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プール・オブ・レディアンス
ミス・ドラノーア探索記

目次
スタート
1階・中心階層
2階・石の階層
このページ
3階・光の階層
地下1階・深き階層
2ページ目
魔術師の大会堂
フィールド
3ページ目
ドロウの地下墓所 4ページ目
コアマンソー城 5ページ目

●はじめに(2005年4月16日)

 昨年秋に、「バルダーズ・ゲート」を終了。続けて、「BG2シャドウ・オブ・アムン」をプレイ中。
 一方で、2003年秋に始めた「アイスウィンド・デイル」も、そろそろゴールが見えてきました。
 普通なら、そちらを終わらせてから、新しいゲームを始めれば良さそうなものですが、どうもNOVAの場合、気忙しいようで、先にこちらをプレイをしてみました。

 以前、「アイスウィンド」を立ち上げた際、書いた記事によると、

プール・オブ・レディアンス(2001年発売):D&D第3版に基づくシステム。1989年ごろに同名の作品が出ていたが、ストーリーが同じかどうか、よく分からない。ルールブックの記述を読むと、どうも違う作品に思えるのだが。BGのシリーズとは製作会社も異なっており、D&Dという以外の共通点は薄そう。日本語版の発売も、ネバーウィンター・ナイツと同時期だったのが悪かったのか、とにかく話題性が薄いゲームに思える。

 ……あまり、高評価ってわけではなさそうですな(^^;)。
 どちらかと言うと、ネバーウィンター・ナイツの方が、続編もいろいろ出て、話題性も豊富と思います。
 ただ、NOVAが「プール〜」をプレイする理由として、やはり昔出ていた同シリーズへのノスタルジーが挙げられます。といっても、当時はパソコンを持っていなかったので、攻略記事を読んでいただけですが。
 一応、「プール・オブ・レイディアンス」とアクションゲームの「ヒルズファー」はファミコンで も出たので、プレイしましたが、前者は面白く、後者はつまらなかったという感想。
 「プール〜」の続編として、「カース・オブ・アジュアボンド」「シークレット・オブ・シルバーブレイズ」「プール・オブ・ダークネス」が出ていて、一大大河キャンペーンを構成していたんですが、その時にプレイできなかった思いは、今「BG」シリーズをプレイしながら昇華中と。

 一方で、今度の「プール・オブ・レディアンス」、日本語では、旧作の「レイディアンス」ではなく「レディアンス」という、その発音表記はどうなのよ? 的ツッコミも入れたくなるわけですが、
 そんな些細なことは置いておいて、副題にある「ミス・ドラノーアの廃墟」というのがポイントです。以前は、よく調べもせずに、「同名の作品が出ていたが、ストーリーが同じかどうか、よく分からない」と書いていましたが、今回、じっさいにプレイを始めてみると、まったく違うことが判明しました。
 ええと、今回は、以前の「フランの街」を根城にしたダンジョン探索話ではなく、その10年後に、またも邪悪な輝きを放ち始めた「プール」を鎮めるために、エルフの廃都である「ミス・ドラノーアのダンジョン」を延々と探索する話らしいです。
 この「ミス・ドラノーア」、昨年末に日本語版が出た『フォーゴトンレルム・ワールドガイド』で調べてみますと、エルフの魔法ミサルが掛けられているそうな。ミサルと言えば、「アイスウィンド」で登場した「シヴィアードハンドの塔」をアンデッドの巣窟に変えたトンデモ儀式魔法なんですが、どうもフォーゴトンレルムのエルフって、ロクなことをしない(魔法を制御できずに暴走させる)連中に思えてきました。

 そんな「ミス・ドラノーアの探索記」、果たして上手くまとまるかどうか、乞うご期待。もちろん、プレイ時間は結構掛かると思うので、気長に付き合ってくださいね。

 

●2005年4月16日(土)・キャラクターメイキングの時間です。

 新パソコンにソフトをインストールして、導入ムービーを見ます。
 背景説明で、ティランスラクサス(旧プールのボスキャラ)の名前とか、
「カース・オブ・アジュアボンド」の画像とか出てきて、続編っぽさを味あわせてくれます。そして……
 あ、
エルミンスターだ!(フォーゴトンレルムの有名な魔法使い。BGにも登場してました)
 何だか、「邪悪なプール」について警告していますが、
「アサンをリーダーとする冒険者一行」を探索に向かわせた、とのこと。でも、アサンは帰ってこなかったので、その様子を見に行くために、我らがプレイヤーキャラも招集されたわけですな。全員1レベルの新米パーティーですが、そこはそれ、コンピューターゲームのプレイヤーキャラクターにはリセットという名の神の加護が付いて回りますから、心配ご無用と。

 そんなわけで、重大な探索行に赴かせるキャラを作成するのですが、今回もやはり、意図的に
「バルダーズ・ゲートや、アイスウィンドとは違うことをする」のが、テーマとなります。
 今回は、4人までキャラ作成ができて、あと2人はNPCを参加させる、という
BGアイスウィンドの折衷スタイル。
 4人で、基本構成だと、戦士・魔法使い・僧侶・盗賊になりますが、
D&D第3版ですと、成長時にマルチクラスを選択できるので、割と自由度が高いです。転職が困難だった第2版までのAD&Dに比べて、ソードワールドみたいな感覚で、職業のつまみ食いが可能。ただし、あまり多くの職業を選ぶとペナルティーを伴いますし、いつまでも高レベルの魔法が使えないなど、デメリットもあるのでほどほどに、と。

 NOVAが今まで作ったことのないキャラ……と言えば、種族では
ハーフリング。まあ、もう一つ、ハーフオークという選択肢もあるわけですが、美意識の問題から、そちらは却下。
 ハーフリングと言えば、盗賊のローグが最適なクラスでして、迷わず選択。
 名前は……フロド、ビルボ……と主人公は避けて、実は一番好きな
メリーを採用。

 もう一つ、NOVAが作ったことのないキャラは、純粋な
女戦士。これも『指輪物語』から、楯持つ乙女ということで、エオウィン姫に登場してもらいます。メリーとのコンビで、黒の乗り手の王を倒したシーンは最高です。「人間の男の手では倒せない強敵」を「ホビットと女性の手」で倒す、という劇的なシーン。

 さて、残りは、魔法使いと僧侶。これらも、小説から採用することにします。
 魔法使い……と言えば、ハリー・ポッターか、小津家の5兄弟か、ですが(尊敬するガンダルフ翁は、さすがに1レベルキャラの名前には使えません)、
 後者は世界観に合わないのでパス。前者は、主人公よりも脇役……という方針から、親父さんのジェームズさんを採用。愛称のジミーにします。ただし、それだけだと地味なので、苗字が欲しい。ポッターとか、
「炎の魔法使いホッター(Hotter)」なんてのも考えたものの、つまらないのでパス。
 ジミー
といえば、まずジミー・オリオンと出てくるのですが(BY
メカンダーロボ)、そのままは使いたくない。オリオンと言えば、シリウスという星座つながりがあって、シリウスと言えば、シリウス・ブラック(原作では故人になってしまったのが悲しい;;)とつながってくる。おお、ジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックの名前を受け継いだキャラってのは、いい感じ……ってことで、魔法使いジミー・ザ・ブラックが完成と。もちろん、ローブは黒ローブを採用。

 残った僧侶は……「ドラゴンランス」より
エリスタン。地味めな脇役キャラってのが狙い目。

 ということで、初期状態のプレイヤーキャラは以下の通り。

●メリー:ハーフリングのローグ(盗賊)。ニュートラルグッド。HP8。

●エオウィン:人間の戦士。カオティックグッド。HP12。

●ジミー・ザ・ブラック:ハーフエルフのソーサラー。トゥルーニュートラル。HP6。

●エリスタン:人間のクレリック(僧侶)。ローフルグッド。HP10。

 後から気づいたんだけど、ソーサラーって、
D&Dの普通の魔法使い(ウィザード)と違って、知性じゃなく、魅力で魔法を使うんですね。魅力は元々高いままだったけど、知性を高める必要はあまりなかったか、と思いつつ、あまり有利不利だけにこだわらないことにします。キャライメージとして、ハリーの親父さんは、賢かったと思うし(勉強よりは、悪知恵かもしれないけど)。

 ともかく、この4人で、冒険の旅へと、いざ出発。 

 

●2005年4月16日(土)・ダンジョンの入り口を求めて

 先輩冒険者アサンの消息を求めて、魔法のゲートをくぐり抜けた4人の新米冒険者たち。
 と、突然、ゲートが消えちゃったよ。うわあ、危険な野外に取り残されました。
 しかも、目の前に、死体をあさっているオークを発見。いきなり戦闘ですか? 

 BGシリーズとは明らかに異なる戦闘システムに、NOVA自身、戸惑っています。とりあえず、オークにカーソルを当てて、移動攻撃……って、 最初に行動したのは
ジミー・ザ・ブラック。うわ、こらこら、魔法使いに接近攻撃させたのは大失敗。殴られて、いきなり大ダメージ。
 すぐに
エオウィンエリスタンがオークを倒してくれましたが、ジミーの負傷を治すために、回復魔法を無駄使いしてしまいます。
 とりあえず、セーブしてから、魔法の使用回数を戻すために「休息」をとりますか、と野営ボタンを押してみましたが、この場で寝ることはできないらしい。う〜ん、
BGシリーズでは、寝込みを襲われる危険さえ考えなければ、大抵の場所で寝ることができたのに。

 とにかく、どこか安全に寝られる場所を探せ! ってなことで、辺りをうろついてみますと、スケルトン出現。
 本作には、AI戦闘が付いていませんので、一手一手プレイヤーが入力してやらないといけません。これを面倒くさいと思うか、それともTRPGらしくていいと思うかは、個人によりますが、NOVAは後者。
 魔法使いの0レベル魔法(キャントリップ)に、アンデッドにダメージを与える魔法があるので、早速使用。こうやって、いろいろ試行錯誤しながら、プレイ感覚を身に付けていく作業が、新鮮でいいです。
 さらに、武器の持ち替えや、飛び道具の使用など、いろいろ試していきます。

 小競り合いをこなしているうちに、HP回復効果のある泉も発見。しばらくは、この辺を拠点に、辺りを捜索してみることに。

 その後、オークに襲撃されている商人さんを発見。助けてやると、情報をくれます。また、商人さんはそこにずっと野営しているので、アイテムを売る場所としても使えます。

 商人さんの情報に従い、2人の冒険者が隠れ住んでいる秘密の木を探し、そこでアサンが死んだことなど、数々の情報および安全に休める場所を提供してもらいます。2人の冒険者は、ダンジョン内の情報をこれでもか、とばかりに大量に話してくれますが、同行はしてくれないらしい。
 ともあれ、礼を言って、「ところで、ダンジョンってどこにあるの?」と聞きたいのだけど、そういう選択肢は出ませんので、結局、自力で周辺を探し回るしかありません。

 で、いろいろとザコ相手に戦いながら、学んだこと。
 機会攻撃というルールの恐ろしさ。相手の接近戦範囲内で、飛び道具を使ったり、呪文を唱えたりしていたら、その都度、「隙あり!」って追加攻撃されてしまいます。敵の接近範囲内では、うかつに回復魔法を唱えることもできないなど、なかなかシビアなルールです。

 そんなわけで、第3版ならではのルールと、BGシリーズとの違いを学んでいるうちに、ようやくダンジョンの入り口を発見できました。(つづく)

 

