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第3次スーパーロボット大戦
作品解説
(その2・システム&ストーリー編)

【その1・登場ロボット編はこちら】


1.第3次SR大戦(前ページの続きから)

●ゲームシステムの基本形

 スパロボのシステムは、初期から常に発展を続けてきています。ですが、現在あるシステムの基本形は、どこにあるかを考えると、やはり「第3次」と言うべきでしょう。スパロボ・ストーリーの元祖が「第2次」にあるとするならば、システムの雛型は「第3次」にあると考えられます。

 まず、登場ロボットのHPを見ると、「第1次」では2桁、「第2次」では3桁〜4桁で、現在の桁数(標準で4桁、ボス敵や戦艦クラスで万を越す)になったのは、「第3次」からです。「EX」までは、表示されるHPも最大ダメージも「9999」にとどまり、万を越す敵のHPは、削ってみるまで分かりませんでした。マップ兵器以外では、自分の攻撃でどれほどのダメージを与えているかも表示されず、強敵にどれほど自分の攻撃が有効かも分からないので結構ドキドキものでした。削りに削って相手のHPが1万を切ると、ようやくHPも判別し、ホッとさせられます。この感覚は、後の作品からは味わえません。「第4次」以降は大技を使うと、ダメージが軽く1万を越えますから、強敵でもあっさり倒されることがしばしばですからね。

 次に、ロボットとパイロットのデータが分けられ、MSその他のメカが乗り替え可能になったことが挙げられます。前作まではロボットがレベルUPしますが、今作以降はパイロットがレベルUPします。そして、ロボットのHPなどは改造で補うようになったのです。
 
改造という概念ができたのも、この「第3次」からですね。この時点では、HPと装甲、EN(エネルギー)、限界反応だけが改造できました。武器の改造は「EX」から可能になり、また、運動性というデータが導入されたのは「第4次」からです。
 「第3次」の時点では、攻撃力や命中・回避率を上げるには、単純にパイロットのレベルを上げるしかなかったわけです。

 武器の数が多くなり、残弾数や消費EN、必要気力などのデータが増えたのも、この「第3次」からです。前作までにあったのは、命中率と射程、地形適応ぐらい。今作で初めて「補給」の概念ができたわけです。また、必要気力がルール化されたため、いかに必殺技使用のための気力をためるかが、攻略において重要ポイントになります。
 また、
気力は攻撃力や防御力にも直接影響してきますので、「補給」(された側は気力が減少する)のタイミングも考えないといけません。ザコ相手に手当たり次第に強力武器を使っていては、肝心のボス戦でEN不足や残弾不足、気力不足で苦戦することになりかねません。対ザコ用には、多少威力が低くても命中率が高く、消耗の少ない武器を、対ボス用には、大ダメージを与える必殺技を、と使い分ける必要が出てきたのです。
 幸い、元祖「第3次」では、
武器にパイロットの攻撃力を加算しますので、威力の低い武器で大ダメージを与えることが可能です。MSの頭部バルカンやスーパーロボットの低威力武器が一番、有効に使えた作品といえます。「第4次」以降の、武器にパイロットの攻撃力を掛け算するシステムだと、強力な武器だと強く、弱い武器は弱いままですから。
 また、「第2次」と比べて、部隊全体のおおよその反撃命令を設定することができるようになりました。「第2次」では「常に反撃」でしたが、「第3次」になって「防御に専念」したりもできるようになったのです。現在のように、反撃のたびにプレイヤーがマニュアル選択できるようになったのは、「第4次」以降のことです。この「反撃命令を使用武器まで含めて細かく、自由に設定できない点」が、元祖「第3次」の難易度を高めている一因といえるかもしれません。

