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テンプル・オブ・エレメンタル・イーヴィル
邪悪寺院の戦士たち
(その2)


 
 
●2007年8月9日(木)・ホムレット村からの追放(Driven away from Hommlet)

 さて、ウルティマ3も終わったところで、1年半ぶりの「邪悪寺院」のプレイです。
 ここから、第2部スタート……とでも思ってもらえると、下手な言い訳をしなくて済みます。
 じっさい、新しい展開が始まるわけですし。

 ところで、前はどこまで話が進みましたっけ(オイ)。

キラー「前は、俺たち、自由とときめきを求める最強の冒険者たちが、モートハウスという前線基地を奪い取ったところまでだ。これで、俺たちの野望も一歩前進というところだな」

 ……ええと、ホムレット村の正義の司祭タージョンさんの依頼で、モートハウスに救う邪悪を一掃した……って話でいいかな?

キラー「そんなわけ、あるか! これは、そんじょそこらにある、正義の冒険者が困っている村人のために悪を倒すという話じゃないんだ。そこのところを勘違いしてもらっては困る」

 
そうは言ってもねえ。
 前のつづきだと、「モートハウスの攻略は終了し、ホムレットの村に戻る」ところまで進んだんだよね。
 当然、村人の歓呼の出迎えを受けたんじゃ? 

ゾルダ「普通はそうなるよね。でも、俺たちが村に帰ってくると、村人たちが狂ったように攻撃してきたんだ。俺たちは命からがら、逃げ出してきたってわけさ」

 
へ? 一体どうして?

ナイト「たぶん、リジェのせいだ」

リジェ「ブーッ。どうして、あたしのせいなのよ?」

ナイト「お前がゾロゾロ、率いているアンデッド軍団! あんなのを連れて村に入ったら、村人から恐れられて当然だろう!」

リジェ「え〜。スケルトンとか、こんなに可愛いのに怖がるなんて、本当にセンスのない村人ね」

ナイト「一般人のセンスを、お前の特殊な嗜好といっしょにするな! 世の中に『アンデッド好き』って趣味の人がどれだけいるんだ」

リジェ「そんなことないよ。女吸血鬼萌え〜とか、女ゾンビに噛まれてみたい、なんて掲示板書き込みだったら、2chで見かけるよ。そもそも、ヴァンパイア・ホストやってた人に、アンデッドを批判される覚えないわ 」

ナイト「うっ、人の過去を! ……とにかくだな、アンデッドを連れて村に入ったら、村人から攻撃される。どうしてくれるんだ!」

王蛇「返り討ちにしてやったらいい。簡単なことだ。イライラするなら殺る。当然だろう」

ナイト「いや、当然と言われても……」

ゾルダ「やれやれ。何チャラ山は相変わらず、煮え切らないなあ。俺たちは、邪悪なパーティーなんだから、つまらん良心なんかに、いつまでも煩わされていないでさあ。もっと、実りあるように考えようよ」

ナイト「だから、実りあると言われても、村にも入れず、商店も利用できないんだぞ。どうやって、生きていけ、と言うんだ?」

キラー「ホムレット村に行って、村人を襲撃し、タージョン司教をやっつけるという選択肢も考えてみたんだが……」

リジェ「みたが?」

キラー「今の戦力では、どうしても勝てなかった」

ナイト「……試してみたのかよ?」

キラー「一応な。リセット技でなかったこと、いや、あくまで脳内での想像という形にしたんだが、とにかくタージョンは手強い。俺たちは、もっと力をつけないといけない。鍛えて、学び、そして変わらないといけないんだ」

リジェ「……それって、ミコさまのセリフじゃなくて、理央さまが入ってるよ」

キラー「……一年半も放置されていれば、性格も変わるだろうさ」

 すまん。NOVAの今の興味は、「理央さま&メレたんにある。キャラを作り直せるものなら、そうしたい。

キラー「今さら、それは勘弁してくれ。とにかく、俺たちに必要なのは経験点だ。ガポッと稼ぐためには、もう村でこそこそ小遣い稼ぎのようなイベントに頼っていてもダメだ。大体、邪悪なパーティーが、村人のささやかな頼みを聞き入れてどうする? 『好きな子と結婚したいんだけど』とか、『年会費の取立て』とか、『正義の教会の信徒集め』とかに協力してどうするんだ? この辺で、方針を転換させる好機だろうが」

王蛇「で、結局、どうするんだ? 村人を虐殺するのか?」

キラー「そんなことをしても大した経験にはならない。我々が力を付ける手段はただ一つだ!」

リジェ「それは?」

キラー「噂の<邪悪寺院>に潜り込んで、内部から組織を乗っ取る。奴らが邪悪なら、俺たちはその上を行く極悪となって、この地方に君臨するのだ」

リジェ「さすが、ミコさま

キラー「その上で、臨獣殿を立ち上げる」

王蛇「面白い。だったら、オレは、臨獣コブラ拳だな」

ナイト「激……いや臨獣バット拳になるのか、オレは」

ゾルダ「もしかして、臨獣ウシガエル拳?」

リジェ「何、それ?」

キラー「そして、俺は臨獣トップゲイラー拳だ」

ゾルダ「……って、それこそ何だよ?」

キラー「で、リジェは?」

リジェ「へ、あたし?」

キラー「そうだ。これからは、このパーティーでは、臨獣拳使いを奨励する。お前も、何か決めるんだ」

リジェ「ええと、臨獣カメレオン拳ってわけにはいかないのよね。だったら、臨獣デズモゾーリャ拳♪」

 デズモゾーリャって獣かよ〜と、ツッコミを入れつつ、1年半も経てば、関心の的もいろいろ変わるわけで、突如、生じた「邪悪寺院を乗っ取って、臨獣殿の本拠地とする」という目的のために、邪悪パーティーの新たな戦いが始まるわけです。
 へ? タージョンの持つ宝らしい「アレの探索」はどうなったかって? さあ? (つづく)

 

●2007年8月10日(金)・ダンジョンゲーム(Dungeon Game)

 シティーアドベンチャー、いやヴィレッジアドベンチャーが事実上、不可能になってしまった状況で、邪悪パーティーは<邪悪寺院>のダンジョンに挑みます。
 拠点とすべき集落には頼れない、完全に自分たちの力に頼るだけの修羅の道。

 もっとも考えてみれば、以前にプレイしたPOR(プール・オブ・レディアンス)も同じような状況でした。
 要は、ダンジョンの中で装備も、アイテムも、回復場所も調達するサバイバルと思えば、さほど苦痛ではない、と割り切ります。

キラー「というわけで、やって来たぜ、<邪悪寺院>。ここが俺たちの新たな拠点となるのだ」

ゾルダ「と言っても、ただの廃墟だね。ネズミとか、クモとか、はびこってそうだな」

王蛇「そんなもの、喰ってやればいい」

ナイト「さすがに、サバイバル技能の高い野蛮人は言うことが違うな」

リジェ「そ、それは、さすがに勘弁してほしいよ〜」

キラー「情報によると、ここにはすでに先客がいるらしいからな。食べ物は、そいつらから頂戴すればいい」

ナイト「……何だか、オレたちが野盗に落ちぶれた気分だ」

 冒険者も、一歩間違えれば、追いはぎやら、犯罪者になるという例ですな。
 とにかく、生き残りをかけて、<邪悪寺院>に踏み込む一行です。そこは、アンデッドの巣窟 だったりもしますが……、

リジェ「わ〜い、スケルトンがいっぱい。戦力補充ができちゃった♪」

 
普通なら、うっとうしいアンデッド軍団も、邪悪な僧侶の「亡者威服(ターン・アンデッド)」の効果を受けて、たちまち味方に早変わり。これぞ、邪悪プレイの醍醐味というもの。
 それ以外にも、いろいろとザコ敵と遭遇しましたが、アンデッド軍団の数の暴力を受けて、さほど苦労もなく撃退できました。

