パワーレンジャー・第1シーズン

 

  目次
あらすじ
解説
レンジャー
脇役キャラ
ゾード
敵役
パワレン・ホームへ
サンダーゾードパワー今だ!→
 (第2シーズンへ)

 

1.あらすじ

 宇宙の悪の魔女リタの封印が解かれ、地球に危機が訪れた。
 善のパワーを司る賢者ゾードンは、エンジェルグローブ市の郊外に基地を築き、サポートロボットのアルファ5に命じて、5人の勇気ある若者を召喚した。
 ジェイソンザックビリートリニーキンバリーの5人は、ふだんは高校生活を送りながら、リタのモンスターが出現したときには、ゾードンから与えられたパワーコインの力で変身。パワーレンジャーとして、正義と平和のために戦うのだ。
 また、レンジャーたちは、リタの魔力で巨大化するモンスターに対抗するため、恐竜型巨大ロボット・ダイノゾードを呼ぶ。ダイノゾードは5体合体して、メガゾードとなる。メガゾードは、パワーソードを振るって、巨大モンスターを倒すのだ。

 度重なる敗北の末、リタは、エンジェルグローブ高校の転校生トミーに目をつける。ジェイソンに匹敵する空手の技量を持つトミーに、リタは邪悪な魔法をかけて、その心を操る。そして悪の戦士グリーンレンジャーとして、パワーレンジャーを襲撃させる。グリーンレンジャーと、彼の操るドラゴンゾードの前に、パワーレンジャーは窮地に立たされるが、苦闘の末に、リタの魔法からトミーを解放することに成功。グリーンレンジャーは、強力な助っ人として仲間に加わった。

 トミードラゴンゾードが加わったことにより、メガゾードも更なる強化合体が可能になり、最強のメガウルトラゾードが誕生する。しかし、悪に基づくグリーンレンジャーの力は強力な反面、不安定で、次第にパワーの枯渇に悩まされることになる。
 一度はパワーを失ったトミーだが、仲間の窮地に変身できぬまま奮闘。その際、リタの魔力の罠をその身に受けて、副作用で一時的にパワーを取り戻すことに成功する。

 6人のレンジャーとリタの戦いは、その後も続いていくのだった。【ページの頭へ】

 

2.解説

 パワーレンジャー第1シーズンは、アメリカ版「恐竜戦隊ジュウレンジャー」である。変身後のアクションやロボットバトルは、日本の映像が使われ、それ以外のドラマ部分や変身前アクションに、アメリカ独自の映像が新撮されている。
 第1話〜60話までが第1シーズンとされているが、元々のジュウレンジャーは、全50話。足りない分(とりわけ41話以降)のエピソードは、変身後のアクションも新撮されたり、過去の映像を再編集して、いろいろと苦心した跡が見られる。
 新撮部分を見分けるコツの一つは、レッドレンジャーの体型を見たら分かる。日本人の目から見て、筋肉質(悪く言えば肥満体型)のレッドレンジャーは、明らかにアメリカ俳優が演じたレッドレンジャーだ。
 もう一つの特徴として、日本の特撮部分は、しばしば剣や銃などの武器を用いる。一方、アメリカ人は不器用だからなのか、武器をあまり使わず、素手の戦いばかりである。よって、アクションが単調に思えることが多い。

 ストーリー設定としては、悪役は名前以外、日本の「ジュウレンジャー」とほぼ同じ。違っているのは、スコルピーナ(和名ラミィ)がゴルダー(和名グリフォーザ)の妻ではない点と、ローカー(和名・大サタン)がただの強力なモンスターでしかない点(日本では、首領的存在)。
 一方、戦隊側は大きく違っている。「ジュウレンジャー」は、現代に覚醒した古代民族であり、彼らの操る巨大な守護獣はロボットではない、とされている。また、グリーンのドラゴンレンジャーは、レッドのティラノレンジャーの兄であったが、終盤で死んでしまった。
 パワーレンジャーでは、変身するのは現代の高校生で、ゾードは純粋にロボットである。また、トミージェイソンの兄ではなく、途中でパワーを失うものの、死んだりはしない。

