第3次スーパーロボット大戦
作品解説
(その1・登場ロボット編)
前作から1年半。
その間に、「ヒーロー戦記」へちょっとした寄り道をしてから、
1993年の夏に、待望のスパロボの3作めがスーパーファミコンで出ました。
そして、「F」発売後の1999年、PS版の「コンプリートボックス(第3次CB)」として復活もしました。
1.第3次SR大戦
●まずは思い出話から
NOVAにとっては、この作品が最初のスパロボ体験でして、それだけ思い入れも深いのですが、ゲームとしての難易度も最高だと言われています。シナリオ本数的には、後の作品の方が膨大で、クリア時間も長くかかるのですが、「第3次」の場合、一本一本のシナリオバランスが綿密で、力技でクリアしていくわけには行かない。サブキャラや量産型MSなんかも活用していかないと、戦力バランス的に厳しいと言うことです。
まあ、「一度、敵に攻撃を仕掛けようとして命中率を見たら、たとえ分が悪くても、そのまま取り消しができない」といった、未成熟なシステムも難易度上昇に一役買っているのですが。
当時は、初心者なもので、まだ攻略手順も身につけておらず、次々と仲間を撃墜されながら、必死にクリアしていました。この時は、リセット技も邪道だと思って、ほとんど使わなかったし。で、終盤になってからは、リセットを使わないと、どうしようもなくて、非常に時間のかかる使い方をしていました。
例:カミーユのZガンダムVSシロッコのヴァルシオン改
この戦いの決着が戦術上どうなるかは、スパロボ経験者なら、常識で分かると思います。はっきり言って、無茶以外の何者でもありません。
Zガンダムの主力武器はハイパーメガランチャー(ビーム兵器)。そして、ヴァルシオン改には、ビーム無効のIフィールド能力が標準装備されていますから、たとえ仲間の援護を受けたとしても、勝ち目はありません。
でも、NOVAは果敢にビームサーベルで接近戦を挑んで、(何度もリセットを駆使して)敵の攻撃&反撃は全てかわし、相手のHPを削っていき、最後には倒しました!
ほとんど原作と同じような展開ですね。Zガンダムは無謀な突撃をし、シロッコの攻撃はなぜか不思議な力にはじかれ、当たらないと(笑)。シロッコをカミーユで倒した後、どうなったかまで原作そのままなのには、とても驚きましたが。
今なら、絶対こんなことはしないよなあ。カミーユでシロッコを倒したいなら、「Zガンダムじゃなくてνガンダムとかヤクト・ドーガに乗せかえる」か、あるいは「他のメカで削るだけ削って、とどめだけZで刺す」とか考えますね。
全ては、若き日の未成熟さ&情熱の暴走が生み出した、しかし、人に語るに足る、いい思い出です。
そして、この作品は、スパロボの世界観を広げた作品でもあります。
次々と参戦する「懐かしのロボット」や「最新のガンダム(時代は1年戦争辺りだけど)」たち。
異星人を交えた、三つ巴の複雑な勢力関係。
主役キャラのみならず、脇役キャラにも焦点を当てた原作再現シナリオなどなど。
それらを順次見ていきましょう。
●登場ロボット(スーパーロボット編)
まずは、前作から登場したロボット作品から。
次に、新登場のロボット作品3作をば。
超電磁ロボ コン・バトラーV
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コン・バトラーV | 5機合体のスーパーロボット。 ただし、元祖「第3次」では、メインパイロットの 葵豹馬しか精神コマンドを使えない。 後の作品で、5人分のコマンドが使えるように なってからとは、使い勝手の良さが全く違う。 合体・分離も自由にできないし。 この合体こそが、1つのイベントとして、 楽しむべきものでしょう。原作再現度の高い 合体ムービーも売りの一つ。 性能としては、そこそこ丈夫な装甲とHPで、 壁になりながら、気力をためて、 必殺の「超電磁スピン」でボスに大打撃を 与える重戦士的存在。 なお、この時点での戦闘グラフィックには、 「超電磁タツマキ」で相手の動きを封じる 描写はない。 |
ガルガンチュワ | 原作ではゲスト出演の脇役ロボット。 ゲームでは、コープランダー(ライディーンの 支援チーム)に与えられたメカ。 性能は低く、趣味で使うユニット。 |