●2005年4月18日(月)・1日プレイしての感想

 日曜日に時間をかけて、たっぷりプレイした後で、レベルが2に上がり、ダンジョンの1フロアをほぼ回りました。……って、たった、それだけですか? と自己ツッコミしたくなります。
 戦闘のテンポは、かなりTRPGに近い感じで、時間はかかっても「忠実な再現」ということで納得なんですが、
 敵の移動が非常にうっとうしいです。

 まず、このゲーム、敵の移動力が味方に比べ、妙に高いです。たぶん、荷物がいっぱいの冒険者に比べ、軽装だからなんでしょうが、おかげで、遠くからたちまち近づいてきて、後衛に接してきます。
 キャラの配置ミスなら、NOVAのせいでしょうが、攻略サイトを見る限り、本作の敵は前衛のガードの隙間を上手くすり抜けて行く性質を持っているらしいです。
 そこで問題になるのは、「接敵されると、魔法や飛び道具の使用時に殴られる」という機会攻撃のルール。おかげで、魔法使いや盗賊は、接近戦武器に持ち替えるか、殴られるのを覚悟で離脱を試みなければなりません。
 ただ変なのは、機会攻撃が適用されるのは、すでに移動を終えて相手の接近戦範囲に入ってから。逆に言えば、移動途中では、たとえ前衛の真正面や真横を通ろうが、機会攻撃は発生せず、みすみす通り抜けを許してしまうことです。相手の攻撃範囲に入れば、それ以上は自由に移動できなくなる「ZOC」の概念が存在しないんですね。
 これは、上手く利用すれば、敵呪文使いの魔法を封じ込めるのに使えます。ただ、移動力の差から、こちらが使うよりも、敵にしばしば使われることになるので、不満の方が大きいと。
 そういうわけで、本作の魔法使い(ソーサラー)は、接近戦対策をきちんとしておきましょう。水戸のご老公よろしく、杖で自分の身ぐらいは守れるようにしないと、前衛のガードは役に立ちませんってのが教訓。

 そんな中でも、とりわけ演出的に、アンデッドの移動時間や行動時間が長いです。
 
連中は動きがトロいくせに、移動距離が長い、と矛盾した性質を備えており、しかもグール辺りなんか、3回攻撃まで仕掛けてきます。右爪、左爪、かみつきの連続攻撃は、動きがトロくてオーバーアクション。リアルに考えるなら、連続攻撃って最小限の動きで、アクションは小さめってのが鉄則ですし、グールの3回攻撃も「死体の割に、機敏な動きの賜物」って印象を持ってましたから、本ゲームでの演出にはビックリです(ゾンビが遅いのは納得するが)。
 そういうアンデッドが少数なら、まあレアキャラということで、奇妙な演出もOKなんですが、そうではなく、やたらと出現してくるので、トロトロ動くアンデッドを見ることだけに戦闘時間を割かれる、というマイナス面が噴出しております。前衛の真横をトロトロ歩き過ぎていくゾンビを見て、「おいおい、今のうちに殴って止めろよ」と、何度歯がゆい思いをしているか。

 次に、戦闘演出以外では、ストーリー面での牽引力がほとんどない、という点が挙げられます。
 BGでは、野外でのミニクエストとシティーアドベンチャーがメインで、ストーリーの要所でダンジョンという作り。
 アイスウィンドでは、BGよりもダンジョン色が強いですが、ストーリーの流れで、多彩な作りのダンジョンが見られ、ダンジョンばっかで飽きる、ということはありません(ドラクエに近いのはこれ)。
 それに比べて、本作(プール……というより、ミス・ドラと略したい。なぜなら、旧作「プール」とは異なるゲームスタイルだから)は、長大なダンジョンをひたすら探索するもので、正に「ダンジョンズ&ドラゴンズ」です(まだ、ドラゴンは出てないが、いずれ出そうな感じ)。3Dではありませんが、「街のないウィザードリィ」といった趣です。
 こういうゲームは嫌いではありませんが、ゲームをネタに記事を書く立場では困ります(爆)。変化に乏しいゲームは、記事がどうしても単調になりがちなので。当初は、旧作「プール」と同じような「街でクエストを受けて、ダンジョンでクエスト解決」ってスタイルを想定していたので、記事構想もそういうイメージを抱いていたわけですが、さにあらず、果てさて、どうしようか? と。

 ……とまあ、いろいろ不満ばかり書いてはいるんですが、
 初期「D&D」の「ダンジョン潜って、延々モンスター退治に明け暮れて、キャラの成長をじっくり楽しむ」という、シンプルな遊び方を堪能できる作品は、時間に余裕があれば、結構ハマるものです。
 問題は、ストーリーなんて、あまり気にしない「ハック&スラッシュ」ぶりを、どう記事としてまとめるか。
 じっくり考えながら記事書きにも、それなりに力を入れたい、と思います。(次に、キャラ描写編につづく)

 

●2005年4月18日(月)・キャラの性格付けの時間

ジミー・ザ・ブラック 「いきなりだが、プレイヤー氏よ」

NOVA「何だ?」

ジミー「このオレのデータだが、記載にミスがあったぞ。オレの1レベルでのHPは、6ではなくだ」

NOVA「ああ、それか。ぼくも不思議に思っていたんだ。君は魔法使いだろう? 魔法使いのHPは1D4だから、CONの修正で6には成り得ても、さすがに8はおかしいだろう、って思ってな。もしかすると、データのミスか、ぼくの見まちがいかだと思って、妥当な6に書き直しておいた」

ジミー「いや、オレのCON修正は+1だから、本来はHP5なんだがな。魔法使いであるにもかかわらず、日頃の鍛錬を怠らないオレは、
『頑健』というフィートを持っているのだ。その効果により、HPに+3されている」


 ええと、
フィートというのは、「戦闘特技」と訳されるもので、第3版で導入されたルールです。ルール自体は知っていたのですが、2日前に記事を書いた時点で、キャラデータの見方を知りませんでした(爆)。
 一般的な技能であるスキルと、この
フィートは、キャラの個性の肝とも言うべきルールなんですが、本作では初期段階とレベルアップ時に、自動習得・成長され、プレイヤーの選択の余地はありません。
 その意味では、本作って、米国では「D&D初心者のための入門編の役割」があったのでは? と思います。しかし、第3版はともかく、第2版以前はそれなりに熟知しているNOVAとしては、いささか物足りません。まあ、そういう自由な楽しみは、先の
ネバーウィンター・ナイツに残しておくってことで、今は「第3版初心者(ルールブックを読んだ経験しかない)」として学んでいくことにしましょう。

 ともあれ、本作のリーダーは、実はジミーに決定です。

ジミー「当然だ。知性と魅力、そして頑健さと行動力にあふれた、このオレを除いて、誰がリーダーをするというんだ」

エオウィン「それに、傲慢さも人一倍ありそうね」


ジミー「おお、
エオウィン。君は確か、原作ではアラゴルンに恋していたな。劇場版のアラゴルン演・ヴィゴ・モーテンセン)と、シリウス(演・ゲイリー・オールドマン)は、キャライメージが似ている、とプレイヤー氏は考えている。そのシリウスを基にしたオレは、当然、アラゴルンにも似ているわけだ。さあ、エオウィンよ。今夜は、ゆっくり愛を語り合おうではないか!」

エオウィン「(手にした楯で
ジミーを殴打しつつ)アラゴルン卿は、そんなナンパまがいのことは口にしません」

ジミー「(血を流しながら立ち上がり)つつ、オレが
頑健でなかったら、今ので死んでたぞ」

メリー「シリウスのイメージは、丸つぶれだね」


ジミー「(片目をつぶりつつ)いや、オレは
『アズカバンで幽閉されて、寡黙になる』以前のシリウスのイメージなんだ。あるいは、『学生のときに、スネイブをいじめて、未来の妻のリリーに注意されつつ、それをネタに彼女に言い寄っていた』ハリーの親父のイメージな」


メリー「……何だか、とんでもない人と仲間になった気がするよ」

エオウィン「とにかく、2度と
アラゴルン卿のことは口にしないで。次に変なことを言ったら、楯じゃなく、剣で突き刺すわよ」

ジミー「ああ、分かったよ。とりあえず、少しでも
アラゴルンを見習って、恥じない自分になることを誓う。その上で、もう一度、君に告白することにしよう」

エオウィン 「……まずは、その流れている血を手当てしてから、バカを言ってなさい!」

ジミー「……確かに、そうだな。おおい、
エリスタン、回復魔法をかけてくれないか? おおい、どこにいるんだ、エリスタン?」

エリスタン「(
ジミーの背後から)さっきから、ここにいますよ」

ジミー「おわっと、最初からいたのか。さすがは原作でも、作者から存在を忘れられていただけあるな。僧侶よりも、盗賊になる方が、お似合いだぞ」

エリスタン「……あなたは、回復してほしいのか、してほしくないのか、どっちなんですか?」

ジミー「もちろん、回復してほしいに決まってるじゃないか。
エリスタン、君が地味なキャラクターだってこと、オレはちっとも気にしていないぞ。オレだって、『地味なジミー』と悪口を言われたものさ。その反動で、よくしゃべるようになったんだけどな。君も、もっと自分の存在感を主張しろよ。な」

メリー(うわあ、この人、悪意は一つもないのに、人を煽っているよ。きっと、
口から先に滅びるタイプだね)

エリスタン「(ため息をつきながら)とにかく、もう、バカなことをして、無駄に回復呪文を使わせないで下さい。魔法使いなのに、いきなり、オークに殴りかかったりするような無茶は、ダメですよ」

ジミー「ああ、分かったよ。君も、オレの言葉が分かったようだな。2行以上にわたって、セリフを発するとは、いい兆候だ。今後も、リーダーの指示には、的確に従ってくれ」


 ……おかしい。NOVAの当初の予想以上に、
ジミーはしゃべってくれます。こいつに任せておけば、少しは話を引っ張ってくれるかな? と期待しつつ、脱線せずに、とっとと話を進めてほしくもあるのでした(ストーリー編につづく)

 

●2005年4月18日(月)・ダンジョンサバイバルの食料問題(1階・中心階層その1)

ジミー・ザ・ブラック 「さて、オレたちは、ダンジョンの1階、いわゆる『中心階層』と呼ばれる区画を探索しているわけだが、一つ疑問がある」

エオウィン「何よ、疑問って?」


ジミー「オレたちは、一体、何を食べているんだ? ここには、オークとアンデッドしかいないぞ。アンデッドの肉は腐っているし、オークの肉も、オレは口にしたい、とは思わない」

メリー「そんなもの、どうだっていいじゃないか。このゲームには、食事のルールなんてないんだし、気にする方がおかしいよ」

ジミー「甘いな、
メリー。かの偉大な名作『ダンジョンマスター』以来、ダンジョンサバイバルゲームでは、食料と飲み水の確保が大切だというのは常識。少なくとも、サバイバルの達人であるレンジャーのこのオレは、リーダーという立場からも、この問題は何としても解決したい、と考えている」

エオウィン「
レンジャー……って、あんた、ソーサラーじゃなかったの?」

ジミー「いや、さっき、このダンジョンに入った直後に、レベルアップしたろう? そのとき、
ソーサラーを上げる代わりに、レンジャーを選択したのだ。おかげで、HPもいい具合に上がって、弓矢も使えるようになった。これで、アラゴルンに一歩、近づいた」