 よく、パワーレンジャーのギャグにされているのが、アメリカのはずの「エンジェルグローブ市」が、しばしば東京に似た地形を持っている点である。
 リタはしばしば、望遠鏡で地球を見るが、その視野に映っている地図は、明らかに関東地方のものである。
 パワーレンジャーで、一番感心する設定は、「テレポート」である。彼らは、ドラマ部分で学校にいようが、ユースセンター(若者のたまり場)にいようが、瞬時にして戦場に現れることができる。変身ポーズをとった途端、たちまち戦闘に突入していることもしばしばである。この設定を知らないと、ストーリーの急展開についていけないこともありうる(5年ほど前に、NOVAが最初にパワレンを見たときがそうだった)。
 ただし、編集の時間的配分で、一番閉口するのは、毎回のように展開される生身の格闘アクションが意味もなく長すぎる点。「意味もなく」と言うのは、リタの「注意を引き付けるためにゴーレム(戦闘員)を送り込むのじゃ」というセリフ。別に、パワレンはリタの陰謀を捜査しているわけでなく、ただ日常生活を送っているだけなのに、どうして注意を引き付ける必要があるのか? ただの時間稼ぎであることが丸分かりである。せめて「本格的な戦いの前に、レンジャーの戦力を消耗させておくのじゃ」と言ってくれたら、まだ納得できるのに。
 もっとも、この辺りの不合理な点は、次第に改善されていくことになる。

 パワーレンジャー第1シーズンは、日本語版になった際に、微妙に本国放送時と話数がずれているため、混乱を招く要因になっている。
 最初は、40話までが日本で放映され、その後ビデオで48話までがリリースされている。その後、49話以降が「新パワーレンジャー」として100話までリリースされている。よって、48話までが第1シーズンだとNOVAも誤解していたのだが、実際は60話までが第1シーズンである。
 ストーリーの大きな流れをつかむために必要な話は、第1話と初期の数話の他に、グリーンレンジャー登場編第14〜18話(アメリカでは第17〜21話)、トミーが力を失う第34〜35話、ローカーとの決着編(ジュウレンジャーの最終回)の第39〜40話、トミーの帰還編の第49〜50話だろう。【ページの頭へ】

 

3.レンジャー
変身後 変身前の名 日本版キャラクター
レッドレンジャー ジェイソン
Jason
ティラノレンジャー・ゲキ
ブラックレンジャー ザック
Zack
マンモスレンジャー・ゴウシ
ブルーレンジャー ビリー
Billy
トリケラレンジャー・ダン
イエローレンジャー トリニー
Trini
タイガーレンジャー・ボーイ
ピンクレンジャー キンバリー
Kimberly
プテラレンジャー・メイ
グリーンレンジャー トミー
Tommy
ドラゴンレンジャー・ブライ
レッドレンジャー・ジェイソン

 フルネームは、ジェイソン・リー・スコット(Jason Lee Scott)。
 俳優は、オースティン・セント・ジョン(Austin St John)。
 吹き替え版声優は、中村大樹→村井厚之(声優交代は49話以降。他のメンバーも同じ)

 「ティラノザウルス」の力を宿した戦士で、ジェイソン自身も、空手の達人である。正義感が強く真面目で、非常に頼りがいのあるリーダーとして、仲間を率いる。逆に言えば、面白みがない性格といえるかもしれない。
 空手以外の特技として、スキューバダイビングの指導員もできる。
 トミー加入後は、リーダーとしての立場は微妙になる。敵も強くなり、ピンチになるたびに、「トミーの助けが必要だ」と発言。後から助けにやってくるトミーに、おいしいところを持っていかれる、損な役どころとなる。
 本人もそれを意識してか、普段はしばしば、トミーにライバル意識を向け、それを敵に利用されたこともある。だが、基本的に、トミーとは強い友情で結ばれており、トミーが一時、パワーを失った際は、「ドラゴンシールド(鎧)」と「ドラゴンダガー(ドラゴンゾードを操る短剣)」を託される。
 個人の使用武器は「パワーソード(剣)」。仲間との合体武器「パワーブラスター」の上部中軸に接続する。
 また、ダイノゾード「ティラノザウルス」を操る。

 日本版のゲキとは、ほぼ同じような役割。より頼りがいがあるリーダーに見えるが、やはり「トミーの助けが必要だ」発言は、減点対象かな。
 ゲキは、ブライの弟だから「兄に助けを求める」発言をするのも納得できるし、実際は、ブライの方がピンチのゲキを勝手に助けに来るパターンが多かったと思う。「トミーの助けが必要だ」発言を、冷静に戦況を分析しての発言と見なすか、それとも単にリーダーの威信を下げる弱気の発言と見るかが、難しい。トミーさえいなければ、1対1の戦いも辞さない、十分頼りがいのあるリーダーなんだけどね。
 ドラマ的にも、「兄との戦いやその死という悲劇を乗り越えたゲキ」と比べて、薄いのも弱点。それでも「初代パワーレンジャーのリーダー」として、十分、賞賛に値するキャラクターである。

 ジェイソンは、第2シーズンまで活躍。その後、ZEOに再出演してゴールドレンジャーとなる。また、劇場版ターボにも出演した。

ブラックレンジャー・ザック

 フルネームは、ザック・テイラー(Zack Taylor)。
 俳優は、ウォルター・ジョーンズ(Walter Jones)。
 吹き替え版声優は、島海勝美→田尻ひろゆき。