ゾルダ「モンスターの力を利用して、敵を倒す。これがライダーの戦いってもんだね」

 スケルトンと言えば、ライダーの原型であるスカルマン(骸骨男)も連想しますなあ。
 ともあれ、地下への階段も見つけたので降りていきます。

リジェ「ハーピーが飛んできたわよ」

ゾルダ「空飛ぶ敵には飛び道具が有効だ」

 普通ならね。
 もっとも、天井の低い地下迷宮ですから、接近戦で斬り付けることもできるのですが。
 むしろ、通路がせまいため、一度に接敵できる人数が限られている……という理由で、飛び道具が便利と言えるのでしょうね。うちのパーティーで、飛び道具を持っているのは、ゾルダとNPCの2人(魔術師スプグノールと戦士ライモル)、さらにスケルトンの1体(笑)。
 プレイヤーキャラクター5人と、NPC3人、そしてスケルトン軍団の布陣は非常に強力で、ハーピーの群れはたちまち撃破されてしまいました。

 その後も、バグベアとか、吸血鳥スタージとか、ウルティマでは防具破壊がいやだったジェラチナスキューブとか、グレイウーズとか、いかにもD&Dって感じのモンスターと遭遇し、ことごとく蹴散らしていきます。

キラー「さすがに、こちらのHPもだいぶ削られてきたな。そろそろ、休憩場所が欲しいところだが」

 どうも、安全な休憩地点が見当たりません。安全な場所だと、休憩アイコンが緑になるんですけどね。部屋のモンスターを倒しても、黄色のまま変わらない。
 ここはもう、危険を覚悟して、適当な部屋で眠ることにします(眠る前にセーブして)。すると……

王蛇「うがあ、オレサマの眠りを邪魔すんじゃねえ!」

盗賊たち「うわあ、目を覚ましやがった! こうなったら、覚悟しやがれ!」

王蛇「覚悟するのは、おまえたちだ。俺の怒りは、最初から最後までクライマックスだぜ!」

盗賊たち「うぎゃあ!」

 どこかのイマジンのような柄の悪さと、強さを見せつけ、夜襲をかけてきた盗賊どもを返り討ちにする王蛇、その他の一行でした。

ゾルダ「はい、ご苦労さん。こいつら、クロスボウの弾もいっぱい持っていたし、これで弾薬補充もばっちりだね」

キラー「まったく。まだ寝足りないぜ。もう一度、寝るぞ」

 
そして、又々、妨害するモンスター。と言っても、ザコなので、あっさり撃墜。
 どうも、なかなかうまいこと寝られないものの、致命的な事態にはならず、それだけでずいぶん経験値稼ぎができたような気がします。いつの間にか、レベル4を通り過ぎて、レベル5になってしまいました(笑)。

●王蛇(浅倉威):レベルバーバリアン。HP60
●ナイト(秋山蓮):レベルローグ/レベル1ファイター。HP36
●キラー(仲代壬琴):レベルバード/レベル1レンジャー。HP30
●リジェ:レベルクレリック /レベル1ファイター。HP34
●ゾルダ(北岡秀一):レベルウィザード/レベル1ファイター。HP16

 また、眠りを妨害されるといっても、時々は、うまく回復できることもあるので、ゆっくりながら冒険の続行もできる、と。そして出現した敵は、

ナイト「うわ、グール(食屍鬼)が出た! こいつら、複数回攻撃で、しかも麻痺能力を持っているから、気をつけろ!」

リジェ「ふうん。それでも、アンデッドなのよね。ターンしたら、どうなるかな?」

 
ターンが有効でした。
 嫌な敵だったグールも、味方にできるとなると、非常に心強いです。まさに、邪悪プレイの本領発揮ですね。
 さて、PORの時は、その「妙にトロい動き」のために不評爆発だったグールですが、本作TOEEでは機敏な動きを見せてくれます。前者はまるで旧作『ドーン・オブ・ザ・デッド(邦訳名ゾンビ)』、後者は近年リメイクされた新作『ドーン・オブ・ザ・デッド』に例えると分かりやすいでしょうか。いや、そんな例えが通じるのは、ゾンビ映画ファンぐらいと思いますが(笑)。
 とにかく、グールを仲間にしたことで、我らが邪悪パーティーの冒険も、急激にスプラッター風味を帯びてきます。盗賊たちを撃破した後、その死体が連中の食餌になるかと思えば……(ブルブル)。
 邪悪パーティーをプレイする際は、想像力を少々、抑え気味にしたほうが良さそうです(苦笑)。

キラー「気にするな。しょせんはゲームだ」

 安全な眠り場所を確保できないことを除けば、順調にダンジョン攻略できているわけですが、それでも強敵はいるわけで。

 地下1階で出くわした強敵は、HP100を誇るオーガーチーフと、配下のバグベアー軍団。さすがに、こいつらとの戦いは真剣になりました。

王蛇「ぐはっ、このオーガー野郎! 一度に20ポイント以上のダメージを与えてきやがる!」

リジェ「仕方ないわね。キュア・モデレート・ウーンズ! 10ポイント回復したわよ!」

ナイト「何とか、持ちこたえてくれ! その間に、背後からの奇襲で大ダメージを与えてやる!」

ゾルダ「さすがに、前衛はオーガーチーフだけで手一杯だよな。バグベアーは、眠らせるしかないか。スリープの呪文で眠ってくれ!」

キラー「1体、残ったようだな。よし、俺が魅了の歌で気を引きつけておく。その間に、デカ物を倒すんだ」

王蛇「ぐっ、こんなところでヘバッてたまるか! 重傷回復のポーション飲んで、耐えてやる!」

リジェ「ああん、グールちゃんたちが一撃でやられてしまうよ〜」

ナイト「いい壁役と思って、使い捨て覚悟で周りを囲むんだな。オレも、浅倉も、次の一撃は耐えられそうにない!」

ゾルダ「マジックミサイル連発だ!」

王蛇「よし、ひるんだ! 喰らえ、オレの必殺技・怒りのベノクラッシュ!」

 ……ということで、全力を振り絞ってのギリギリの戦いになりましたが、オーガーチーフをかろうじて撃退。
 しかし、ダンジョン1階の探索は、まだまだ続くのでした。目下、いかにもD&Dって感じのプレイを堪能中。(つづく)

 

●2007年8月16日(木)・大地の神殿(Temple of the Earth)

 お盆の時期に入って、パソコンゲームだけに時間をかけることもできず、のんびりと地下1階の探索をしております。
 どうやら、地下1階を仕切っているのは、邪悪な「大地の神殿」らしいです。
 この神殿は、地水火風の四大精霊を祭る邪悪な僧侶が、1〜2階を仕切っており、それぞれ競争しているそうな。
 さらに上位に位置するグレーターテンプルというのもあって、死闘の中で力を付けた者には、そこに加入する栄誉が与えられるみたい。

 もっとも、我らが邪悪パーティーは、そんな神殿側の状況に関与することなく、ただただダンジョンを歩いて、出てくるモンスターを倒しながら、経験値稼ぎをする日々。

王蛇「よし、ついに6レベルになったぞ。これで、2回攻撃ができるようになった!」

ゾルダ「俺も、ウィザードレベルが5になったよ。これで、ファイヤーボールが撃てる!」

●王蛇(浅倉威)
:レベルバーバリアン。HP71
●ナイト(秋山蓮):レベルローグ/レベル1ファイター。HP41
●キラー(仲代壬琴):レベルバード/レベル1レンジャー。HP33
●リジェ:レベルクレリック/レベル1ファイター。HP40
●ゾルダ(北岡秀一):レベルウィザード/レベル1ファイター。HP17

 ストーリーが進むよりも、レベルアップの方が順調です。
 それだけ、戦ってばかりいたってことですね。ダンジョンで戦うだけってのは、ゲームとしては楽しかったりもしますが、記事書きする上では単調になるのが問題点。

リジェ「『大地の神殿』に仕えるバグベアとか、オーガーとか、ゴブリンとか、倒すのも、もう飽きちゃった」

キラー「まあな。だが、このバグベアは少し厄介だ。何かポーション飲んで、怒り状態になったりするからな」

ナイト「飲めば飲むほど強くなる。まるで酔拳だな」

キラー「言わば、ドーピングだな。今だと、これぞ本当の『怒臨気』と言えないこともないが」

ゾルダ「ドリンクして怒る、って洒落だね。バグベアってのも、大地の拳魔っぽい名前だし」

 
実際は、「クマに似た顔立ちの毛むくじゃらゴブリン」なんで、本当のクマではないんだけどね。
 PORでは、オークや、その上位種のオローグが一般的な敵戦闘員でしたが、本作の悪陣営はバグベアが主体らしく、やたらと出てきます。そして、しばしばポーション飲んで回復したり、強化したりするのは、ちょっと鬱陶しい。

