スーパーロボット大戦EX
作品解説
(その3・リューネの章)
【その1・システム編はこちら】
【その2・マサキの章はこちら】
【その4・シュウの章はこちら】
●フラッパーガール
「神と悪魔が闘っている。その戦場こそ、人間の心の中だ。 F・M・ドストエフスキー」
DC創設者ビアン・ゾルダーク博士の娘、リューネは、ロンド・ベルとの共闘を終えて、木星に帰る途中、月のグラナダに寄っていた。
その時、召喚システムに巻きこまれ、愛機ヴァルシオーネとともに、地底世界ラ・ギアスの神聖ラングラン王国に連れて来られる。
右も左も分からない彼女と遭遇、状況解説の役を担ったのは、炎の魔装機神グランヴェールのパイロット、ホワン・ヤンロンだった。マサキの知り合いであるヤンロンを信頼したリューネは、シュテドニアス軍との戦いの最中に、ゲッターチームやアムロ、カミーユ、ファらと再会する。
また、新たな仲間として、ヤンロンが助っ人に連れてきた魔装機ジャオームのパイロット、ゲンナジーや、バイストン・ウェルから召喚されたオーラシップおよび、オーラバトラー・バストールのパイロット、ガラリアとも知り合う。
しかし、グレンダイザーのパイロット、デューク・フリードは、シュテドニアス側に客人として招かれており、「このラングラン動乱の正義がどちら側にあるか分からないので、加勢できない」と一度は合流を断る。
だが、そのデュークも、ロンド・ベルの仲間がシュテドニアスの手で捕らえられ、処刑されようとした際、仲間を守るためにリューネに協力するのだった。
こうして、ロンド・ベルの仲間と合流していったリューネたちは、ヤンロンとともに、ラングラン解放のために立ち上がったカークス軍に協力する。
カークス軍、およびフェイル軍の協力により、シュテドニアス軍は撤退、王都奪還は成功するが、復興後のラングラン統治権を巡って、カークスとフェイルは対立する。
自分の正義をリューネたちに説くカークスだったが、リューネは「カークスの目が、力におぼれた野心家の目であり、自分の父親と同じだ」と指摘する。ヤンロンもまた、「カークスの戦いは私闘であり、ラ・ギアス全体の平和を考えなければならない魔装機神パイロットとしては、協力できない」と宣言。
その後、フェイル軍によって敗退したカークスは、邪神の使徒ルオゾールの支援さえ受けるようになり、超魔装機エウリードを発動。父親の暴走を見かねたカークスの子、ザシュフォードは、リューネたちと協力。
ついには、カークス撃退に成功するのだった。
カークスが悪だったわけではない。だが、自分の正義を貫くあまり、野心をともなって暴走させた男の結末は悲しいものだった。
フェイルとカークスは対立し合いながらも、気持ちのどこかで通じ合っていたのかもしれない。二人が共同で準備していた地上人送還システムが、二人の贖罪の気持ちを表していたのかもしれない。
そうして、ラ・ギアス騒乱に巻き込まれたロンド・ベルの仲間たちは、地上に戻っていった。
ただ、リューネだけは、このラ・ギアスという世界に惹かれ、居残ることを決めるのだった。
●めぐりあいルート
リューネの章は、「カークス軍との共闘および彼の野心に終止符を打つ決戦」がメインルートですが、EX特有のISSシステムを利用することで、裏ルートとも言うべき「めぐりあいルート」に向かうことができます。
これは、リューネがマサキと合流、フェイル王子との決戦に参加するルートです。カークスとフェイル、どちらとの決着も見ることができるリューネの立場、これって、ラ・ギアスの世界には所属しない自由人の立場だからこその特典といえましょう。
以下は、その裏ルートへの経路です。
1.まず、シュウの章で、リューネと遭遇したルートを選ぶ。 2.ISSでそのデータを使って、リューネの章をスタート。 3.すると、10話「捕虜救出」の後、シュウと遭遇するシナリオに入る。 そこで、シュウと戦う「とーぜんだろ!」を選ぶ。 (以降、異なる選択をすると、元のルートに戻される) 4.シュウとの戦いの後、「そうだね、どうも気になるんだ」を選ぶと、 次のシナリオは12話「黒い三連星」になる。 5.「黒い三連星」を仲間にすると、マサキの居場所を教えてくれる。 6.その後、ザッシュを仲間にするシナリオが続き、15話が「めぐりあい」となる。 7.「めぐりあい」クリア後、「とぼけるつもり」を選択すると、マサキと喧嘩別れ、 結局、カークスとの決着に向かう。 「あれ……そうだっけ」と自分の勘違いを認めると、マサキと共闘。 フェイル王子との最終決戦に入る。 |
この「めぐりあい」のシナリオは、EXの中でも、もっとも豪華なシナリオというべきでしょう。
