大阪大学医学部附属病院
麻酔科ペインクリニック

神経ブロック治療とは

診断、治療を行うことができます

tyuusha.gif神経ブロック治療は、急性および慢性の痛みをきたす様々な疾患(脊椎疾患、神経の障害による痛み、血流の障害による痛み、など)に対して行われる治療法の一つです。
痛みを起こす神経周囲および関節の炎症を静める、痛みの伝わりをおさえる、血流を改善する、などの作用により、強い痛みをおさえることを目的としています。痛みの診断と治療を同時に進めることができます。

大きく分けると2つの方法があり、1つは局所麻酔薬と炎症を抑える薬(ステロイド)を注入する方法で、もう1つは痛みを伝える神経を変性させる方法(アルコール注入、高周波熱凝固法*、など)です。

患者さんにより神経ブロックの方法や、施行する回数は異なります。
*高周波熱凝固法:特殊な針を用いて神経に熱を加える方法

硬膜外ブロック

DSC_0007.jpg脊髄は背骨の内側で骨にまもられるように存在しますが、さらに硬膜と呼ばれる膜に包まれて2重に保護されています。

硬膜外ブロックは、硬膜の外側(硬膜外腔)に治療薬を注入することにより、脊髄付近の炎症を鎮め、痛みの伝わりを抑える方法です。

姿勢はうつ伏せ、または横向きで背中を丸くした体勢で行います。座った姿勢で行う場合もあります。

背骨のすきまから針を進め、硬膜外腔に針の先端が到達したところで治療薬を注入します。

硬膜外腔にカテーテルを挿入し持続的な神経ブロックを行う場合や、カテーテルから生理食塩水を注入して炎症がある部位の洗浄を行う方法を行うこともあります。

神経根ブロック

脊髄から多くの神経が枝分かれし、全身(首から下)に広がっていきます。これを脊髄神経と言いますが、この脊髄神経が背骨から外へ出てくる根もとの部分に注射することによって痛みをおさえる方法が神経根ブロックです。

姿勢はうつ伏せ、またはあお向けで行います。
レントゲンで神経が出てくる背骨の穴を確認しながら、神経にむけて針を進めます。

針の先が神経に届くと、神経の走行に沿った場所に痛みが誘発されます。造影剤を注入し神経を確認した後、治療薬を注入します。

多くの場合、注入後すぐに神経が分布する部位の痛みが消失します。

椎間関節ブロック

脊髄神経後枝内側枝ブロック

背骨は首から腰まで骨がつながって存在しますが、その背骨をつないでいる関節のことを椎間関節と呼びます。

椎間関節に負担がかかる、または関節が変形することにより痛みが出る場合に、関節に注射をして炎症を抑える、あるいは関節の痛みの伝わりを抑えることで改善することがあります。

痛みの原因となる関節に注射する方法を椎間関節ブロックといい、関節の痛みを伝える神経(脊髄神経後枝内側枝)がとおっている背骨の表面に薬を注入して痛みを抑える方法を脊髄神経後枝内側枝ブロックといいます。

腕神経叢ブロック

腕や手の運動・感覚をつかさどる神経は、首の脊髄から枝分かれした神経によって構成されています。

首の骨から外へ出た神経の何本かが合流したり枝分かれしながら肩、腕、手へと広がっていきます。

この神経の合流部のことを腕神経叢(わんしんけいそう)と呼び、膜のなかに包まれて存在します。この腕神経叢へ治療薬を注入し痛みを抑える方法を腕神経叢ブロックといいます。

ベッド上であお向けの姿勢で行います。

痛みがある側の首のつけねから針を進め、神経を包む膜のなかに針先が入ったところで造影剤を注入し、神経叢が確認されれば治療薬を注入します。

星状神経節ブロック

慢性の痛みが続く場合に、体の機能を調節する交感神経が痛みに関与している場合があるといわれています。

星状神経節ブロックは、首にある交感神経節(星状神経節)に局所麻酔薬を注入し、交感神経の働きを抑えることにより痛みをおさえることを目的としています。

腰部交感神経節ブロック

交感神経とは、体の機能を調整する自律神経の一つで、血管に対しては収縮させるように機能しています。腰部交感神経節ブロックとは、下肢の血流調節に関係している神経の集まり(腰部交感神経節)に局所麻酔薬を注入する、または交感神経節を変性させることにより、下肢の血流を改善させる方法です。

下肢の血流が障害される病気、あるいは交感神経の活動を抑えることによって下肢の痛みが緩和される可能性がある場合に、患部の診断と治療を同時に進めることを目的としています。

腰部交感神経節ブロックの方法には、局所麻酔薬によって一時的に神経をブロックする方法と、神経を変性させて効果を持続させる方法があります。後者には、アルコールを注入する方法と特殊な針で神経に熱を加える方法(高周波熱凝固法)があります。

レントゲンを見ながら、背中から背骨に向けて針を進めます。針先を交感神経節のある背骨の前面まで進め、造影剤を注入し、問題なければ局所麻酔薬を注入します。
神経を変性させる場合は、局所麻酔薬注入後に異常がないか確認したのちアルコール注入または高周波熱凝固を行います。

高周波熱凝固法は、針先以外には熱が加わらない特殊な針を用いて行うため、神経節の部位のみを熱凝固することができます

三叉神経節ブロック

三叉神経痛のページを参照

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