王蛇「オレだったら、何も飲まなくても、怒りモードを発動できるぞ」

キラー「バーバリアンは、最初から『怒臨気』を修得しているわけだな」

ナイト「ところで、オレたちは死闘の中で力をつける臨獣殿を目指しているわけだが、拳法家だったらモンクのレベルを上げなくていいのか?」

キラー「モンクの条件は、アラインメントがローフルであることだからな。この中で、ローフルなのは北岡だけだし」

ゾルダ「吾郎ちゃんだったらともかく、この俺が素手で戦う武闘家になるのは、イメージが違うでしょう」

キラー「臨獣殿は、別に素手戦闘でなければいけない、という縛りはない、ということだ。武器を使おうが、魔法を使おうが、要は戦いに勝てればいい」

 ともあれ、死闘の中の修行を繰り返しているうちに、牢屋らしき場所を見つけて、囚人を解放したりする一幕も。

王蛇「ええい、囚人を虐殺してもイライラは収まらん。弱い奴はさっさと去れ」

囚人「あ、ありがとうございます」

ナイト「おお、浅倉が正義に目覚めたのか?」

王蛇「そんなわけないだろうが。オレは、人を監禁するような連中が気に入らないだけだ。監禁された者は解放する。自由と闘争こそ、俺の生き様だ」

ゾルダ「確かに、浅倉自身が元は囚人だったりするからなあ」

王蛇「……北岡、誰のせいで俺が囚人になったか覚えているか?」

ゾルダ「……いくら、この俺が天才弁護士でも、お前を弁護しきるのは無理ってものさ。それに、今はもう、囚人じゃないんだから、いいじゃない?」

王蛇「ああ。ここなら暴れ放題だ」

 ダンジョンの中ってのは、浅倉みたいなバトルマニアには、天国みたいな場所ですなあ。
 しかし、やがてはダンジョン1階を仕切る者と遭遇するわけで、

大地の高僧ロマグ「ほう。おぬしどもか、力を求めて、この神殿に来たという者は?」

王蛇「そうだ。お前も……死ぬか?」

大地の高僧ロマグ「い、いや、おぬしのような狂気に満ちた者と、事を構えるつもりは、わしにはない。それよりも、わしの頼みを聞いてみないか?」

キラー「ほう。俺たちの力を認めて、交渉するつもりか。何だ、頼みとは?」

大地の高僧ロマグ「わしの配下のオーガーどもの食堂に、厄介なヘビが紛れ込んでな。オーガーどもは、そのヘビを恐れておる。そこで、おぬしらに退治してきてもらいたいのじゃ」

王蛇「ヘビを倒せだと?」

大地の高僧ロマグ「い、いや、ヘビと言っても、おぬしのことではないぞ。とにかく、ヘビを倒してくれ」

キラー「そのヘビだが、さっき倒したぞ」

リジェ「そこにいたオーガーたちを倒したついでにね」

大地の高僧ロマグ「(焦って)な、何てことを……い、いや、ヘビを倒してくれたか。オ、オーガーの手下は、また補充すれば、も、問題ないよなあ。あ、ああ、それはよくやった。では、次の依頼だ。この手紙を、ナルブの村にいる部下のところに運んでほしいのだが」

キラー「ほう。そんな、子供の使いみたいな仕事を、俺たちに押し付けるか?」

大地の高僧ロマグ「い、いや。決して、おぬしらの力量を見下してのことではないぞ。それだけ大切な手紙ってことだ」

キラー「よこせ。気が向いたら、届けてやる」

大地の高僧ロマグ「気が向いたらって、あんた」

ゾルダ「それほど大事な手紙だったら、きちんと届けてやるよ。ただし、これは契約だ。その仕事を受けるに当たって、俺たちにどんなメリットがあるかを教えてほしいな」

大地の高僧ロマグ「この1階の配下の者に、伝えておく。おぬしらの邪魔をするな、と。これで、おぬしらは自由に1階を歩けるようになった。頼む、これ以上、配下のバグベアーや僧侶と戦うのはやめてくれ。これ以上、部下を失うと、他の神殿との抗争に勝ち抜けんのだ。おぬしらの力は認めてやろう。わしの依頼を全て聞いてくれたら、グレーターテンプルへの道も教えてやろうではないか」

キラー「グレーターテンプルか。面白い。お前さんのクエスト、引き受けてやるよ」

 こうして、「大地の神殿」と契約した邪悪パーティー。
 その後、邪魔して来ないのをいいことに、「大地の神殿」の宝物庫を荒らし(笑)、地下1階の探索を終了させます。そして、地下2階への階段を見つけて物語を先に進めるのでした。(つづく)

 

●2007年8月17日(金)・海賊との絆(Friendship with the Pirates)

 ダンジョンの地下1階を支配する「大地の神殿」と協定を結び、同階を制圧した邪悪パーティー。
 その勢いのままに、地下2階に踏み込みます。

 下の階では、登場するモンスターにも新顔が現われ、触手による麻痺攻撃が怖いキャリオンクローラーやら、武器攻撃が通用しないオーカーゼリーなど、うっとうしさが増しました。
 そして、1階よりもレベルの上がった盗賊団も出現。
 たかが盗賊! と勇んで戦いますが、形勢不利になった盗賊団のボスは交渉を持ちかけます。

盗賊ボス「わ、分かった。お前たちの強さは理解した。わたしはおとなしく、降参するよ。この場所は自由に使ってくれ。わたしは他所へ移るとしよう」

キラー「逃げると言うのか?」

盗賊ボス「わたしは無駄な戦いをしない主義なのだ。さすがに命は惜しい。話し合いで解決できるものなら、それに越したことはない」

キラー「その話しぶりからすると、ただの盗賊ってわけじゃなさそうだな。何を知っている?」

盗賊ボス「慧眼いたみいる。我らは、グレーターテンプルの命で動いている。仕事はもっぱら、他の元素寺院の監視といったところだな。もっとも、お前たちが来る 頃までは、ここも大きな動きはなかったようだ。他の寺院は互いに牽制しているだけで、表向きは平和そのものだった。だが、お前たちのせいで、大地の神殿の勢力は大幅に削られた、と見える」

ゾルダ「俺たちの力を理解したなら、グレーターテンプルに取り次いでもらえないかね?」

盗賊ボス「それは無理だ。我らは、ただの斥候に過ぎん。こちらからグレーターテンプルへの接触は許されていないのだ。指令や連絡は向こうから一方的に来ることになっている。だが、それももう無理だ。我らは、侵略者であるお前たちに敗れ、侵攻を許した。そんな我らに下される指令は、おそらく『死をもって償うべし』だろう。我らは生き永らえるために、ここを去るしかない。グレーターテンプルに接触したいなら、もっと格上の者に頼るんだな」

キラー「チッ。使えない下っ端はとっとと去れ。命だけは助けてやる」

 そして盗賊ボスは去って行ったのですが、部下たちはまだ戦いを挑んできます。しばしの戦いの後、敵の全滅を果たしましたが、

リジェ「あたしのアンデッド軍団も全滅しちゃった!」

 壁役として便利だったスケルトン&グールがいなくなってしまいます。と言うことは? 