エオウィン「勝手なことをして! 
ソーサラーが呪文を覚えるのを遅れたら、パーティーの戦力もガタ落ちになるのよ」

ジミー「そうは言っても、このゲームでは、敵が前衛を通り過ぎて、後衛に向かってくるじゃないか。
ソーサラーと言えども、自分の身を守る最低限の手腕は身に付けておくべきだ」

エリスタン「おお、パラダイン神よ!」

ジミー「どうした?」

エリスタン「私も、前衛で戦うのに十分なHPと攻撃力が欲しいと思い、2レベルめは
ファイターを選択したのですが……」

メリー「
バトルクレリック(神官戦士)か。悪くない判断だと思うよ」

エリスタン「はい、私もそう思ったのですが、HPが3しか伸びなかったのです」


エオウィン「つまり、HP13ってこと?」

メリー「
ぼく、14」

ジミー「オレ、15」

エオウィン「私は17だから……」

ジミー「パーティーで一番、虚弱ってことかよ。使えねえ!」

エリスタン「おお、パラダインよ! ここには、おられないのですか?」

メリー「……ここは、フォーゴトンレルムだから、クリンの神さまはいないと思うな」


 ということで、2レベルパーティーになった一行ですが、
エオウィンメリーは無難に自分たちのクラスを2レベルに上げたのに対し、ジミーエリスタンはマルチクラスに挑戦しました。
 
ジミーは、アラゴルンのイメージも、またシリウスのイメージも重なって、レンジャーを選択。他に実用的な理由として、「弓矢の使用」と「HPの増強」。それにレンジャーは成長すればいずれ、回復魔法を使えるようになるので、長期的には、後衛からの回復支援の役割もこなせるようになるか、と。そして、ネタ的な部分としては、「魔法使いのレンジャー」ということで、今後、ジミー「マジブラック」を名乗りたい、と(爆)。
 一方で、考えてみれば無意味だったのが、
エリスタン。戦士になって、何が良いかといえば、僧侶に比べて強力な武器が使える点。ただ、これも強力な武器が入手できないと無意味です。現在、エリスタンが使っているのは「クラブ+3」。これなら、戦士でなくても使えます。ちなみに、戦士のエオウィンは、「ウォーハンマー+2」を使用中。イメージはあまりよろしくないですが、今のところ、あまり強力な剣は手に入ってないんですよ。

ジミー「それはともかく、食料と水だ。聞くところによると、10年前、『プール・オブ・レイディアンス』を解放した冒険者たちは、フラン評議会からの堅実なバックアップの下に、偉業を達成したと聞く。オレたちも、本来はそうするはずだった。しかし、ゲートは閉じられ、オレたちは手持ちの装備品だけで、ここに取り残された。果たして、どうやって、この危機を乗り越えたらいい?」

メリー「昔、聞いたんだけど、
『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』という物語があって、『ダンジョンマスター』と同様なシステムながら、途中で食料が十分、手に入らなかったらしいんだ。少なくとも、それが原因で挫折した人が一人いるんだけど、その解決法を知って、愕然としたそうだよ」

ジミー「何だ、言ってみろ?」

メリー「僧侶の呪文に、
『食料を作り出す奇跡』があって、それを使えるようになった後はもう食料問題に悩まされることはなくなったんだってさ」


ジミー「よし、それだ! 
エリスタン、パラダインに祈って、食料を作り出してくれ」

エリスタン「……パラダインはここにおられません。古(いにしえ)の神々は失われました。我々は、また女神ミシャカルのメダルを捜し求めることから始めないといけません」

エオウィン「……って、
『ドラゴンランス戦記』の序盤のストーリーね」


ジミー「どうやら、信仰を失って、壊れたようだな。もう、こいつの回復呪文も期待できないようだ。こうなったら、傷はポーションと休息で治すしかないだろう。そうするにしても問題は、やはり食料だな」

メリー「……ねえねえ、考えてみればさ。外に
商人のノトゥルさんが野営していたろう? お金を払えば、食料ぐらい分けてくれるんじゃないの?」

エオウィン「……それに、秘密の木に隠れ住んでいた
ベリアンドさんフェロルさんなら、無料でも食べ物を譲ってくれそうよ」

ジミー「う〜ん、結局は他人の世話になるか。
レンジャーのオレとしては、狩りで獲物を捕まえたい、と思っていたのだが、ここでは噂のバルダーズ・ゲートなどと違って、野生の動物が見られないからなあ。せっかくの、レンジャーの腕も宝の持ち腐れ、というものだ」

エオウィン「……さっき、習得したばかりの
にわかレンジャーがよく言うわ」

 
……ということで、ゲームの進行とは関係なく、キャラが勝手にしゃべってくれます。いや、単に昔NOVAがプレイしたゲームの思い出話や、読んだ小説ネタなんかが好き勝手に飛び出しているだけですが(苦笑)。
 ただ、まあ、あまり「ミス・ドラ」とは関係ない話ばかりしても、リプレイ記事の趣旨を見失うので、解決済みのクエストについて一つ。それは……。

ベリアンドさん「わしは、そなたたちの手助けをしたいのはやまやまだが、この通り、盲目での。できるのは、せいぜい魔法神ミストラ様に祈ることぐらいじゃ。それと、オークに奪われた愛用の杖デスベインさえあれば、儀式呪文も使えるようになって、死者の復活も行えるのじゃがな」

 そんなわけで、無料で食事をせびるのも気がひけるので、一行はベリアンドさんのために、オークの巣窟を手当たり次第に襲撃し、何とかデスベインの杖を見つけ出すことに成功します。届けてあげると……、

ベリアンドさん「おお、再び、この杖が戻ってくるとは。これで、死者も蘇生できるし、食料も容易に手に入る。お礼に、今後の食事も遠慮なく、口にして行ってくれ。なあに、遠慮することはない。ミス トラ様の恵みは、そなたらのような冒険者に授けられるもの。今後の、そなたらの活躍も、期待しておるぞ」

 
……ってな感じで、食料問題に関してはアレンジしておりますが、一つのクエストを無事解決と。(つづく)

PS:キャラが自由にしゃべってくれると、作者の想定以上に、話が面白くなるというメリットと、進行が遅くなるというデメリットがございます。日曜日のプレイでは、3レベルに達しているので、記事のつづきは明日にでも。

 

●2005年4月19日(火)・信仰問題と、オークの族長(1階・中心階層その2)

ベリアンド「なるほど、信仰を失ったと言われるか」

エリスタン「はい、この世界には、私の崇拝する
パラダイン神がおられません。私は、道を見失いました」

ベリアンド「
パラダインという名の神は聞いたことがないが、何を司っているのかね?」

エリスタン「善と秩序、それに保護や光、善竜を司り、
悪竜の化身でもある暗黒の女王タキシスと戦う我らに力を授けてくれました」

ベリアンド「
暗黒の女王か。レルムにも、悪竜を司るティアマトと呼ばれる神がいるが、善竜を司る存在は聞いたことがないな。ただ、正義を司る神なら、ティールと従者トームの二柱の神が挙げられよう。パラダインとは異なるが、そこに至る道標として、どちらかを崇敬してみては、いかがかな?」

エリスタン「
パラダインの代理神ということですね。ティールトームでは、どのような違いがあるのですか?」

ベリアンド「
ティールは、善の力を代表し、悪を見破る知性と、裁くための力を司っている」

ジミー「……とある
パラディンも、ティールを信仰しているそうだぜ」

エリスタン「
……とあるパラディンとは?」

ジミー「こちらを参照してくれ」

エリスタン「……あまり、過激な報復者は望ましくありませんね」

ベリアンド「
それなら、トームじゃな。守護と忠誠、癒しの力を司り、悪と最前線で戦う善の保護者と見なされておる」

エリスタン「そちらが、
パラダインに最も近い存在と信じます。当面は、トーム神に祈ってみようと思います」

ベリアンド「そなたの信仰が報われんことを。
トーム神への祈りが、パラダインにも通じることを願っておるよ」

エリスタン「ご教示ありがとうございました」

 ということで、違う世界のキャラをコンバートする際、一番問題になるのが信仰関係。
 あくまで、「フレーバー作りの素材」と見なすべきでしょうが、一応、
『フォーゴトンレルム・ワールドガイド』もあるわけですから、こだわってみようか、と。
 もちろん、
「異世界なので、本来の世界とは勝手が違い、力をフルに発揮できない」という展開も楽しいのですが(小説では『エルリック』などの「永遠の戦士シリーズ」で、そういうシチュエーションがありますし、TRPGでは『TORG』という作品で再現されています)、さすがにコンピューターゲームで、そういう特殊設定に縛られるのも変なので、納得できる理由付けだけしておいて適度なところで手を打っています。

 こうして、ようやくミス・ドラノーア探索に、本格的に乗り出すわけですが、
 前述の通り、『中心階層』には、オークとアンデッドしかいません。オークは、アンデッドから自分の巣窟を守るため、至るところにバリケードを築いており、おかげで通路もなかなか複雑になっております。
 そして、こちらは遭遇したオークなり、アンデッドなりを撃退しながら、お宝GETしつつ、探索を進めていくことに。
 で、オークも、アンデッドも、一応のバリエーションがあって、単なるザコから強敵までそろっています。こちらは2レベルで、すぐに成長できるだけの経験点もたまりにくいわけですから、勝てない敵が出る区画は後回しにして、地道に行けるところを行きつくすことに専念。そうするうちに、レベルは上がらなくても、入手したマジックアイテムで、武装の強化はできるわけで、少しずつ戦力アップも可能だと。

 登場する敵をランク分けすると、

●ザコ:ノーマルオーク、スケルトン、ゾンビ
 何も考えず、普通に殴っているだけで、簡単に勝てます。注意するのは、時々出る敵のラッキーヒットと、接近されているのに、呪文や飛び道具を使ってしまって発生する機会攻撃

●危険な敵:オークリーダー、オークの呪文使い、グール、ガスト
 こいつらが出てきたときは、要注意です。

 オークリーダーは、AC21を誇ります。第3版になって、ACが「10に加算していく形式」になって、自分でもまだ慣れていないのですが、従来なら「AC−1」に匹敵する数値。これは、騎士のスーツアーマー(全身甲冑)に 相当します。いくら何でも、「オークにしては固すぎ」です。モンスターマニュアルを見ると、ほぼ「クレイゴーレム(土製ゴーレム)」と同じ防御力。
 AC21がどれほど脅威的な数値か、ルール的に説明すると、「20面ダイスで21を振り出さないと、攻撃が当たらない」というでたらめさです。もちろん、ダイス目には戦士の能力や、武器の性能などで修正が入るわけですが、うちの戦士エオウィンの初期状態の命中修正は 「+6」。……ってことは、ダイスで15以上を出さないと攻撃が当たらず、すなわち命中率30%でしかない、と。戦士でこれだから、後は推して知るべしってことで。
 オークリーダーの集団なんて出てきたら、相当の長期戦を覚悟するか、あるいは押し切られて敗北は必至となります。
 対策は……接近される前に、「スリープ」の魔法で眠らせることができればラッキーですね。眠った敵は命中させやすく、大ダメージも与えられますから。後は、僧侶の「ブレス」の魔法で命中確率を少しでも上げるとか、「マジックミサイル」でちまちまHPを削っていくか……いやあ、実にD&Dらしい地味さ(ほめ言葉^^;)と言えます。

 オークの呪文使いは、まだ対策が立てやすいです。嫌な呪文も、接近さえすれば封じられると。
 先に、「ホールド」で麻痺されたり、「スリープ」で眠らされたりしなければ、勝てます。そうされたなら……まず態勢を立て直すのは不可能ですから、ロードしてやり直し、ですね。
 厄介なのは、オークリーダーと呪文使いのセット。順番としては、呪文使いをつぶしてから、オークリーダーに挑むわけですが、当然、ザコのオークもわらわらいるわけで、なかなかシビアな戦いとなります。