 「マンモス(英語ではマストドン)」の力を宿した戦士で、ダンスのリズムを生かした敏捷な動きで敵と戦う(まるで「バトルフィーバー」みたい)。陽気な黒人の若者で、ダンスの他に、手品などのパフォーマンスが得意。また、知恵がまわり口達者。チーム内では、ムードメーカー的存在。
 ヘビやクモが苦手、といった弱点も目立ち、また、恋するアンジェラにしばしば、モーションをかけ、そのたびに素っ気無くされ、落ち込むことも1度や2度ではない。
 頼りになる、とは言い難いが、明るい人柄の愛すべきキャラクター。
 個人の使用武器は「パワーアックス(斧)」。また、柄の部分から光線を発射することもでき、仲間との合体武器「パワーブラスター」の中央砲身部分となる。
 また、ダイノゾード「マンモス(マストドン)」を操る。

 日本版のゴウシとは、「知恵の戦士」という点で共通点があるが、彼がパワーファイターであるのに対し、ザックはパワーより素早さ優先の戦闘スタイル。
 また、ゴウシは若いダンやボウイをリードし、リーダーのゲキと同格の参謀格だったが、ザックはもっと軽く、とてもジェイソンと同格とは思えない。
 チーム内では、先陣を切って、真っ先に敵の攻撃にやられるって印象がある。これがゴウシだと、ゲキが駆けつけるまで、サブリーダーとして敵の攻撃パターンを調べているみたいな印象があったが、同じ戦闘映像を使っていても、キャラクターの違いははっきりしているようだ。
 もっとも、どちらが目立つかといえば、ゴウシよりもザックの方に軍配が上がる、と思う。

 ザックは、第2シーズンまで活躍。

ブルーレンジャー・ビリー

 フルネームはビリー・クランストン(Billy Cranston)
 俳優は、デビッド・ヨースト(David Yost)。
 吹き替え版声優は、真殿充昭→杉山紀彰。

 「トリケラトプス」の力を宿した戦士だが、当初、変身前の戦闘能力は高くなかった。彼の取り得は、科学をはじめとする知識にあり、レンジャー基地の施設や自前の研究室で、常日頃からさまざまな発明品を作っている。その中には、通信機付きの変身装置や空飛ぶ車「ミラクル号」など、レンジャーの活動に役立つものも多い。ある意味、肉体労働中心のメンバーの中にあっては、欠くことのできない存在といえる。
 彼の戦闘スタイルは一種独特で、積極的に攻撃をするのではなく、必死に敵の攻撃を回避していると、敵のほうが勝手に自滅するパターン。ただし、レンジャーに変身後は、積極的な戦闘スタイルに変わる(笑)。戦闘を重ねるうちに鍛えられたのか、次第に変身前の戦闘能力も高まってくる(役者のアクションが上手くなっていった?)。
 基本的に、男性レンジャーはエンジェルグローブの日常生活で、子供たちに武道を教えることが多いが、ビリーはその数少ない例外である(他には、ジャスティンぐらい)。
 初期メンバーの中では、もっとも長く残留したキャラクター。
 個人の使用武器は「パワーランス(槍)」。二本の小槍としても、連結させて双刃の長槍としても使用可能。仲間との合体武器「パワーブラスター」では、中央の「パワーアックス」の両脇に装着、必殺光線の射出口となる。
 また、ダイノゾード「トリケラトプス」を操る。

 日本版のダンは、若さあふれる猪突猛進の戦闘スタイルで、ビリーはある意味、対極に位置するキャラクターである。
 一見、イメージ外れのようにも思えるが、槍を武器とする戦闘スタイルは、ダンにもビリーにも似合っている。槍は突撃用の武器でもあるが、同時に、戦闘技量が低い者でも比較的扱いやすい武器とされているからである。
 無謀な突撃スタイルも、戦闘慣れしていないビリーが必死になっている姿と考えれば、十分納得がいくのだ。

 ビリーは、第2シーズン第3シーズンまで一貫してブルーレンジャーを務め、初期メンバーの中では最も長い在籍期間を誇る。その後、ZEOで前線を退き、後方支援役を担当するようになった。

イエローレンジャー・トリニー

 フルネームはトリニー・カン(Trini Kwan)。
 俳優は、サイ・トラング(Thuy Trang)。
 吹き替え版声優は、まるたまり→三浦智子。

 「セイバートゥースタイガー(サーベルタイガー)」の力を宿した戦士で、素早い身のこなしと中国武術を得意とする少女。また、知識も豊かで、ビリーの話について行き、その難解な言葉使いの解説を他の仲間に分かりやすく伝えるだけの聡明さを持つ。ビリーの発明のサポートを行うこともしばしば。また、生身の戦闘ではしばしばピンチに陥るビリーをフォローするのも、彼女の役割となっているようだ。
 NOVAの目からは、本当にビリーの名サポーターとして映っている。
 また、中国拳法のガンホー(カンフー?)の精神を、ジェイソンとトミーに指南するなど、チームの精神的バックボーンともなっている。
 なお、トリニーを演じる、サイ・トラングは中国系で、ベトナム出身らしい。