ナイト「これで、オレたちは村に帰れるんじゃないか?」

 そう。
 アンデッドを引き連れていると、村人(だけでなく、村で飼っているニワトリやら牛やらまで^^;)が攻撃してきます。ダンジョンでは便利なアンデッド軍団ですが、日常生活を営む上ではお荷物になるわけで。

キラー「ようし、久しぶりに娑婆に出るとするか」

ゾルダ「手紙の配達も頼まれていたしね」

 こうして、一度ダンジョンを出ることにした一行でした。
 向かうところは、北東にある小村ナルブ。上品で平和な感じのホムレットに比べ、物騒な吹き溜まりといった感じの村です。
 ここを仕切っているのは、悪漢や海賊たち。邪悪パーティーにとっては、何ともお似合いの村と言えましょう。
 酒場に入ると、強そうな海賊ボスが大声でわめいています。

海賊ボス「誰か、オレに殴り合いを挑む奴はいないのか?」

王蛇「ほう、面白い。オレにケンカを吹っ掛けるとは!」

海賊ボス「ふん、よそ者か。言っておくが、オレは強いぞ」

王蛇「能書きはいい。強い奴は、叩きのめしてやるだけだ」

海賊ボス「少しは、腕に自信がありそうだな。いいか、武器の使用はなしだ。あくまで決着は拳でつける」

王蛇「望むところだ。臨獣コブラ拳、見せてやる」

 突然、降って湧いた海賊ボスとのケンカ。
 相手も2回攻撃してくる強者ですが、打たれ強さでは王蛇に勝てるはずもありません。

海賊ボス「ま、まいった!」

王蛇「もう終わりか。つまらん」

海賊ボス「お前、い、いや、兄貴のように強い男は初めてだ。オレに代わって、海賊のボスになって下せえ」

王蛇「オレは、組織を率いるなんて面倒くさいことはしない。ただ、強い奴と戦いたいだけだ」

海賊ボス「おお、そのストイックな生き方! まさに漢の中の漢! 分かりやした。兄貴を縛ったりはしねえ。だが、オレたちにできることがあれば、何でも手を貸しますぜ」

 何だか、昔の「硬派な番長マンガ」のノリですが、海賊たちから尊敬の念を勝ち取った邪悪パーティーでした。
 やはり、ホムレットよりもナルブの方が、イベントも刺激的で面白いですね。

 そして、海賊の一人が「とある浜辺で出会った恐怖のモンスター」の話をしてくれます。
 そういうモンスター退治のイベントを、力を求める邪悪パーティーが拒むはずもないわけで、

キラー「ここが、その浜辺か」

リジェ「夏だからね。浜辺で泳ぐってのも悪くないわよ」

 プレイ日も夏ですが、ゲーム内での日記も「7月」と表記されています。夏真っ盛り!

リジェ「ミコさま、水着になって泳ぎましょ♪」

 ……と言ったその時、

ジャイアントトード「ゲコゲコ」

リジェ「キャー、どうして海にカエルがいるのよ?」

 よくよく調べてみると、ナルブはイメリドス河畔の村で、近くに海はないようです。
 だったら、「海賊」という日本語訳もおかしいことになりますな。「河賊」と解釈するのが正解かと。

王蛇「カエルには、モートハウスで飲み込まれた恨みがある。死ね!」

 レベルも上がっているだけあって、大ガエルはたちまち撃破されます。
 しかし、さらに巨大な「フロッグキング」が出現。NPC戦士のライモルをパックンチョと飲み込んでしまいます。

ライモル「うわあ!」

 さらに、別方向から出現するリザードマン(トカゲ男)軍団。

ゾルダ「こういうゴチャゴチャした戦いって、気に入らないんだよね。喰らえ、ファイヤーボール!」

 リザードマン軍団を吹き飛ばす火球の一撃。
 しかし、その中にいた「海の悪霊」(舞台は河なのに……^^;)は強敵で、火球をものともせず、突っ込んできます。

ファーノク「こいつを食い止めるのは、ちょっとしたギャンブルだな」

 かたや「巨大カエル」。
 かたや「海の悪霊」。
 2つの強敵を前に戦力を分断された邪悪パーティー。
 そして、戦いが終わったときには、NPCに2人の犠牲者が出ていたのでした。

 戦士ライモルは、巨大カエルの胃袋に完全に消化されてしまい、
 イカサマ師ファーノクは、悪霊の攻撃に耐えきれず、わずかに回復も間に合わず絶命。
 イメリドス河の水辺は、こうして悲劇の場所と化したのでした。(つづく)

 

●2007年8月18日(土)・NPC強化作戦(Reinforce NPCs)

 久しぶりにダンジョンから出てみると、思わぬ水難事故(笑)で、雇われキャラのNPC2人が死んでしまいました。
 これが正義のパーティーなら、死んだ仲間を復活させてあげるのが当然なんでしょうが、邪悪パーティーは冷たいです。

キラー「よし、ライモルは見捨てて行く」

ナイト「どうしてだ?」

キラー「(あっさり)弱いからだ。臨獣殿に、無能な男は必要ない」

 このゲームのNPCには、「能力値を確認できない」「成長が自由にできない」「宝箱からの入手アイテムを勝手に着服して、しかも手放さない」といった不便な点があります。
 能力値が確認できないので、雇うときには強いのか、弱いのか、よく分かりません。
 しかし、ずっと付き合っていると、問題点も分かってくる、というもの。

 イカサマ師ファーノクは、レベル7でHP47。
 職業はローグで、HPはレベルごとに1D6。通常なら、最大HPが42という計算ですが、それを凌駕しているということは、CONの能力がそれだけ優れている、ということでしょう。
 前衛に立たせても、結構、使えるキャラだと実感しています。

 それに引き換え、戦士ライモルは、レベル6でHPが20代。
 魔術師のスプグノールでさえ、HPは30を越えているのに(彼もCONが高いのでしょう)、そのHPの低さは何よ、ライモル君? と、かねがね不満に思っていました。
 見かけは「マッチョ」で耐久力もありそうなのに、見掛け倒しもいいところです。
 だったら、パワーがあるのか? と言われれば、それも怪しい。
 STRは、持てる重量限界から推測できます。彼は初期装備のレザーアーマーを後生大事に持っていて、防御力強化のためにチェーンメールを与えると、「レザーとチェーンの両方、持ち歩くのは重すぎだ〜(英語発声ではオーバーバードン)!」と文句を言ってきます。だったら、レザーアーマーを手放せよ、とツッコミたく もなりますが、それはゲーム仕様でやむを得ないところ。
 問題は、「たかがレザーとチェーンの2つを持つだけで、オーバーバードンになってしまう」点。
 PCの王蛇や、ナイトは、そんなことはありません。これって、つまりはライモルのSTRが大して高くないってこと。
 打たれ弱く、パワーも低い。そんな戦士は無能としか言いようがありません。
 仕方なく、弓を持たせて後方援護に使っていましたが、いまいち当たらないし……。

キラー「……ということだ。これからの厳しい試練に備えて、使えない奴は切り捨てる。それが臨獣殿のやり方だ」

ナイト「ファーノクはどうするんだ?」

キラー「こいつは有能だ。何とかして、生き返らせる」

 キャラを生き返らせるには、教会に行かなければなりません。が、ナルブには教会がない(爆)。
 一応、薬師のばあさんがいて、レイズデッドの巻き物を売ってくれるのですが、値段は何と金貨6000枚強。パーティーの現在の所持金は、金貨8000枚ほど。
 悩んだ末、結局、生き返らせることに。

ファーノク「ふああ、ひどい目に合った」

キラー「ファーノク、貴様には金貨6000枚の貸しだ」

ファーノク「へ? そんな?」

キラー「借金を返すまでは、奴隷のように働くんだな」

ファーノク「しくしく」

 1人を生き返らせるのに、6000Gもかかるのでは、到底、ライモルを生き返らせることはかないません。
 さらば、ライモル。君の無能ぶりは忘れない。

キラー「さて、仲間を1人失った我々は、新たにNPCを雇おうと思うんだが、誰にしようか?」

ゾルダ「ん〜、このパーティーには、萌え要素が足りない、と思うんだよね〜」

リジェ「あたしは?」

ゾルダ「幼女萌えの趣味は、俺にはない」

リジェ「幼女ってひどい。あたしも、もう高2なんだからね。今年は、『わたしたちの教科書』『探偵学園Q』にも出ているんだから」

キラー「それは役者の話だな。大体、リジェの時だって13才だったから、幼女とは言えなかったはずだが……」

ゾルダ「……ともかく、パーティーが8人もいて、今まで女性キャラが一人だけってのが失敗だったんだ。戦隊シリーズでも、俺は女戦士1人よりも女戦士2人の方が好みだね」

キラー「それはプレイヤーの好みだな。では、北岡の要望どおり、女性NPCをスカウトに行こう」

リジェ「ブー。ミコさま、浮気はダメだからね」

 そんなわけで、ナルブの村のイベントをいくつかこなし、ついでにホムレットのやり残しクエストも、この機会にいろいろクリアした後、「水晶占い師の従僕だったセレーナちゃん」をGET。
 レベル3ローグで、HPは13。