 グールとガストは、連続攻撃と、それによる麻痺効果がこわいです。アンデッド群団の中に、こいつらの姿を見かけたら、真っ先につぶさないといけません。
 対策は、僧侶のターニングアンデッドで、動きが封じられたら、儲けもの。エリスタンが未熟なせいか、なかなかグールレベルまでには効いてくれないのですが、決まれば効果が大きいので、使用回数の限り試してみるべし。

 そんなことで、非常に厳しい戦いが何度も起こるダンジョンで、キャラの悲鳴が聞こえてくるほどです。

ジミー「おいおい、これは何て厳しいダンジョンだ? オレたちはまだ、2レベルになったばかりだぜ。オーバーキル(過剰殺戮)ってもんだ」

エオウィン「……ごめん、
ジミー、そっち、ゾンビが行ったわ」

ジミー「やれやれ、魔法使いのオレが接近戦をしないといけないとは……」

エオウィン「確か、レンジャーになったんじゃなかったの?」

ジミー「そりゃまあ、武器は使えるようになったが、能力値的にオレは接近戦向きのキャラじゃないんだぜ(
筋力にマイナス修正)。それに、防具はないに等しいんだから」

エリスタン「それでも、私よりは打たれ強いはずですが」

ジミー「
頑健なのが取り柄だからな。ダメージは負いやすいが、何とか耐えられるってところだ。あんたは、それに引き換え、打たれ弱いけど、防具が頑丈だから、ダメージは負いにくいはずだぜ」

エリスタン「相手のラッキーヒットで、あっさり沈んでしまうのを除けばですが」

メリー「
エリスタンが沈めば、回復役がいなくなってしまうのが、このパーティーの欠点だね」

 
(戦闘が終わって)

エオウィン「何だかんだ言って、自分の身はしっかり守ってるじゃない?
 ゾンビを殴って倒せるなんて、普通の魔法使いじゃ、なかなかできないわ

ジミー「まあな。一応、
+4クラブなんて持ってるし……」

 
2レベルキャラに「+4装備」……ってのは、従来のD&Dではほとんど考えられなかったことです。
 比べてみるなら、アイスウィンドでは「10レベル戦士のブルーノー」が物語終盤で、ようやく「+4バトルアックス」を入手しています。BG2でも、「9レベルパラディンのNOVA」が「+3フレイル(火炎などの追加効果付き)」を使っているところです。
 これらに比べて、いわゆるマジックアイテムの大盤振る舞いが、第3版での特徴なのか、それとも本ゲームだけの特徴なのかは分かりませんが、ミス・ドラ「ハイリスク・ハイリターン(危険も大きいが、収穫も大きい)」作品であることは明らかです。

ジミー「よし、レザーアーマー+3をGET!」

メリー「
ぼくは着ないよ。今、着ているスタディドレザー+2と防御力は変わらないし」

ジミー「オレが着る。これでACが5上がる」

エオウィン「……って、あなた、魔法使いでしょう? 防具を着たら、魔法使えなくなるんじゃ……」

ジミー「それは、第2版までのルールだ。第3版だと、防具の装着によって
呪文失敗確率が上がるわけだが、レザーアーマーの場合、たったの10%だ。10回に1度、呪文を失敗してしまうリスクと、ACが5上がって接近戦にも耐えられるメリットを比べれば、後者に軍配が上がる」

 
そんなわけで、「皮の鎧をまとって、棍棒を振り回して果敢に接近戦に挑みかかる」……って、どこかの野蛮人みたいな戦闘スタイルの魔法使いとなっていくジミーでございます。

ジミー「さて、ここで提案だが、今の我々はレベルこそ上がっていないが、見つけた数々のマジックアイテムで、十分な戦力を持つに至った。この辺りで、噂のオークの族長タッドを襲撃してみないか?」

エオウィン「このまま、ちまちまとザコ退治を続けていても、レベルアップにはつながりそうにないわね」

エリスタン「クエストを解決すれば、レベルも上がり、信仰を深めることもできそうです」

メリー「ぼくは賛成できないな。ローグは、鍵開けや罠発見、罠外しでも経験値稼ぎができるから、もう少しレベルアップしてから、挑みたいと思う」


ジミー「お前一人がレベルアップしても、パーティーの戦力アップにはあまりならないだろう。それとも、おまえが
タッドと一騎討ちでも挑んでくれるのか?」

メリー「う、それはイヤだな。分かったよ。ぼくは
タッドの配下の呪文使いに張り付いて、呪文の妨害を試みる」

エオウィン「
タッドには私が挑んで……」

エリスタン「私が、後ろから回復支援する」

ジミー「そして、ザコのオークどもは、オレが
スリープで一掃し、後は必要に応じて、マジックミサイルで前衛の攻撃支援をする。これで、フォーメーションは完璧だな」

 
こうして、オークの族長退治のクエストに挑むパーティーです。
 さて、このタッド、ありがたいことに、周辺にザコはほとんどいませんでした。……って、本当は周囲の部屋に大勢いたんだけど、これまで一行がことごとく惨殺してきたのかもしれないなあ。
 ともあれ、
タッドの近くに従うのは、呪文使いが2人。ウィッチドクターとシャーマン、それぞれ僧侶と魔法使いですな。前者にはエリスタンが、後者にはメリーが張り付くフォーメーションで、戦闘開始。
 
エオウィンは、単身、タッドに挑みかかり、ジミーエリスタンを攻撃呪文で支援します。この布陣の最大のポイントは、エリスタンがどれだけ早く、目前の敵を撃退し、エオウィンの支援に回れるか。エオウィン一人で倒せるほど、タッドは甘くありませんから。

 ……で、一度目は残念ながら失敗します。
エオウィンが保ちませんでした。
 ロードした後の二度目は、少しフォーメーションを変えます。
 
エリスタンがシャーマンを、メリーがウィッチドクターを牽制します。たぶん、シャーマンの方がHPや防御力は低めだろう、と判断したんですね。
 これが幸いしてか、
エリスタンエオウィンが倒れる前に駆けつけることができ、無事にタッドを始末することができました。残ったウィッチドクターも、メリーを他の仲間が支援して、撃墜成功。

 こうして、一つのクエストが完了し、得た経験値で、ようやくパーティーは3レベルに成長できました。(つづく)

レベル3パーティーの能力紹介

●エオウィン: レベル3ファイター。HP24。

  武器:ウォーハンマー+2
  防御力:AC23
  スキル:隠し身(−4)、忍び足(−4)、聞き耳(0)、察知(0)
       精神集中(2)、捜索(0)、応急手当(0)
  フィート:戦闘即応、刹那の反応、強攻、クリティカル増進、なぎはらい

・コメント
 ファイターは、ほとんど使えるスキルを持ちませんなあ。隠し身や忍び足は、鎧によるペナルティーで、思いきりマイナス修正になってるし。
 そんなファイターの本分は、当然、多彩なフィート(戦闘特技)です。
 
戦闘即応は、機会攻撃の回数アップ。
 
刹那の反応は、反応セーブ+2(物理攻撃呪文の回避率アップ)
 
強攻は、命中率を下げる代わりに大ダメージ。
 
クリティカル増進は、クリティカルヒットの可能性を倍増。
 
なぎはらいは、敵にとどめを刺した後、即座に次の敵を攻撃できるもので、目下、使っていて一番楽しいです。

●ジミー・ザ・ブラック:レベル2ソーサラー/レベル1レンジャー。HP17。

  武器:ロングボウ+2、クラブ+4
  防御力:AC18
  スキル:隠し身(2)、忍び足(2)、聞き耳(4)、察知(4)
       精神集中(7)、呪文学(8)、捜索(5)、応急手当(2)
  フィート:頑健、レジスト突破
  特殊能力:魔術呪文レベル0&1、宿敵(オーク)に対し命中+1

・コメント
 今回、ソーサラーをアップしたところ、HPはあまり伸びませんでした。まあ、仕方ないか。
 フィートは、やはり
HPを+3する頑健が特徴ですね。
 
レジスト突破は、相手の呪文抵抗力を打ち破るもので、まあ魔法使いにとっては普通かと。

●メリー: レベル3ローグ。HP22。

  武器:スリング+2、ダガー+3
  防御力:AC20
  スキル:隠し身(10)、忍び足(8)、聞き耳(7)、察知(5)
       精神集中(2)、捜索(6)、開錠(9)、装置の無効化(6)
       応急手当(2)
  フィート:スキル熟練、イニシアティブ増進
  特殊能力:急所狙い、かわし身

・コメント
 実は、パーティーで2番目にタフになった盗賊です。さすがはホビット(体は小さくても、かなりタフな種族なんですね)。
 で、ローグの本領は、スキルの豊かさにあります。いろいろできます。
 一方で、フィートの方は、クラスごとに特定スキルの成功値を高める
スキル熟練(ローグの場合、「装置の無効化」に有効)。
 それから、行動順を+4早くする
イニシアティブ増進です。これは、毎回、戦闘時に確実に機能するので、いかにも役立っているなあ、と感じます。

●エリスタン: レベル2クレリック/レベル1ファイター。HP20。

  武器:クラブ+3
  防御力:AC23
  スキル:隠し身(−5)、忍び足(−6)、聞き耳(3)、察知(2)
       精神集中(5)、呪文学(2)、捜索(−1)、応急手当(4)
  フィート:戦場呪文、強攻、追加ターン、スキル熟練
  特殊能力:神聖呪文レベル0&1、ターニングアンデッド

・コメント
 心配されていたHPですが、今回は伸び悩みも解消されたようです。
 フィートは、ファイター技能をとったことで多くなっています。
 
戦場呪文は、敵の攻撃を受けながらでも、呪文を唱えることができる確率が上昇するので、嬉しいですね。
 
強攻は、エオウィンのときに説明済み。
 
スキル熟練は、クレリックの場合「呪文学」に、ファイターの場合「察知」に有効です。マルチクラスの場合、この点で有利かも。
 それから、一番有効なのが
追加ターンです。このおかげで、ターニングアンデッドが全部で7回も使えますから(普通は3回)。

 

●2005年4月20日(水)・恐怖のアンデッド(1階・中心階層その3)

ジミー「レベルもアップしたことだし、これで今まで勝てなかった敵にも勝ち目が出てきそうだな」

エオウィン「今まで、勝てなかった敵……というと」

ジミー「
オークの殺戮者モール。こいつは周りにシャーマンと、オークリーダー2体を従えていて、下手すると族長のタッドより強いかもしれない」

メリー「作戦は?」

ジミー「部屋の扉を開けた瞬間に、
スリープの魔法をかける。これで、何体か眠ってくれればラッキーだな。ただし、こちらが動く前に、相手が部屋から飛び出してくれば、この作戦は使えない。イニシアティブに全てが掛かっている」

メリー「シャーマンが眠らなかったら、ぼくが張り付けばいいんだね」

ジミー「いや、今回、それは
エオウィンの仕事だ。シャーマンと、ボスのモールの位置が近すぎるからな。おまえさんも、ボスの攻撃を受けきるほど、タフじゃないだろう? それより、命中率の高い飛び道具で支援する方が、戦いの早期決着が望める」

