2次」だけです。
ガンダムは、初代が最も強い作品といえますね。「第3次」以降は、初代ガンダムの性能がどんどん悪化していきますから。戦闘テーマも初代の主題歌「翔べガンダム」ですし。
逆に「ZZ」が最も弱い作品ともいえます。自慢のマップ兵器が、この作品ではありませんから。
でも、MSでは強力な「クインマンサ」が使える珍しいゲームです。
●登場ロボット
このリメイク作品の最大の特徴は、VガンダムとGガンダムの初登場に尽きます。特に、Gガンダムは放送終了直後に、そのストーリーの中核を盛り込んだ快挙といえます。
メカとしては、Vガンダムは最初から使えるだけあって、あまり大した性能を持たない(初代ガンダムと大差ない)けど、バージョンUPした「V2ガンダム」は、強力なマップ兵器「光の翼」を持ち、雑魚の掃討と、ボスの削りに大活躍。あと、支援メカの小型艇「ホワイトアーク」も回復と補給の両方できて便利なユニットでした。
いっぽうのGガンダムは、最初の「シャイニングガンダム」も後継機の「ゴッドガンダム」も超強力なユニットです。仲間になるのが少し遅いけど、中盤以降はもう独壇場って感じ。攻撃力と命中・回避性能、そして移動力の3拍子そろった最強戦力ですね。
あとは、グレートマジンガーの鉄也さんが「最初は出るつもりはなかったんだが」と言い訳しながら登場。
おまけに、「第3次」より登場しているビアン博士の娘リューネのヴァルシオーネが隠しキャラ扱いで登場。結構なおまけ要素でした。
●歴史の陰に隠された話
物語は、「第2次」をベースに、レジスタンス部隊リガ・ミリティア(Vガンダムより)と、デビルガンダム(Gガンダムより)のエピソードを組み込んだもの。
ネタばらしをすると、ビアン博士は自分が世界統一を失敗しても、自分を倒した者が異星人の侵攻を食い止めてくれると信じていました。そして、DCを率いる一方で、反DC組織のリガ・ミリティアをも結成、ホワイトベース隊を援助していたのです。
また、デビルガンダムは国連が密かに開発した不名誉な兵器でした。
この2つの事実は、国連の威厳を損なうものとして、語られずに来たというのです。
まあ、NOVA的には、正史よりも、この異説のほうが面白くてOKです。
とりあえず、ストーリー的な整合性を求めるなら、「第2次G」の方がいいかな、と思っております。「第2次」の話は、「第3次」以降と比べて辻褄合わなくなっていましたから(レコアさんとかクェスとかの話は、「第3次」で)。
でも、「Gガンダム」の登場する「F」は、「第2次G」とつながりません。それを考えると、「第2次→F」と、「第2次G→第4次」と見なすのがいいのかな。
とにかく、この作品は「第2次」のストーリーを体験しながら、V・Gの2大ガンダムの物語を堪能するべきものです。
Vガンダムの敵キャラは、ほぼ登場。女戦士集団のシュラク隊やオデロ、トマーシュといった脇を固めるキャラも勢ぞろい。カテジナさんはストーリー展開によって、敵になったり、ならなかったり(この場合、通信士役で、味方パイロットとしては使えないのが残念)します。
Gガンダムは、やっぱ師匠こと東方不敗マスターアジア、そして謎のゲルマン忍者シュバルツ・ブルーダーのエピソードがバッチリです。この2人を外して、Gガンダムのストーリーは成り立ちません。
とにかく、師匠が人間ユニットとして登場し、素手でMSを倒す場面(それを目撃して、ブライトたちは驚愕!)は、スパロボではこの作品が最初です。これ以降、「新」や「F」で繰り返されるネタですけどね。ちなみに、「スーパーヒーロー作戦」でも繰り返されましたが、「さすがにギャバンやキカイダーを見た後では、今さら驚きも感じない」とレインにツッコまれていました(笑)。
VやG以外にトピックを挙げるとしたら、初代ガンダムのデギン公王の登場する唯一のスパロボと言っておきましょう。シャアの陰謀によって、ホワイトベース隊の餌食にされる、哀れな役どころですが。
●改善されたシステム
「第4次」発売後の作品ですから、それに合わせてシステムは大幅に改良されています。
まず、パイロットとロボットの乗換えができるようになり、ロボットの改造もできるようになりました。シナリオも選択肢によって、途中で分岐するようになりました。よって、ゲーム性としては、「第2次」や「第2次CB」よりも上なんですね。ゲームボーイ作品としては大健闘だといえます。
ちなみに、「第2次」では2つしか使えなかった武器が、4つまで使えるようになりました。でも、武器の宝庫である「V2アサルトバスター」には物足りなさ過ぎるんですがね。パワーUP形態なのに、ビームサーベルが削られて、接近戦のできないメカになっちゃってます。
そして、本ゲーム初のシステムは、ロボットを最大改造すれば、各種の特典が得られることです。たとえば、「V2ガンダム」が「アサルトバスター」に強化されることなどですが、NOVAのお気に入りは、「マジンガーZ ジェットスクランダー装備」の最強改造です。「移動力が+2」されて、装甲も硬く単独突撃可能な最強ユニットの一つができます。
この「最大改造のボーナス」は、その後、「魔装機神」や「F完結編」、「α」に受け継がれた意義あるシステムです。
●純粋なリメイク作品
「第2次G」がシステムやシナリオをいろいろと改善して、ある意味、異なる作品に変わってしまったのに対し、プレイステーション版のこちらは、システムやグラフィック以外、ほとんど変更ありません。