風のサイバスター、水のガッデス、地のザムジード、炎のグランヴェールの4大魔装機神が集結する二つのシナリオのうち、最初の一つです。そして、敵は、カークス軍、そして邪神官ルオゾールの操るデモンゴーレム軍団。まさに、一大決戦というべきシナリオです。
ただし、その後は、カークスと決着をつけようとするヤンロンと、フェイルと決着をつけるマサキに分かれる訳ですがね。
リューネがマサキと別れる場合、仲間だったプル&プルツーはジュドーと一緒にいたくて、マサキ軍に行っちゃいます。その代わりのトレード要員として、F91のシーブックと、ビルバインのショウが加わるので、戦力的には問題ありません。
一方、マサキ軍と行動をともにする場合、それまでの仲間とは完全に分かれることになりますが、最終決戦において、カークスとの決着をつけたヤンロンとザッシュ、アムロのνガンダム、ゲッターチーム、グレンダイザーが駆けつけてきます。
いずれにせよ、この豪華な展開を見ずに、EXをやり尽くした、とは言えないでしょう。
●ユニット&キャラクター解説(魔装機編)
主役機のヴァルシオーネは魔装機ではありませんが、同じに扱います。
マサキの章に比べ、数は少ないですが、使える機体がそろっている気がします。
一番、役に立たないと見なされているジャオームでも、遠距離戦で、それなりに戦えますからね。
ゲスト出演のカークスのガルガード、およびラスボスのエウリードもここで紹介しておきます。
なお、表中の話数は、「めぐりあい」ルートに進まなかったものを使用。
番号 (初登場話) |
ロボット名 | ロボットコメント |
パイロット名 | パイロットコメント | |
1 | ヴァルシオーネ | 第1話「地底世界」から使用できる主役メカ。 全話出撃可能。 ビアン博士のヴァルシオンを、 後の作品で、新たな弾数制飛び道具 |
リューネ・ゾルダーク (CV日高奈留美) |
ビアン博士の娘として、前作に引き続き登場。 一気にヒロインの座に駆け上がった。 マサキ、シュウといったラングランゆかりのキャラと ちがって、この世界のことを何も知らない、 純粋にプレイヤーの分身として考えられる主人公。 それだけに、難しい戦況なんかを考えずに、ただ、 パイロットの能力としては、「気合」をかけないと、 |
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グランヴェール | リューネの章、もう一つの主人公機ともいえる 炎の魔装機神。守護精霊は炎のグランバ。 何度か離脱するものの、使いやすいマップ兵器 「メギドフレイム」と、遠距離武器「ハイファミリア」、 強力な必殺技「カロリックスマッシュ」で、 大活躍できます。 ヴァルシオーネに比べて、EN兵器と弾数兵器の バランスが取れているのが魅力。 弾切れの心配なく戦えるもんなあ。 打たれ弱いのが欠点、とよく言われるが、 グランヴェール以外にも打たれ弱いユニットって いるからなあ、Zガンダムとか……。 あまり、気にはならないや。 |
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ホワン・ヤンロン (CV井上和彦) |
リューネの道案内役。中国人の元体育教師にして、 説教好きの故事成語マニア。 生真面目な堅物で、達観した物言いが特徴だが、 クールなだけでなく、熱血な一面も持つ。 自由奔放なリューネを抑える存在として、 彼とのコンビは、非常にバランスが取れていると言える。 パイロットの能力としては、「熱血」がないので、 |
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3 | ジャオーム | 風系低位の「陽炎の精霊ジャノク」を 守護精霊に持つ遠距離砲撃用魔装機。 後の作品において、サイバスターに乗る前の マサキの愛機として脚光を浴びることになるが、 EX初登場時は、地味なゲンナジーの駆る 地味な機体との認識しかなかった。 射程8のリニアレールガンが使えるといえるが、 |
ゲンナジー・I・コズイレフ (CV石塚運昇) |
「熱血」「鉄壁」「必中」「ド根性」。 精神コマンドの傾向性は、兜甲児に非常に似ている ロシア人水泳選手。 第3話「ダンク市の攻防」でヤンロンが連れてきた 助っ人魔装機パイロットだが、地味な存在感。 どうして彼が、風系の魔装機パイロットか、 理解に苦しむ。 どう見ても、大地系のキャラだと思うが。 せっかく派手な感じの精神コマンドも、 愛機とのバランスがあまり取れていないので、 宝の持ち腐れのような気がする。 |