 
個人の使用武器は、二本の「パワーダガー(短剣)」。仲間との合体武器「パワーブラスター」では、「パワーランス」のさらに外側に装着、必殺光線の射出口となる。
 さらに、ダイノゾード「セイバートゥースタイガー」を操る。

 日本版のボーイは、彼女とちがって男性。忍者のような戦闘スタイルを持っているが、アメリカ人にとっては、忍者も中国武術も似たようなものらしい。ボーイが小柄なため、NOVAはさほど気にならないが、見る人が見れば、トリニーが変身した途端、体格がゴツい男性のそれになってしまうのが違和感あるそうである。
 なお、ボーイはしばしばダンとコンビを組んでおり、そのことが彼女とビリーの関係に影響しているのだろう。

 トリニーは第2シーズンまで活躍。
 その後、演じていたサイ・トラングさんが2001年に交通事故で亡くなったとのニュースを聞きました。この場で、冥福を祈ります。

ピンクレンジャー・キンバリー

 フルネームはキンバリー・アン・ハート(Kimberly Ann Hart)。
 俳優は、エイミー・ジョー・ジョンソン(Amy Jo Johnson)。
 
吹き替え版声優は、小山裕香→荒井静香。

 「プテロダクティル(翼竜)」の力を宿した戦士で、体操で身につけたダイナミックかつ、しなやかな動きで戦う少女。
 ある意味、冗長な生身の戦闘シーンでは、彼女のアクションが唯一の楽しみといっても過言ではない(^^;)。
 また、転校生のトミーに恋したおかげで、トミーの悩みが彼女の心配事にもなり、ドラマ部分に大きく関わってくることになる、恵まれたヒロイン。
 両親が離婚中など、パワレンの初期メンバーの中で、一番じっくり設定が練られているキャラクターといえる。パワレンのヒロインといえば、いまだに彼女を推すファンが少なくないようだ。
 個人の使用武器は、「パワーボウ(弓矢)」。仲間との合体武器「パワーブラスター」では、「パワーアックス」と十字型に接続、「ランス」と「ダガー」を設置する横軸となる。
 さらに、ダイノゾード「プテロダクティル」を操る。

 日本版のメイ(演じるは千葉麗子)は、唯一のヒロインとして人気も高かったが、キンバリーの人気もそれに匹敵する。さらに、トミーとの絡みがある分、ドラマ部分での役割は原作以上。原作では、ブライの話になると、ゲキ以外のキャラクターが割り込む隙がなかったからなあ。

 キンバリーは、第2シーズン、そして第3シーズンの途中まで活躍。その後、劇場版ターボに出演しております。

グリーンレンジャー・トミー

 フルネームはトミー・オリバー(Tommy Oliver)。
 俳優は、ジェイソン・デビッド・フランク(Jason David Frank)。
 
吹き替え版声優は、落合弘治→荻原秀樹。

 「ドラゴンゾード」の力を宿した戦士で、ジェイソンに匹敵する空手の達人。エンジェルグローブ高校の転校生であり、当初は、リタに操られた悪の戦士として、パワーレンジャーと敵対する。
 リタの魔法が解けた後は、6人目のパワーレンジャーとなるが、ふだんは空手の練習試合やらなんやらで忙しく、仲間が窮地に立ってようやく、ゾードンの呼び出しを受け、助っ人として活躍するパターンが続く。
 その後、パワー枯渇の危機などで、闇雲にパワーを浪費することはできなくなり、「最後の切り札」的存在となる。
 性格的には、友情に厚く、ジェイソン以上に無謀な勇気を見せることも多い。何があってもあきらめないが、時間にルーズだったり、授業中に通信機の呼び出しを受けてしまって、教師に変身装置を取り上げられたり、ドジな場面も多い。要するに、少しでもトミーの到着を遅らせることで、視聴者をハラハラさせるための演出であるが、その結果、真面目なだけのジェイソン以上に味のあるキャラクターになったと言える。
 個人の使用武器は、「ドラゴンダガー」。また、唯一、防護アーマーの「ドラゴンシールド」を装備しており、レンジャー内で最強の防御力を備えている。ただし、一匹狼なので、仲間との合体技は持たない。
 また、「ダガー」を笛のように奏で、「ドラゴンゾード」を操る。