エオウィン「つまり、私一人で、敵の攻撃を引き受けろというわけね。素敵な作戦だこと」

ジミー「
エリスタンに後ろから回復支援してもらうさ」

エリスタン「私もHPが増えたので、前に出ますが」

ジミー「それはやめてくれ。敵の的が分散すれば、それだけ回復も困難になる。
ザコ敵大勢なら、前衛は多い方がいいが、少数の強敵なら、タンク(壁役)は一人の方が効率的だ。
エオウィンが傷ついたら即座に、あんたが回復させる。このシフトが万全な限り、負けはしないさ。あんたが、うかつに前衛にしゃしゃり出て、回復できない状態に陥ったとき、負けてしまう」

エオウィン「回復が追いつかないときは?」

ジミー「
防御に専念するんだな。ファイターだったら、それくらいのオプションを使い分けてもらわないと」

 このように、使える手段を全部駆使して難敵に挑むのが、このゲームの楽しいところ。
 派手な力技に頼りがちな(それでも勝てる)ゲームに慣れていた近頃でしたので、こういう地味な(戦術面について考えさせられる)戦いは、知的ゲームとして堪能できます。
 ただし、戦術(とわずかな幸運)を駆使すれば勝てる……ってのがポイントで、勝てるか勝てないかの判断はきちんと付ける必要もあります。どうしても、勝てない相手ってのもいますからねえ。
 モールは倒せて、これでこの辺りのオークは一掃できたわけですが、アンデッドの方はまだまだいます。

ジミー「うわあ、レイスだと?」

エオウィン「こいつ、実体を持たないから、攻撃が通用しない?」

エリスタン「ターニングアンデッド! ……は当然、これほどの強敵には通用しませんね。私もまだまだ未熟です」

メリー「こいつの脅威度は、
と聞いているよ。パーティーレベル3のぼくたちじゃ、勝てないんじゃない?」

ジミー「撤退だ! 撤退!」

 脅威度という数値は、モンスターマニュアルに載っています。4人パーティーがHPや呪文など完全な状態で、対等に戦える目安レベルなんですが、脅威度5ってことは、5レベルパーティーでないと勝ち目が薄いってことですね。
 ちなみに、スケルトンは脅威度1/3、ゾンビやノーマルオークで1/2。すなわち、3レベルパーティーだと、スケルトンは9体、ゾンビなどは6体まで一度に相手にできる計算になります。オークリーダーは基本よりも能力が増強されているので、脅威度不明ですが、グールは脅威度1で、ガストは脅威度2。
 これらのデータを考え合わせても、レイスがいかに強敵か、分かると思います。
 もっとも、我々のパーティーはマジックアイテムでかなり増強されていますから、通常の3レベルパーティーよりも強力だと思うんですけどね。 それでも、勝つ見込みが薄い相手との戦いは後回しにして、勝てる相手を求めて、ダンジョンをさまよい歩きます。すると……。

エオウィン「キャッ、物陰から急に黒い腕が伸びてきて、私に触ろうとした!?」

メリー「
ジミー、いきなり何をするんだ!」

ジミー「ちょっと待て。オレか? オレなのか?」

メリー「
、と言えば、君じゃないか。おまけにレンジャーでもあるから、隠れ身もこなせる」

エリスタン「
エオウィン嬢に対する日頃の言動から推察して、動機もばっちりですからね」

ジミー「それは誤解だ。オレは、そんな陰からコソコソ触るような痴漢行為はしないぞ。やるなら、正面から堂々とだな……」

エオウィン「
ジ〜ミ〜ー〜ッ(背景にゴゴゴゴゴ、という効果音)」

ジミー「うわ、その剣は、オレじゃなく、奴に向けろ。犯人は、そこにいるぞ」

 
指差した先には、黒い影のようなアンデッドが立っています。実体を見せず忍び寄る黒い影、その名は科学忍者隊……ではなく、影の魔人だ、カゲス……でもなく、シャドーと呼ばれる化け物だったりします。

ジミー「貴様! 貴様が黒いおかげで、このオレにあらぬ疑いがかかったじゃないか! この怒りをくらえ、マジックミサイル! (命中、有効打)」

エリスタン「
パラダインとトームの御名にかけて、受けなさい(クラブで殴るが、実体がないため、命中しない)」

メリー「
どうやら、こいつも物理攻撃が効かないらしいよ」

エオウィン「こっちに来ないで。(
ハンマーを振り回すが当たらない) キャッ、よくも!(触られて、怒りを示そうとするが)……どうして? 力、が、抜・け・て・い・く……」

ジミー「やばいぞ! こいつは力を吸収する能力があるんだ。さっさと決着をつけてやる! 行け、
マジックミサイル! (命中、有効打)」


エリスタン「ターニングアンデッド! ……は、やはり効きません」

メリー「
エオウィンを離せ、こいつ! (ダガーで切りかかる、とダメージを与えた) 刃物だと通用するみたいだよ」

エオウィン「ハア、ハア、それなら……(
剣に持ち替えて攻撃。有効打を与える)」

ジミー「魔法は問題なく、有効だな。 
マジックミサイル、3発目! (命中、有効打)」

エオウィン「……もう、いつまで触ってんのよ!(
剣での攻撃がクリティカル! シャドーにとどめを刺す)」

 こうして、物理攻撃が通用しにくい難敵シャドーを撃退した一行でした。
 改めて、モンスターマニュアルを確認すると、脅威度は3。今のパーティーで対等な相手でした。
 戦った当初は、物理攻撃の通用しない相手に、どう戦えばいいか、よく分かりませんでしたが(ジミーマジックミサイルだけだと、手間が掛かりすぎる)、よくよく読んでみると、「50%の確率で物理攻撃を無効にする」といった内容の記述がありました。プレイ中は、武器の種別に問題があるのかな、と考えたりもしたんですが、刃物での攻撃が有効なのは偶然だったようです。要するに、「オーラバトラーの分身や、ゲッタービジョンみたいな防御機能」なんですね。よって、当たるときは半分の確率で当たる、と。スパロボと違って、「必中コマンド」や「戦闘ターンごとのリセット技」は使えないので、無効化されるのを覚悟の上で殴ってみるしかないんですが。
 なお、NOVAの知っていた第2版のルールでは、レイスやシャドーのような上級アンデッドは、「銀もしくは魔法の武器以外の攻撃を無効化する能力」は持っていたけど、本作ではすでに全員、魔法の武器は装備していましたからね。どうして攻撃が効かないのか、分かるまでが「???」状態でした。「50%の確率で物理攻撃を無効にする」は、第3版からのルールで、それは魔法の武器でも同じ扱いみたいです。 ひとまず、倒す方法が分かって、少し安心。

 しかし、シャドーの脅威は、戦闘後も続きます。

エオウィン「……ダメ、休ませて。体が重くて、歩けない」

ジミー「奴は、筋力を吸収するからな。防具を脱いでみろ」

エオウィン「何、言っているのよ。このスケベ!」

ジミー「あのな、オレは奴に触れられた跡を確かめようと……」

エオウィン「応急手当なら、
エリスタンにしてもらうわ」

メリー(
ジミーって、とことん信用ないんだな)

エリスタン「(
エオウィンの体を確かめつつ)触れられた跡が、黒いあざのようになっていますね」

エオウィン「そこが冷たくて、気分が悪いのよ」

ジミー「(律儀に顔をそむけたまま)当然だ。奴に筋力を吸収され尽くすと、実体を失い、影のような存在となるそうだからな。それは、ただ、死ぬだけよりも恐ろしい運命だ」

エリスタン「
残念ながら、今の私にはこの傷を癒すことはできません」

メリー「ここに
アラゴルンがいれば、『王の癒しの手』で治療してもらえそうなんだけどな」

ジミー「オレは
レンジャーだが、アラゴルンのように高レベルじゃないからな。失った筋力は、徐々に時間を掛けて、回復させるしかないだろう」

 ……ということで、安全なところで何度も休息をとりながら、エオウィンの筋力を回復させることにしました(1度の休息で、STR(筋力度)1が回復)。
 後から分かったんですが、すでに入手していた「リストレイションのポーション」を飲めば、すぐに回復できたみたいです。

 ともあれ、回復後。

ジミー「これで、シャドーの倒し方は分かった。うまくやれば、レイスも倒せるかもしれない」

メリー「(心底イヤそうに)ええ〜? また、リスクの大きい賭けに挑むの? さっき、
エオウィンがあんな目にあったばかりじゃないか」

ジミー「(チッチッチッと指を振りながら)
メリー、それは違うぞ。実時間では、さっきのことかもしれないが、ゲーム内時間では何度も休息をとった後だから、すでに何日も過ぎているんだ。つまり、忠実にロールプレイするなら、『何日も前に、エオウィンがあんな目にあった』が正解だ」

エリスタン「
明らかに、論点をずらしていますね」

メリー「とにかく、ぼくは反対だ。脅威度5の敵に、3レベルパーティーで挑むのは危険すぎる」

ジミー「武器攻撃は通用しにくくても、オレの魔法なら有効だ。やって、やれないことはないはずだと思うが」

エオウィン「あなたの魔法は通用しても、それだけだったら、前で戦う者が保たないのよ。せめて、魔法使いがもう一人いればいいのだけど」

エリスタン「今の我々だけでは、戦力不足……ということですね
(つづく)

 

●2005年4月20日(水)傷の魔術師と、石の魔術師(1階・中心階層その4)

 強敵アンデッドとの遭遇を経て、戦力不足を実感したパーティー。
 ひとまず、レイスとの戦いは避け、まだ回っていない場所の探索を続けます。やたらと広い1フロアも、そろそろ大詰めが近く、時々「下に降りる階段」も見つかりますが……。

ジミー「うわ、ここにもレイス?  撤退、撤退!」

 試しに降りた階段の先では、強敵が待ち構えていたりするのでした。さらに引き返して、探索を進めた『中心階層』でも……

傷の魔術師「愚かな冒険者ども。この先には進ませんぞ!」

 アンデッド群団を従えた謎の魔術師が、行く手に立ち塞がります。いざ、立ち向かおうとしたところ、

傷の魔術師「バカめ。自分の無力さを思い知れ! ファイヤーボール!」

ジミー「うわ、アチチ! 撤退、撤退!」


 どうにもこうにも、手詰まり感が強く押し寄せてくるのでした。

ジミー「う〜ん、これ以上、探索を続けるには、レイスを倒すか、傷の魔術師を倒すかしないといけないような気がしてきたぞ」

エオウィン「
傷の魔術師の方は、クエスト絡みなのよね。レイスは別に倒す必要性があるわけじゃない」

ジミー「いや、必要性がないわけじゃないぞ。下の階層に行けば、確実に
レイスと遭遇するのだから、避けてばかりもいられない」

メリー「倒しやすいのは、
傷の魔術師と思う。しょせんは魔術師なんだから、ファイヤーボールを撃たれる前に、張り付いてしまえば、無力化できる」

ジミー「そうだろうな。ま、もう少し、回れるところを回ってみよう」

 すると、ある部屋で……

石に封じられた男「お前さんがた、わしを助けてくれへんか?」

ジミー「何だ、お前?」

石に封じられた男「わしは、ジャリアルっていうねん。こう見えても、熟練の魔術師や」


メリー「熟練の魔術師ねえ。そんな人が、どうして石の中に、下半身つっこんで動けないでいるの?」

ジャリアル「それはなあ、わしより腕の立つ恋人の女魔術師を怒らせてしもうたんや。おかげで、わしは呪いをかけられて、ずっとこうしておる。このまま動けないぐらいやったら、舌かんで死んでしまおう、思うたんやがな。どうも、この呪いは、不死の作用もあるみたいで、ちっとも死ねん。あるとき、ここにオークの群れが来たんで、わしは殺してくれって頼んだんや。連中は喜んで、わしを攻撃したが、そのうち疲れ果てて、帰って行きおった。今では、ここのオークどもは、みんな、わしのことを無視しておる。攻撃しても、痛みも感じず、悲鳴もあげないのを見て、不気味に思うておるんやろな」