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パンタグリュエル | 原作では登場すらしなかった 強化型ガルガンチュワ。 命中率の高い多弾頭ミサイルと、 射程の長いビーム砲が追加されたが、 終盤になってから登場しても、ね。 ガルガンチュワと並んで、その後の作品には 一切登場していないレアユニット。 |
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勇者 ライディーン
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ライディーン | ムー大陸製のオカルトロボット。 実は初めて手持ちの飛び道具(弓矢)と、 剣・楯を装備した主役ロボットで、後の ガンダムに受け継がれる要素も多い。 射程が長く、命中率も高いゴッドゴーガンが ザコ戦の主力武器。遊撃兵的役割といえる。 それで気力をため、「ゴッドバード」による 突撃で、ボスに挑むのが基本戦術。 シナリオの進め方によっては、最強武器 「ゴッドボイス」が手に入る。 ただし、元祖「第3次」では、パイロットの ひびき洸(あきら)が「熱血」を覚えないので、 攻撃力が少し劣る。 後の作品で、この点は改善された。 |
ブルーガー | ライディーンの支援チーム・コープランダーの 戦闘機にして、スパロボ初の補給メカ。 エネルギー(EN)や弾数を手早く 補給できるか否かは、戦術にまともに 影響してくる。そのため、長期戦を戦うのに 最重要ユニットと言える。 戦闘に使うメカではないので、パイロットは 「補給」を覚えて、2回行動の早い桜野マリ ちゃんがお勧めです。 |
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無敵鋼人 ダイターン3
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ダイターン3 | 戦車と戦闘機に変形可能な、最大サイズのロボット。 パイロットの破嵐万丈が優秀なので、デカい図体に 関わらず、結構、敵の攻撃を避けていたと記憶する。 HPや装甲も強力で、必殺技の「サンアタック」は ゲッターの「シャインスパーク」やライディーンの 「ゴッドボイス」に次ぐ威力を誇る。 しかも3連発可能で、高命中率。武器の総合性能 (威力・燃費・命中率)では最強だと言える。 ただし、「サンアタック」以外の武器がパッとしない のが欠点。特にCB版で気になるところ。 |
とにかく、序盤〜中盤まではMSがあまり頼りにならないので、どうしてもスーパーロボットの破壊力に頼るしかありません。
そんな中、日本で次々と加入してくる新顔のスーパーロボットたちは、いずれも頼もしい戦力となります。戦力的にこれほど、新登場のロボットが待ち遠しいスパロボも珍しいと思います。
後の作品では、主役ロボットが過剰状態になるのですが、「第3次」の時点では、主役ロボットは貴重な戦力。ただし、異常に脇役過剰状態になるんですがね(笑)。それでは、脇役の宝庫「ガンダム」作品を見ていきましょう。
●登場ロボット(ガンダム編)
まずは、あまり頼りにならない(苦笑)新登場の助っ人陣から。
ただし、MSの場合は、乗り換えし放題なので、ロボットとパイロットに項目を分けたいと思います。
なお、パイロットで、(説得)は説得によって仲間になるキャラ、(ルート)はルート選択によって仲間になる可能性のあるキャラ、(スポット)は特定シナリオのみに登場するキャラを表します。
作品名 | パイロット名 | パイロット・コメント |
ロボット名 | ロボット・コメント | |
ガンダム0080 ポケットの中の戦争
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クリスチーナ ・マッケンジー (通称クリス) バーナード ・ワイズマン(説得) (通称バーニィ) |
二人とも、パイロット能力も、 精神コマンドもお粗末です。 強いて言えば、「友情」や 「愛」を持っているから、 回復用キャラかな。 でも、本来は死ぬはずだった バーニィを説得で救うことが できる点が、ドラマチックかも。 今後、バーニィは「ザク好き」の お笑いキャラに生きる道を 見出しますが。 |
NTー1アレックス ザク ズゴックE ケンプファー |