 日本版のブライは、ゲキの兄であり、また、寿命に制限があるため、中盤〜終盤で、視聴者の気持ちをハラハラさせながら、最後にはゲキに全てを託して散っていった。
 トミーには、そこまでの悲壮なドラマはない。ただ、レンジャー仲間との友情が、パワーを失うことで「共に戦えない」苛立ち、焦り、苦々しさを高め、一時的だが、トミー不在の寂しさがドラマにもほろ苦さを与えてくれた。
 そして、グリーンレンジャーのパワー喪失を軸としたドラマは、第2シーズンの初期にも継続し、やがて新たなホワイトレンジャー誕生に結実するのである。

変身方法と、ゾードの召喚

 変身の掛け声は、「変身だ(女性の場合、変身よ)!」
 その後、パワーコイン付きの変身装置(モーファー)を前方に突き出し、自分のパワーの源である「ゾード」名を叫ぶ。
 叫ぶ順は、「ドラゴンゾード!」「マンモス!」「プテロダクティル!」「トリケラトプス!」「セイバートゥースタイガー!」「ティラノザウルス!」

 ゾード召喚の台詞は、「ダイノゾードパワー今だ!(We need Dinozords Power now!)」。個別に召喚する時は、「I need Tyrannosaurus Dinozord Power now!」などとなる。
 ただし、グリーンレンジャーの場合のみ、「ドラゴンダガー」の音色で召喚する。
 パワーレンジャーのBGMは、「ジュウレンジャー」とは全く異なるが、「ドラゴンダガー」の音のみ、原作と全く同じである。これは玩具に同じ音が収録されているからであろう。
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4.脇役キャラ

@ゾードン

 「イン・スペース」までの、パワーレンジャーシリーズで最も重要な存在の一人。
 「ZEO」まで、レンジャーたちを実質的に率いるが、「ターボ」で故郷の惑星エルターに戻る。「ターボ」終盤で宇宙の悪の首領ダークスペクターに囚われの身となり、ゾードン救出こそが「イン・スペース」の大目的となった。
 レンジャーのパワーの源であり、さまざまな悪の情報を教えてくれる。
 レンジャー基地に設置されたカプセルの中に、青い肌の頭だけの姿で収まっている。どうやら、別の次元からの通信を利用しているみたいである。
 エルター星には家族もいるようだが、家族もあのような姿かどうか、謎である。
 とにかく博識で、「分からないことはゾードンに聞け」という常識が、パワーレンジャー世界には存在する。レンジャーが別に悪の計画の調査をすることなしに日常生活を送れるのも、事件が起こった時には、ゾードンの方から連絡をくれるからである。
 「ビューグローブ(映像を映すTVみたいなもの)を見よ」「パワーが守ってくれるだろう」がおなじみの台詞。

Aアルファ5

 ゾードンとレンジャーのサポートロボット。外見は、ブリキでできた感じ。チープなC3POといったところか(色は赤と黄色が主体)。
 知識はあるが、体のないゾードンに代わって、基地のコンピューターなどの操作や、レンジャーへの連絡など、雑務処理をすべて行ってくれる。
 「アイアイアイアイアイ」が口癖で、割とおしゃべりだが、勇敢というよりは小心者で、心配性。それでも、一応の正義感と責任感を持ち合わせており、愛すべき存在。ただし、戦闘能力はほとんどない。

Bバルクとスカル

 一般人(=「レンジャーの正体を知らない人」の意)。
 レンジャーの同級生であり、マヌケな不良漫才コンビ。太った方がバルクで、やせた方がスカルである。スカルは、バルクのことを「親分」と呼ぶ。
 第1シーズンの二人は、NOVAにとって、まったく好きになれないキャラだった。自信過剰で、周囲の迷惑を顧みず、自分勝手な言動をくり返し、自分の力量への自覚もなく、レンジャーたちを「腰抜け軍団」呼ばわりし、最後は、ピザやクリーム、泥まみれになるという、アメリカ風味のギャグを(ストーリー的には何の意味もなく)毎度に渡って、行っているという、どうしようもない二人だった(おまけに学習能力ゼロ)。
 まあ、役者としては、体を張ったギャグに感心できるが、見ていて面白くないもんね。
 そんな二人が、今後、ずっとパワレンシリーズに「イン・スペース」まで出続けるのだから、ビックリである。バルクに至っては、「ロストギャラクシー」までだ。ある意味、パワレンサーガをつなぐキャラクターたちといえよう。
 なお、バルクとスカルの役割を、日本的に分かりやすく言えば、「ドラえもん」のジャイアンとスネ夫、「マジンガーZ」のボスたちに該当すると思う。ただし、ジャイアンたちほどストーリーの本筋には絡まないし、ボスほどの男意気や友情は持ち合わせていないけど。