 いずれにせよ、「第3次」のシステムが元になって、以降はプレイ環境も含めて改良されていったのが、現在までのスパロボのシステムと言えるわけです。

 そして、もう1点。
 シナリオが1本道でなくなり、敵の説得や、マップクリアのターン数、選択肢などによってルート分岐が発生するようになったのも、「第3次」からです。よって、1回のプレイで全てのマップを遊べなくなり、再プレイの楽しみが増えたわけです。
 なお、シナリオ総数についても、「第1次」は13本、「第2次」は26本、「第3次」は62本と確実に増えています。もっとも、クリアまでの最短ルートで34話、最長で44話となっており、選んだルートによって1プレイで遊べるシナリオ総数も変わってきます。これによって影響するのは、最終決戦での味方のレベル、そして最後の隠しマップ「ラグナロク」がプレイできるかどうか(それまでにかかった総ターンが420ターン以内なら良い。ただし、CB版では350ターン以内になっている)、などです。

●「ロンド・ベル」の登場

 さて、次にストーリー面を見ていきましょう。

 スパロボのプレイヤー部隊の名称として、「逆襲のシャア」の「ロンド・ベル」が採用されたのは、「第3次」が最初です。
 「DC戦争」すなわち、「第2次大戦」の英雄
ホワイトベース隊は、地球連邦の独立遊撃部隊「ロンド・ベル」として活動しています。ただし、その武装は大幅に制限されています。初代ガンダムや、スクランダーなしのマジンガーZ、ゲッターに至っては前作の序盤以下のプロトゲッターと、とにかく心もとないこと、この上ない。おまけに、役立たずのGMが3機と、もう、この冷遇ぶりは尋常じゃありません。
 初めて「第3次」をプレイした時は、あまり気になりませんでしたが、システムを統一したCB版の「第2次」の後に、CB版「第3次」をプレイすると、
初期ユニットの貧弱さに涙が出てきます(笑)。

 なお、「第3次」での地球は、現実世界同様の国連(「第2次」時)から、各国が完全に統一された地球連邦になっています。これは、DC戦争で蹂躙された主権国家の威信が喪失し、より力ある組織が求められたためです。結果として、ビアン博士の目的(世界統一)は、達成されたわけです。
 そして、そこへ
ビアン博士の予言どおり、異星人がひそかに侵略してきます。異星人(「第4次」において「インスペクター」と名付けられる)は、地球の兵器を転送装置で掠め取り、自らの戦力として活用します。
 我らが
「ロンド・ベル」は、DC残党の探索の最中、連邦軍の部隊の失踪事件を調査する……そこから、「第3次」の長い物語がスタートするわけです。

 しかし、「ロンド・ベル」の活動は後手に回りました。インスペクターの侵攻は思いの他に早く、事態は地球連邦軍の壊滅にまで至ります。そして、ビアン博士の予言が的中したことを宣伝材料に、ザビ家に率いられたDCが急激に勢力を盛り返します。
 連邦軍で唯一残された戦力である
「ロンド・ベル」は、ブライト・ノア艦長の指揮の下で、各地でバラバラに戦っているMSパイロットやスーパーロボットを集めて戦力を蓄えながら、DCインスペクターと3つ巴の戦いを繰り広げていく……。

 敵勢力が2つになった分、「第2次」よりも複雑なストーリーになりました。まあ、ゲームを進めていく上では、マップ上にいる敵を全滅させればOKなんですけどね。
 ややこしいのは、
DC軍インスペクター軍が、両方いるマップ。シナリオごとに、両者が敵対してつぶし合ってくれる時と、手を組んでこちらに攻撃を仕掛けてくる時があるのです。DC内部でも、反異星人派(ギレンシャアガトーたち)と親異星人派(キシリアバスクたち)がいて、反目しあっている、と。その中で、前作同様、クーデターを画策しているシロッコなんかがいて、利害関係のぶつかり合いは、原作を知らないと、ついていけないんじゃないか、と。
 原作を知っていると、
ギレンキシリアの仲の悪さとか、バスクの腹黒さとか、理解できるんですけどね。

