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1:改造技術の系譜

Bバイオとメカの相克

 メカニックライダーのの次に登場したのが、メカ的要素とは無縁の野生児ライダー・アマゾンである(注8)。アマゾンライダーについては「生命工学(マダラオオトカゲがモチーフ)」「オカルト科学(インカ部族起源)」の技術の結晶であり、これまでのライダーとはあまりにも異質である。
 現に、これまで後輩ライダーに助けの手を差し伸べてきた先輩ライダーは、
アマゾンライダーを助けることは一切なかった。これはアマゾンライダーの改造技術が、「オカルト」メインのあまりに異質なものなので、手の出しようがなかったからかもしれない。Xライダーと同じようにメカを付けてパワーアップというわけにはいかないのだ。おまけに、コミュニケーションさえまともに取ることが困難な相手である。うかつに戦いに介入した場合、敵と見なされて攻撃される危険性もある。アマゾンライダーについては、いろいろと情報を集めながら、見守ることに時間を割いてもおかしくはなかったろう。
 それに仮面ライダーが現役ライダーを助けに来るのは、そう簡単なことではない。現役ライダーが日本を守っている間、先輩ライダーたちは世界各地で戦っている。だが、連絡も取らずにバラバラに戦っていたのでは、限られた戦力をムダに使ってしまうことになる。そこは頭が良く、経験を積んだ者が世界規模の戦況を見据えながら、一番良いタイミングで後輩を助けるべく動くよう采配を取るだろう。もちろん、その役割を担うのは
本郷猛であることは言うまでもない。

 いずれにせよ、結果的に先輩ライダーが
アマゾンライダーを助ける必要はなかった。敵対組織のゲドンやガランダーの規模がさほど大きくなかったために、各々が3ヶ月という短い期間で壊滅してしまったからだ。アマゾンライダーの活動時期は半年という短い期間で終わってしまった。
 
アマゾンライダーを助けたのは、マサヒコ少年と姉のリツ子、そして立花藤兵衛と、ゲドンの裏切り者モグラ獣人だけである。マサヒコ少年は、アマゾンに言葉や日本の風俗・文化を教えた。立花藤兵衛は、専用バイクのジャングラーを製作したが、それ以外にはあまり役に立っていなかったようだ(バイクに乗る以外の特訓をしたわけでもない)。
 結果的に、マサヒコ少年が
アマゾンの変身した姿を見て、「仮面ライダーみたいだ」と発言。その後、立花のおやっさんが後見人になったことから、この野生児は「仮面ライダー」の仲間入りを果たしたわけだが、実際のところ、アマゾンライダーの外見的異端ぶりは龍騎ライダーに匹敵する。それを検証することにしよう。

 まず、
アマゾンライダーとそれまでのライダーの類似点は4つだけである。
 それは、大きな複眼、分厚い胸甲、マフラー、丸いベルト(ただし風車は付いていない)である。
 一方、既存のライダーとの明らかな違いは、額のV字触角がないこと。
龍騎以前の長いライダー史を網羅しても、額にV字、あるいは両側に広がる形の角を持たないライダーは皆無であることを考えても、そのデザイン的異端さは群を抜いている。
 他に、
アマゾンライダーは独自のパーツとして、爪と腕のひれ、背びれを持っている。鋭いそれらのパーツを駆使して決める必殺技「大切断」は、「ライダーの必殺技はキック」という伝統をくつがえしている。
 
アマゾンライダーをシルエットにした場合、「V字角を持った丸顔」ではないため、最も仮面ライダーから外れた外見となる。仮に外見からアマゾンを仮面ライダー認定するなら、NOVAとしては「超神ビビューン」「超神バシャーン」もライダー認定できるだろう、と主張する。とりわけ、バシャーンの半魚人的な外見は、アマゾンに似ていると思う。
 
ズシーン? さすがにあの外見をライダーに似ていると主張するつもりはない。それに、変身前がアポロガイストだからねえ(笑)。

 さて、アマゾンを仮面ライダーとして異端という最大の理由。それはバイクに乗れない、ということ。そう、「乗らない」じゃなくて、「乗れない」わけだ。野生児のアマゾンは「うるさい音を立てる機械」が大嫌い。一流レーサーを育てる夢を持つおやっさんが、運動神経の素晴らしいアマゾンをバイクに乗せようと苦闘するのだが、アマゾンはバイクを持ち上げ、海に投げ捨てる。それぐらい、バイクが嫌いなのだ。
 しかし、ゲドンのオートバイ部隊に対抗するために、おやっさんは
アマゾンライダーの外見に似たバイク、ジャングラーを準備する。よって、アマゾンジャングラー限定で、バイク乗りとなったのである。こんなわけで、アマゾンは周囲の人の努力の甲斐あって、伝統ある仮面ライダーの称号を得たのだった。

 なお、アマゾンの敵組織であるゲドンとガランダーは、アマゾンライダー同様の「生命工学」「オカルト科学」の技術の結晶である「獣人」を送り込む。
 これは、デストロンのキバ・ツバサ・ヨロイの三部族と類似の技術だろう、と推察される。この時期、悪の技術はやはり、
「機械工学」の分野が大きく退化しているのはまちがいない。もしかすると、ダークシャドウ、そしてバドーといったロボット系の組織(注9)が、続々と壊滅していることと関連があるのかもしれない。優秀な機械工学者がみんな、正義のロボットを作って対抗してくるため、悪の側は、正義側よりも先行していた「生命工学」「オカルト科学」に望みを託していた、とも考えられる。

 だが、悪の側も「機械工学」を完全に無視していたわけではない。「獣人」を使った侵略が失敗すると、心機一転して、「機械」系の怪人を送り出す。それがブラックサタンの「奇っ械人」である。もっとも、その洗脳技術は独特の物である。サタン虫を耳から脳に侵入させて、自由に操るというものだ。ある意味、「虫が操る機械人形」(注10)と考えてもいいだろう。

 (以降・ストロンガー考察につづく)