Cアップルビー先生とキャップラン校長

 エンジェルグローブ高校の先生たちで、一般人。
 アップルビー先生は、太った女の先生で、いつもバルクとスカルには手を焼いている。なお、レンジャーたちは、彼女のクラスでもっとも優秀な学生のようだ。
 キャップラン校長は、時々、アップルビー先生の代わりに授業をしたり、行事のときに生徒たちに声をかける、割と親しみやすい校長。ただし、その髪の毛はかつらであり、バルクとスカルを相手にしている時に、しばしば、かつらが飛んでいくのが定番のギャグ。
 二人とも物語の中心人物ではないが、レンジャーの日常高校生活を演出するのに、いなくてはならないキャラ。「ターボ」まで出演を続けたようだ。

Dアーニー

 エンジェルグローブ高校近くのユースセンターにあるジュースバーのオーナー。
 ユースセンター(青少年センター)は、エンジェルグローブ市の若者のたまり場で、各種スポーツ施設や、ジュースバー(喫茶食堂)を完備している。また、しばしば高校の行事の際にも利用され、ダンスパーティーなども催されている。
 ユースセンターが高校の施設の一つかどうかは不明だが、そうと断言してもいいぐらい接点がある。
 レンジャーたちは、放課後しばしば、ユースセンターに集まり、談笑している。

 アーニーは太った、人好きのするオーナーで、レンジャーたちとも相当親しい一般人である。ただし、しばしば施設の器具を壊している、バルクとスカルには厳しい目を向けている。ここのジュースは、しばしばバルクとスカルの頭に飛んでいくが、アーニーもよく二人のドジの巻き添えを食らって、ジュースまみれになっている。
 アーニーはまた、スポーツに励むレンジャーたちの適切な助言者になることもある。若い時には、「フットボールの選手」だったらしく、そのコーチぶりはなかなか堂にいっている。
 若者たちの先輩として、一般人ながら、実に頼もしいキャラクターである。

Eアンジェラ

 ゲスト高校生の多いパワレンだが、その中でも登場回数の多いのは、ザックが恋している彼女だろう。ザックと同じ黒人の女の子である。
 子供好きで優しい性格の娘だが、ザックのお調子者ぶりには、あまり好意をもっていないようである。それでも、何度もしつこく誘われているうちに、だんだん愛想良くなってきて……もうすぐ、二人が引っ付くんじゃないか、と思われた第2シーズン途上で、ザックはいなくなってしまった。それ以来、彼女の出番もなくなってしまった。【ページの頭へ】

 

5.ゾード
  日本語呼称 解説 ジュウレンジャー該当メカ
ティラノザウルス レッドのダイノゾード 守護獣ティラノザウルス
マンモス ブラックのダイノゾード 守護獣ジュウマンモス
トリケラトプス ブルーのダイノゾード 守護獣トリケラトプス
セイバートゥースタイガー イエローのダイノゾード 守護獣サーベルタイガー
プテロダクティル ピンクのダイノゾード 守護獣プテラノドン
ドラゴンゾード グリーンのダイノゾード 守護獣ドラゴンシーザー
タイタヌス 大型無人メカ 獣騎神キングブラキオン
メガゾード 1〜5の合体ロボ 大獣神
メガドラゴンゾード 2〜4と6の合体ロボ 剛龍神
10 ウルトラゾード 1〜6の合体ロボ 獣帝大獣神
11 メガウルトラゾード 1〜7の合体ロボ 究極大獣神
ゾード解説

 ゾードとは、パワーレンジャーが操る巨大メカの総称である。
 その名前は、おそらく作成者の「ゾードン」から来ているものだろうが、後の作品では、敵のロボットにも「ゾード」という名がつけられており、もしかすると、パワレン世界では「ゾード=人が操る巨大メカ」という定義付けが、全宇宙規模で行われているのかもしれない。
 もっと簡単な説明は、敵が「レンジャーのゾード」の無敵ぶりにあやかって、名付けたというものだろう。
 なお、ゾードンの登場しない「ロストギャラクシー」以降も、ゾードの呼称は伝統的に継承されている。

@ティラノザウルス

 レッドレンジャーの操るダイノゾード。
 単体でも、それなりの格闘能力を持ち、口からの衝撃波で相手を粉砕する。
 メガゾードの中核として、頭部、胸部、腰部を構成する。
 第2シーズンでは、ドラゴンゾードを除くダイノゾードは、サンダーゾードに強化変身するようになる。

Aマンモス

 ブラックレンジャーの操るダイノゾード。
 英語では「マストドン」になっているので注意。
 鼻の噴射口から、冷凍ガスを放つ重戦車的メカ。
 メガゾードやメガドラゴンゾードの腕部、背胴部を構成する。
 また、その顔の部分が、メガゾードの楯になる。