キラー「今さら、レベル3だと、あまり使えそうにないな」

ゾルダ「いや、それでも従僕上がりの女性ってことは、充分、萌え対象だよ。元メイドってことだよ」

セレーナ「ご主人さま、わたしは何をしたらよろしいのでしょうか?」

ゾルダ「おお、その言い回しもいいね。とりあえず、弓矢を持って、後方支援を頼むよ」

セレーナ「かしこまりました」

 ファイターでHPが低いのは許せませんが、ローグだったら許せます。おまけにグラフィックが占い師の従者だけあって、「神秘的な美女」の雰囲気を備えています。実質的な戦力はともかく、これで萌え度は格段に強化されました(笑)。

 さて、この機会に、NPCの運用もさらに見直すことにします。

 魔術師のスプグノール。こいつは、なかなか厄介な奴でして、「パーティーが宝箱から獲得したスクロール(巻き物)をことごとく掠め取っていく」という性癖の持ち主。つまり、仲間のウィザードの呪文が増えていかない、と。
 ただ、ゾルダの呪文はレベルアップ時に、最低限度の呪文(マジックミサイルとか、スリープとか、メルフズアシッドアローとか、ファイヤーボールとか、ヘイストとか、ディスペルマジックとか)を修得していますので、その点は大して問題なし。
 問題なのは、スプグノール自身がレベルアップ時に、いい呪文を覚えてくれないこと。彼のレベルも7に上がって、もうレベル4呪文も使えるのに、呪文修得をしてくれないので、この時点でもマジックミサイルでしか攻撃できないのでありました。
 ゾルダと2人合わせて、ファイヤーボール2連発とかできたら強力なのに……。

 で、試しに、スプグノールの持っているスクロールを、彼の呪文書に書き写させます。
 ……って、今まで「スクロールから呪文書の書写」って本ゲームでしたことがありませんでした( 汗)。
 BGシリーズ
とはシステムが異なるし、PORでは呪文書を使わないソーサラーでしたから。しかも、NPCの持っているアイテムは、プレイヤーが勝手に扱えない、という変な思い込みがありましたんで。
 そんなわけで、スプグノールはようやく「3レベル呪文スティンキングクラウド(悪臭煙幕)」を修得できました。もっとも、ファイヤーボールのスクロールは入手していないし、レベル4呪文のスクロールも未入手。いまいち強さを完全に発揮できない魔術師なのでした。
 むしろ、ゾルダ「巻き物作成」の特技で、スプグノールのために「ファイヤーボールのスクロール」を作ってやる方がいいのかも? と思いつつ。戦力不足を感じたら、そうするつもり。

 ともあれ、NPCズの強化も終わって、手紙配達任務も果たしたので、再び邪悪寺院にこもることにします。セレーナたんも鍛えてあげたいですしね。(つづく)

 

●2007年8月20日(月)・風の神殿 陥落(Fall of the Wind)

 ダンジョンから出て、新たな萌えキャラも加入して、勇んでダンジョンに戻る邪悪パーティーです。
 亡きライモルには悪いですが、おおむね有意義な娑婆でした。
 何しろ、ナルブの村では、「金貨500枚で家を売ってもらう」イベントがありましたし。

ゾルダ「家があると、何だか根無し草じゃなくなって、ホッとできるね」

キラー「金貨1枚の宿賃を払っても、どうということはないがな」

ゾルダ「それでも、アンデッドを引き連れていたら、宿にも泊めてもらえないんだぜ。今なら、自由に泊まり放題だから、ありがたいよ」

キラー「ダンジョンで修行中は、いちいちナルブの家に戻るのも手間だけどな。多少、寝るのを邪魔されても、ダンジョンの中で寝泊りする方が効率がいい。万一に備えて、寝る前にセーブするのは当然だが」

ナイト「家も手に入ったことだし、この辺りで、真っ当な生活に戻るつもりはないか?」

キラー「ウルティマ・オンラインなら、それもありだろうな。入手アイテムを加工して、それを売って商売して、社会の一員になって暮らす……というゲームも昨今の流行なのかもしれん。が、このゲームではそういう選択肢は用意されていない。俺たちにできるのは、戦ってレベルを上げることだけだ」

王蛇「そういうことだ。真っ当な生活? そんなのが好みなら、ゲームから下りるんだな。戦わなければ生き残れないし、成長もしない。それがこの世界の掟だ」

 現実世界ならともかく、多くのファンタジーRPGでは、誠にもって真理です。
 まあ、戦隊や仮面ライダーみたいなヒーロー物でも、それが真理なんですけどね。ただ子供向けの作品で、戦いそのものを肯定する主人公は描きにくいってことで。「平和を守るための戦い」「弱者を守るための戦い」ってオブラートは必要。
 もちろん、主人公じゃなければ、「己の欲のための戦い」「ただただ力を求めるだけの戦い」って本音キャラも描けます。本記事は、そういう連中に視点を当てた稀有な作品……になれたらいいなあ(笑)。

リジェ「それにしても、せっかく海賊とお友達になったのに、船に乗って航海しようって話にはならないのね」

キラー「野外冒険はメインじゃないからな、このゲーム。広く探索するのではなく、深く探索するのが目的だ。ウルティマよりも、ウィザードリィタイプということだな」

 船に乗って探索とか、砲撃とかは、しばらくウルティマで散々やりましたから。
 とにかく、今はダンジョンに戻ります。

大地の高僧ロマグ「おお、手紙配達の任務、よくぞやり遂げた。では、最後の依頼じゃ。最近、やたらと陰謀を企んでいて目障りな水の神殿の高僧ベルソーニヒを倒してきてくれ。それを達成した暁には、グレーターテンプルへの道も開けるであろう」

キラー「それなんだけどな。質問がある。グレーターテンプルの目的って何だ?」

大地の高僧ロマグ「それは、今、教えることではない。全ては、ベルソーニヒを倒してからだ」

キラー「やれやれ。秘密主義もいいところだぜ。グレーターテンプルの目的も分からないんじゃ、その任務を果たすことが、俺たちのメリットかどうかも分からないじゃないか。いいか、よく聞け。俺たちは力を求めている。グレーターテンプルは、その力を俺たちに提供できるというのか?」

大地の高僧ロマグ「……仕方ない。一つだけ教えよう。テンプルの目的は、封じられし邪神の復活だ。この神殿の地下には、とある邪神が封じられている」

リジェ「それって、デズモゾーリャ様?」

大地の高僧ロマグ「……その名は知らんが、力ある邪神と聞く」

キラー「……と聞くってことは、もしかして、お前さんも詳しいことは知らないのか?」

大地の高僧ロマグ「……グレーターテンプルの構成員だけに明かされた秘密だからな」

キラー「それが、お前さんの立場の限界ってことか。分かった。俺たちは、好きにする。そのベルソーニヒという奴も、気が向いたら倒してきてやる。だが、それとは別に、俺たち独自でグレーターテンプルのことを調べ、気に入らなかったら、叩きつぶすことにする」

大地の高僧ロマグ「……お、恐ろしいことを……」

キラー「一つだけ言っておく。俺たちは、寺院の一員になって力を得るつもりはない。自由な立場で、力を磨くつもりだ。俺たちを縛る規律は、正義だろうと悪だろうと認めない。俺たちを動かそうというなら、力ある者としての対等な契約を示すことだ。名前も分からぬ神の不確かな威厳で、俺たちを動かせる、とは思うな!」

大地の高僧ロマグ「……ば、罰当たりが!」

キラー「お前も高みを目指すなら、組織の力や神の力にばかり頼るのではなく、自分自身の力を磨き上げることだな」

大地の高僧ロマグ「……か、勝手にするがいい! だが、もう、わしの領域は荒らさんでくれ」

 こうして、「大地の神殿」との契約は、半ば破棄の保留状態になり、そのまま地下2階に向かう一行でした。
 地下2階への階段は、マップ左上に位置します。
 そこから下りて、マップ右上に移動。そこで出会ったのは、グレーターテンプルに仕えるバグベアの大群でした。