エオウィン「
……魔術師って、こんなに喋る人ばっかりなの?」

メリー「……さあ。少なくとも、ガンダルフは、喋り始めると、ずっと喋るけど、大事な話になると黙りこくって、沈黙を守り通す人だったな」

エリスタン「私の知っている
赤ローブの魔術師は、あまり喋る人ではなかったと思います。いつも咳こんでいて、シューシューいう声で、辛らつに要点だけ口にする人でした。むしろ、双子の兄の戦士の方が、陽気に喋っていましたね」

ジミー「(不機嫌になりながら)おい、
ジャリアルとやら。説明してくれるのはいいが、どうでもいい話で脱線するのは控えてくれないか? せめて、会話にしてくれ。一人で延々と話されると、聞いている方としては、飽きてイライラしてくる」

ジャリアル「おお、これはこれは、すまんかったな。人と会ったのが久しゅうなかったんで、ついつい、舌が回ってしもうたんや。堪忍のう。で、お前さんがた、何とか、わしを助け出してくれへんか? 助けてくれたら、わしの魔術師の力を貸してやってもかまわんよ。こう見えても、有能やさかい、お役に立ちまっせ」


ジミー「有能な魔術師は、すでに一人いるが、今の時代は
魔法使いがチームを組むのが流行しているからな。お前が『紫の魔法使いマジパープル』を名乗るなら、助けてやろう」

ジャリアル「……いや、わし、
レンジャーちゃうし。さすがに『魔法戦隊』の一員にはなれそうにないわ」

ジミー「む、貴様。長年、石の中に閉じ込められていながら、
『魔法戦隊』というキーワードを知っているとは、なかなかやるな。その情報、どこで仕入れた?」

ジャリアル「ま、わしも、熟達の魔術師やから、外の世界の動きなんか、いろいろ予測も経ちますねん。今年辺り、そういう流行が来るんやないかなあ、と思うてたんや。何なら、来年の予想も教えたりまひょか?」

ジミー「おお、それはすごく気になるぞ。ぜひ、頼む」

ジャリアル「それには、ここから助け出してくれるのが条件やな」

ジミー「仕方ない。
エリスタン、任せたぞ」

エリスタン「どうして私が?」

ジミー「
東方カラ=トゥアの伝承によるとだな、古来、石とか山とかに閉じ込められた者を助け出すのは、僧侶の役割だそうだ」

ジャリアル「その話は、わしも知ってまっせ。でも、一つだけ断っておくと、わしはサルやおまへんからな」


エリスタン「……しかし、一体、どうやって助け出すんですか?」

ジミー「お経でも、神への祈りの言葉でも、何でもいいから唱えて、下の石を棍棒で叩いてみるんだな。お前さんの信仰が本当なら、神が祈りを聞き届けてくれるだろう」

エリスタン「何だか、すごく適当なことを言っているような気がするんですが……試してみます。パラダインとトームの御名にかけて、ハッ!(
石を棍棒で叩くと、石が砕け散る)」

ジャリアル「おお、奇跡や。久方ぶりに自由の身になれたわ。これは、あんたの神、ええと
パラダイントームに感謝せんとあかんなあ」

エリスタン「(感涙にむせび泣きながら)
パラダインよ、私の祈りを聞き入れてくださったのですね」
 

 ということで、5人目の仲間「マジパープルこと魔法使いジャリアル」を仲間にすることができました。しかし、来年の予想は、是非NOVAも聞きたいぞ。こっそり教えてくれないか、ジャリアル? 

 閑話休題。ここのセリフは、相当脚色が入っているのは明らかですが、ゲーム内では、ジャリアルが「謎解きの言葉」を教えてくれます。そのヒントに従った行動を行えば、ジャリアルは解放されるわけですが、その行動とは「魔法の指輪を身につけたキャラクターが、石を攻撃する」です。よって、「プロテクションのリングを身につけたエリスタンの一撃で解放された」というわけです。

ジミー「で、散々、熟練とか有能とか熟達とか言っていたわけだが、実際はどのくらい強いんだ?」

ジャリアル「それがなあ、しばらく石の中だったんで、
体もなまっているし、使わなかった知識もだいぶ忘れているさかい、昔のカンを取り戻すまで、レベル3ソーサラーってことにしといてくれへんか」

ジミー「結局、それかよ。ま、オレより1レベル上の魔法使いか。妥当と言えば、妥当だな。しかし……」

ジャリアル「ん?」

ジミー「あくまで、このパーティーのリーダーにして、主人公はオレだからな。あんたは、ただのお助けNPCで、メインキャラとして出しゃばってくるのは許さん」

エオウィン「(横で聞きながら、ため息をつきつつ)お喋りな魔術師が二人もそろって、先が思いやられるわ」

●ジャリアル:レベル3ソーサラー。トゥルーニュートラル。HP13。

 ともあれ、戦力が増えたことで、勇んで傷の魔術師に挑もうとする一行です。そして……

ジャリアル「あかん、あかん。相手はファイヤーボールを使う魔術師やろ? そんな奴に真正面から挑むのは自殺行為や。ここは亀の甲より年の功ってやつで、わしに任せてくれへんか?」

ジミー「一体、何をしようというんだ?」

ジャリアル「ま、黙ってみててみ。(
部屋の扉をコンコンとノックしてから)こんばんわ、失礼します」

傷の魔術師「ん、誰だ?」


ジャリアル「おやおや、部屋、間違えたみたいですわ。こりゃ、また、失礼しました〜〜(
扉をガチャっと閉める)」

傷の魔術師「おい、貴様! ふざけるな!(
部屋の奥からノコノコ歩いてきて、扉のところまでやってくる。配下のアンデッドは動かず待機したまま)」

ジャリアル「今や。
バカな魔術師が誘い出されてきよったで」

ジミー「おお、見事な作戦だ」

エオウィン「(扉を開けて)覚悟!」

 
こうして、誘い出された魔術師をたちまち一斉攻撃で葬り去ったパーティーです。その後は、残ったアンデッドを殲滅させるだけ。大した苦労もなく、勝利することができました。
 なお、キャラセリフでは「扉を開けて、すぐ閉めて、魔術師だけ誘い出し作戦」は、
ジャリアルが考案した物ですが、実際のゲームでは、NOVA自身が行ったもので……結果的に、ジャリアルがいなくても、勝つことはできたなあ、と思いますが、そこはそれ、ストーリーの流れってやつで。

 最後に(日曜日のプレイは、大体ここまでなんですが)、傷の魔術師の持っていた手紙から、彼が『拝龍教団』(ドラゴン・カルト)と呼ばれる悪の秘密結社に所属していることが判明します。
 また、魔術師の部屋の先には、二つの道が通じていました。
 「上に行く階段」「下に行く階段」が。(つづく)

 

●2005年5月4日(水)・地下にて一旦、挫折(地下1階・深き階層その1)

ジミー「よし、プレイヤー氏よ。アイスウィンドを終わらせたな。このまま一気に、ミスドラも終わらせて、オレたちの冒険談を完成させるんだ!

NOVA「あのな。無茶言うなよ。アイスウィンドを終わらせるのに、1年半かかったんだ。その前のバルダーズゲートは、2年だよ。この計算で行くなら、君たちの冒険が終了するのは、2006〜07年になるだろう」

ジミー「遅い! どうして、そんなに時間が掛かるんだ! 気合が入ってないぞ!」

NOVA「……お前、そんなに体育会系のキャラだっけ? 
まあいい。こちらも2004年は引っ越しとかでバタバタしていたからな。実質のプレイ時間はそれほどでなくても、じっくり腰を据えてゲームができる状況じゃなかったことだけは、分かってくれ」

ジミー「ええい。じっくり腰を据えてゲームだなんて、まどろっこしいことを言ってるな! 寝ながらゲームする! 食べながらゲームする! 仕事をしながらゲームする! これこそ、ゲームに情熱を燃やす男の姿だ!」

NOVA「……さすがに、そんな男にはなりたくないなあ(苦笑)。しかし、今の
ジミーはどう考えてもおかしいぞ。何か、変な物でも食ったんじゃないか」

ジャリアル「まあまあ、
NOVAはん。この人、先ほど、ヒーリングのポーションと間違って、ヘイスト(加速)のポーションを飲みはったんや。それで、どうにもこうにもイライラしておる。ほらほら、ジミーはん、こっちに戻ってきなはれ。リーダーのあんたがそんなところで、プレイヤー氏を問い詰めてはったら、いつまでたっても冒険は先に進みまへんで。リーダーが冒険を遅らせて、どうするんや?」

ジミー「うむ、そうか。よし、冒険がオレを呼んでいる! ウォォォォーーー」

NOVA「何だか、ブルーノーが乗り移ったみたいだな。……それはともかく、
ジャリアル、君が仲間に入ってくれて助かる。しっかり、猪突猛進なリーダーをサポートしてあげて欲しい。考えてみれば、以前のメンバー構成じゃ、暴走するジミーの抑え役がいなかったからなあ。メリーじゃいまいち、抑え切れていなかったし」

ジャリアル「まあ、わしに任せとき。こう見えても、熟達の魔術師やからな
(言いつつ、ダンジョンに戻っていく)

NOVA「あいつも、何だか根拠のない自信過剰っぷりが、クァイルを見てる感じで、いまいち不安なんだけどな。ま、アイスウィンドも無事に終わったことだし、何とかなるか」


 
ということで、北方の地から、ミスドラノーアの廃墟に戻ってきたのでした。いや、また、いずれ、南の砂漠のアムンとか、北方の続編とか、ロボット戦争の世界とか、いろいろ気ままに飛び回るつもりですけどね。

エオウィン「さて、リーダー。一応、認めてあげるわ。その代わり、決めてちょうだい。上の階段と、下の階段のどちらに向かうの?」

ジミー「おお、とうとうオレがリーダーだって認めたか」

エオウィン「本当は、誰がリーダーかなんて、どうでもいいんだけどね。こだわってるの、あんただけだし。ま、あんたをリーダーにして、何か問題が生じたら、全て、あんたのせいにしておけば、みんな納得するってこと」

ジミー「う、それは責任重大だな」

メリー「今さら、何を言ってるんだか。頼んだよ、リーダー」

ジミー「よし、分かった。即断・即決・即実行! これがオレのリーダースタイルだ」

メリー「猪突猛進とも言うけどね」


エリスタン「さすがは、魔法使いなのに、いきなりオークに殴りかかっただけはありますね」

ジャリアル「そりゃ、また、無茶なことを」

ジミー「ええい、うるさい。とにかく下だ、下に行くぞ。これは、オレの回転の速い頭脳がたちどころに導き出した結論であって、決して猪突猛進ではない!」

エリスタン「それなら当然、結論を出すにあたっての根拠があるわけですね。優秀なリーダーに従う者としては、その思考の過程を是非、聞かせて欲しいわけですが」

ジミー「思考の過程ねえ。オレには当然のことだと思うのだが、まあいい、説明してやろう。我々はすでに下に降りる階段をいくつか見つけている。 そこから行ける範囲はせまく、あまりよく探索できなかったが、下は比較的、既知の世界と言えよう。それに引き換え、上の階にはまだ一度も足を踏み入れていない。すなわち未知の世界だ。既知の世界と、未知の世界のどちらがより安全かは、言うまでもあるまい」

エオウィン「……一応、しっかり考えているわけね」

ジミー「当たり前だ。さあ、下に行くぞ」

 というわけで、下に降りてみたわけですが、

ジミー「うわ、レイス2体だと?  全員、全力で迎え撃て!」

ジャリアル「ほれ、マジックミサイル2連発!」

ジミー「おお、さすがは
3レベルソーサラー。オレなんか、まだ1発しか撃てないのに」

エオウィン「あんたが、
レンジャーをレベルアップさせたからでしょう」

ジミー「あの時は、それがベストの選択だと考えられたからだよ」

メリー「しゃべってないと、戦ってくれよ〜。さすがに、
レイス2体はキツい」

エリスタン「ターニングアンデッド! ……は、やはり効きません」

ジャリアル「ここにも、マルチクラスの弊害が表れてますなあ。ま、お助けキャラのわしに任せとき。
マジックミサイル2連発!