Bトリケラトプス

 ブルーレンジャーの操るダイノゾード。
 角がチェーン付き分銅になって敵を絡めたり、尻尾から弾丸を放つなど、小回りの利く高機動戦車として機能するメカ。
 メガゾードやメガドラゴンゾードの左脚を構成する。

Cセイバートゥースタイガー

 イエローレンジャーの操るダイノゾード。
 4つ脚の機敏な動きが特徴で、かみつき攻撃と、尻尾からのビームが武器。
 遠近両方で活用できる、遊撃戦用メカ。
 メガゾードやメガドラゴンゾードの右脚を構成する。

Dプテロダクティル

 ピンクレンジャーの操るダイノゾード。
 ダイノゾード唯一の飛行メカとして、高空からビームを放つ戦闘機メカ。
 メガゾードの胸部装甲を構成する。

Eドラゴンゾード

 グリーンレンジャーの操るダイノゾード。
 ドラゴンダガーの笛の音により、海の中から出現。
 指先からミサイルを放ち、尻尾がドリルになって、敵を貫く。、単体でも十分な戦闘力を持ち、ティラノザウルスやメガゾードとタッグを組むことも多い。
 メガドラゴンゾードの中核として、頭部、胸部、腰部を構成する。
 また、メガゾードの頭と肩の装甲になって、ウルトラゾードを完成させる。
 トミーがホワイトレンジャーになってからの消息は、分からない。

Fタイタヌス

 ブラキオザウルス型の無人大型サポートメカ。
 移動砲台として機能する他、ウルトラゾードを乗せて、メガウルトラゾードになる。
 第2シーズンでの消息は不明だった(解体されてホワイトタイガーゾードやトールの部品に使われた説などもあった)が、第3シーズンでめでたく復活したりする。

Gメガゾード

 ダイノゾード合体ロボの基本形。
 ティラノ、マンモス、トリケラ、タイガー、プテロの5体合体。
 戦車形態から、「メガゾード・バトルモード」で人型形態になる。
 必殺技は、「パワーソード」での斬撃。

Hメガドラゴンゾード

 ドラゴン、マンモス、トリケラ、タイガーの4体合体。
 英語での呼称は、「ドラゴンゾード・ファイティングモード」。
 戦闘力は、メガゾードに匹敵。この合体形態だと、ティラノザウルスとプテロダクティルが余るので、「メガゾード&ドラゴンゾード」よりも立体的な戦闘が展開できそうだが、劇中では、プテロダクティルの援護射撃が描写されていないので、あくまで理論上のもの。
 武器は、ドラゴンゾードの尻尾が変形した、ドリル状の槍。

Iウルトラゾード

 メガゾードに、ドラゴンゾードが合体した6体合体。
 英語での呼称は、「メガドラゴンゾード」。この辺り、日本語に翻訳される際に、ズレが生じているので、注意が必要である。
 ドラゴンゾードが、装甲として追加されている分、動きは鈍くなっていると思われるが、防御力や出力が向上しており、強力な破壊光線を放つことができる。

Jメガウルトラゾード

 ウルトラゾードがタイタヌスに騎乗した7体合体。
 英語での呼称は、「ウルトラゾード」。とにかくややこしくて、ごっちゃになるので注意。
 タイタヌスが合体したことにより、突撃機動性と、出力が向上。その砲撃の威力は、ダイノゾード合体メカの中でも最強の威力を誇る。【ページの頭へ】

 

6.敵役
  名前 組織内の役割 日本版該当キャラ
リタ 首領 バンドーラ(曽我町子)
ゴルダー 戦闘隊長 グリフォーザー
バブー 密偵・雑務 トットバット
スカット 密偵・雑務 ブックパック
フィニスター モンスター作成 プリプリカン
スコルピーナ 女戦闘隊長 ラミイ
モンスター 怪人 ドーラモンスター
ゴーレム 戦闘員 ゴーレム兵
ローカー 強力な魔物 大サタン
敵役解説