ナイト「うわ、さすがに、こいつは数が多すぎる!」

キラー「こういう時こそ、戦術が物を言うんだ。浅倉秋山、部屋の入り口に2人で立って壁になれ」

王蛇「ええい。こんな奴ら、オレ一人で突撃すれば……」

キラー「そうすれば、こちらが無防備になって、戦列が崩壊するんだよ。それに、乱戦になれば、攻撃魔法が撃てないだろう。それとも、一緒にファイヤーボールに巻き込まれるか?」

ゾルダ「俺は別に構わないんだけどね。浅倉も巻き込んで、ファイヤーボールを撃ち込むのは、さぞ気持ちがいいだろうなあ」

王蛇「チッ。北岡に後ろから攻撃されるのは、気に入らん。仲代、今はお前の指示に従ってやる」

キラー「よし。スプグノール、部屋の中にスティンキングクラウド(悪臭煙幕)を撃ち込んでくれ。敵の勢いを削ぐんだ」

スプグノール「了解」

キラー「浅倉秋山は、悪臭煙幕を抜けてきた奴だけを攻撃するんだ。決して、部屋の中には入るな」

ナイト「そりゃ、こんな臭い部屋に踏み込みたくはないな」

キラー「リジェは、ブレス(祝福)の呪文の後、浅倉秋山のダメージを回復に専念だ」

リジェ「分かったよ、ミコさま」

キラー「北岡はもちろん、部屋の中にファイヤーボールを撃ち込む」

ゾルダ「うわあ。毒ガスで弱っている敵に集中砲火を仕掛けるんだ。なかなか、エグイことを考えるね」

キラー「それこそ、戦術ってものだ。相手が本気を出せない状況を作り、こちらのダメージを極力抑えながら、大打撃を与える。これこそ、ゲームの醍醐味、ときめきってものだろう。後は、マジックミサイルとか飛び道具で、後方支援に徹しろ」

セレーナ「かしこまりましたわ」

ファーノク「うう、俺も弓矢ぐらい持っておくべきだったな。何もすることがない」

キラー「まあ、敵の数が減って、悪臭煙幕が晴れたときに、部屋の中に踏み込んで最終制圧を頼む。それまでは待機していてくれ」

ファーノク「了解。で、仲代先生は何をするんですか?」

キラー「みんなを応援している」

ファーノク「応援だけって、そんな……」

キラー「いや、吟遊詩人の勇気の歌による応援には、意味があるんだよ。勇気リンリン、燃えてる限り、怖い物なし、アッアッアー、ミラクルスピン♪ ってな」

 ということで、久々に戦術を真剣に考えたと思います。これまでは、割と従僕となったアンデッドを活用した、数の暴力で敵を倒していただけなので。
 なお、この悪臭煙幕戦術は、アンデッドと組み合わせると非常に有効ということも判明。何しろ、アンデッドは息をしませんから、煙幕の中にも積極的に踏み込んでいける。

 こうして、グレーターテンプルのバグベア群団を倒した一行です。
 さすがに大規模な戦いを行なった後は、休息をとって回復しなければなりません。地下2階での休息は、出現するモンスターに厄介な敵が多い(とりわけ武器攻撃が通用せずに分裂するオーカーゼリーはイヤ)ので、安全のためには一度、地下1階に戻って休むのが賢明。
 その後、間もなく、地下3階に下りる階段を発見した一行ですが、先に地下2階を全部探索しようと思います。
 マップの左上から右上まで探索しましたが、右下部の探索は後回しにして、左下部を優先。なぜなら、右下部はスタート地点の左上部から遠すぎて、地下1階に引き返すのが厄介ですからね。簡単にマップに書くと、下記のとおり。

地下2階・簡易配置図
左上
地下1階への階段
右上
グレーターテンプルの
 バグベア群団
左中
グレーターテンプルの
 斥候部隊
右中
地下3階への階段
左下部
未探索エリア
右下部
未探索エリア

 左下部に進むと、通路の突き当たりに隠し扉を発見。その通路の左手側には、別の扉もあったのですが、先に隠し扉が気になったので、そちらに進みます。

水の神殿のバグベア「何だ、お前たちは?」

キラー「また、バグベアか? 大地だけかと思っていたら、どこもかしこもバグベアばかりで飽き飽きだぜ」

水の神殿のバグベア「お前たち、ケンカを売りに来たのか?」

王蛇「そっちが売るなら買うが? さっきも、グレーターテンプルの連中をしばき倒してきたところだ」

バグベア「何と、大神殿の連中をか。だったら、その強さに敬意を評して、オレたちの悩みを聞いてくれないか?」

ゾルダ「はいはい、カリスマ弁護士は、報酬次第で悩み事の相談にも乗るよ。どんな悩みかな?」

バグベア「報酬は約束できんが、聞くだけ聞いてくれ。オレたちは、ずっと水の神殿に仕えてきたんだが、最近、神殿ではトロールを雇うようになって、連中とオレたちの間がうまく行っていないのだ。そんなときに、風の神殿から仲間にならないか、とスカウトが来たんだ。どうする?」

ゾルダ「ん〜、風の神殿のことはよく分からないんだけど、水の神殿のベルソーニヒは陰謀家だと聞くよ。このまま従っていても、切り捨てられてポイってことになるんじゃないの?」

バグベア「うう、そうか。だったら、風の神殿に付いた方が得だってことかな?」

ゾルダ「さあ。どっちが得かは知らないけど、最近、大地の神殿のロマグ水の神殿のベルソーニヒを暗殺するように依頼した、という噂も聞くよ。水の神殿はそろそろやばいんじゃない?」

バグベア「何、それはいい情報を聞いた。だったら、風の神殿のケルノに味方するとしよう。だが、水の神殿を裏切ったりして、大丈夫だろうか?」

王蛇「自分の望むとおりにしろ。邪魔する奴は、力で粉砕する。それこそ、漢の生きる道ってものだろうが」

バグベア「おお、その通りだ。邪魔する奴は力で粉砕か。いい言葉だ。迷いが晴れた」

ゾルダ「……ってことは、カウンセリングのお仕事完了ってことだね。報酬をもらおうか?」

バグベア「そ、それが今は持ち合わせがないんだ。ここは一つ情報を提供しよう」

ゾルダ「いいだろう。で、どんな情報」

バグベア「その通路の突き当りには、隠し扉がある」

ゾルダ「……って、俺たち、その隠し扉から来たんだよ!」

 ……ということで、報酬は得られませんでしたが、水の神殿の勢力を減らすことには成功した一行です。「水の神殿がトロールを雇った」という情報も得られたことで気を良くしつつ、先ほど後回しにした通路脇の扉に入ります。
 そこを守る「風の神殿のバグベア」部隊をあっさり撃退し、部屋の奥にいた高僧との対話。

風の高僧ケルノ「お前たち、どこの寺院の刺客だ? か? か?」

キラー「いや、どっちでもないが」

風の高僧ケルノ「そ、そうか。だったら、愚痴の一つでも聞いてくれい。今、この風の神殿は、他の神殿との抗争で崩壊寸前なのだ。生き残った司教はわしだけ。この劣勢をどう挽回しようか、と悩んでいたところだ。水の神殿のバグベアに誘いをかけてはいるのだが……」

ゾルダ「それなら、さっき、こっちに来るよう、勧めておいた」

風の高僧ケルノ「ほう。だったら、は何とかなりそうだな。もどうせ崩壊寸前だし、後は大地だけ。お前たち、我が頼みを聞いてくれないか? グレーターテンプルへの道を教えてやるぞ」