アレックスは、序盤のネモ軍団の 中にあっては、優秀なユニット。 でも、やがて使わなくなることは 確定。ザクはそれ以下。 ケンプファーは結構、丈夫なMS。 あと、一応、前作でもズゴックEや |
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ガンダム0083 スターダストメモリー
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コウ・ウラキ チャック・キース(ルート) ベルナルド ・モンシア(スポット) アナベル・ガトー(ルート) |
ウラキは、元祖「第3次」では攻撃力 激強のMSパイロットでした。でも、 MSパイロットに必要なのは、 攻撃力よりも命中・回避・反応能力で、 それらが中途半端なウラキは、 脇役軍団のリーダーになるしかない。 CB版では、回避に長けたキャラに なったけど、ニュータイプじゃない からねえ。 ガトーは仲間になれば、強力ユニットと |
GP01 GP01fb GP03デンドロビウム ノイエ・ジール ゲルググM |
GP01は、本作にしか登場しない レアユニット……だった。でも「α」で 復活した。序盤の脇役ネモ軍団では、 エースユニットになります。 フルバーニアン(fb)は、移動力だけなら デンドロビウムとノイエ・ジールは、 |
なお、ガトーに奪われたGP02サイサリスは、「第3次」では味方になりません。イベントで異星人に核バズーカをブッ放つぐらい。「EX」では、核バズーカをプラズマリーダーに仕様変更。本当に核バズーカを思いっきり使えるのは、「第4次」までお預けということで。その後は、弱体化していく一方ですがね。
あと、デンドロビウムは元祖「第3次」では「GP03オーキス」って名前でした。上記の表では、後の作品の呼称に統一してあります、念のため。
さて、次に、前作から出ているガンダム作品を見ていきましょう。でもね、「第3次」ではものすごく増えているんですよ、脇役パイロットとMSが。初代ガンダムのパイロットも網羅しているので、脇役の層の厚さは「第3次」が最高だと思えます。
前作から出ているキャラ(MS)と、新登場のキャラ(MS)の分類も含めた、以下の表をどうぞ。
とにかく、主役とその恋人や説得相手のパイロットやメカ中心だった「第2次」に比べ、「第3次」では、キャラクター総数がどっと増え、自由度とドラマ性を大いに高めています。
中でも、一番影響力が高いのが、赤い彗星のシャア改めクワトロ大尉です。このクワトロさんは、後の「第○次」シリーズでも登場しつづけ、更なる別の姿となって敵対する話(「逆襲のシャア」)を作るためには、シリーズを仕切りなおさないといけない(2001年現在、「新」と「64」「COMPACT2」)ぐらい、スパロボの話に大きく絡んでいます。
「初代ガンダム」のキャラクターに最もこだわったのも、「第3次」といえます。後のシリーズでは「Zガンダム」以降の話が中心になりますから。敵役もザビ家4兄弟やマ・クベ、ランバ・ラル、黒い3連星、おまけに「12機のドムを3分で沈められた」コンスコンや、「海のスパイ」フラナガン・ブーンまで登場するのは「第3次」だけです。メジャーな敵は、後の作品で再登場もするのですが、シャアの陰謀で戦死したガルマだけは、復活する気配もない。
後は、エルメスのララァも、この作品が最後です。アムロに説得されながらも、結局、シャアから離れることができなかったと。彼女は、「COMPACT」で復活して、ようやく正式に仲間にすることができます。マスクを着けたシャアが見られる久々の作品ですね。「COMPACT」(1の方です、念のため)についても、いずれまとめていきましょう。
では次に。
●登場ロボット(オリジナルロボット編)
さて、登場ロボットのとりを飾るのは、「魔装機神サイバスター」を初めとするオリジナルロボットたちです。
番号 (登場順) |
ロボット名 | ロボットコメント | |
パイロット名 | パイロットコメント | ||
1 | 魔装機神 サイバスター |
最初に地上に出現した 地底王国ラングランの魔装機神。 「風の精霊サイフェス」と契約し、 機動性に優れた機体。 高速移動形態サイバードへの 変形能力を持つ。 得意技は、敵味方識別可能な マップ兵器「サイフラッシュ」と、 遠距離武器「ハイファミリア」。 さらに必殺技として、火の鳥を 召喚する「アカシックバスター」と、 最強技「コスモ・ノヴァ」を持つ。 |