 基本的に「第1シーズン」の敵役は、原作の「ジュウレンジャー」と名前以外、まったく同じである。
 目立つ違いは、ローカー(大サタン)の扱いが、元々の悪の首領から、ただの強力なモンスターに格下げされたことと、スコルピーナ(ラミー)とゴルダー(グリフォーザー)の夫婦関係がなくなったこと、である。
 原作では、バンドーラ一味は決して憎めない「家族的な雰囲気の組織」であり、その最後も、「大サタンを倒す」だけで、バンドーラたちは元通り封印されたのみである(封印された壷の中で楽しそうに生活している描写がなされている)。バンドーラが悪に魂を売ったのも、死んだ息子を甦らせるため、というエピソードが語られ、終盤、ラミイが子供を生み、その赤ん坊をバンドーラが可愛がる場面すらある。
 そうした、ほのぼの感あふれる悪の組織は、パワレンでは払拭されている。まあ、この理由は明らかだろう。日本で長く続いた戦隊シリーズでは、「ジュウレンジャー」はどちらかと言えば、これまでのパターンを塗り替えた「異色作」と言える。異色作は、過去の伝統があるからこそ光る物であるから、過去の伝統のないパワレンでは、やはり典型的なパターンを見せる必要がある。
 まあ、それでも後のオリジナルの首領の見せる恐怖感から見れば、十分に「ほのぼの感あふれる組織」なのだが。
 それでは、各キャラクターを個別に見ていこう。

@リタ

 バンドーラとほぼ一緒ですね。
 まあ、曽我町子女史のキャラクターは変えようがありませんが。
 レンジャーに負けるたびに「頭が痛くなる」病を抱えております。彼女は、「スペース」の最後までしぶとく生き残り(役者はアメリカのよく似た人を採用)、最後は「ダークスペクター」が倒された影響で、善人に戻ることに。
 非常に息の長いキャラクターだったといえましょう。

Aゴルダー

 ラミーとのアツアツ夫婦描写があって、まだ、憎めないグリフォーザーと違って、パワレンのゴルダーは、嫌らしい敵役です。
 変身前のジェイソンやトミーをねちっこく追いつめる描写などが目につきます。でも、いつも詰めが甘いんだよね。戦闘力の割に、作戦が一向に成功せず、だんだん間抜けな面が強調されるようになっていきます。それでも、ここぞというところで、とんでもない悪事を働くのですが。
 「スペース」の最後で、悪の力の消失により、消え失せてしまいます。リタ以外の手下は、消息不明のスコルピーナを除いて、みんな同じ運命をたどるわけです。哀れなり。

Bバブー
Cスカット

 この2体は、いつも一緒にいるので、同じに扱いましょう。
 原作では、しばしば変身前のジュウレンジャーと絡んでいたわけですが、パワレンではあまり目立った活躍がありません。
 それでも、第1シーズンでは、まだ出番があった方かな。第2シーズンでは、本当に「何のためにいるの?」って感じでしたから。
 のっぽのバブーと、デブのスカット。パワレンが日本に紹介された当初は、この2体が人間世界で活動する姿が、「バルクとスカル」だなんて、とんでもない大ウソが戦隊シリーズの公式解説本に平気で載せられておりました(今でも、その本は持っている)。

Dフィニスター

 粘土から、モンスターを作る大切な役どころ。
 でも、第2シーズンでは、新首領のロード・ゼッドが自分でモンスターを作るので、お役御免に。

Eスコルピーナ

 原作では、グリフォーザーの憎めない奥さんで、またプテラレンジャーのメイちゃんと仮装合戦を繰り広げたりで、視聴者の目を楽しませてくれました。
 でも、パワレンでは、ただの悪の助っ人でしかありません。変身前のジュウレンジャーとの戦いはカットされているので、出番も大幅に縮小。いつの間にか姿も見せなくなった、悲しい女戦士です。
 ゴルダーといっしょに時々、巨大化もするけれど、すべて同じ映像の使いまわしばかりだし、ね。

Fモンスター

 粘土から、作られる怪人。
 原作では「ドーラ○○」という共通名で、神話や伝説のネタが散りばめられていましたが、パワレンでは、あまり共通設定にこだわりがないのが悲しい。
 41話以降は、オリジナルモンスターもしばしば登場。また、再生モンスターになるのも、大抵は向こうのオリジナル(そりゃそうだ。映像だけあっても、着ぐるみがないモンスターも多いだろうし)。
 リタの杖を介して供給される、大地の邪悪な精霊パワーによって巨大化する。

Gゴーレム

 粘土から作られる、灰色のザコ怪人集団。
 英語名は「パティー」(Putty)となっており、ちょっと可愛い印象(笑)。
 モンスターよりも、よっぽど出番が多い。変身前のレンジャーにもどんどん襲いかかって、どんどん倒されていく新撮映像で大活躍。パワレンで唯一、原作と同じ戦闘員という賞賛すべき存在。

Hローカー

 リタが異次元から召喚した強力な魔物。
 メガウルトラゾードでなければ倒せなかった。
 原作では、悪の力を司る首領的存在なのに、パワレンでは大幅格下げ。一番、悲しいのは、原作ではこいつを倒して最終回だったのに、パワレンではまだまだストーリーが続いた点。つまり、その程度の扱いしかされていないことである。
 こいつを倒してから、原作映像を使い果たしたパワレンの物語は、しばし模索期間に入る。【ページの頭へ】