頭痛・顔面痛
三叉神経痛
三叉神経痛は顔面に発作性の激烈な痛みを有する疾患です。
痛みの特徴は顔面への軽い接触または筋肉の動き(洗顔、ひげ剃り、咀嚼、歯磨き、会話など)であり、それらの刺激により痛みを誘発します。
時には顔に当たる風でさえ痛みを起こすこともあり、だいたい数秒から数分間持続するカミナリが落ちたような痛みを誘発します。
また四季のなかでまったく痛みの無い時期が存在するのもこの病気の1つの特徴です。治療としては以下の4つが代表的です。
投薬治療
治療としてはまず投薬治療(カルバマゼピン)が有効です。
この薬は特発性三叉神経痛の特効薬ですが副作用(眠気、ふらつき、薬疹、骨髓抑制、肝機能障害)も多いのが欠点です。
そのため定期的な血液検査を要します。
神経ブロック治療
痛みの部位をしびれさせる治療法で、アルコールブロック法と高周波熱凝固法とがあります。
共に長所短所がありますが、高周波熱凝固法は、比較的安全に行え、しびれも少ないが、その半面再発しやすいという欠点があります。
アルコールブロック法は一回の治療で有効期間が長いという長所がありますが、しびれの度合いが強く、知覚がなかなか元にもどらないと言う欠点があります。
神経ブロックの部位には末梢神経ブロックとガッセル神経節ブロックがあり両者ともアルコールと高周波熱凝固で施行出来ます。
特にガッセル神経節の高周波熱凝固法は安全性が高く、長期の効果が期待できるので、薬物療法で治療困難な症例では第一選択となるでしょう。
脳外科的治療
近年、三叉神経痛の原因の多くが動脈硬化を生じた血管の三叉神経への圧迫であることが明らかになってきました。
そこで1967年にアメリカのジャネッタ医師が痛みの原因となっている脳深部血管の三叉神経への圧迫を手術によって取り除く(神経血管減圧術)という方法を発表して以来,多くの施設でその有効性が確認されています。
この様な三叉神経痛に対する外科的治療法は,病気の根本原因を治療するといった意味では,いたって合理的な治療法だと考えられています。
手術がうまくいけば手術直後より痛みから解放されます。
ガンマナイフ
薬物療法も副作用のため服用困難な場合や、手術治療は侵襲的であり,高齢の患者さんや全身状態の評価から全身麻酔による手術がかなり危険のあるものと判断される患者さんにガンマーナイフによる治療が行われ,その有効性が示されつつあります。
約6-8割の患者さんに有効であると言われていますが、長期的にはもう少し効果が落ちるようです。
また、痛みが完全に消失する方もおられますが、良くなっても多少は内服薬の併用が必要な方も多いです。
照射後すぐに痛みがとれず、数ヶ月かかって症状が改善する方もおられます。
慢性頭痛
慢性頭痛には大きく分けて
①片頭痛 ②緊張型頭痛 ③群発頭痛があります。
片頭痛と群発頭痛は,痛みは強いですが生ずる期間は限られています。
比較的くすりに対する反応がよく,患者さん一人一人にあう薬を探していけば,多くの場合生活の障害も最小限でおさえることができます。
当方では,単に薬を処方するだけでなく,効果や副作用は勿論,お一人お一人のライフスタイルを十分聞いた上で最良の対処法をアドバイスするよう心がけております。
「しめつけられるような」痛みが特徴の緊張型頭痛の場合には,比較的くすりの効果も良くないですが,漢方薬や生活指導などもおこないながら対応していきます。
慢性頭痛の中には,稀ではありますが脳の器質的な異常が原因である場合もあります。十分な診察を行った上で,そのような病気を見つけるためにより詳しい検査をお勧めする場合もあります。