 こうして、ジャリアルを仲間に入れた結果、魔法火力が単純計算3倍になったおかげで、何とか強敵レイス2体も撃退できたわけですが、探索の厳しさを実感した一行でした。

 そして……

ジミー「オローグだと? 確か、アイスウィンドでは、『オーグ』と訳されていたせいで、ゲームオリジナルのモンスターと誤解されていた連中だな」

 
……その通りです。「オークとオーガの混血」オローグは、AD&Dの『モンスターマニュアル』にも載っている由緒正しい種族なんですが、アイスウィンドの攻略本を買うまで、『オーグ』=オローグとは気づきませんでした。そもそも、何で「Orog」をオーグと訳してしまえるんだ? 
 ともあれ、オローグの強さは、通常のオークの3倍ほどです(オークが1レベルモンスターに対し、オローグは3レベル)。じっさいに戦ってみても、うまく行きません。まあ、アイスウィンドでは、7〜8レベルの時に遭遇した相手ですから、ただのザコ同然でしたが。

メリー「くらえ! 氷のやいば〜〜〜(小剣から吹雪が放たれる)

ジミー「おや、そこの
オローグ君。ぼくと友達にならないかね
(と言いつつ、魅了の杖を振るう)

 
このように
マジックアイテムを何とか駆使して、生き延びた感じ。

ジミー「はあはあ、こんな消費アイテムに頼った戦い方は、ただの消耗戦で効率が悪すぎる」

エリスタン「それでも、経験値は稼げて、1レベル分はアップしましたね」

ジミー「ああ、オレは
魅了(チャーム)の呪文を使えるようになって、
エリスタン、君は呪縛(ホールド)の呪文を使えるようになった。これらを駆使すれば、何とか勝てるかもしれない。しかし……」

ジャリアル「しかし?」

ジミー「連中のAC26って数字は何だよ? うちの戦士でも、ACは23しかないというのに」

エオウィン「かなり高い数字よね」

ジミー「どれぐらい高いか分かるか? うちの戦士の現在の近接攻撃ボーナスは+10だから、20面ダイスで16以上を出さないと当たらないんだよ。つまり、25%だ。戦士の命中率が25%って世界は、異常すぎる」

メリー「つまり、敵が強すぎる、と」

ジミー「もちろん、魔法でしっかり支援すれば、何とか対等に戦えるだろう。しかし、ザコ戦でこんなに苦戦するような場所に、オレたちは来てはいけなかったんだ」


エオウィン「下に行くって決めたのは誰かしら?」

ジミー「ああ、コホン……これにて偵察潜行終わり。我が隊は至急、現地を撤退し、上の階への探索を開始する」

 
こうして、地下の
「深き階層」の探索を一度切り上げ、2階の「石の階層」に向かうことにした一行でした。(つづく)

レベル4パーティーの能力紹介

●エオウィン: レベル4ファイター。HP30。

  武器:ウォーハンマー+2
  防御力:AC23
  新フィート:
鉄の意志
  近接攻撃+10、遠隔攻撃+5、
  反応ST8、肉体ST9、意志ST6

・コメント
 レベルが上がって、HPが上昇。命中率も微妙に上がっていますが、オローグの集団と戦うには、まだまだ経験不足と感じます。 

●ジミー・ザ・ブラック:レベル3ソーサラー/レベル1レンジャー。HP19。

  武器:ロングボウ+2、クラブ+4
  防御力:AC18
  近接攻撃+6、遠隔攻撃+4、
  反応ST4、肉体ST5、意志ST5

・コメント
 ソーサラーレベルを上げ続けると、HPがやはり伸びませんね。
 でも、マジックミサイルが2連射できるようになったのと、新しく魅了の呪文を使えるようになったおかげで、支援攻撃力が高まりました。

●メリー: レベル5ローグ。HP30。

  武器:スリング+2、ショートソード+2
  防御力:AC20
  近接攻撃+6、遠隔攻撃+9、
  反応ST10、肉体ST6、意志ST3
 
・コメント
 ローグは、鍵開けや罠外しで経験点が稼げるので、必然的にレベルアップが早くなります。
 育ち方としては、一番理想的に思えます。

●エリスタン: レベル3クレリック/レベル1ファイター。HP22。

  武器:クラブ+3
  防御力:AC23
  近接攻撃+9、遠隔攻撃+4、
  反応ST5、肉体ST10、意志ST10
  
・コメント
 今回、レベルアップしても、HPがあまり伸びなかったので、やはり前線に出すことに不安を覚えるようになった次第。
 それでも、クレリックレベルが上がったことで、僧侶呪文やターニングアンデッドの能力が向上したことは、まちがいない事実。対アンデッド戦の要にはなりつつあるので、応援したいです。がんばれ、
エリスタン

●ジャリアル:レベル3ソーサラー。HP13。

  武器:スリング+2、ダガー+3
  防御力:AC21
  近接攻撃+1、遠隔攻撃+4、
  反応ST4、肉体ST3、意志ST2
  
・コメント
 パーティーの助っ人ソーサラーは、打たれ弱いのが欠点。迷宮で見つけた「魔術師用の楯」や「鎧」は、ジミーの代わりに、彼に着てもらうことになりました。
 専業ソーサラーとしての成長を期待しています。

 

●2005年5月6日(金)・6番目の仲間(2階・石の階層その1)

 最初に、表記の問題について。
 前回、オローグと記した「Orog」ですが、日本語版ミス・ドラでは、オーロッグとなっていました。
 だけど、NOVAは、第2版AD&Dのときから、ずっとオローグと呼んでいますんで、この記事ではそういう表記に統一したいと思います。
 こういうのは、外国語を日本語表記するときにはしばしばあることなので(ケンタウロスと言ってみたり、セントールと言ってみたり)、気にし出すとキリがありませんなあ(オフィシャルで、攻略本を書く立場ですと、気にしないといけませんがね)。

 で、地下での探索を挫折して、2階の「石の階層」に向かったパーティーですが、

ジミー「挫折じゃない! 一時先送りにしただけだ」

 はいはい。言いたいことは分かるから、話を先に進めようね。

ジミー「よし、いいか、みんな。我が隊はこれより、2階を探索する。この階の探索の目的は、戦いを通じて力をつけ、しかる後に、地下での雪辱を晴らすことである。合言葉は
『心身ともに鍛えてます』だ。以上、訓示終わり」

エオウィン「何だか、軍隊的な考え方に染まってきているわね。少々、暑苦しい気もしないでもないけど」

ジャリアル「いやあ、この人、ときどき、判断ミスとかしはりますけど、責任感だけは本物ですから」

ジミー「そこ! 責任感だけ……とはどういうことだ!」

ジャリアル「あ、これは、うっかり失言ですわ。責任感も本物……他にも、美徳はいちいち挙げていられないほど、たくさんある、と言い直しておきますわ」

ジミー「うむ。分かればよろしい」

メリー「
ジミーって、トゥルーニュートラル(バランス型)な性格だよね。何だか、今のを見ているとローフル(規制で人を縛る)みたいだ」


エリスタン「私はそれで、かまわないと思うんですが。全体の意思統一ができて、良い方向に向かっているなら、それを否定することもないでしょう」

ジミー「ああ。本来、オレはバランス型の人間だし、民主主義的なリーダー像を望むわけだが、ダンジョン探索という当面の目的を果たすためには、パーティーがバラバラではいけないとも考える。そのために、まとめ役がいるのは必然だろう。そして、このパーティーでまとめ役にふさわしいのが誰かを考えれば、当然、
知性と魅力、そして行動力にあふれて、責任感も強いオレという結論になる

エオウィン「自分のことを、ここまで持ち上げられる傲慢さも、人一倍ね」

ジミー「もちろん、オレの裁量に不満を持つ者もいるかもしれない。そのために、説明責任はしっかりしているつもりだ」

ジャリアル「はいはい。口うるさいぐらいに、しっかり説明してはりますなあ。でも、それだけだと話が先に進めないので、時にはほどほどに控えるのも、
ニュートラルらしさってもんですねん。とっとと、鍛えに行きましょう」

 ふう、ジミーに自由にしゃべらせると、自己主張が強すぎるので、本当に話が先に進みません。
 以前は、こういうのを「脱線する」と気軽に言っていた(書いていた)わけですが、事故の悲劇に直面すると、言葉を自粛したい思いにも駆られるわけで……「寄り道」とか「横道にそれる」とか「話が広がる」とか、言い回しを検討中のNOVAだったりします。

 閑話休題。
 「石の階層」
の探索は、比較的順調に進みます。
 当初は、アンデッドとの遭遇が多かったのですが、
エリスタンがクレリック3レベルになって、ターニングアンデッドの成功率が上昇したことから、問題なく対処できるようになりました。
 また、ジミーがソーサラー3レベルになったのも大きい。マジックミサイル2連射ができるようになったので、ジャリアルの分も含めると、1ターンでマジックミサイル4連射が行えます。以前、ジミーが1人でマジックミサイル1発をちまちま撃っていたときと比べると、4倍の火力は純粋に心強いです(ACの高い敵に対しては、物理攻撃がうまく当たりませんから、魔法攻撃が欠かせない)。

 探索を進めると、問題のオローグも登場してきます。
 ただ、地下ではAC26のオローグ・ガード(守護役)が複数登場してきたのに比べ、2階では能力の低いザコオローグが中心で、ガードがボスキャラ扱い。それを、うまくジミー魅了したり、エリスタン呪縛したりすれば、こちらのペースで戦えます。BGアイスウィンドのときは、パーティーメンバーがそれらの呪文を覚えなかったり、割と力押しで解決できたりしたので、あまり使用頻度は高くなかったわけですが、テーブルトークではポピュラーな呪文だったりもするので、改めて、それらを駆使しての戦術を楽しんでおります。
 でも、まあ、それらのちまちました戦術でも対処できないぐらい、一気に敵が押し寄せてきたときには……

ジミー「ふ・ぶ・き・の・つ・え〜!(ゴーッと『コーン・オブ・コールド』の魔法が放たれ、敵を一気に殲滅)

 序盤から割と強力なマジックアイテムが入手できる、このゲーム。
 敵の配置さえ良ければ、集団攻撃魔法で押し切ることも可能です。もちろん、使用回数制限のあるアイテムですから、ここぞという時の切り札なんですがね。それに、一度、乱戦に持ち込まれてしまえば、味方を巻き込んでしまうので、使用できる局面は限られているわけですが、それでも決まれば快感だったりします。