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マサキ・アンドー | サイバスターのパイロットに選ばれた 熱血漢の日本人。 兜甲児とは似たもの同士で、 よく気が合う。一応、精神年齢は、 マサキの方が高そうだが。 「方向音痴」という致命的な欠点を 持ち、味方に加わるのが遅れる 原因にもなっている。 「集中」をかけて敵陣に突っ込んで、 「サイフラッシュ」で周囲のザコ敵に 大打撃を与えるのが主な仕事。 |
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2 | ヴァルシオーネ | 前回のラスボス・ヴァルシオンを、 軽量・高機動化した女性型ロボット。 ヴァルシオン同様の遠距離光線技 「クロスマッシャー」を装備し、また、 強力なビーム砲も持つ。 さらに、特徴的な武器として、 サイバスターの「サイフラッシュ」を 参考にビアン博士が開発した 同様の武器「サイコブラスター」を 持ち、同様の運用が可能である。 欠点としては、弾数の少なさや エネルギー効率が悪いこと。 そのもろさもよく指摘されるが、 それはヴァルシオンと比べるからで あって、高機動回避を主体とする メカにあっては、抜群の耐久力を 有する機体といえる。 |
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リューネ・ゾルダーク | ビアン博士の娘にして、 運動神経抜群の少女。 時代劇マニアな面を持ち、 NOVAと話が合いそう(笑)。 初登場は、「父親の敵討ち」と マサキたちに戦いを挑むが、 卑怯な鉄仮面カロッゾのやり方への 反発や、マサキへの共感もあって、 イベントをうまくクリアすれば、 味方にすることができる。 役割としては、サイバスター同様の 運用が可能だが、「CB版」では、 唯一「挑発」を覚えるので、邪魔な 敵の目を引き付けるのにも有効。 |
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3 | グランゾン | 前作では、ラスボス以上の敵。 今作では、異星人との最終決戦 直前になって、心強い味方になるが、 最後に「真のラスボス」ネオ・グランゾン として挑んでくる。 ブラックホールの力を利用し、重力を 自在に操る化け物マシン。 通常兵器「ワームスマッシャー」と、 マップ兵器「グラビトロンカノン」と、 必殺武器「ブラックホールクラスター」を 駆使して活躍する。 ダイターン3やグレンダイザー以上の 打たれ強さも特徴。 |
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シュウ・シラカワ | マサキの永遠のライバル。 かつてラングランの王位継承者の一人 (本名クリストフ)だったが、自由を求めて、 邪神ヴォルクルスと契約。ラングラン壊滅に 暗躍した過去を持つ。 結局、邪神に操られ、全てを滅ぼすために 動くことを余儀なくされる。手遅れになる前に、 自分を止めてもらうこと、それがシュウの 最後の意志だと思える。 ビアン博士に協力したのも、そのためだろう。 ビアン博士の行動には、異星人の脅威を はねのけるだけの力を持つ若者を 育成しようとした一面があるのだから。 シュウにも、プレイヤーの成長を試そうと している節が多分に見られる。 そうしたシュウの背景事情や思惑は、 続編の「EX」で、語られることになる。 だが、「第3次」の時点では、シュウの真意 などプレイヤーには知る由もなく、 何を考えているか分からないミステリアスな キャラ、味方にすると頼もしいが敵に回すと とんでもなく恐ろしい男というイメージを 植え付けることに成功している。 |
これら、3つのロボットと、そのパイロットは、「第3次」の続編の「EX」で、3つの章それぞれの主人公として活躍しています。
詳しいことは、【EXの解説ページ】で。
さて、「登場ロボットの紹介」だけで、ずいぶん長くなりました。「システムやストーリーの解説」はページを改めることにしましょう。【次のページへGO】