 まあ、そんなわけで、「ロンド・ベル」は苦戦を重ねながらも、的確な戦術と、MSパイロットの操縦技術、スーパーロボットの強力なパワー、そして何よりも「友情と根性、気合と熱血な心」の力で、形勢を次第に逆転していきます。
 異星人の
四天王を戦場に登場させるに至った「オデッサの激戦」を経て、最後の戦力、整備の終わったゲッターロボGを受け取りに日本に向かいます。しかし、そこで尊い犠牲者を出してしまいます。巴武蔵の犠牲だけは物語の流れ上、どうしてもくつがえすことができません。
 そして新たなパイロット
車弁慶を迎えた新生ゲッターチーム。彼らと合流した「ロンド・ベル」は宇宙へ上がり、「月」や「宇宙要塞ア・バオア・クー」「小惑星アクシズ」などで、DCインスペクターとの最終決戦に赴きます。その際、突如として仲間に加入したシュウ・シラカワ、彼がいかなる行動をとるかは今だ定かではありません……。

 最後の敵は、侵攻してきた異星人の首領ウェンドロの駆るディカステスか、シロッコヴァルシオン改のいずれかですが、それを倒して「ラグナロク」のシナリオに入ることができれば、「真のラスボス」ネオ・グランゾンと戦うことができます。
 さて、無事に
シュウを倒して、邪神の呪縛から解放することができるでしょうか……? 

●プレイの感想

 ここまでで十分な量の書き込みはしたと思うんですけどねえ。
 でも、「第3次」はNOVAが一番長く付き合い、プレイ回数も多いスパロボですから、いっぱい書くネタがあるわけですよ。
 最後に書くとしたら、やっぱり、その
過酷な戦闘バランスですか。

 とにかく、ユニットのデータが敵方有利になっている。その分かりやすい例が、敵MSのガブスレイです。こいつは、「Zガンダム」に出てきたMSで、カミーユのガンダムmkUを窮地に追いやり、Zガンダム登場のきっかけを作ったMSですが、ゲーム上のデータでは、mkUどころかよりも強力なんですね。
 
のHPが2000、最大射程が6に対し、ガブスレイのほうはHP2900、最大射程8ときている。後のスパロボ作品では、MSの性能は一部のボスキャラを除き、味方側と敵側でバランスが取られ、納得のいくデータで設定されているのですが、「第3次」だけは、そんなバランスが無視されているわけです。
 
ガブスレイを倒すためには、Zガンダムなど当てにせず、スーパーロボットで一気に懐に飛び込み、必殺技をくらわせるのが有効です。

 次に、MSの主役パイロットでも、後の作品に比べ、回避能力が当てにならないアムロが抜群の回避能力を身に付けるようになったのは、「第4次」以降のことなんです。「第3次」では、精神コマンドの「集中」も覚えませんしね。そういう意味では、アムロにとっても「第3次」は真のエースパイロットになるまでの下積み時代といえるかもしれません。
 「第3次」では、MSの回避能力を信じて単独突撃してはいけません。いかにニュータイプといえども、瞬く間に戦場の塵と化します。
 
「たまたま避けることができたらラッキー」ぐらいの気持ちでいるのが無難です。

 だからといって、スーパーロボットの頑丈さもあまり当てにはできません。後の作品では、鉄壁を誇る「鋼の城」マジンガーZも、「第3次」の時点では、並みのMSよりは多少とも打たれ強いかな、程度のものです。HPも装甲も、実は敵のほうが上という場合が多いのです。
 よって、パイロットやユニット能力を過信した無茶な突撃は禁物。きちんと地形効果や味方による修理などを考えた運用をしないと、まともに勝てないゲームが「第3次」なのです。

 あと、これは元祖「第3次」に言えることですが、戦艦の改造ができません。 そして、「第3次」の戦艦って結構もろいんですね。ホワイトベースでHP3000、最強のラー・カイラムでHP7500ですから。
 7500なんて、敵MSの
バウとかバウンドドック程度ですよ。それなりに頑丈かもしれないけど、集中砲火を食らえばたちどころに落ちる程度。
 おまけに、
ブライトさん、「防御」してくれない。敵の攻撃は「回避」しようとするんです。もちろん、サイズの大きい戦艦ですから、ほとんど当たっちゃうんですがね。どうも、装甲がいくら以上だと「防御」、それ以下は「回避」って思考ルーチンみたいなんですが、戦艦の装甲は150とMS並み。改造もできないもんですから、どうしようもない。よって、マップ兵器を使おうと戦艦を前面に押し出すことは非常に危険だと。
 この辺りは、後の作品やCB版で、改められましたので、古いゲームの不便な点ということになってしまうのですが、
たまたま回避が成功して、SDサイズの戦艦がスーッと横に移動するグラフィックは、それなりに味があったなあ、と思います。