よって、物語や登場ユニットに変化はありません。おまけがあるとすれば、隠しユニットの「Gアーマー」ぐらいですね。後は、「キングゴリ」みたいな一部の敵キャラが消えたりしたぐらいですか。
シナリオは分岐もない一本道で特に付け加えることはありません。
一方、ロボットやパイロットの基本データは「第3次」に準じています。その使い勝手と感想を述べていきましょう。
●ユニットについて
まず、この作品ではアムロの乗機に困ってしまいます。初代の「ガンダム」が弱すぎるんですね。データは「第3次」とほぼ同じなんですが、そちらでは本命の「νガンダム」が登場する前に、「ディジェSeR」なる中継機が登場している。別作品でも、アムロは「νガンダム」の前は、「リ・ガズィ」に乗せることがほとんど。でも、「第2次CB」では、アムロが乗れる代わりの機体がないのです。
一応、「Gアーマー」に変形する機能を付けることもできるんですが、少々射程が延びただけで、弱さは否めない。NOVAは、カミーユを仲間にしたり、ララァやフォウを説得した後、「Zガンダム」や「エルメス」、「サイコガンダム」を次々と拝借して、間をつないでいますが。それだけの苦労をして入手した「νガンダム」は文句なしに強く、大活躍してくれます。
「Zガンダム」は前半は強力ですが、終盤、打たれ弱さが響きますね。
「F91」はヴェスバーの射程の短さが痛いです。「CB版」のF91は「第3次」を元にしているため、弱い扱いにされて少々可愛そうです。F91は本当に作品によって、強さがまちまちなMSです。強いときは「νガンダム」に匹敵する強さを見せるのですが、弱いときは「Zガンダム」以下と。
その中で、「CB版」の出世株は「ZZ」かな、と。やっぱり、マップ兵器の「ハイメガキャノン」は強力です。「ビームコートを標準装備」ってのも、MS戦の多い「第2次」では有効です。
「マジンガー」や「グレート」「グレンダイザー」は、スーパーロボットの少ない「第2次」では貴重な戦力です。甲児クンが「グレート」に乗り換えても、余った「マジンガー」にはボスやさやかさんを乗せて、マジンガートリオを有効利用しています。
そして、「ゲッター」は文句なしの最強ユニットです。ただし、精神コマンドの「気合」をかけるのに十分なポイントがないので、気力の必要な必殺技「大雪山おろし」や「シャインスパーク」をかけるために、雑魚キャラでもなるべくゲッターでとどめを刺すように気を使って行かなければなりません。
そして「CB版」では、「テキサスマック」と「ゲッターQ」という脇役ユニットが仲間について来るようになったので、有効活用させてやりたいところです。でも、「マック」はともかく、「ゲッターQ」は使えないよなあ。一応、ゲッタービームが付いているけど、威力がしょぼしょぼだし。射程1の武器しかないからね。育てたところで、「愛」(全員完全回復コマンド)が使えるほど精神ポイントたまらないし。趣味以外で育てるのはムダと断言。でも、他の作品にはほとんど登場しないレアユニットという理由だけで、育てようとしたのはNOVAです。
●パイロットについて
とにかく精神ポイントが少なすぎ。
ついでにMSパイロットは攻撃力弱すぎ。そんなわけで、支援攻撃以上の役割は期待しないほうが得。
ボスキャラは、「マジンガー」軍団の援護を受けながら、とどめを「ゲッター」が「熱血」「必中」「幸運」(それぞれ「2倍ダメージ」、「絶対命中」、「獲得金2倍」の精神コマンド)かけて倒すパターンしかない。地上戦なら、なるべく早く気力をためて、武蔵の「大雪山おろし」に任せるだけでOK。
ゲッターばかりが大活躍するゲームだなあ、と思います。
さて、本ゲームの最大の改良点である、パイロットの声の話をしましょう。
NOVAが一番期待したのは、ボイス初登場の「巴武蔵」。
今までは、後継者の「車弁慶」が八奈見‘ボヤッキー’乗児さんの低い声で、
「うぉおおおお、大雪山おろし〜〜〜〜ッ!」と叫んでいましたが、
今回は、西尾徳さんの甲高い声で、
「逃がさねえぞ〜〜、大雪山おろ〜〜しッ!」と叫ぶ。
この「おろ」の後で伸ばして、「し」で止めるのが、原作ボイスというもので、再現度抜群です。
「武蔵の放つ大雪山おろし」はさすがに本家本元らしく、「弁慶のそれ」よりも強力みたいです。何しろ、武蔵のは「ゲッタービーム」よりも高威力ですから。命中率も異様に高く、地上戦はゲッター2で気合をためて、ゲッター3で暴れまわるのが王道といえます。
次に、同じくボイス初登場の「デューク・フリード」。
何しろ声優の富山敬氏が故人だから、今まで収録できなかった。ピンチヒッターは堀内賢雄氏。まあ、似てはいないけど渋くて良いお声だと思います。でも、ここは山寺宏一氏にお願いしたいところですね。
最後に、ゲッターQの「早乙女ミチル」。
声優引退した吉田‘魔女ッ子メグちゃん’理保子女史に似た声に期待したのですが、演じる声優は吉田美保……名前が似ている分、期待しすぎました。イメージが大外れです。「第3次」に登場するグレンダイザーの「マリア」の声も、あまり期待しないほうがいいですね。
よく知っている役で、全然違う声が出た場合、イメージが大きく狂うのが残念。
まあ、声優ネタ以外には、これ以上、語ることもない作品ですので次にいきましょう。とりあえず一番手軽に楽しめる「初心者対応型スパロボ」であるとだけ結論付けておいて。