キラー「何をすればいいんだ?」

風の高僧ケルノ「ヒヒヒ、この液体を奴らの使う聖水に混入するのよ。そうすれば、ヒヒヒ……」

リジェ「何だか、セコイ」

ナイト「確かに。毒物混入みたいな卑劣な策しか思いつかないとは」

王蛇「まだ、はっきり暗殺を依頼した大地の方がマシだったな」

風の高僧ケルノ「お、お前たち、大地の手の者か!」

キラー「いや、別に手の者ってわけでもないんだが……」

風の高僧ケルノ「ええい、出合え、出合え。ここに曲者がいるぞ!」

キラー「……って、人の話を聞いていないか。構わん、こんな崩壊寸前の神殿に用はない」

 何だか、なし崩し的に戦闘になりましたが、戦力はほとんどなく、邪悪パーティーの前にあっけなく風の神殿は壊滅します。
 先ほどのカウンセリングで、風の神殿を奨めたばかりなのに……。
 水の神殿への裏切りを決めたバグベア連中を何だか気の毒に思いつつ。(つづく)

 

●2007年8月22日(水)・火の神殿 (Temple of the Fire)

 風の神殿を壊滅させて、レベルも7に上がった邪悪パーティー。

●王蛇(浅倉威):レベルバーバリアン。HP84
●ナイト(秋山蓮):レベルローグ/レベルファイター。HP48
●キラー(仲代壬琴):レベルバード/レベル1レンジャー。HP39
●リジェ:レベルクレリック/レベル1ファイター。HP47
●ゾルダ(北岡秀一):レベルウィザード/レベル1ファイター。HP20

 セレーナもレベルが4になって、HPは18。後衛とはいえ、最近は敵も、前衛をすり抜けて回り込んで来ることが増えてきたので、少しでもHPが上がってくれると、助かります。
 弱い敵だと、通り過ぎようとする際に、前衛が機会攻撃を仕掛けたら、あっさり倒れてくれるのですが、最近は敵も1回2回の機会攻撃をものともせず、強引に突破してきますからねえ。油断も隙もありゃしない。

 さて、風の神殿があっさり壊滅したんだったら、その勢いで水の神殿も……と思って、仕掛けたら、返り討ちにあいました(苦笑)。
 TRPGだと無理ですが、電源ゲームだと「負けたらリセット」です。これって教育には悪いですが、何しろ、こちらは邪悪パーティーですから。まあ、邪悪パーティーでなくても、リセットはしますけどね。スパロボで命中率80%以上なのに、外した場合とか(^^;)。
 ともかく、水の神殿が厄介なのは、よくよく分かりました。今の段階では、護衛のジャガーノートなんて倒せません。鍛えて、出直してきます。

 そして、さらに地下2階の別区画を探索していると(その間にミノタウロスとか、オーガシャーマンとか、エアエレメンタルを倒しつつ)、ワーウルフとも遭遇。
 こいつがまた、強いのなんの。
 数は2匹しかいないのですが、どちらもHPが100を越え、しかも物理攻撃がほとんど効きません。ダメージ魔法を使い切っても倒せなかったので断念。
 対策を練るため、TRPG版の『D&Dモンスターマニュアル』を読むと納得。銀か魔法の武器でないと、15点までのダメージを減少させるんですな。道理で、うちの最強戦士の王蛇がいくら剣を当てても、ダメージ0になるはずだ。稀にクリティカルが出て倍ダメージになって、初めて攻撃が通用するぐらいで。
 要するに、ワーウルフを倒すには、魔法の武器が必要なんです。
 で、パーティーの持つ武器をチェックすると……ダガーやショートソードはあるんですが、魔法のロングソードは未だ入手していないことに、今ごろ気付きました。
 このゲームって、マジックアイテムの出が悪すぎ! 
 PORだったら、レベル7ともなれば、パーティー全員が+2の武器を持っていましたし、+4の棍棒なんてのもありました。
 レベル7になっても、戦士用の魔法の剣を出さないダンジョンマスター(DM)がいれば、自分だったら不満たらたらですね(笑)。自分がDMなら、レベル3ぐらいで+1ソードかな、という基準なんで。

 ともあれ、「勝てぬなら、勝ってみせよう、ホトトギス」って秀吉の句(一部アレンジ)にあるとおり、勝てない時は、何とか戦術を駆使して勝つのが楽しいわけですが、魔法の武器がない以上はいかんともしがたいです。
 そういう時は、「勝てぬなら、勝てるまで待とう、ホトトギス」ってことで、家康さんに従うことにします。つまり、そこの探索は一時保留して、別の場所でキャラ強化してから再挑戦ですな。戦術で勝てないなら、戦略を駆使すると。
 なお、NOVAの使用する「戦術」と「戦略」は、厳密に意味が違います

●戦術:目の前の戦いを勝つための手腕。

●戦略:長期的な視野で戦争を見据え、勝つべき戦いに焦点を絞り、無駄な戦いに資源を費やさない手腕。敗北が必至である場合、やみくもな戦いで戦力を浪費するのではなく、賢い負け方で戦力を温存することも含む。また、補給線の確保(兵站)なども戦略に含む。

 ……と、こんな感じですね。シミュレーションゲームや軍事関係の知識ですが。
 世間一般では戦術と戦略を混同して用いており、野球の試合中の投手交代などを「監督の素晴らしい戦略ですね」などと、ニュースで聞くたびに歯噛みすることもあるんですけね(苦笑)。 そういうときは、「戦術」あるいは「采配」という言葉を使ってほしい。
 もし、野球で戦略という言葉を使うなら、それは「投手の中休み」とか、思わぬ2軍選手の1軍採用が当たったときとかにすべきで、1回1回の試合中の出来事に使うのは間違っている、と主張しつつ。

 なお、これが信長の句のアレンジバージョンになると、「勝てぬなら、壊してみせよう、ホトトギス」ってことで、ゲームのプログラムを破壊したり、ゲームプレイそのものを放棄したり、あるいはプログラムを勝手に改造して最強キャラを作ったりします(笑)。まあ、データの改造をしてゲームをクリアするのが楽しいかどうか、NOVAには分かりませんが。
 そして、信長みたいに短気なキャラが、ここに1人。

王蛇「ええい、イライラする。あの、ワーウルフの奴、今度会ったら容赦しないからな」

キラー「奴らは、紫激気を身にまとっているみたいだからな。普通の武器では、どうしようもない」

王蛇「俺の怒臨気でもダメなのか?」

ゾルダ「武器が魔力を帯びてなければ、怒ったところで無駄さ。目下、連中にまともにダメージを与えられるのは、俺とスプグノールの魔法攻撃ぐらい。でも、それだけじゃ、弾数が持たず、HPを削りきれない」

キラー「つまりは、奴らを倒すための強力な武器が必要ってことだな。面白いゲームになって来たじゃないか」

 ……ということで、戦略的勝利のために、現状で勝てない戦いはきちんと見極め、勝てる手段の探求に気持ちを切り替えます。
 そして、訪れたのは、マップの右下部の「火の神殿」なのでした。

地下2階・簡易配置図
地下1階への階段 グレーターテンプルの
 バグベア群団
グレーターテンプルの
 斥候部隊
地下3階への階段
ワーウルフの住処
風の神殿  火の神殿
水の神殿

 

トロールの住処

 

火の高僧アルレム「それで、お前たちは我が神殿に仕えに来た、というわけだな」

キラー「仕えに来た、というか、協力して水の神殿を倒そう、という提案だな。どうやら、4つの精霊神殿の中で、あそこが一番、強そうだ。マルチプレイのゲームでは、トップを落とす、というのが鉄則。あそこの独り勝ちは、外から見ていても許せないものがある、ということだ」

火の高僧アルレム「つまり、お前たちの目的達成のために、我が神殿の力を利用しようという魂胆か。面白い。ただのおべっか使いではなく、知恵の働く野心家こそ、手を結ぶ甲斐があるというもの。だが、我が神殿の戦力は、目下、疲弊している」

キラー「風のケルノもそう言っていたな」

火の高僧アルレム「ほう、弟に会ったようだな?」

キラー「弟だと?」

火の高僧アルレム「しょせんは小物だったがな。お前たちに殺されても、仕方なかろう」

キラー「……そこまで知られていたとはな」

火の高僧アルレム「誰が殺したかは聞いておらん。だが、弟の死の知らせが届いた直後に、怪しい冒険者がやって来た。多少は疑ってかかるのも当然ではないか」

キラー「なるほど。うまくハメられたということか。ケルノと違って、貴様は大物らしいな」

火の高僧アルレム「そうでなくては、この混乱した状況で生き残れんよ。お前たちの真意が何であれ、水のベルソーニヒを倒すという点では、利害関係は一致している。そう解釈してかまわんのか?」