ジミー「うむ。オローグとの戦い方も、大分つかんできた。これなら、地下に降りても、何とかなるかもしれないなあ

メリー「
その前に、2階を探索し尽くしておこうよ。中途半端に残しておくのは、好きでない」

ジミー「それは、プレイヤー氏に言ってくれ。どうも最近、いろいろと中途半端に陥っているからな」

 悪かったな。アイスウィンドはきっちり終わらせたぞ。順番からすれば、次はBG2を終わらせないといけないから、ミス・ドラはその後ってことになる。

ジャリアル「ほらほら。あんさん方、つまらないことを言って、プレイヤー氏がへそを曲げたりすれば、わしらの冒険が放ったらかしにされるで。ああ見えても、いろいろ抱えて、気にしてたりするさかい」

メリー「
ファイズとか、アバレンジャーとかだね。すぐにできないことは、さっさとあきらめたらいいのに」

ジミー「……いや、すぐにできないから、と言って、そこであきらめては挫折につながる。本当にしたいこと、しないといけないことは、できるようになる時期を待って、きっちり片をつける。これが漢の生き方……ってものじゃないか」

ジャリアル「何だか、いいこと言いはりまんなあ。さすがはリーダー」

ジミー「(小声で)いや、この場は、こう言っておかないと、オレたちの冒険も中途半端で投げ出される恐れがあるからな。オレの望みはただ一つ。オレたちの冒険が
ハッピーエンドで完結し、後の世にも語り継がれることだ。そのためには、何だってする。プレイヤー氏に、媚を売ることだってな」

 
……全部、聞こえてるよ。
 ということで、自分の作ったキャラと会話をかわす、変な作者だったりします。まあ、作者としては、自分と会話ができるぐらい育ってくれたキャラは、可愛いわけですが、
ミス・ドラの場合、それが多すぎる気がします。少し控えることを意識して。

エオウィン「それにしても、このパーティーには、おしゃべりな男が多すぎて、ちっとも落ち着いて冒険ができないわ」

エリスタン「あのう、私はあまり、発言していませんが……」

エオウィン「あら、あなたは別よ。でも、私の求める男性は、
寡黙で必要なことしか口にしないけど、自分の役目はきちんと心得て、そして、いざ発言すれば、みんなをまとめ上げる王としての魅力を備えた方なの。ここには、そういう人がいないのが残念でならないわ」

エリスタン「……正直、理想が高すぎる気もしますが、お気持ちは尊重します」

 そんなエオウィンの気持ちに応えてかどうか、一行は、とある部屋で6人目の仲間に遭遇することになります。

傷の魔術師「ふふふ、貴様もとうとう追い詰めたぞ。覚悟を決めるんだな」

戦士エメリック「覚悟なら、とっくにできているさ。だが、私の命は高くつくぞ。かかって来るがいい!」

傷の魔術師「死ね!」

エオウィン「待ちなさい!」

傷の魔術師「む、何だ、貴様ら!」

エオウィン「アンデッドを操る邪悪で汚い魔術師が、たった一人の戦士を傷つけるなんて、非道は見過ごせないの。そこの戦士、助太刀します!」

エメリック「かたじけない、レディ。これぞ天の配剤だ。行くぞ!」

 
こうして、傷の魔術師を撃退し、窮地の戦士を救出した一行ですが……

エメリック「私はエメリック。冒険者アサンと共に、この遺跡を探索していた戦士だ。諸君が、フランから派遣された冒険者の一行で、アサンの遺志を継いでくれると言うなら、目的は同じだ。私も喜んで、この力を貸すとしよう」

エオウィン「あなたの戦士の力量は、今の戦いで拝見させていただきましたわ。私は、あなたの加入を歓迎します。ともに、廃墟に巣食う邪悪を退治いたしましょう」

メリー(あら〜、
ジミーに強力なライバルが登場だ〜)

●エメリック:レベル5ファイター。ニュートラルグッド。HP58。

 心強い6人目の仲間が加入し、勢いづく一行なのでした(ただし、一部、すねている人もいますが)。

ジミー「……オレは、別にすねてなんかいないぞ」

 誰も、「お前がすねている」なんて言っていない。(ともあれ……つづく)

 

●2005年5月7日(土)・アンデッドの門(2階・石の階層その2)

NOVA「う〜ん、6番目のキャラの名前は、エメリックか〜」

メリー「
どうしたんだい、プレイヤーさん」

NOVA「ああ、メリーか。こういうことは君にしか話せないな」

メリー「話を聞くぐらいなら、いつでもOKだよ」

NOVA「うむ。ぼくもプロ作家を目指した者のはしくれとして、『集団活劇物におけるキャラの描き分け』ということには、人一倍、気を使ってるつもりなんだが、今回、問題が生じたんだ」

メリー「キャラの描き分け……ってことなら、うちのパーティーについては問題ないと思うけど」

NOVA「ああ、今回の記事では、その点は特に自信があるんだけどね。ただ、名前に関しては、困っているんだ」

メリー「名前?」

NOVA「そう、名前だ。ぼくに多少とも、小説の作法をアドバイスしてくださった某作家氏によれば、『リプレイだろうと小説だろうと、集団ものの場合、読者に混乱を招かないよう、キャラの名前がかぶらないよう気を使っている』そうだ。具体的には、『同一パーティーで極力、名前の頭文字がかぶらない』ようにしている、と聞いたことがある」

メリー「あっ……」

NOVA「エオウィンエリスタン、この2人はぼくが小説から引っ張ってきたキャラだから、ぼくのせいなんだけど、新しい仲間がエメリックというのは、うかつだった。前衛3人とも、で始まるなんてな〜」

メリー「そういうことなら、
ジミージャリアルもかぶってない?」

NOVA「かぶっているよなあ。だから、こういう話は君にしかできないんだ。君だけが、誰ともかぶっていない。強いて言えば、エメリックの名前の一部と、君の名前がかぶっている、と言えなくもないが」

メリー「
今さら、名前にケチをつけられても困るよ。それに、そんな名前の符合なんて、言わなきゃ誰も気にしないさ。気にしているのは、プレイヤーさんだけだよ」

NOVA「ああ、一応、気にしているってことだけ示しておいた。しかし、それよりももっと気になるのは、ジミーエメリック人間関係だな」

メリー「それについては……ま、何とかなるよ」

NOVA(ハーフリングは、楽観主義で生きているから、話していると心は休まるけど、問題解決の相談には向かない、と)

 ということで、書いているNOVA自身、気にしているパーティーの軋轢ですけど、

ジミー「おい、エメリックとやら。最初に、この点だけははっきりしておきたい。あんたは頑健なファイターで、経験も豊富かもしれないが、このパーティーのリーダーはあくまで、知性と魅力、そして行動力にあふれたオレだからな」

エメリック「すばらしい。私が剣を捧げた
アサンも、まさに知性と魅力、そして行動力に満ちていた。君が、アサンの使命を受け継ぎ、言葉通りの才能を示してくれるなら、私は喜んで、君の命令に従おう」

ジミー「……
アサンがどれほどの人物かは知らないが、追いつけるように努力しよう」

エメリック「
アサンが果たせなかった使命を、君たちが果たしてくれることを願っているよ。そのために私の剣を役立ててくれ。そして、もう一つ」

ジミー「何だ?」

エメリック「私は一人の男として、そして一人の戦士として、
エオウィン嬢一人を前線に立たせるような今の状況は、見かねておけない。私の剣は、エオウィン嬢を守るために使うことも、改めて誓っておく」

ジミー「……分かった。彼女のエスコート役は、戦士のあんたに任せる。オレは、リーダーとして、パーティー全体のことに専念しよう」

 話はまとまったと思いますが、ジミーの気持ちを察すると何となく……。

 それでも、新たな仲間エメリックの強さもあって、「石の階層」の探索はさらに順調に進みます。
 登場する敵のヴァリエーションに、新たに
リザードフォーク(トカゲ人)が加わったものの、オローグほどの強さはなく(データによれば脅威度1で、グール並み)、比較的、楽にあしらえます。
 なお、目下のところ判明した敵情によると、このダンジョンでは、
オークおよびオローグリザードフォーク、そしてアンデッドの3勢力が争いあっており、時には、2勢力が衝突している現場に遭遇したりします。そこに、アンデッドを操っている傷の魔術師(拝龍教団)の姿が、見え隠れしている、と。

 そして、探索の末に、とうとう「アンデッドを次々と生み出している次元門」を発見します。

ジミー「よし。この門を封じれば、アンデッドの発生を抑えることができるんだな」

メリー「でも、門を守っている護衛のスケルトンナイトとか、ゾンビがいっぱいいるよ」

ジミー「ひるむな。
エリスタン、ターニングアンデッドだ!」

エリスタン「
パラダインとトームの御名にかけて、ハッ!」

ジャリアル「おお、さすがは
エリスタンはんや。わしを石の中から助け出してくれただけある。アンデッドどもがひるんでおるで」

ジミー「次。前衛、突撃!」

エオウィン「あんたに言われなくても!」

エメリック「レディ、お待ちください。ここは私が先陣を」

エオウィン「……共に戦いましょう。気高き勇者どの」

ジミー「……」

ジャリアル「リーダー、あんたも辛い立場やな」

ジミー「ええい、うるさい。お前も、しゃべっている暇があったら、呪文で援護しろ!」

ジャリアル「はいな。そういうあんたもな」

 
こうして、ジミージャリアルメリーの呪文や飛び道具を駆使した後方支援を受けながら、エオウィンエメリック、一歩遅れてエリスタンが突撃を敢行する、6人パーティーならではの万全フォーメーションを駆使し、次元門を守るアンデッド群団を壊滅に追い込みます。
 しかし……。

ジミー「うおお、この
次元門はどうやって閉ざしたらいいんだ?」

ジャリアル「何だか、封印の呪語でもありそうやな」

エリスタン「
パラダインとトームに祈ってみましたが、分かりません」

エメリック「
アサンも、ここを封じる方法をいろいろ検討していたが、答えはまだ見つけていなかった」

ジミー「そういうことは、戦いを始める前に言ってくれ」

エメリック「いや、
知性と魅力、そして行動力に満ちている君のことだから、すでに答えを見つけ出している、と思ったのだ。まだだったのなら、残念だ」

ジミー「……」

メリー「……
ジミーからまた、新しいアンデッドが出てきそうだよ」

ジミー「ええい。悔しいが、今はここでできることはなさそうだ。撤退するぞ」

エオウィン「何だか、撤退ばかりしている気がするわ」

エメリック「このダンジョンは、それだけ困難な場所ということだ。何しろ、私の尊敬する
アサンも、使命を果たせなかったのだからな。その中で、
ジミーはよく考えて行動していると思う。あまり責めないで、やってくれ」

エオウィン「……ええ、あなたがそうおっしゃるのなら」


ジミー「……」

 
ジミーの想いとは裏腹に、急速にエメリックに好意を示すようになったエオウィンだったりします。
 やるせない想いを断ち切るように、探索に情熱を燃やすジミー
。しかし、この階層ではアンデッドの門を封じる呪語を発見することはできませんでした。
 一度、地下の「深き階層」に戻るか、それとも途中でいくつか発見した上への階段を使い、3階に向かうか、新たな選択を迫られたとき、
ジミーはレベルアップを遂げます。そして……

ジミー「よし、決めた。オレは出家する!」(つづく)

【2ページ目へつづく】