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6 | ガルガード | 炎系低位の「雷の精霊ガルナンサ」を 守護精霊に持つ遠距離砲撃用魔装機。 というか、EX登場の魔装機って、遠距離武器の リニアレールガンが目立つんだよね。 「魔装機神」では違った運用がされているけど。 魔装機の中では比較的強力なユニットで、 ラングランで最後の16番目に作られただけはある。 それだけに、ここだけのゲスト登場なのは惜しい。 |
カークス・ヴァルハレビア (CV玄田哲章) |
「治世の能臣、乱世の奸雄」を自称する カークス軍の将軍。 ラングラン動乱前は、昼行灯と呼ばれていたが、 シュテドニアス侵攻後は、秘めた才覚を発揮し、 対シュテドニアスのレジスタンスを決起。 ラングラン解放の重大な功績を果たす。 しかし、野心の暴走をリューネに見抜かれ、 ヤンロンたちによって、討たれることになる。 ラスボスの彼を唯一動かせるシナリオが、 |
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13 | ガディフォール | 遠距離攻撃に長けた量産型魔装機。 原型機は、シュウの章で味方になるソルガディ。 射程9のリニアレールガンは強力で、 ボスユニットに対しても、運用可能。 |
ザシュフォード・ ヴァルハレビア (CV阪口大助) |
第13話「ゼブ神殿を守れ」あるいは めぐりあいルートの第14話「追撃のザシュフォード」で 合流してくるカークスの息子。 リューネに一目ぼれするが、気が弱いので、 あまり相手にされていないようである。 最も、精神コマンド「熱血」を使った支援役として、 |
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ラスボス | エウリード | 魔装機神以上の性能を誇る超魔装機。 カークス将軍の秘密兵器。 グランヴェールの攻撃力と、 ザムジードの防御力を備えている。 地道に削るなら、射程9の リニアレールガン(弾数6発)を 撃ち尽くさせてから、ということになるが、 それよりも、必殺技を連発して、 一気に決着をつけるべきだろう。 |
●ユニット&キャラクター解説(召喚された者たち編)
地上やバイストンウェルから召喚された機体&パイロットたちです。
MSパイロットは、リューネの章が一番充実しています。このEXでは、ブライトの息子のハサウェイがデビューすると同時に、スパロボ史上、唯一、黒い三連星を仲間にできるシナリオがあります。さすがに、合体攻撃というシステムはまだなかったので、「ジェットストリームアタック」を仕掛けることはできませんが。今後、彼らの参入により、「ジェットストリームアタック」をプレイヤー側から再現できるようになるのを願ってます。
番号 (初登場話) |
ロボット名 | ロボットコメント |
パイロット名 | パイロットコメント | |
2 | ゲッターロボG | リューネの章の主力スーパー ロボットです。 第2話「再会」からずっとお世話に なります。 攻撃力2500の「シャインスパーク」で、 ボスキャラ退治に大活躍です。 この後の作品では、さらなる怪物 「真ゲッター」が登場するので、 ゲッターGが最強と言えた、 最後の作品ですね。 |
流竜馬 神隼人 車弁慶 |
リョウは今回、「熱血」を覚えるのが 中盤以降なので、それまでは、 ベンケイとともに「気合」役です。 回避の高い敵には、「必中」を使うことも。 ハヤトは相変わらず「幸運」「ひらめき」 ベンケイは「気合」&「努力」係。 実にバランスの取れた精神コマンドも、 |
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3 | νガンダム Zガンダム メタス |
第3話「ダンク市の攻防」で登場する 主力MSたち。 νガンダムと言えば、フィンファンネル。 その反面、メカのインフレ状態に押され、 一方、メタスは今作では、 |
アムロ・レイ カミーユ・ビダン ファ・ユイリィ |
アムロは、どの作品でもエースとして 活躍してますが、最初からνガンダムに 乗っている本作では、なおさらです。 「てかげん」で弱いキャラの育成も フォローできるし。 一方、カミーユが辛いんだよなあ。 で、EXでは、カミーユよりもファの方が、 |