2.第3次SR大戦CB

●待望のリメイク版

 さて、そんなわけで古くて不便な「第3次」にも、ようやく最新システムに合わせたリメイク版が登場しました。
 大きな変更点は、やはり
反撃命令がマニュアルで設定できるようになったことですか。それだけ効率よくプレイできるようになり、「ラグナロク」への制限ターンも420から350に減少しています。平均40シナリオをプレイするとして、元祖なら1話10〜11ターン、CB版なら1話8〜9ターンが求められることになります。まあ、実際にプレイしてもそれぐらいのバランスかな、と思いますね。「第4次」では平均7ターンをプレイの目安にしていましたから、「第3次」の方が少々手応えがある、と。

 そして、声優の採用
 シナリオタイトルを読み上げるのもいいです。特に、「第3次」のシナリオタイトルは短くまとまっているものが多いですから、ブライトさんの声と相まっていい雰囲気です。「F」の後半以降は、どうも説明がくどいタイトルが多いような気が……。
 パイロットの声でいいのは、やっぱり巴武蔵ですね……って、これじゃ、「第2次CB」といっしょだよ。【そちらをどうぞ】
 「第3次」のみのキャラクターだったら、やっぱりセイラさんかな。一応、「F完結編」にも出ているけど、隠しキャラだから、NOVAは仲間にできなかったしね。他には、カイとかハヤトとかリュウとか、一年戦争パイロットは他のスパロボじゃ聞けないボイス揃いです。う〜ん、これだけレアだと、マジで一年戦争組を育てることを望んじゃうぞ。時間さえあれば、だけど。
 そもそも、NOVAは「第3次CB」をまだ終わらせていなかったりします。グレートマジンガーの鉄也さんが仲間になるシナリオで中断してます。他にも、「α」が「愛・覚えていますか」で中断だなあ。「F」や「64」も1度クリアしただけで、やり尽くしたとはとても言えないし。いつか再プレイ希望ってことで、残してあります。でも、すべては「コンパクト2」を終わらせてからですね。

 さて、声優以外のネタとしては、アニメ取り込みのデモシーンかな。「コン・バトラーの合体」は「F」にもあったけど、「ライディーンの出撃」は、ここだけのレア映像です。

 戦闘について語るなら、やっぱりパイロットの攻撃力が「足し算」じゃなく「掛け算」になったことで、弱い武器の使用効果が少々変わったかな。一番、割を食ったのは「ダイターン3」かなと思っております。必殺技の「サンアタック」以外は、弱い武器が目白押しですからねえ。装甲も弱くなったしねえ。
 逆に、精神コマンドが5人分使えるようになった「コン・バトラー」は使い勝手が格段に向上
 他には、「グレンダイザー」も支援機との合体で、前作よりも使い勝手が向上するはずだし、「ライディーン」も「熱血」覚えるから強くなるはず。

 ただし、良いことばかりではありません。うっとうしいのは、敵の使う「P兵器」の存在。「P兵器」とは、移動後も使える兵器のことですが、それが導入されたのも「第4次」でのこと。元祖「第3次」では、接近戦以外の武器は移動後攻撃できなかった。しかし、「P兵器」の導入によって、敵が移動後にバシバシ遠距離攻撃してくるようになりました。
 これによって、MSのドライセンなんかが強敵になっています。トライブレードが3マス先からビュンビュン飛んで来る。命中率も高く、非常に厄介です。

 まあ、そんなわけで、元祖「第3次」とは微妙に、似て非なる部分があるということです。まだ、その全てを体験して、見切ったとは言えない現状ですから、これぐらいにしておきたいと思います。さらなる書き込みをするとしたら、いつかクリアした後ということですね。

【次はEXへGO】