神経障害性疼痛
外傷、手術、何らかの病気によって神経が傷害されたために痛みが続く場合があり、これを神経障害性疼痛と呼びます。
代表的なものとしては、帯状疱疹の痛み・帯状疱疹後神経痛、糖尿病性末梢神経障害、四肢を切断した後の痛み、複合性局所疼痛症候群などです。
感覚が過敏になっていて皮膚を触るだけで痛みが出たり、感覚が鈍くなっているのに持続性の痛みがあったり、誘引なく強い痛みが走ったりすることがあります。
一般に消炎鎮痛薬や麻薬性鎮痛薬の効果が少なく治り難いので難治性になる場合があります。
治療法としては抗うつ薬や抗てんかん薬などの薬物治療が中心となりますが、症例によっては各種神経刺激療法や神経ブロックが有効な場合があります。
帯状疱疹の痛み・帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹は一生のうちに数人に一人が罹るほど多い病気です。
通常、痛みは1-4週間くらいで消失し、後遺症を残すことはありませんが、帯状疱疹にかかった患者さんのうち5-10%程度のかたに痛みが遷延し、帯状疱疹後神経痛になります。
高齢者で皮疹が重症の場合になりやすい傾向があります。
帯状疱疹の急性期(罹患1-2ヶ月)は抗ウイルス薬の投与や皮膚の治療と平行して、消炎鎮痛薬や神経ブロックを併用し皮膚の早期治癒と痛みの緩和を図ります。
不幸にして痛みが残った場合には、抗うつ薬や抗てんかん薬などの内服治療によって痛みの緩和を図ります。
糖尿病性末梢神経障害
糖尿病に長年罹患しますと、末梢神経に異常をきたし手足に痺れをきたす場合があります。これを糖尿病性神経障害と呼びますが、そのような方の一部に有痛性糖尿病性神経障害といいまして痛みを伴うかたがおられます。
痛みの性質としては「ジンジンした」「うずくような」と表現されるかたが多いです。
いったん発症しますと血糖のコントロールとの関連はあまりないようです。
このような痛みに対しては、抗不整脈薬、抗けいれん薬、抗うつ薬などの薬物治療を優先します。
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四肢を切断した後の痛み
事故や手術などによって上肢や下肢を切断した後、失った手や足があるかのような感じがして(幻肢感覚)また痛む(幻肢痛)場合があります。
原因は切断によって感覚をつかさどる脳にひずみを生ずるためと考えられています。治療法としては抗うつ薬や抗てんかん薬などの薬物治療、鏡を使ったリハビリテーション、経皮的磁気刺激法、大脳皮質運動野刺激法などがあります。
外傷や手術などによって末梢神経や脊髄、脳を損傷した場合、痛みが続く場合があります。
治療法としては薬物治療、脊髄硬膜外電気刺激法、神経ブロック(急性期)などがありますが、痛みが消失することはむしろまれですので長期的な治療が必要です。
神経の傷が少ない場合には自然治癒も見込めます。また最近では手術治療も行われるようになり、当院でも実施を検討しています。