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5 | ゴラオン | 第5話「胞子の谷」で、グラン・ガランとの 二択で合流するオーラシップ。 マップ兵器の「オーラノバ砲」が特徴で、 でも、精神コマンドでは、「幸運」や「復活」を 強いて言えば、マップ兵器を持つメカが |
エレ・ハンム | ラウの国の女王様にして、ゴラオンの |
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6 | バストール | リューネの章唯一のオーラバトラー。 (めぐりあいルートを通らない場合) 第6話「サプライズド・アタック」で、 エレ(またはシーラ)の 説得により、仲間に入る。 運動性を上げて、回避力の高い 切り込み役として活用すべし。 |
ガラリア・ニャムヒー | バストールのパイロット。 ショウほどではないが、抜群の回避力を 誇るので、主力として、十分に 切り込んでいけます。 「気合」を覚えないので、 乗機の攻撃力を鍛えるなら 「ハイパー」の付かない「オーラ斬り」を。 |
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戦国魔神 ゴーショーグン |
出入りの激しいスーパーロボット。 次いで、13話「ゼブ神殿を守れ」より、 |
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7 | ギラ・ドーガ ズサ |
第7話「反撃」において、 アムロやカミーユに説得される両機。 パイロットは、ギラ・ドーガがケーラ、 ズサがハサウェイである。 前者は、マサキの章にも登場するので、 ズサのほうは、支援に使おうと思っても、 |
ケーラ・スゥ ハサウェイ・ノア |
どちらかを説得すれば、両方一度に 仲間になります。 二人とも弱いので、すぐに母艦に 避難しましょう。 ケーラを仲間にすると、後のシナリオで そして、最近のスパロボでは、 彼が「クシーガンダム」に乗って |
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8 | ザクV改 ドーベンウルフ |
珍しい「敵側MSの宝庫」EXの中でも、 リューネの章は、レアユニットがいっぱい。 ザクV改は、マシュマー専用機のはず 一方、ケーラが見つけてくる |
フォウ・ムラサメ | いつも不幸な境遇から、 カミーユに助けられるフォウ。 今回は、第8話「ヴォルクルスの影」にて、 「邪神のいけにえ」にされそうになったのを 救われます。 いかにも、EXならではのイベントですねえ。 パイロットとしては、 |
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9 | グレンダイザー | 壁役としては、いまいちモロいゲッターに 代わって、敵の攻撃を防ぎ止めてくれます。 攻撃性能としては…… 元祖EXでは結構強かったんだけど、 CB版では、第3次のデータに 準じているからねえ。 すなわち、マジンガー系が今だに不遇な 時代のデータだからして、多大な期待は しないほうが。 パイロットが「熱血」を覚えないのも、 大きな減点要素。 |
デューク・フリード | 第4話「それぞれの正義」で、 仲間になるのをゴネて、 第9話「テリウス王子」でようやく参入する グレンダイザーパイロット。 他のマジンガー系パイロットが全て マサキのところに行く中で、 唯一、リューネに同行するはぐれ者(苦笑)。 せめて、妹のマリアやひかるさんが スペイザーに乗って合流してくれたら、 もっと強くなれたのに。 彼の本領は、攻撃よりも防御でしょう。 敵の攻撃を受け止めながら、 「根性」で自分を回復。 あるいは「友情」や「愛」で仲間を助けるのだ。 「ただ一言の愛のために、 デューク・フリードは命を燃やす♪」だね。 ドラマ的には、ロドニー将軍との |
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10 | ガンダムmkU キュベレイmkU カプール ハンブラビ ドライセン |
第10話「捕虜救出」で大量加入するMS群。
ガンダムmkUは、エマさんが乗って来るが、 一方、キュベレイmkUは、主力にできます。 その他は、レアユニットですね。 ハンブラビは、移動後の「ビームガン」で、 ドライセンは、ドーベンウルフに次いで、 |
エマ・シーン エルピー・プル プルツー |
実に女性のMSパイロットの多い それはともかく、この3人で使えるのは、 エマさんもプルツーも、 |
