膝の痛み
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、加齢による膝関節の変形や長年体重がかかることにより
膝関節が破壊されておこる病気です。発症すると、立ち上がったり、歩い
たりする時に膝が痛くなり、だんだんと歩くなどの日常生活が難しくなって
いきます。日本には変形性膝関節症と診断される患者さんは約2400万人と推計
され、そのうちの820万人が痛みを伴うとされます。また、厚生労働省の平成25年
国民生活基礎調査結果によれば、変形性膝関節症などの関節疾患は高齢者
の健康寿命に影響し、要介護状態への大きなリスクとなっています。
病気の進行をおさえるためには、リハビリテーション、ふとももの筋力
トレーニング、運動、ダイエットなどが必要ですが、膝の痛みが強いせいで
これらの治療ができない患者さんがたくさんおられます。膝の痛みには、
薬物治療(非ステロイド性消炎鎮痛薬、アセトアミノフェンなど)や関節内注射
(ステロイド、ヒアルロン酸)、神経ブロックが有効であることもあります。
これらの治療法があまり効果のない患者さんには、当科ではパルス高周波療法を
お勧めしています。パルス高周波療法はすべての患者さんの膝の痛みに有効という
わけではありませんが、当科でパルス高周波療法を受けられた患者さんの約7割に
鎮痛効果があり、効果のあった患者さんでは一度の治療で長期間(3ヶ月以上)効果
が持続しています。
パルス高周波療法についてはこちら
変形性膝関節症に関する臨床研究についてはこちら
手術後に長引く痛み(遷延性術後痛)
変形性膝関節症が進行し、重症になると人工膝関節全置換術(Total Knee
Arthroplasty、TKA)など手術治療の適応となります。手術は多くの方に
有効ですが、中には手術は成功したのに痛みが長期間残ってしまう患者さん
がおられます。TKAをうけた患者さんのうち15〜40%の患者さんには3ヶ月
以上痛みが残ってしまった、という報告もあります。このような、手術後に
長引く痛みは「遷延性術後痛」と呼ばれ、いったん発症すると薬物治療等
をおこなっても効果が乏しいことが多く、日常生活に支障をきたしてしまい
ます。膝関節手術後の遷延性術後痛患者さんにも、当科ではパルス高周波
療法を行っています。パルス高周波療法はすべての患者さんの膝の痛みに
有効というわけではありませんが、当科でパルス高周波療法を受けられた
患者さんの約5〜6割に鎮痛効果があり、効果のあった患者さんでは一度の治療
で長期間(3ヶ月以上)効果が持続しています。
パルス高周波療法についてはこちら