キラー「大地のロマグから、そう依頼を受けている。もっとも、ロマグも大して使えん男だったがな。少なくとも、俺たちに敵対しないだけの知恵はあったが……」

火の高僧アルレム「そういうお前が本当に、言葉通りの知恵者なら、グレーターテンプルの司令官ヘドラックへの対面もかなおう」

キラー「……何をすればいいんだ?」

火の高僧アルレム「さっきも言ったとおり、我が神殿には目下、戦力が枯渇している。その戦力を立て直すための交渉役を務めてほしい。まずは、この西にいるトロールの首領オールグリストと交渉し、に付くよりも、我らに付く方が賢明だと伝えよ」

キラー「交渉の材料は?」

火の高僧アルレム「トロールの弱点である火。それを防ぐ<耐火の指輪>だ。これほど貴重な物なら、奴も断るまい」

キラー「分かった。……ところで、一つ聞いていいか?」

火の高僧アルレム「何だ?」

キラー「俺の目から見て、貴様は充分、敬意を払うに値する大物だよ。そういう男が率いているのに、何故、神殿の戦力が疲弊しているんだ?」

火の高僧アルレム「……なかなか痛いところをつく。全てはかつての<エムリディ草原>の戦い以来だ。我が神殿は、4大神殿の頂点にあったため、先陣を務めたのだ。我が軍の強さは圧倒的で、敵軍の長スロメル王子をも打ち負かした。が、他の3神殿の陰ながらの妨害工作を受け、我らの側も結果的に多大な損害を被ったのだ。一度、崩壊寸前に陥った組織の立て直しには時間もかかる。その間に、力を付けたのが陰謀家の水日和見主義の大地は、様子を見つつ戦力を維持し、策謀家の風と張り合っていたが、の方が上だったようだな。かつての力を失った我ら、火は、あまり注目されることはなかったが、目立たぬように立て直しに務めてきたつもりだ」

キラー「なるほど。貴重な情報を感謝する。交渉役としても、情報の使い方を心得ている点から見ても、貴様は大した男だ。できるだけの協力はしよう」

火の高僧アルレム「フッ、お前が、ただのおべっか使いでないことを期待させてもらう」

 こうして、「火の神殿」のために行動することになった邪悪パーティーです。
 単なる正義の戦いとは異なり、「悪同士の権力争い」の間でうまく立ち回る……そういうストーリーを堪能しつつ。(つづく)

 

●2007年8月23日(木)・死のオーブ (Golden Death Orb)

 水の神殿を仮想敵と見なし、火の神殿と提携するようになった邪悪パーティー。

 最初の使命は、トロールの首領オールグリストと交渉し、味方につけることです。

トロール「弱い人間が我らの首領に何用だ?」

王蛇「弱い人間だと! オレはイライラしているんだ。死にたくなかったら、さっさと首領のところへ案内しろ!(と威圧する)

トロール「うう、分かった。お前は強そうだ。首領も強い者には興味がある。こっちへ来い」

 力を信奉するトロールには、下手な交渉より、強気に構えた「威圧」が有効っぽいです。

オールグリスト「人間、我らに何用だ?」

キラー「俺たちは、火の神殿の使いだ。に付くよりも、に付く方が賢明だと伝えに来た」

オールグリスト「は弱い。昔は強かったかもしれんが。に付いて、我らにどんな得がある?」

キラー「ここに<耐火の指輪>がある。からのささやかな贈り物だ」

オールグリスト「ふん。本当にささやかだな。部下ならともかく、このワシが火の攻撃など恐れると思うか! そんな弱点は、とっくに克服したわ。我らの力が欲しければ、金貨1万枚を支払うがいい」

 さすがに、金貨1万枚なんて大金は持っておらず、すごすごと引き下がったパーティー。

火のアルレム「交渉に失敗しおったか。口ほどにもない」

キラー「だが、取り引き材料の<耐火の指輪>は何の役にも立たなかったぞ。材料のない交渉は、いくら俺でも成功させられない。トロールは金貨1万枚を要求してきた。それさえあれば……」

火のアルレム「そんな大金が、疲弊した神殿にあるはずがない。おのれ、トロールめ、我らの足元を見おってからに。やむを得ん、一つの策が失敗すれば、第2の策だ。トロールがダメなら、オーガーを雇うとしよう」

キラー「オーガーか。今度こそ、任せてくれ」

 スカウト先のオーガーは、邪悪寺院の外の山岳地帯にいる部族です。交渉相手はオーガーのボスですが、途中にいるザコオーガーを倒していると、評価が下がります。うかつに戦わないようにしないといけません。

キラー「……ということで、浅倉は暴れないように」

王蛇「うお〜〜、イライラする。戦いのない交渉任務なんて、 オレはゴメンだ」

ゾルダ「やれやれ。浅倉は、もう少し狡猾な男だと思っていたが、そんな単純バカだったっけ?」

ナイト「こっちの世界に来て、野蛮度が増してきたようだな」

王蛇「お前たち、 オレにケンカを売っているのか?」

ゾルダ「戦うべき相手や局面を選べ、ってことさ。正面から戦うだけが能じゃない」

王蛇「チッ、今は我慢してやる。その代わり、さっさと交渉を済ませろよ」

キラー「分かった。ところで浅倉、お前がもし誰かにスカウトされるとしたら、何を要求する?」

王蛇「面白い戦いと、それから……食い物だ」

 ということで、野蛮人の助言に従い、オーガーには「火の神殿に行けば、たっぷり食料が得られる」と約束し、交渉成立しました。

火のアルレム「おお。オーガーの部族、全員が我らに味方すると言うか」

キラー「ああ。身近に、典型的な野蛮人がいたおかげで、交渉もずいぶん楽だった」

火のアルレム「すばらしい。それでは、有能な冒険者に最後の使命を授けよう。それは、力の宝珠<ゴールデン・デス・オーブ>の入手だ」

キラー「力の宝珠だと?」

火のアルレム「そうだ。それさえあれば、邪神ザグトモイの復活も達成できよう」

キラー「どこにある?」

火のアルレム「ダンジョンの3階に隠れ住む魔術師ファルリンスが持っているそうだ。奴は、かつてスロメル王子に従っていたが、悪に転向した裏切り者だ。その功績が認められ、グレーターテンプルの司令官ヘドラックとの強いパイプを築き上げたが、しょせんは裏切り者。我らテンプルの者とは独自の動きをしており、信用ならん。<ゴールデン・デス・オーブ>も、テンプルの者に渡そうともせん」

キラー「つまり、宝珠を奴から奪ってこい、と?」

火のアルレム「通りすがりの冒険者が奪った<ゴールデン・デス・オーブ>を、我ら、火の神殿がうまく回収した、ということなら、ヘドラックも納得しよう。一応、ファルリンスは悪の同志だからな。こちらが正面から攻撃するのは、いろいろマズイのだよ」

キラー「組織で地位を保つには、守るべき建前があるってことだな。いろいろ、ご苦労なことだぜ」

 地下2階も、一部を除いて、あらかた探索し終わったので、<ゴールデン・デス・オーブ>を求めて、地下3階に下りる一行。
 2階までは人工の建物でしたが、3階はカビやキノコに覆われた天然風の洞窟になっています。
 そこで、上半身が人で下半身がヘビの怪物ラミアを倒し、発光する球体ウィル・オー・ウィスプを蹴散らし、徐々に探索の手を広げていきます。
 やがて、隠されていたファルリンスの部屋を発見。
 強力な魔法使いだったみたいでしたが、スティンキングクラウドの悪臭で呪文を唱えにくくした後、グールの攻撃を受けて麻痺してしまっては、もはや為すすべなし。

 魔術師を始末した後、秘密扉に隠された宝箱から、求める宝珠を発見。
 その瞬間、どこかの地下区画の封印が解除されるイベント映像が流れて、いよいよ物語がクライマックスに突入する気配が漂ってまいりました。
 果たして、邪悪パーティーは、宝珠の力をどのように使うのか? 
 邪神ザグトモイ
の復活はなされてしまうのか? (つづく)

【3ページ目へつづく】