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12 (めぐりあい) |
ガイア オルテガ マッシュ (乗機ドライセン) |
EXの目玉の一つ。 数多いスパロボ作品でも、「黒い三連星」を 仲間にできるのは、ここだけです。 (2001年11月現在) シナリオタイトルも「黒い三連星」。 乗機のドライセンは、ドムの血統を継ぐ 優秀ユニット。 それが3機も加入して、自軍にも1機あるから、 「黒い4連星」も結成できるぞ。 誰を参加させるか、少し考えてみよう。 「3連星」の共通精神コマンドは、 さて、個別に見ると、まずリーダーのガイア。 次にオルテガ。 最後にマッシュ。 まあ、原作で不遇の死を遂げた彼らですが、 PS:そう言えば、「赤い三騎士」ってのも |
●「リューネの章」総括
「リューネの章」は、EXにおいて、中級者用に分類されます。
どこが中級者用かといえば、まず、マップ兵器所持機体が少ないことですね。そのため、力技による攻略に頼れず、それぞれのユニット性能を見極めて、有効に活用する必要があります。
補給ユニットであるボスボロットがいませんので、ENや弾薬の無駄使いも避けるべきです。まあ、母艦がありますから、シュウの章ほどシビアに考える必要はないですがね。
そして、単独で敵に突っ込むやり方が、通用しないと言えましょう。ショウのビルバインや、マジンガーの鉄壁必中戦法は、ここではあまり使えません。強いて言えば、乗機の運動性を徹底的に改造したガラリアやアムロなら何とか可能かなあ、って感じです。
もっとも、「リューネの章」には、ゲーム的なツボのあるシナリオが比較的多いです。たとえば、ある場所でゲッターライガーを地中に埋めておけば、敵の地上部隊はそこから先に侵攻できないので、空中から接近してくる敵から仕留めていけば簡単にクリアできる、とか。
さくさく進めて派手な戦いのできる「マサキの章」に比べて、ゲーム的に楽しめるのが「リューネの章」と言えましょう。
ストーリー面では、ラ・ギアスに縁のない自由な立場のリューネが主人公であるため、フリーな視点で善悪の本質を見分け、「ラ・ギアスの別の一面」を探求するストーリーが展開されます。
「マサキの章」では見えなかった「カークス将軍の立場」や、「ヤンロンとサフィーネの密会(笑。こう書くと語弊があるけど、註)」など、単純な善悪だけでラ・ギアスが成り立っているのでないことを示し、世界の奥深さを実感させてくれます。勧善懲悪的なストーリーの多かった「第3次」以前のスパロボに比べ、物語の多重構造化のきっかけを作った、と言えます。
もっとも、リューネのキャラクターは、それほど深刻に考えるわけではなく、「仲間を求めて、時には観光もする自由気ままな旅道中」って感じなんですがね。リューネとヤンロンの関係は、「おてんば王女と、世話役の爺」の変形バージョンと考えられるでしょう。
この「リューネの章」は、スパロボでは珍しく、「任務や使命といった物に縛られない自由な旅」を満喫できます。他の作品では、「ロンド・ベル」のような軍隊組織に所属し、「地球の平和」といった使命感に駆られるわけですが、リューネはまったくの自由人。彼女の行動動機は単に、仲間を助けたいから助け、道案内人のヤンロンに付き合って、カークス軍と関わりあうだけです。
マサキやシュウの場合は、「第2次」からの因縁や、ラ・ギアスとの関わりがどうしても強くなり、それらの設定をなぞるように話が進んでいる感があるのですが、リューネの場合は、本作を通じて性格や設定が初めて細かく紹介された、という経緯がありますので、この章そのものがリューネ個人を描くように作られている、と言っても過言ではないのかもしれません(カークスの野望すら、ビアンとの対比を描くことで、リューネの主張を補強している。ちなみに、リューネの主張とは、「他人を支配するための力だけを求める者は、より強い力に滅ぼされる」)。
この章で見られる、リューネの性格と言えば、「自由気ままで大雑把」な他に、「時代劇ファンであるなどマニアックな面があり、変なツッコミをする」といった物が見られます。後者は、後に「ミオの役どころ」になっていくのですが。
リューネの今後は、「魔装機神」などで見られるように、マサキとの絡みが多くなるでしょうが、「α外伝」でも見られるように、目下、ウェンディとの三角関係が進行中みたいです。やっぱ、その続きが気になるところです。
「シュウの章」へつづく
註:ヤンロンはサフィーネに以前、命を救った貸しがあるので、その返礼として、カークス将軍やフェイル王子に関する情報を提供してもらった。(もどる)